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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 炭鉱族/ドワーフ編 ――
69/175

第69話「憤死して惨死して死屍累々」


「イヅナ様、試験の詳細聞いてきました」

「ほ~ん……」

「あの…… なんでそんな死んだ魚の目みたいになってるんですか?」

「あ~…… いや~…… うん……」


 保護対象がお年寄りと聞いてモチベーション駄々下がり中。

 老人介護って生半可な覚悟じゃできないだろ? ウチはじーちゃんばーちゃん同居じゃないし考えたコトも無かった、それでもやらないワケにはいかないんだけどさ……


「ご主人様のモチベが目に見えて低下してる、そんなに若い子が好きか?」

「いや、そんなことは無いぞ?」


 よくよく考えてみたらウチのパーティーってみんな年上なんだよな。

 ユリアはアラサーだし、キララだって精神年齢は30超えてるだろ? シャロは220年眠ってたしベルリネッタに至っては1000歳オーバーだ。

 つまり何が云いたいかと言うと…… 大事なのは年齢じゃなく見た目だってコト。

 見た目さえ若ければ実年齢なんて些細なことだ、ロリBBA? のじゃロリ? 結構なコトじゃないか。

 うん、キライじゃない、敢えて他人には言わないけれど…… 合法ロリとか好きか嫌いかで言えば好きの部類に入る。


 でも建前って大事だよね?


「老い先短いであろう魔無(マナレス)を救うコトに異論はない」


 待てよ? そういえば治療用ナノマシンにはアンチエイジング効果があったんだっけ?

 もちろん限界はあるだろうがある程度は若返らせることができるかも知れない。

 過度な期待はできないがこの材料で無理やりモチベーションを上げていくか。


 ロリBBA…… のじゃロリ……

 ロリB…… のじゃロ……

 ロリ…… のじゃ……

 ロ…… の……


 …………よし! 自己暗示完了!

 保護対象は合法ロリだ! ふふ…… 救い出すのが楽しみになってきたぜ?


「ふぅ…… よし! ユリア、試験内容を聞かせてくれ」

「あ、はい、え~とですね……」



――――――――――――――――――


 上級・討伐依頼


 『ワイバーン討伐』


 ラルウ峠に住み着いたワイバーンを

 討伐してください


 依頼者:商業ギルド

 報 酬:20万ディル

    :ワイバーンの毒針


――――――――――――――――――



「ワイバーンってこの間倒したじゃん」

「えぇ、残念ながら管轄外で証拠が無いからと認められませんでした」


 融通利かねーな、だがワイバーンなら簡単に倒せる、下手に高難易度の課題を出されることに比べればラッキーと言えるか。


「それで採取の方はこれです」



――――――――――――――――――


 上級・採取依頼


 『マンドラゴラ採取』


 上級魔法薬素材マンドラゴラを

 採取してください。


 依頼者:ドラッグストア・マーシー

 報 酬:5万ディル

    :マンドラゴラのすね毛


――――――――――――――――――



 マンドラゴラのすね毛…… そんなもの貰ってどうしろというのだ? もしかしてそれが魔法薬の素材? ありがたさ-100、すね毛が浮いてる薬とか某社製ワクチンかよ。

 いや、それ以前に……


「マンドラゴラってアレだろ? 引き抜くときに大絶叫して聞いた人間が死ぬってヤツ」

「イヅナ様、よくご存じですね? でも死にはしませんよ、全身が痺れて動けなくなる程度です」


 それはそれで周囲の状況によってはかなり危険な採取になる……普通ならな。

 ぶっちゃけストレージにinしてやれば叫ぶ暇もなく収穫できる、つまりこの依頼も楽勝ってコトだ。


「この二つの依頼、現場が逆方向の場所なので二手に分かれた方がイイと思います。ラルウ峠は結構遠いみたいですし」

「二手に分かれる?」


 反魔力同盟(アンチマギア)には戦闘員は3人しかいない、キララとシャロは冒険者ですらないからな。

 この場合、ストレージ持ちは分かれるべきだろう、つまり俺はベルリネッタと別行動しなければならない。


 …………


 別にこの程度の依頼、不安を感じる程のモノでもないのだが……

 マンドラゴラの方が危険は少ないかな? どっちも大して変わらないか?

 いや違うな…… ここは男らしく危険度の高い方を選んで女の子たちを甘やかすんだ、そして余裕のある時に少しずつ好感度という名の貯金を増やしていくんだ。


 俺は堅実な男。

 ギャンブルじみたポイント稼ぎはしないぜ!

