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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 人魚族/マーメイド 編 ――
54/175

第54話「ダッダッダッダッ」


 異世界生活12日目……


 寝て起きたら英雄候補達への負の感情は割とどうでもいいモノになってた……

 コレは俺の長所でもあり短所でもある。


 良く言えばストレスを溜め込まない性格、悪く言えば非常に飽きっぽい。


 そもそも俺自身がアイツらに何かされたワケじゃない、恨むのは筋違いだ。それなら英雄候補達を貶めて失脚させるよりもその立場を利用する方が建設的だ。

 具体的に言うと日本にいた頃の知識を使って交渉し、英雄候補達から金を引き出す。


 つまり50年くらい働かなくても食っていける資金が欲しい。


 だいたい英雄候補は代償無しにいくらでも金を引っ張ってこれる、これは完全に合法であり彼ら自身は身銭を切るワケでもないので痛みを与える行為でもない。

 ……と、いうワケで白馬に借りパクされたドラクエを10億ディルで買い取らせよう。


「ご主人様ぁ、これからダンジョンアタックするんですよね?」

「あぁ、一応フリだけでもしておかなければな」


 真剣にダンジョン攻略する必要はない、適当に潜って時間を潰し、この島がアヴァロニア大陸に着くのを待ってればいいんだ。

 だいたい姫勇者、半裸勇者、英雄候補スーパーペガサスを筆頭に、何十組もの冒険者パーティーが潜ってるんだ、下手に本気なんか出そうものならベルリネッタの攻撃に巻き込まれて犠牲者が出かねない。


「だったら私、部屋で待っててイイですか?」

「は?」

「わたし戦闘能力ないですし、きっとお邪魔になります……です」


 ご主人様が仕事に行こうってのに奴隷の分際で二度寝する気か? もちろん却下で。


「ご主人様がいれば荷物持ちとか必要ないし……」

「なに? 荷物持ちしたいの? キララは積載量少なそうだけど」

「そうじゃなくって! 非戦闘員がいたら普通にお邪魔にしかなりません……です」

「だからと言ってキララを一人置いてくワケにはいかないだろ?」

「どうして?」

「だってキララは可愛いんだから」

「うっ!?」

「大体キララは自分の身を守る術が無いんだから一人にはできない」


 因みにこれはユリアにも言えることだ。

 彼女には戦闘能力があるけどそれは超長距離戦闘に限られる、敵が10m以内に現れたらアッという間に組み付かれて麻袋に放り込まれて気付いた時には奴隷オークションの目玉商品だ。


「ご主人様はいっつも女の子にそういうコト言ってるんですか?」

「そーゆーコトって?」

「ッ…… 何でもないです」


 安心しろ、俺は女の子に重い荷物を持たせる気は無いぞ? なにせストレージに入れれば重量は無視されるんだからな。



―――


――




 ダークウィード『古代迷宮・ラインフォール遺跡』


「ラインフォール遺跡? ダンジョンじゃないのか?」


 俺たちの目の前にはダンジョンの入り口、階段のついた真四角の穴がある…… 2D時代のドラクエでよく見た下り階段そのものだ。

 やっぱり下る時「ダッダッダッダッ」って音がするのかな?


「ここのダンジョンは通常のモノとは全く異なった造りになってるそうです、炭鉱族(ドワーフ)の地下都市のようにも見えるけど、もっと異質な感じらしいですね」

「ユリア…… 詳しいのか?」

「はい、冒険者ギルドでガイドブックが無料配布されてました、それに書かれていた情報です」


 ガイドブックって観光地か? それなら到達してる階層までの攻略本も出せよ。

 まぁいい、詳しいコトは中に入ってからだな、こうしている間にも他の冒険者が続々とやって来るから。


「それじゃ行くぞ?」

「イエスマスター」

「はい」

「わふ」


 …………


「ダッダッダッダッ」

「ぶふっ!?」


「ど、どうしたんですかイヅナ様? ダダダ?」

「いや…… 音がしなかったから自前でSE入れてみた」


 反応したのはやっぱりキララだけだった、ドラクエやったことあるのかな?

 因みに階段がメチャクチャ長い、高低差は30m以上ありそうだ…… ずっとSE入れるのはめんどくさいしチョットくどい。


「おぉ」

「うわぁ……」

「すご…… 広……」


 そこは異世界特有の光源が無いにも関わらず暗くない地下空間だった。

 幾つもの柱が立ち並び、まるで神殿のようにも見える…… というか、何かどっかで見覚えが……


「あぁ、外郭放水路に似てるな」

「わふ、確かに…… 遥か昔にネットで見た」


 首都圏外郭放水路…… 要するに東京で洪水が起きそうなとき水を流すところだ。

 つまり全然ダンジョンっぽくないんだよ、少なくともこの世界で今まで見てきたダンジョンとは完全に別物だ、なんだこの空間?



 ピッ!



 ん? 今の音はベルリネッタが何か受信した?


「マスター、保護対象の存在…… 確認した」

「え? マヂで?」

「マヂ」


 この島には基本的に定住者はいない。

 というコトは、街の施設の従業員か冒険者が連れてきたってコトになる。

 ダンジョンに入って反応したのなら、ダンジョンの中にいるのだろう……

 つまり考えられる可能性としては、どっかの冒険者パーティーの奴隷ってコトだろう。


 コレは少し厄介だ…… 個人が所有している奴隷を合法的に譲り受けるのは難しい。

 もちろん所有者の奴隷に対する執着度で条件は大きく変わるだろう、今はペガサス先輩のおかげで資金に余裕がある、もしかしたらチョットの金額でアッサリ手放すかもしれない。

 だが例えばだ…… 誰かにキララを譲ってほしいと言われても俺は絶対に譲らない、いくら金を積まれたとしてもだ。


 この場合は少々非合法な手段を取らざるを得ないかもしれない……

 金銭的に追い詰めたり、物理的に追い詰めたり…… 上手くやらないと俺の罪状が増えてしまう。

 だがやらないワケにはいかない。


「ベルリネッタ、案内してくれ」

「イエスマスター」


 相手が借金持ちかモンスターに襲われて絶体絶命のピンチの場面に出くわすことを祈るしかないな。



―――



 20分ほど黙々と歩く……

 無駄に広いだけあってなかなかモンスターにも、他の冒険者パーティーにも出くわさない。



 ガキン!


