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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 炭鉱族/ドワーフ編 ――
71/175

第71話「刃物をレロ~って舐めるヤツ」


 異世界生活23日目……


 今日は剣術大会・剣聖祭の予選当日。

 昨日出場登録して今日の大会に出れるって日本じゃあり得ないよな? 多分だけどこの大会って飛び込み参加もできたぜ。


 朝っぱらからわざわざ迎えに来てくれた勇者パーティーと大会が行われる闘技場へとやって来た。

 スゴイ熱気だ…… そして思っていた以上に人が多い。


「あぁ、やっぱりね……」


 辺りを窺ってたヴェラ嬢が何かに気付いたようだ。


「どーした?」

「おい! それは俺のセリフだ!」


 勇者が五月蝿い…… 誰が聞いたって一緒じゃねーか。


「それでヴェラ、どうしたんだ?」

「あそこの黒い鎧の大男、ギルベリル王国最強の第一軍将軍ケビン・グラッドストーンよ。

 あっちの白い鎧は第二軍将軍のデビッド・バゲッド、隣の顔を隠してるのは親衛隊長のジョシュワ・ターナー」


 …………


「あっちの軍服着てる集団はエルエネミス剣術学院の教師で師範代のマイク・ディオンとエルエネミス流の高弟たち、色違いの軍服は恐らく学院の成績上位者ね」


 …………


「あそこの二刀流の剣士は前回優勝者エドワード・ノーリス、あっちいるのは準優勝の剣闘犬マット・スパルタン」


 やっぱりか……


「どーしても《剣聖の英雄》最後の直弟子を手放したくないみたいだな、自国の関係者を大量投入するとは……

 だったらこんな所有権が余所へ移る可能性のある大会なんか開かなければいいじゃないか」

「そういうワケにもいかないのよ、この世界ではすでに100年も魔王軍との戦争が続いている、剣聖の最後の直弟子をギルベリル王国で独占し続けると他国から圧力をかけられる。

 なにせ現在の奴隷法では完全な違法行為を繰り返してるんだからね」


 だから最低限の公平性を保つために所有権獲得チャンスを公開してる……ってワケか。


 「聖皇教会」の勇者に「盤面議会」の英雄候補、「剣王評議会」の剣王に「魔導結社」の魔将、「冒険者ギルド」から極級冒険者……


 他勢力もガチだ……が、ギルベリル王国の情熱には及ばないな。


 …………


 そういえば英雄候補はドコにいる? 人が多すぎて判らないな……

 そもそも一目見て判別がつくのだろうか? スーパーペガサス先輩が金髪ロン毛になってたからなぁ、他の連中もチャラくなってるかもしれん。

 白馬が金髪ロン毛に鼻ピしてたら写メとって指差して笑ってやろう。



『よくぞ集まった選ばれし者たちよ』



 ん? なんか貴賓席に王様っぽい人がいる、見た目はまんまトランプの13って感じだ。

 あ、となりにトランプの12がいる、間違いなくこの国の王と王妃だな。

 だが何というか…… 付け髭付けた子供にしか見えない、もしかして炭鉱族(ドワーフ)……なのか?


「あ、師匠だ……」


 !? 勇者の師匠!? それって……


「あれ王妃じゃないの!?」

「どっちを見てるんだよ、師匠は少女の方だ」


 少女? よく見れば奥に一人黒髪の少女が立っている。

 Yes! Loli☆BBA!! やったぜ!


 炭鉱族(ドワーフ)は大人になっても人間の子供ほどの背丈しかないと言われている、だが年を取れば普通に老けていく。

 だが王様の隣に立つ少女は若い!


 ……と、いうか…… 炭鉱族(ドワーフ)に見えない、この国に来て何人もの炭鉱族(ドワーフ)を見てきたが、大体恰幅がイイというか…… ふくよかというか…… ハッキリ言うと(デブ)って見えるんだ。

 だが彼女の体型は普通だ、今のベルリネッタとほとんど変わらない。

 黒のおかっぱボブのせいで余計に子供っぽく見えるのかもしれない……


「あれで500歳越えてるのか」

「そういえば師匠は昔から姿が変わらないらしいな、不老不死なんじゃないかって言われてたな」


 不老不死って…… そんな魔法みたいな力魔無(マナレス)にあるワケない、むしろマナウイルスに感染してる炭鉱族(ドワーフ)が短命で、純粋な炭鉱族(ドワーフ)耳長族(エルフ)並みの長命種なんじゃないか?