 どうせどっちを選んでも大した危険は無いんだからね。


「マスターとシャロが採取…… ユリアリーデとキララと私が討伐…… これが最適解」

「あ……うん」


 ウチの相談役(ベルリネッタ)がベストな答えを導き出してくれた……

 超射程攻撃持ちのユリアと、長距離移動の運転手役のキララ、不測の事態に備えて無敵の戦闘要員ベルリネッタ……

 確かに最適解だ、反論を指し挟む余地なし。


 …………ま、いっか、貯金は来月辺りから始めれば。



―――


――




 異世界生活22日目……


 今日は楽しい楽しいシャロとのデートだ。

 事前準備もバッチリだ、デートスポットまでの地図データもスマホに転送済み。


 都市壁を出たら西へ、上級の魔物がわんさか蔓延る通称「憤死の森」を抜けて――

 象レベルの大きな動物すら捕食する巨大蜘蛛のテリトリー「惨死の谷」を越え――

 足を踏み入れた者は二度とは戻れない「死屍の沼」へと至る――


 憤死して惨死して死屍累々って感じだ、ナニこの「死」のオンパレード? どんだけ殺したいの?

 この地名を付けた奴に小一時間ほど説教かましたい。


 さらに街の西側には時折り魔王軍の魔物が現れることが有るとか無いとか……

 ホントに採取の方が安全なの? 地名を見る限りこの道の先は地獄に通じてる気がする……


 噂のマンドラゴラは死屍の沼の高台にある古代の処刑場跡地に自生しているそうだ。

 デートスポットというより心霊スポットだな。


 街の北門で討伐チームと別れる。

 ちなみに採取ポイントまで片道20kmほど…… 徒歩で往復するのはしんどい距離だ、パワードスーツが無ければ10分でリタイアして引き返していたところだ。

 今更だがキララはこっちに来るべきだったんじゃないだろうか? せめてチャリが欲しい……


「おにぃちゃん、歩いてくの~?」

「あぁ、残念ながらな、こんなコトなら原付免許取りに行けばよかった」

「ゲンツキ?」

「要するに俺の運転できる乗り物が無いんだ」


 何かないのかね? 免許がなくても乗れる乗り物…… ルンバくらいしか思いつかん、アレは乗り物じゃないけど。


「じゃあおにぃちゃんも一緒にハヤタローに乗ろ♪」

「え?」


 早太郎は確かに大きい、しかしニケツは厳しくないか?


「ん~、おにぃちゃん抱っこして」

「よろこんで」


 シャロをお姫様抱っこしてやる、あぁ、軽いなぁ……


「それでおにぃちゃんがハヤタローに乗るの♪」

「う~ん…… 乗れるか?」


 軽いシャロ一人なら問題ないけど、俺が乗ったら背骨が折れ…… って、折れるワケねーじゃん。

 早太郎は見た目は犬でも中身はAI●Oより頑丈なロボットだ、こんなトコロにあったのか、免許なしでも乗れる原動機付きの乗り物!


「早太郎、乗っても大丈夫か?」

「オン」


 …………


 どっち? 乗っていいの? ダメなの? 逃げないトコロを見ると強度の問題は無さそうだ。

 それじゃ失礼しま~す。



 モフッ



 うぉぉぉぉ! なんだこの乗り心地? モッフモフだ!

 俺は痔主じゃないけど、肛門に爆弾を抱えてる人でも安心して座れるぜコレ!


「ハヤタローGO♪」

「オーン」


 シャロの合図で早太郎が走り始めた、結構速い……

 そしてほとんど揺れない、お前のサスペンションどうなってるんだ??

 さらに目的地まで自動で走ってくれる自動運転機能…… 高性能だ、ブツブツ文句を垂れ流すキララ付きエアバイクよりよほど高性能だ。

 ま、あっちは飛べるからどっちの方が便利かは見解の相違だな。


「すごーい♪ ハヤタロー速ーい♪」

「オン!」


 時速は約40km、道が整備されてないし片道一時間ってトコロかな?

 たぶんギアを上げればもっとスピード出るだろうが人が乗ってる時は安全運転でお願いします、事故って異世界転移とか二度とごめんだからな。



「グルォォォ」



 ん? 今なにか唸り声が…… 後ろからか?

 げっ!? 巨大な猪みたいなのが追っかけてくる! 軽自動車くらいあるぞ?

 このままじゃ追いつかれる、仕方ない……


「オン!」

「どーしたのハヤタロー?」



 シュルルルル―――



 !?

 あれ? 早太郎のシッポってこんなに長かったっけ? いや、今も伸び続けてる!?



 ズバッ!! ドドッ!!