   キン!



「お? 戦闘音?」


 ようやく初エンカウント。

 いや、他の冒険者パーティーが戦ってるなら第一モンスター発見ってトコロか。


 戦っていたのは…… 男ばかりの5人組パーティー、むさ苦しいコトこの上ない。

 戦っている相手は…… コンパクトカーくらいのサイズがある4本足の…… え~と…… ナニ?アレ?


「ゴーレムですね、この遺跡にはああいったゴーレム種しか出ないことで有名らしいです」


 ユリアがガイドブックの紹介文丸パクリで教えてくれた。

 アレがゴーレム? 何というか…… メカメカしいというかロボロボしいというか…… 俺のイメージにあるレンガを組み上げて作りましたって感じのゴーレムじゃない。

 ちょっと虫っぽくも見える。


「マスター…… 行こ」

「お……おう」


 他のパーティーが戦っているならわざわざちょっかい出す理由はない、ピンチだってんならともかく、そんなコトしてもトラブルの元だ。



― 約10分後 ―


「うわぁぁぁーーー!!」

「ひぃーーー!!」

「逃げろぉーーー!!」


 別のパーティーの戦闘場面に遭遇…… いや、逃走場面だな。

 追いかけているのは……



 ズシン! ズシン!


   ズシン! ズシン!



 5mくらいある二足歩行のナニか。

 腕が無くって頭も無い…… 例えるならそう、恐怖!機動ビグ●ザムって感じだ。

 本物と比べたらサイズはミニチュアだけど、実際に生身で対峙したら圧が凄そうだ。


「マスター…… 行こ」

「あ……あぁ」


 色々と思うところはあるが、まぁいい進もう。



― さらに10分後 ―


「イ……イヅナ様ッ」

「ご主人様ぁ~ッ」

「…………」



 フィィィーーー



 遠くから謎の物体がこちらに向かって一直線にやってくる、腕は6本、阿修羅像の様なポージングをしているが下半身は無い。

 完全に浮遊している…… 今度こそ戦闘は避けられない。


 ……って普通なら思うところなんだが。



 フィィィーーー



「え?」

「わふっ??」

「…………」


 上半身・阿修羅像ゴーレムは俺たちの真上を何もせずに通過していった。

 完全に無視された、俺たちの存在に気付いて無いかのように……


「マスター…… 行こ」

「あ~……うん」


 まぁ…… だと思ったよ。



― さらに10分後 ―


 巨大な柱が見えてきた、他の柱は直径10mくらいなのに対し、正面に見える柱は直径50mくらいはありそうだ。

 恐らくこの施設のメインシャフト……

 そしてそんな柱を守るかのように2体の巨大な人型ゴーレムが立ち塞がっている、ジャンプしたら天井に頭がめり込みそうなくらいデカい。


 ただなぁ…… ゴーレムというよりロボットにしか見えない。

 片方はナゼかトリコロールカラーをしてるから、より一層ロボットに見える、いや、スーツと言うべきか?

 因みにもう片方は微妙なピンク色だ、きっとあの色の塗料が余ってたんだろう、他のゴーレムより3倍速そうだ。


「マスター…… 行こ」

「お~ぅ」


「えっ!? ちょっ!? ちょっと待ってくださいッ!!」

「無理無理無理ッ!! 人間がモビル〇ーツに勝てるワケないでしょッ!!」


 おいモビル〇ーツ言うな! 人がせっかくボヤかしてたってのに……


「別に心配しなくていいと思うぞ? ここのゴーレム俺たちの敵じゃないし」

「え?」


 余裕で対処できるって意味じゃない、文字通りの意味で敵じゃないから。


『…………』

『…………』


 ガ〇ダムとシャ〇ザクは予想通り全く反応を示さない。

 ここまで無視されると少し悲しくなるな。


「あれ? 動かないですね? 壊れてるんでしょうか?」

「ファースト的なカラーリングね、個人的には自由とか正義の方が詳しいんだけど」


 キララはアナザー世代か…… つかガッツリオタクだったみたいだな。



 ピ ピ ピ ピーーー



「承認完了…… ロック解除」


 巨大な柱の一部が音もなく開いた。

 内部は行き止まり、何もない部屋だがこれは大型貨物運搬用エレベーターだ、多分このフロアを徘徊しているゴーレムは全部ここから出てきたんだ。


 それよりこの切れ目も一切ない壁面に突然開く扉…… つい最近同じようなモノを見た。

 そう…… プレアデスでだ。


 正直、遺跡に入ったあたりからそんな予感がしてた。

 ダンジョン内部のインテリアがあまりにも剣と魔法の異世界に相応しくない。

 古代遺跡なんていうから一縷の望みに期待してたんだが…… やっぱり違ったな。


 この島…… ベルリネッタと出自を同じくする宇宙船の一部だ。






《特別解説》

『SE』

 サウンドエフェクトの略。効果音。

 「ダッダッダッダッ」は階段の昇り降りだけじゃなく城や町や洞窟の出入りでも聞こえてくる。

 やたら耳に残る。


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