 そう…… 耳長族(エルフ)が貧乳なのもウイルスのせい…… 獣人族(ビスト)が毛皮を脱げないのもウイルスのせい…… 人魚族(マーメイド)が軟骨魚類なのもウイルスのせい…… そして炭鉱族(ドワーフ)の寿命が短いのもウイルスのせい……


 まぁ、あくまでも仮説だ。



『…………そして競い合い己の武勇を示すのだ!』



 あ、やべ、王様が開催宣言してたの全く聞いて無かった。



『ここに第120回・剣聖祭の開催を宣言する!』



 バサァッ!



 闘技場の壁に一斉に垂れ幕が降ろされる、トーナメント表? いや、グループ分けか。

 俺達は……おっといきなり発見、第1グループだ、勇者パーティーは…… 残念、同じグループには無かった。


「お、俺達はドコだ!? お前たちは!? 一緒のグループじゃないよな!? な!?な!? な!?な!?な!?」


 うっせーぞ勇者、まず自分のグループを自分で探せや。


反魔力同盟(アンチマギア)は第1グループ、私たちは第8グループ、少なくとも予選で戦うコトはありませんね」

「ほ…… よ、よかった、これで予選敗退しないで済む……」


 それはどうかな? 優勝候補が無名に負けるのはよくあるコトだぜ? 主に漫画では……


「あ~…… ねぇねぇご主人様」

「どうした? キララ」

「私たちのグループ酷いコトになってるよ」

「はぁ?」


 改めてグループ分けを見てみる…… あぁ、なるほど、コレはヒドイ。

 第1グループに剣王と魔将、それに親衛隊長までいる。


「あはは、まるで死の組だね」


 まったくだ、まるでブラジルとイングランドとアルゼンチンが日本と同じ組にいるようなものだ。

 もうお通夜だよなぁ、4年後に頑張りましょう。


 だが俺たちは未知のテクノロジーでガッチガチに強化されたインビンシブル・ジャパン枠だ、ステータスの桁が違う、むしろ相手に同情するね。

 迷わず成仏してくれ。



―――



 第1グループ・試合会場


「それでご主人様これからどうするの? 何度も言うけどキララちゃんは非暴力主義者だからね?」


 キララって一応奴隷なんだよね?

 にも拘らずこの我儘っぷり、よそのご主人様だったら今ごろ亀甲縛りされて大人のお仕置き受けてたところだぞ?


「どのみち冒険者資格のないキララとシャロは試合に出れないだろ?」

「ほ、よかった、それ聞いて安心♪」

「え~、シャロおにぃちゃんのお役に立ちたいよ」


 あぁ、シャロはいい子だなぁ…… どこぞの奴隷娘にシャロの鱗の隙間の垢を煎じて飲ませたい。


「いいんだよシャロちゃん、今日はご主人様のカッコイイところを見る日なんだよ、シャロちゃんも見たいでしょ?」

「おにぃちゃんのカッコイイところ? ………… 見たい!」


 うっ! そんなキラキラした目で見られると、おにぃちゃん頑張らざるを得ないじゃん。

 キララめ…… 小賢しい真似を。

 まぁいい、元々俺がメインでやるつもりだったしな。


「ストレージ」


 亜空間から一本の刀を取り出す。


「おぉ! 上泉伊勢守レプリカ?」

「あぁ、昨日買ってきた、一応刃物を持ってないといけないルールだからな」


 さすがに剣聖に所縁のある街だけあって武器屋の刀剣類の品揃えがよかった。

 高品質のモノは高すぎるから除外したが、お手頃価格の武器を大量に買い込んでストレージにぶち込んで保存してある。


 ちなみにベルリネッタとユリアにはカッターナイフを持たせた、刃を出さなければ安全に持ち運べるからな。

 これは文房具店で買ってきた。


「なんか…… 物凄い格差を感じるんですが……」


 日本刀とカッターナイフ…… 値段も1000倍くらい違うからな。

 だが分かって欲しい、基本性能ポンコツのユリアに刃物を持たせるのは危険な気がするんだ、すぐ指とか切りそうで怖い。


「もともとユリアを試合に出すつもりはない、一応選手登録されてるから念のため持ってもらってるだけだ」

「そ……そうなんですね、少しだけ覚悟してたんですが……」

「俺はユリアに危険なコトなんてさせたくないんだ」

「う……/// あ……ありがとうございます///」


 だってユリアに激しい運動させたらポロリしそうなんだもん、こんな公衆の面前でダイヤモンド富士を晒すつもりはない、アレは俺だけのモノだ、他の奴らは雲を被った富士山を拝んどけ。