 一刀両断……

 早太郎のシッポが振られると巨大猪は真っ二つになった……



 シュルルン



 シッポがいつものモフモフに戻った、コイツ…… 走りながら振り向きもせずに魔物を仕留めやがった、シッポには血の一滴すら付いてない。

 ま……まぁ、コイツはシャロの護衛役を兼ねてるんだ、これくらい出来てくれなきゃ困る、うん。



―――



 その後は順調だった、数回魔物が襲い掛かってきたけど足を止めることなく全て魔/物(スラッシュ)された。

 そしてここは「惨死の谷」……

 至る所でバカでかい蜘蛛が巣を張り獲物を待ち構えている。


 うげっ! あの巣、熊が掛かってるぞ!? このまま突っ込んだら俺たちも同じ運命だ。


「ウォォォ……」


 ? なんだ? 早太郎の顔の前に何か光が……?


「オォン!!」



 ズビィィィーーーッ!!



 …………


 コイツ…… 口からビーム撃ちおった……

 今の一撃でほとんどの巣が焼け落ち巨大蜘蛛は跡形もなく消し飛んだ。


「すご~い! ハヤタローかっこいー!」

「オン」


 カッコイイんだ…… その感性、正直判らん。



―――



 死屍の沼……

 この沼は底なし沼になっていて足を取られると脱出不可能、オマケに毒性まである、あのゲームでお馴染みの毒の沼地ってヤツだ。

 そして沼地の中に「入るな危険」の立て札、中じゃなく手前に設置しろよ。


「と~ちゃ~く♪」

「オン」


 到着したのはいいんだが、例の高台、毒の沼地の真ん中にありやがる、そこへは見るからにボロボロのつり橋を渡らなければ辿り着けない。

 俺には判る、アノつり橋…… 俺達が乗ったら確実に落ちるぜ。

 早太郎は絶対重いよな? 仕方ない、ココは俺一人で行くしかないな。


「オン」



 ダダダッ!



 早太郎が急に沼地目掛けて走り出した。


「ちょっ!? ちょっと待て!!」


 お前は毒無効かも知れないが確実に沈むだろ!


「ワオーーーン」


 大ジャンプ! いや無理無理、絶対届かん!



 キュィィィン ドオオオォォォォーーー!!



 !?!?

 跳ん……飛んだ!? 足の裏から……ロケットエンジン!? お前の肉球どうなってんだ!?

 もはや何でもアリだな……


「ハヤタローすご~い! 飛んでるみたい!」

「オォーン」


 うん、みたいってか飛んでるね。

 ようやくわかった、ベルリネッタが完全別行動を許可した理由。

 このワンコ型ロボット…… 万能だ。



―――



 古代処刑場跡地到着、ようやく俺の出番だ。

 確か葉っぱが20cm以上のモノを収穫するんだよな、4つ……か、一つでイイみたいだけど何かの役に立つかもしれない、全部収穫していこう。


「ストレージ」



 ビッ!



「ん?」


 あれ? 収納できない?

 あ! コイツ魔法生物扱いか!? 植物じゃねーのかよ!

 それじゃ物理的に引っこ抜くしかないのか? あんまりやりたくねーな…… 確か動物に引き抜かせるなんて逸話もあった気がする。

 早太郎にやらせれば何の問題も無いんだけど、それだと今日俺が来た意味が無くなる。


「おにぃちゃん、採らないの?」

「あぁ、待て待て」


 このままだと今日のイイ所ぜんぶ早太郎に持ってかれる、ワンコに負けてなるモノか!

 悲鳴ってコトは空気の振動だ、つまり空気が無ければ音は伝わらない……


「ストレージ、限定空間内の空気を収納、ついでに土も」


 埋まっていたマンドラゴラの周りから土と空気が取り払われた。

 そして完全に真空の空間にマンドラゴラは放り出された。


「…ッ!!?? …ッッッ!!!!」


 人面大根みたいなのが悶絶している…… 聞こえないけど多分悲鳴を上げてるのだろう。

 目や口から大根汁をまき散らしのたうち回ってる…… しかし次第に動かなくなってきた……

 うわ…… めっちゃこっち見てる、そんな目で見るなよ……


「……ッ!!」



 ガク―――



 そして完全に動かなくなった……

 なんか…… すごく残酷な殺し方をした気分だ、植物なのになぁ…… 最後の視線が「恨みます」って言ってるようだった。


「おにぃちゃん…… ちょっと…… 気分悪くなっちゃった……」


 失敗した、シャロに見せるべきではなかった、教育上ヨロシクナイわ。



―――



 その後……


 残りの収穫を早太郎に任せ、俺はシャロをお姫様抱っこして少し離れた。

 マンドラゴラの悲鳴は振動をストレージに収納することで解決した、最初っからこうしておけばよかった……


 神楽橋飯綱、本日のイイ所、ナシ。





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