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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 人魚族/マーメイド 編 ――
52/175

第52話「2位勇者」


 ヒュン ヒュン ヒュン  ズシン―――


 ダークウィードに着陸。

 アッという間の空の旅だった……

 こんなコトならもっと景色を楽しむべきだった、なんで俺はパンツ一丁の勇者なんか見てたんだろう? 人生の無駄遣いだった。


「ここがダークウィード……」


 上陸……したのはいいが、どう見ても普通の島だ、ホントに動いてるのかコレ?

 小さな山がいくつもあるし、小川も流れてる。

 だが最近は砂ばっかり見てたから緑の風景ってのは新鮮だ。


「やあナタリア、フランチェスカ、ヴェラ、ひさしぶり」

「?」


 ロウビングの方から一人近づいてくる……

 王宮戦士みたいなピンク色の鎧を着てるぞ? スゲーセンスだな……

 ……と、いうか…… 女?


「ご無沙汰しております、モニカ様」

「そんなに畏まらないでよ」


 三人娘は片膝をついて頭を垂れた、彼女…… 噂の第2位勇者だよね?

 髪はブロンド、目はブルー、左のほっぺたに筆記体のPの様な文様が書かれている。


 順位が一つ上なだけでそこまで敬意を払わないといけない相手なの?

 勇者業界の格差ってヤツは日本の格差社会よりも厳しそうだ。


「そんな姿勢取らないで、ほら立って立って」

「はい、失礼します」


 割とフレンドリーだな、これも上位勇者の余裕か。


「第2位勇者って女性だったんだ」

「ちょっと! あの方に絶対無礼な態度取らないでよ!? シウ殿にしたようなのは言語道断だからね!」


 ヴェラ嬢に睨まれた…… 確かに一回やらかしてるしなオレ……


「割と話通じそうな人だけど? キミ等んとこのルーファスよりも……何というか……余裕を感じる」

「そういう問題じゃないのよ、あの方はモニカ・モニーク・バレンティア様、バレンティア王国の第一王女様なのよ」

「!?!? 王女!? 姫騎士!?」

「騎士じゃなくて勇者よ」


 あ、はい、謎のジョブ姫騎士ではなく姫勇者か。


「頬に浮き出ている紋章は「勇紋」と呼ばれるもので勇者に選ばれた方に浮き出る証みたいなモノよ」


 あぁ、アレってファッションで描いてるモノじゃ無いんだ。


「因みにだけど……」

「ん?」

「ウチのルーファスも公爵家の3男なんだけどね」

「は?」


 あのすぐ脱ぎたがる男が!? 公爵家!? ガチの上級国民!?

 ウソだ~! 数分前にパンツ一丁だった男だぜ?


「ところでルーファスは? 来てるんだよね?」

「少々準備に手間取ってるようです」


 モニカ姫は何故かこの場に居ないルーファスを探している。何故かっていうか多分鎧を付けるのに手間取ってるんだな。

 着付けが面倒なのにナゼ脱いだ?


「いや~、わるいわるい、待たせたな」


 と、ここで最下位勇者ルーファス登場。


「あ、ルーファスひさしぶり~」

「………… は!? モモ姉!? え!? なんでココに!?」

「私にも聖皇教会から依頼が来たのよ~、今回はかなり気合入れてるみたいね」

「あ…… はい、そうみたいですね……」


 勇者ルーファスが急に大人しくなった、いつも無駄に元気だったのになぁ……

 そう言えば二人は家名も同じだな、多分親戚なんだろう。


 …………と、いうコトは……

 モニカ姫もバレンティア家伝統の一発芸「荘厳美麗」を習得しているのだろうか?

 頼めばやってくれるかな?


 …………う~ん冗談じゃ済まなそうだし止めておこう、そもそも王族とお知り合いになったところでトラブルの元にしかならない。

 ここは静かに、迅速に離脱するべきだな。


「それじゃヴェラ嬢、俺たちはコレで……」

「え? ちょっ!?」


 姫勇者の関心が半裸勇者に向いてるうちに離脱を試みる。


「そっちの人たちも有名な冒険者パーティーなのかな?」


 ぐはっ! 興味を持たれてしまった!


「えぇ、彼らはあの難攻不落の『第49守護魔獣討伐』を成功させたパーティー《反魔力同盟(アンチマギア)》です」


 ちょっ!? ヴェラ嬢!! 余計なことをッ!! 個人情報保護法!!


