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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 人魚族/マーメイド 編 ――
58/175

第58話「目覚まし時計のボイスがマニアックすぎる」


「おにぃちゃん 朝だよ 起きて――」


 あ…… 朝か……

 魅惑のささやきが俺の意識を覚醒へと導く……


「もぉ~ 起きてくれなかったら――」


 うん、もう少しこのままで……

 ここからがいい所なんだから……


「おしっこ漏れちゃうよぉ――」


 !?!?


「目覚まし時計のボイスがマニアックすぎるッッッ!!」

「ひゃうっ!?」

「……え? シャロ?」


 今のは? 夢か? 現実か? それとも目覚まし時計か?


「うっ……」プルプル


 目が覚めるとシャロが俺の服の袖をつかんでプルプル震えていた。


「あ……まさか……」

「だ……大丈夫…… でもッ!」

「ッ!? うおおぉぉぉおぉぉぉおッ!!!!」


 シャロをお姫様抱っこしてトイレへダッシュ!!

 多分100m5秒台くらいのスピードが出てたと思う。

 あの時の俺は確実のボ〇ト超えしてた、パワードスーツ様様だな。



―――


――




 そんなワケで異世界生活13日目……

 あさイチから世界の壁に挑むようなハードな1日の始まりだ。

 その甲斐あってギリギリではあったがシャロの尊厳は守られたのだった。


「ぁぅ…… おにぃちゃんゴメンナサイ」

「いや謝らなくていいよ、俺の方こそゴメン、寝ボケてた」


 てっきり目覚まし時計のボイスかと……


「でもトイレに行きたかったんなら早太郎に頼めばよかったのに」

「え? ハヤタロー? そんなコトできるの?」

「おう」


 多分…… いや絶対できる、SF超科学の結晶だからな。


「ハヤタロ~!」

「オン?」

「おいでおいで~」

「ヘッヘッヘッヘッ」


 呼べばやってくる、これはクシャ太郎(※パグ)でもできる。

 早太郎の背中にシャロを乗せてやる、これはクシャ太郎(※パグ)には真似できない。


「えっと、部屋の真ん中まで行って」

「オン!」



 トッ トッ トッ トッ



「オン!」

「おぉ~♪」


 かなり広い展示室のど真ん中辺りにピタリと止まる。


「それじゃおにぃちゃんの所まで戻って」

「オン!」



 トッ トッ トッ トッ



「オン!」

「すご~い! スゴイスゴイ! おりこうさん♪ ハヤタロースゴイ!」

「ヘッヘッヘッヘッ」


 コイツ…… こちらの言葉を正確に理解している!?……って中身ロボットだもんな、当たり前か。

 今日日スマホだってこちらの言葉を理解できるんだ、たまにスゴイ聞き間違いとかするけど……



―――



 朝食は昨日のコメの残りを使ったチャーハン……

 朝からチャーハン…… 俺はアリだと思う。


 もちろん作ったのはキララだ、反魔力同盟(アンチマギア)の料理担当だからね。


「うっ…… おいしい…… わたし天才……」


 この自画自賛である。

 まぁ実際に旨い、素材が悪いにもかかわらずよくこれだけの味を出せたものだ、もし俺が作ったらダークマターになるに決まってるので普通に称賛しておく。


「それでご主人様、今後の予定は決まったの? ココ(●●)過ごしやすいしアヴァロニア大陸に着くまで引きこもってるのもアリだと思うんだけど」


 引きこもる…… なんて心惹かれるワードなんだろう……

 確かにココは空調も完璧で魔物に襲われる心配もない、引きこもるには都合のいい物件だ。