 あ、もちろんベルリネッタも試合に出す気は無い、ベルリネッタは何かあった時のための切り札だ。

 この手の大会は乱入者によって強制打ち切りになるコトが稀にある、スポ〇ビッチとか、そんな時のためにカードを残しておくのさ。

 まぁそんな機会はないと思うけど……


 さて…… 試合の方なんだが既に始まっている。

 代表者が一人ずつ全部で8つある武闘台でそれぞれ対戦している。


 予選は総当たり方式…… なんだけど、実際は半分以上が勝ち抜き戦だ。

 そもそも刃物を持って戦うのに総当たり戦なんかやってられるか、ダメージを負えば次の試合に影響出まくりだ。

 一応治癒術師も控えているが、一回の治療で高卒初任給くらいの額が必要らしくソロ参加者はギリギリまで我慢してるみたいだ。


 なるほど、団体登録の方が有利なのは確かだな。


 ただ中には大した傷じゃなくても治癒術を受ける奴がそこそこいる、あれきっとこの国の関係者だ、治癒代金が税金から出てるヤツ…… ズルい。



「次、狂気の牙(マッドネスファング)代表 対 反魔力同盟(アンチマギア)代表、前へ!」


 おっと出番だ、しかし対戦相手が凶器の牙(マッドネスファング)って……

 きっと刃物をレロ~って舐めるヤツだな。


「両者見合って…… 始め(ファイッ)!!」



 カーン!



 戦いのゴングが鳴らされた。


「まさかいきなりお前と当たるとはな」

「あん?」

「先日の借りを返させてもらうぜ!」

「…………?」


 あ、一昨日の不衛生な冒険者。


「今日は助けはこないぜ?」

「…………」

「知ってるか? この大会は相手を死なせても罪に問われないと」

「…………」

「死にたくなければすぐにギブアップするんだな」

「…………」


 舐めろやッ!!

 その何かの血がこびり付いた不衛生な剣を舐めろや!!

 判ってる…… そんなバッチイの舐めたら腹壊すだろう、だが狂気の牙(マッドネスファング)ならレロ~って舐めろやッ!!


「てめぇ何とか言ったらどうなんだ!」

「あ~…… 口臭がここまで届くから喋らないでくれる? (くっさ)い」

「ほ……ほぉう、いい度胸だ…… 死んでも知らねーからな?」ピクピク


 凶器を舐めない狂気の牙なんて存在価値ナシ。


「テメーをヤッた後にテメーの仲間は俺たちが有効活用してやるよ!」

「あ?」

人魚族(マーメイド)人間族(ヒウマ)は奴隷商に売り払って、耳長族(エルフ)獣人族(ビスト)は楽しんだ後に売り払ってやるよ!」


 俺の大事な嫁候補たちを? 俺だってまだ楽しんでないのに俺より先に楽しむだと?

 万死に値する!


「テメーは両手両足を切り落とした後、オスセン伯爵に売り払って死んだ方がマシな目に会わせてやる!」


 オスセン伯爵? 何かどこかで聞いた気が…… オスセン…… おすせん…… ♂専……

 !! アヴァロニアの変態貴族か!! コンラッド騎士長が俺を売りつけようとしてた販売先候補!

 まさか再びその名を聞く日がこようとは…… なんでどいつもこいつも俺を男に売りつけようとするんだ?

 嫌な記憶を思い出させやがって……


「そこでお前は……ッ」



 ズドオオオォォォーーーン!!!!



「クセーから喋るなって言っただろ」


 あり得ない未来予想図を語る不衛生な冒険者の腹に思いっ切り蹴りを入れた。

 当然男は武闘台の外まで勢いよく吹っ飛んでいった。


 内臓が破裂してるかもしれないけど、治癒術師がいるし大丈夫だろう。


「しゅ……終了! 勝者、反魔力同盟(アンチマギア)カグラバシ・イヅナ!」


 よし、取り合えず予選第一試合突破だ。

 あ、剣使ってねーや…… ま、いいか、剣を持っていれば魔法で戦っても良いユル祭だからな。






《特別解説》

『ダイヤモンド富士』

 富士山頂と太陽が重なる時ダイヤモンドのように輝く現象、その美しい姿は地上波で乳首が出てしまった時それを隠す謎の光のような神々しさがある……


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