「まぁ! あの10年も誰も突破できなかった守護魔獣を?」

「いえ…… たまたまです、運が良かっただけです」

「たまたまであんなことできるハズないでしょ? それにそれだけじゃないです、彼カグラバシ・イヅナは《魔男爵》ギデオンと互角以上に戦えます」


 ちょおぉぉぉーーー!?!? ヴェラ嬢ぉーーーッ!?!?


「は? 《魔男爵》ギデオン?? ナニその話?? 聞いて無いけど??」

「3日前のコトです、ユグドラシルは数万の魔物の大群に襲われました」

「え…… その…… アナタたちがここにいるってコトは…… ユグドラシルは……無事なのよね?」

「はい…… ただギデオンがどうなったのかは未だ調査中ですので」


 ほ…… どうやら魔人貴族殺害事件の真相はバレてないらしい。

 そりゃそうだよな、惑星を破壊できる兵器で跡形もなく消し飛んだなんて誰も思わない。


「それじゃ彼が《魔男爵》ギデオンを倒したの??」

「いえ、それは……」


 事の真相は俺とベルリネッタ以外誰にも判らない、しかし現場にいた以上重要参考人であることは間違いない。

 やはり早急にこの場を離れるべきだ、でなきゃせめて話題くらいは変えたい。

 しかし提供できる話題など持ち合わせていない…… 貴族殺害を上回るインパクトがないと意味ないし……



 ゴ……ゴ……ゴ……

  ゴ……ゴ……ゴ……



「ん? 地鳴り?」


 イベントの予感! これで話題を逸らせる!

 魔王軍襲来以外でお願いします!


「わふっ! ご主人様、なんかスゴイの来た!」

「スゴイの? お……おぉ!」


 遠くの空からこちらへ一直線で向かってくる空船、今まで見てきた空船の中でもダントツで一番大きい。

 それだけじゃない、真っ白な船体には至る所に豪華な装飾が施されている、ちょっと過剰なほどに……

 まるで王族専用って感じだ…… いったい誰が乗ってるんだ? デザインセンスから魔王の船って可能性は低いだろうけど……


「…………」

「…………」

「…………」


「?」


 なんか勇者関係者全員が険しい表情で巨大空船を見ている。

 マジで魔王の船じゃねーだろーな?

 こんな時話を聞く相手はヴェラしかいない。


「知り合いの船……か?」

「アナタが知らないのもムリは無いけど…… アレは超大型特務船・アルゴノゥティカ号よ」

「アルゴノゥティカ?」

「『英雄の船』……なんて呼ばれることもあるわね」


 英雄の船(アルゴノゥティカ)ねぇ?

 …………ん? 英雄の船?


「現在この世界には真の英雄は一人も存在していない、だったらあの船に乗ってる可能性があるのは英雄候補だけよ」


 なにぃ!! ヤバイ!! いやヤバくは無いか??

 今この世界にいる英雄候補ってあの時の5人だろ?

 即ち「白馬」と「センセー」と「チャラ男」と「陰険生徒会長」と「天然魔法使い」!


 俺のコトがどのように奴らに伝わってるか判らないが、下手をすれば殺人容疑を掛けられてる可能性がある!

 相手が白馬なら言いくるめる自信はあるが、他の奴だと俺の話なんかまったく聞かないかもしれない。

 そしてここは絶海の孤島…… 逃げることも叶わない……


 あぁ…… もはや祈るしかないな、どうか白馬でありますように! 白馬だったらドラクエの件は不問に処す!



 ズズゥン――― ブシューーーッ!!



 アルゴノゥティカは着陸すると大量の蒸気を吐き出した。

 他の船には無い演出だ、動力が違うのだろうか?



 ガゴン! ゴゴゴゴゴゴゴ……



 そして船首部分が左右に割れ、奥から真っ赤なカーペットが敷かれた豪華な階段が現れた……



 パパ~パッパ~パパ~~~♪



 トランペット!? いや、楽隊!?

 ただ船から降りるのにそんな演出が必要ですか? 独裁国家の国家元首だってこんな演出しねーぞ? ……多分。

 派手過ぎる…… 無駄過ぎる…… そして勇者との扱いに差があり過ぎる。

 そりゃ勇者が英雄嫌いになるワケだ。



 パァァァ……



 さらに階段の最上部がスポットライトで照らされる…… 逆光の中、英雄候補と思しき人物がゆっくり降りてきた。

 なんか……コンサートみたいだな。


 白馬来い! 白馬来い! 白馬来い!