 さらに言うと街に帰れば不要なトラブルに巻き込まれる可能性も増える、勇者とか英雄候補とかetc.とか……

 魔無(マナレス)ってのはトラブルとは切っても切り離せない人種だ、ユリアがスーパーペガサスにロックオンされたみたいにね。


 そうなってくると心配なのはシャロだ。

 多分こどもの人魚族(マーメイド)ってのは世界的にも目撃例がほとんどないメガマウスみたいな超レア個体だろう、なにせ子供は海面近くにこない。

 恐らく反魔力同盟(アンチマギア)の中では奴隷としての予想販売価格が一番高い。

 ちなみに一番安いのは間違いなく俺、男の魔無(マナレス)は激レアだけど需要がほぼ無いからね。

 ヘンタイ貴族くらいにしか……


 だが危険だからと言ってずっと引きこもっているワケにもいかん。

 いくら有機変換機が有るとはいえ食料の調達は必須だ、変換食材は味が本物に劣るし、そもそも変換元の有機物の補給が大前提だ。


 シャロの護衛は早太郎に任せても良いかもしれない、しかし…… あいつちょっとアホ犬っぽいんだよなぁ……

 分かってる! あいつは超科学の産物だ、きっとアホっぽいのも他者の目を欺くための芝居だ……

 ただ…… 俺の目を欺いてどうする? 何か意味あるの?


 ここは限られた人しか入れない絶海の孤島だ、なにかと都合もいいし早太郎の性能テストも兼ねて街へ出てみるべきだ。


 それに……


「シャロに服を買ってあげないとな」


 キララのキャミを肩ひもを詰めて着せているがブカブカだからな。

 何かの拍子にチク☆チラしかねない。


「シャロは貝殻でイイですよ~」

「は? 貝殻?」

「ホタテの貝殻、人魚族(マーメイド)の正装です♪」


 シャロに貝殻ビキニ……


「それは…… シャロがもう少し大きくなってからにしよう」

「?」


 引っ掛かりが無くてそのままストンと落ちる未来しか見えない。



―――



 俺たちは街へ戻ってきた、1日ぶりだ。

 シャロにとっては220年振りになるのかな?


 ここで一つやらかした、誤算その壱。

 この遺跡、基本的に日帰りアタックするのが一般的だそうだ。

 そりゃそうだ、ほとんどの冒険者は第2層に到達できない。さらに手強いゴーレムが昼夜を問わず徘徊している。

 だったら帰るよな、こんな危険地帯でキャンプする奴なんかいるワケない、チョット階段昇れば安全なんだから。


 俺たちが戻らなかったことで大騒ぎが発生……なんてことは無かった。

 なんでも冒険者が遺跡に入ったっきり戻らず行方不明になるコトが割とあるらしい。

 ましてや俺たちはパーティー結成数日の成り上がり非魔法使いパーティーだ、みんな「やっぱりな」とか「あの噂はデマだったんだ」とか思ってたみたいだ。

 捜索隊はおろか心配してる奴すらいなかったそうだ。


 …………


 いや…… 一人だけ心配してくれてた奴がいたみたいだ。

 純粋に心配してたのかどうかは判ったもんじゃないがな……


「素人のくせにいきなりダンジョン泊とか無謀だろ、馬鹿なんじゃねーの?

 この遺跡のゴーレムは推定危険度は最低でも特級以上と言われてるんだぞ、馬鹿としか思えない。

 ちゃんと依頼書の難易度見てるか? 見てたらこんな無謀なコトしないだろ、お前馬鹿だろ」


 半裸勇者が言いたい放題してやがる……

 こっちは無傷で返ってきたんだからそんなコト言われる筋合いねーだろ。


「ったく、これだからトーシロは」


 お前ココの管理人かよ? ナニも迷惑かけてねーだろ、何かムカつくな。


「それにその子なんだよ? 人魚族(マーメイド)だよな? どっから連れてきた?」


 そんなことお前に教えてやる義理はないだろ?


