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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 炭鉱族/ドワーフ編 ――
78/175

第78話「プロ軍人を簡単に屠れる余剰戦力」


「何なんじゃアイツはぁー!!」

「陛下、落ち着いてください、また血圧が上がります」

「そんなこと気にしている場合か! このままではどこの馬の骨とも判らん魔無(マナレス)にシエルの所有権を持っていかれるぞ!」

「今回の剣聖祭は盤面議会に聖皇教会、冒険者ギルドや各国の要人、各所から人が集まってますからね…… 誤魔化すのも限度があります。だからこそ決勝戦の前に対策を考えなければならないんです」


 バン!


「失礼します! 陛下! カグラバシ・イヅナの全試合の記録を持ってまいりました!」

「うむ、見せろ」


「…………」

「…………陛下?」


「何なんじゃアイツはぁー!! 腹パンしかしとらんじゃないか!! 何なの? 内臓に深い恨みでもあるの?」

「だ……だから落ち着いてください」

「ぐぬぬ…… これではアイツがワザと腹パンだけで予選を勝ち抜いたコトしか判らん!」

「………… 記録を見る限り“剣王”や“魔将”相手にも手加減していたようですね」


「何なんじゃアイツはぁー!! 下手したら極限級に厄介じゃないかー!」

「陛下、いちいち取り乱さないでください、ルールは我々の手にあります」

「ん? どういうことだ?」

「カグラバシ・イヅナは反魔力同盟(アンチマギア)という冒険者パーティーを組み、団体登録しています、しかし試合に出たのは彼だけです」

「つまり…… 他のパーティーメンバーは普通の魔無(マナレス)?」

「そうです、異常なのはこの男だけでしょう、本来魔無(マナレス)とは戦闘能力皆無なのですから、そもそも男の魔無(マナレス)なんて聞いたコトが無い、なにかしらの突然変異……と考えるべきです」

「しかしそれが判ったからと言って何だと言うんじゃ? 無理やり代表選手を変えさせることなどできんぞ? 闇討ちでもするのか?」

「陛下お忘れですか? 我々には試合形式を決定する権利があるコトを?」

「!! そうか!! ふっふっふっ、大臣、お主も悪よのぅ」

「いえいえ、陛下ほどでは…」


「「クックックッ!」」


 そんな国王と大臣の様子を見ながら記録を持ってきた文官は……


(ナニこの茶番? こんなのが国のトップとは…… この国近いうちに滅びるんじゃないのか?)


 ……と、思っていた。



―――


――




『紳士淑女の皆様! お待たせいたしました! 第120回・剣聖祭! 決勝戦でぇーーーす!!』


 司会進行役は精一杯盛り上げようとしてるけど、観客はイマイチ盛り上がりに欠けている。


『赤門からは優勝候補筆頭! “常勝将軍”ケェビーン・グラァァァッドストォォォーン!!』


 ΩΩΩ(\ザワザワザワ/)


『青門からは完全にノーマーク! お前はいったい誰なんだ!? “内臓殺し”カグラバシィィィ・イーヅーゥナァァァ!!』


 ΩΩΩ(\ザワザワザワ/)


 司会進行役のオッサン…… めげないなぁ、仕事とはいえ大変だな、同情するよ。


『そして決勝戦の対戦方式はーー…… えッ!?!? ちょっ!! さすがにコレはッ!!』


 オイまたか、また段取り無視か?

 まぁ何か仕掛けてくるだろうとは思ってたけどさ、あからさま過ぎるだろ。


『えぇっと…… 決勝戦の対戦方式は…… 団体戦です』


 …………


 は? 意味が判らん、ドユコト?