 チラ



 みんなの注目が集まるなか階段を下りてきた人物は……


 サングラスに金髪ロン毛、長さは肩くらい。

 ファー付きのマントを纏い、胸元がガバっと開いた服を着て首には金のネックレス、もちろん肌は小麦色だ。

 4人のケバ目の美女を引き連れており、そのうち2人と肩を組みつつ腕を廻して堂々と胸を揉んでいる男だった……


 …………


 誰だアレ? あんな奴居たっけ?

 いや居ないよ! あんな存在感ギガ盛りの腐れホストみたいなのが居たら絶対忘れられないって。


「あっれぇ~? ねぇショウ様ぁ~♪ 私たちの通り道になぁんかイモっぽい連中が塞いでますよぉ~?」


 胸を揉まれている女の一人が男にしな垂れかかりながら訴えかける。

 イモっぽいとはまた随分と古風な言い回しだな、それとこっちがイモっぽいんじゃなくてお前らがケバ過ぎるんだ。


「あ~ん?」


 アレ? この声…… それにショウ様? ショウ?


「そういえば勇者が来てるって…… 誰か言ってなかったっKE?」


 そう言ってショウ様とやらはサングラスを外してこちらを睨みつけてきた。

 あの顔どこかで…… 誰かに似てる?



 ポク ポク ポク チ~ン♪



 サッカー部のチャラ男先輩じゃねーかッ!!

 わずか10日程度でチャラ度がカンスト振り切って限界突破してるッ!? いったい何があったらそんなコトになるんだよッ!?

 つーか何だその金髪ロン毛!! ヅラか!? あとファー!! なんかもう痛々しくって見てられねぇ……

 でも一応、写メっとこ…… できればbeforeの写真も欲しかったな。


「英雄候補のマエダ・ショウマ様ですね? お初にお目にかかります、私は勇者の称号を拝命している……」

「フッ」


 モニカ姫が挨拶を始めたらチャラ男が鼻で笑いやがった、相変わらず感じわりー奴だ。

 それにしてもマエダ・ショウマ…… 前田翔馬……ねぇ?


「わりぃ、オレ絶壁には興味ねーんだわ、もちろん勇者と仲良くする気もナイ」

「絶……壁?」

「あ……あぁ…… な……なんてコトを……ッ!」


 いやいや、それは鎧着てるからだろ? もちろん鎧の下が断崖絶壁の可能性はあるけど……

 あと勇者(ルーファス)が一番慄いてる、もしかして地雷踏んだんじゃね?


「こんな僻地じゃイイ女なんて最初から期待してなかったが…… お?」


 げ、チャラ男がこっち見てる、いや……違う、目を付けられたのは……



 フッ――― ピコン!



「キャッ!? い…痛ッ!! な、なに!?」


 階段の中程でこっちを見下してたチャラ男が突然消えた……と思ったら、いつの間にか俺たちの……ユリアの背後に回り込み腕をつかみ上げていた。

 そういえばアイツの異能魔法って空間干渉系の『空間支配(デイルーラー)』とかいう……


「へぇ~♪ 巨乳の耳長族(エルフ)なんて初めて見たぜ」

「え? なんでココに? え? え?」

「ヒュゥ♪ いいねぇ、俺好みの体してるぜ♪ 決めた! 今日はコイツで飽きるまで遊ぶことにするか」


 ヒュゥ☝~♪ ……だってさ。

 絵に描いたような異世界屑ヤローに成り下がりやがった。

 こういうヤツは絶対自分より強い敵相手に泣きながら腰を抜かして逃げ惑うぜ。

 今の内に矯正が必要だな。



 ガシッ!



 ヴェラ嬢に肩を掴まれた。


「待ちなさい」

「止めるなよ」

「アナタが強いコトは知ってる、けど英雄候補に手を出したらタダじゃ済まないわよ? 彼らは色々なモノに守られてる」

「……だろうな」


 そこで笑顔のまま青筋立てて固まってるモニカ姫を見れば、政治的要因で迂闊に手を出せないってコトは一目瞭然だ。


「だがそれも交渉次第だ」

「そんな甘い相手じゃ……」

「ダメならその時はその時だ」


 まだ俺だって揉んでないのに、アイツに先に揉ませるなんてあり得ない。


「ちょっ! 痛いです! 離してください!」

「いいやダメだ、お前は俺のオモチャになるんだからな」



 スゥ~~~……



「オイゴルァ! スーパーペガサス!! テメーなに人の女に手ぇ出してんだ!! 秒間数百発の音速拳喰らわすぞ!!」

「なっ!?!? は…… テメ!?!? はぁぁあ!?!?」


 ふふふ…… 慌てておる慌てておる♪





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