「余所の世界から来たばかりのお前は知らないかもしれないが、この世界では小さな子供を勝手に連れてくるのは「幼児誘拐」っていうれっきとした犯罪なんだぜ?」


 へぇ~、そりゃ勉強になった。


「捕まりたくなかったら拾った場所に今すぐ返してこい」


 捨て犬猫じゃ無いんだから、こんな幼児をそこらに放置したら別の犯罪になりそうだ。


「ハァ、彼女は俺たちが保護したんだよ」

「保護?」

「彼女は魔無(マナレス)だ、他にご質問は?」

「う……」


 この世界で魔無(マナレス)の子供は、捨て子理由のナンバーワンだろう、キララも生後一日で速攻捨てられたからな。

 つまり幼児誘拐ではない。保護だ。


 もっともシャロは捨てられたワケじゃなくココに預けられたっぽいけど、そこまで説明してやる必要は無いな。


「それじゃ我々は急ぐので失礼しま~す」

「あ、おい! どこ行くんだ?」

「物資を補給したらまた遺跡に潜るんですよ」


 やっぱり外に出るとメンドクセーな、アヴァロニア大陸に着くまで引きこもるべきかな?


「あ、そう言えば勇者の魂(ブレイブソウル)は何階層まで行きましたか?」

「あ? フフッ♪ それ聞いちゃう? まぁ自慢じゃないが初日で2層まで行ったな、あと3日あれば3層まで潜れそうだ」


 ホント全然自慢にならないな。


「そうですか、じゃあ頑張ってください」

「おい待て! お前はどうなんだよ?」

「聞きたいんですか?」

「お前から聞いてきたんだろ?」

「24層です」


「…………は?」

「…………24」


 …………


「は……ははは…… そ…そのギャグはつまらない……ぜ?」

「あぁ、信じられないですか」

「信じられるワケないだろッ! 今の最大到達階層は第6層だぞッ!?」

「うんホント、ウソだから、それじゃ」

「え? 嘘なの? 本当なの? おい!」


 一桁かぁ…… こりゃ自力攻略は無理そうだな。

 安心して放っておける。


「ちょっ!待てよぉッ!」



―――



 半裸勇者を振り切ってショッピング再開、ところがここで誤算その弐。

 冷静に考えればわかるコトだったんだが、この街…… 服屋がない。

 わざわざこんな僻地に来て服買うヤツなんていないよね? あるのは防具屋だった。


 シャロにフリフリの可愛い服着せたかったのになぁ…… いっそ素材だけ買ってベルリネッタに作ってもらうか?

 いや、そんな急を要するコトじゃなにのにベルリネッタに夜なべをさせるのはさすがに申し訳ない。

 可愛い服は大陸に渡ってから買えばいい、今はシャロの尾びれを隠せる服を買っておこう。


 さすがに目立ち過ぎるからね。


 …………


 間髪入れずに誤算その参。

 子供用の防具を取り扱ってねぇ! 理由はこの島にやって来る子供なんて……以下略。


 いや、数は少ないが炭鉱族(ドワーフ)用ってのはある、しかしどれも結構重装備系、この世界の炭鉱族(ドワーフ)は俺の中のイメージ通りパワータイプらしい。

 ロングスカートなんて無いから薄手のマントをロングパレオ風に腰に巻いておくか。


 …………悪くない。

 ただ欲を言えばもっとパステル調の可愛い色がよかったな、防具のマントに高望みしすぎか?

 それに尾びれの先は全然隠しきれてない、ピチピチしてるもんな…… 完全に隠しきるならオーダーメイドが必要だな。


「マスター」

「どうした? ベルリネッタ」

「4名ほど…… こちらを監視している者……います」

「ちょっと外に出ただけでこれか……」


 やはり目立つな……

 それはシャロだけじゃない、巨乳エルフやツルツル獣人も、さらに言ってしまえばベルリネッタだって見た目華奢だしみんな美味しそうに見えるんだろうな。

 商品って意味で……


 襲ってきたら容赦なく返り討ちにして力の差を見せつけてやる。






《特別解説》

『メガマウス』

 目撃例が極端に少ない幻の巨大ザメ。口が超大きく目がヤバイ。

 水揚げされるとチョットとろけた感じになる。


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