『え~…… ギルベリル王国軍選抜選手5名 vs 反魔力同盟(アンチマギア)5名による団体戦、先に3勝を挙げた方の優勝です……』


「はぁッ!? ちょっと待て!! ウチには10歳児がいるんだぞ!! その子を含めて5人なんだぞ! その10歳児に刃物持たせて軍人と戦えって言うのか!? この祭りの実行委員アタマ大丈夫か!?」


『えーと…… あ、大丈夫! ちゃんと棄権・ギブアップが認められてるから』


「ほぉう? じゃあ棄権しなかったらこの国の兵士は10歳児相手に剣を向けるのか?」


『いや…… だから……それは…… だーーーッ!! お前が棄権させれば済む話だろ!!』


 あ、開き直りやがった、このヤロー……


「クッソー、首脳部は何だってこんな無茶苦茶の対戦方式を…… こんなコトしたらウチの国は周辺諸国から大バッシング喰らうぞ…… 本当にアタマどうかしてる」


 司会進行役がマイク切って愚痴をこぼしてる、観衆に聞こえる声で言えや。

 まぁコイツに文句言ってもしょうがないよな、コイツはあくまでも司会進行役、決定してるのは恐らく国王だ。


『とにかく! 10分後に先鋒戦を始めます! 皆様乞うご期待!!』


 完全に投げやりになってる…… 最悪だ。

 俺達には何の後ろ盾も無いから抗議しても無駄だろうなぁ…… 魔無(マナレス)の意見なんて黙殺されるに決まってる。


 しかし…… マズい事になったぞ。

 これが3対3の団体戦なら俺とベルリネッタで2勝できるから何の問題も無かった。

 しかし5対5の団体戦となると……


 青門に戻るとパーティーメンバーが出迎えてくれる。

 キララはめっちゃ不安そうな顔をしており、ユリアは顔面蒼白だ、シャロはよく判ってないって顔してて、ベルリネッタはいつものポーカーフェイス。


「ご主人様……?」

「う~ん…… 俺とベルリネッタで2勝はできる、問題は3勝目を誰がするか……だ」


「…………ッ!」

「…………」

「?」


「ご……ご主人様…… わ…わたし……」

「キララ?」

「私ムリです、棄権しましょう」


 一瞬やってくれるのかと思った、まぁ……やるワケないか。


「ここまで来て止めろと?」

「そうです! ここはいったん棄権して、彼女を誘拐して逃げましょう! きっとそっちの方が安全です!」

「却下」

「だってムリじゃ~ん!」


 そのプランは俺も考えた、でもそれをやると確実に罪状がプラスされるんだよね……

 小鳥遊シエルは多分この世界で一番有名な魔無(マナレス)だ、ついでに言うと社会的ステータスまで持ってる。

 そんな彼女を誘拐とかしたら今後ずっと逃亡者を続けないといけなくなる。


「イイイイヅナ様、こここここはやっぱりわわわ私が……」

「ユリア…… めっちゃ震えてるけど大丈夫か?」

「だ……大丈夫です! 開始と同時にぶっ放せば! 運が良ければ…… 多分」


 そんな油断はしてくれないと思うけどね。


「おにぃちゃん、お困りならシャロがお役に立ちます♪」

「おぉ、シャロはイイ子だなぁ」


 ナデコナデコ


「えへへぇ~♪」

「だ、駄目です! シャロちゃんを危険な目に会わせるくらいなら私が命に代えてもッ!」

「ユリア、その心意気は立派だが命に代えられちゃ困る、だいたい身代わりになったところで勝利できなきゃ次はキララかシャロに順番が回るだけだから」

「ぁぅ……」


 う~ん…… そうだな、いっそキララとユリアを棄権させて闘技場の外に出す、その後エアバイクで上空に待機させてシャロの試合をそこから狙撃させるってのはどうだ?

 あ、ダメか…… 闘技場には結界が張られていたんだった。

 たぶん簡単に破れるだろうけど、破れたらバレるよな……


 じゃあ試合開始直後に壁際まで移動してもらってストレージでフォローしてみるか?

 う~~ん…… 不確定要素が多すぎる、これも絶対に安全とは言い切れない……


 う~~~ん…… どこかにプロ軍人を簡単に屠れる余剰戦力があれば……


「へっへっへっ」

「…………」


 あ、あった。



―――


――




『皆様大変長らくお待たせいたしました! 第120回剣聖祭! 決勝団体戦を始めたいと思います!!!!』


 ΩΩΩ(\ウォォーーー!/)


 おや? 本物の歓声? SEじゃ無いな。


『先鋒前へ!!』


 今更だけどさ、将軍様って絶対個人で登録してたよな? 団体戦のメンバーどこから引っ張ってきたんだろう?


『ギルベリル王国第一軍選抜隊! 先鋒! “常勝将軍”ケェビーン・グラァァァッドストォォォーン!!』


 選抜隊だって、ここぞとばかりに使える中で最強の手駒を出してきやがった。

 そしてその肝心の常勝将軍様は大盾を持っている…… 剣は?


反魔力同盟(アンチマギア)! 先鋒! “内臓殺し”カグラバシィィィ・イーヅーゥナァァァ!!』


 もちろん先鋒は俺だ、なにせ3連勝しなきゃいけないからな、大将になってふんぞり返ってるワケにはいかん。


『奇しくも本来の……じゃなくて、ここまで全勝同士の対決だぁー! 双方最強の剣士を先鋒に持ってきたぁぁぁ!! この試合が実質的な決勝戦と言ってもいいでしょう!!』


 あ~あ、言っちゃったよ、あの司会進行ちょくちょく失言するな。


『それでは決勝・先鋒戦…… レディ……ファイッ!!!!』


 戦闘開始、しかし相手は動かない……

 まずはトークバトルがお望みかな?


「しかし意外だったな、将軍は5番目(大将)になると思ってたんだが……」

「ちょっとした推理だ、どうせすでに敗北が確定しているのなら、お前は先鋒で出て盛大に憂さ晴らしをするだろうと読んだ」


 推理は大外れだけど、俺の性格は完璧に読まれたな。

 確かに理不尽な負け試合をセッティングされたら憂さ晴らしするだろう。

 その時はゲロ吐かせるなんて生易しいモノじゃない、ウ〇コ漏らさせるね。


「選抜隊は全員俺の部下だ、内臓を殺されては仕事に支障をきたすからな」

「なるほど…… 随分と部下思いなコトで……」

「そして…… 俺ならお前と有利に戦えるだろうからな」

「は?」



 ボゥッ!



 将軍の左掌から特大の火球が現れる。

 また魔法か、剣を使え剣を!


「おい、剣はどうした? 持ってないと反則負けだろ?」

「何を言ってる? コレは剣だぞ」

「は?」


 どう見ても盾だろ?


「フチの部分に刃が付いている盾として使える剣だ」


 いや、どう見てもフチが鋭利なだけの盾だろ? 剣って一体何なんだろうな?

 もう何でもアリじゃねーか、こんなのタダの屁理屈だろ。


「お前と戦う上で最も大事なことは接近戦を避けるコトだ」

「準決勝見てなかったのかよ? お前をハチの巣にすることだってできるんだぞ?」

「それは無理だ」

「あ?」

「準決勝で使われた武器は全て城下町の武器屋アーミテージで販売されたものだ、先日その武器屋で剣を大量に購入していった二人組が目撃されている。

 その二人が購入したのは剣ばかり101本、1本は今お前が腰に差しているのと同じ刀だったそうだ。

 そして魔導人形は99体…… お前の武器庫には後どれだけの剣が残っている?」


 ぐはっ!? ストーカーかよ!!

 この短時間によくそれだけ調べたな…… 王国がガチで総力上げてやがる。


 残念ながら将軍様の指摘は正解だ、《慢心王のオモチャ箱(ゲート・オブ・アーセナル)》の残弾数は残り1、確かにハチの巣にはできないな……

 《報復棘山田(モーニングスターショット)》じゃ当たらないだろう、あれじゃ速度が足りな過ぎる。


 なるほど…… どうやら完璧な対カグラバシ・イヅナ対策をしてきたみたいだ。






《特別解説》

『余剰戦力』

 余っている人員。例えるならレギュラー選手に見劣りしない補欠、そいつ以外の補欠の存在意味はほぼない。


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