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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 人魚族/マーメイド 編 ――
47/175

第47話「ディナー」


 魔王軍襲来イベントでちょっぴりやり過ぎてしまった俺たちはユグドラシルを後にした。

 その後は予定通り真っ直ぐ北東へ向かった。

 ただし速度はかなりゆっくり目だ。

 ……というのも……


 俺はベルリネッタと一緒にエルスヴィタールに乗り、砂ゾリにユリアとキララだ。

 ソリと言ってもサイズはカヌーとほぼ同じ、荷物を積むとヒトの乗るスペースなど僅かしかない、あっちなら女の子と密着できるんだけど……


「あいたっ!!」

「わふッ! おしり痛い……です」


 時速約80kmで移動する砂ゾリは数秒に一回弾むため臀部へのダメージ蓄積値がハンパない。

 要するに乗り心地最悪なんだ。

 一刻も早くユグドラシルから離れるためには仕方ない、あと数時間は我慢してくれ。


 あ、念の為に言っておくけど、俺だって苦しむ彼女たちを見て席を変わろうとしたんだぜ? でも彼女たち自身に断られた…… そんなに俺と砂ゾリに乗るのが嫌だったんだろうか? ちょっと凹んだ。


 そんなワケで今は時速約40km程、ノンビリ旅をしている。


「マスター、追跡されてる」

「なに?」


 ユグドラシルを出てから2時間程、まだ100kmも移動してない。


「小型の空船が1機、たぶん私たちの移動の痕跡、探りながら北東方向へ向かってきてる」


 俺たちを追跡してるとは限らない……が、タイミング的に見てもまぁ間違いなく目的は俺たちだろう。

 こちらの移動方法は以前と同じくエルスヴィタールで砂ゾリを引っ張る方法だ、どうしても砂ゾリの跡が少し残ってしまう。


「どうする?マスター、撃墜する?」


 もう、ウチのロボ子は相変わらず思考がバイオレンスなんだから。

 ストレージで光を操作してやればやり過ごすのは簡単だ、だが目的地が同じだとそれも意味が無い。


「ちなみに…… 追跡してくるのはあの半端者、高濃度汚染体」

「高濃度汚染体……って勇者か」


 恐らく未だ混乱が収まっていないユグドラシルからこれだけ素早く追跡できるってコトは、あいつら空船を個人所有してたのか……

 ルートを変えても行きつく先は同じなんだし……


「放置でいいよ」

「イエスマスター」



―――


――




 その夜、砂漠でキャンプ。


 追いつかれるかと思ったけど、結局勇者たちは現れなかった。

 ベルリネッタの探査によると一定の距離を保ったままこちらに付いてきているそうだ、完全にストーカーだな。

 イヤだなぁ…… イケメンのストーカーとか…… 腐臭が漂ってくる。


「うぅ…… まだ痛い……」

「クゥ~ン……」


 ユリアとキララは数時間前の臀部のダメージを未だに引きずっている。

 薬塗るときは言ってくれ、いつでも手伝うゼ♪


 あ、スイマセン、ゴメンナサイ。


 睨まれちゃったよ、どうやら邪念を感じ取ったらしい、大人しく飯の準備でもしていよう。



―――



「嘘でしょご主人さま……」

「キララは俺に一体何を期待してたんだ?」


 クッソ硬いパンと超しょっぱい干し肉出して「はい夕飯」って言ったらキララにオバケでも見た時みたいな目をされた。


「キララって食事にうるさい人だったのか?」

「私、見た目は獣人族(ビスト)ですけど、魂は食にこだわる生粋の日本人ですよ?」


 君の見た目はこの世界の一般的な獣人族(ビスト)じゃ無いんだけどね。


「え~、でも野生育ちで生肉ガブリーナしてたんだろ?」

「ガブリーナ言うな!」


 キララが言うには……


「異世界主人公はチートの他に料理上手って特技を持ってるでしょ普通?」


 ……だってさ、普通ってナニ?

 まぁ確かによく見かける光景ではある、だが男の転移者が全員料理上手だとは思わないでくれ。

 特に男子高校生で料理上手なんて、そっちの方が少数派だと思う。


「あ~、でも白馬は料理得意だったな」

「? 白馬? 誰ですかそれ?」

「俺と一緒に転移してきた幼馴染、アイツはチート能力持ってるし料理上手だし、異世界主人公はアイツだろ」

「………… 違います」

「ん?」


 なぜ断言する? キララの言った主人公の条件は満たしてると思うが……


「その白馬ナニガシさんは追放されましたか?」

「いや……」

「だったら主人公じゃありません! 真の主人公は無能の烙印を押され追放されたご主人様です!!」


 …………


 悲しくなるようなコトを大声で断言された……

 あと俺 追放されてないから、自分で出て行ったんだからな。


「それを言うならキララはどうなんだよ?」

「わふ?」

「生まれた直後に親に捨てられるという逆境、正に主人公だろ?」

「ナニ言ってるんですかご主人様」


 なんで真顔で見つめてるんだよ? 俺おかしなこと言った?


「男と女、転移と転生ではルートが違うんです!」

「はぁ?」

「女転生主人公の場合は貴族か聖女です!! 貴族なら乙女ゲーの悪役令嬢ルート! 聖女ならシンデレラルートなんです!」


 いや…… そうとは…… 限らないんじゃ……?


「どこの世界に魔力ゼロで生後1日で捨てられてオオカミに育てられて真っ裸で生肉にかぶりつく女主人公がいるんですか!!」


 あ、うん…… 確かにそんな女主人公見たコトねーや。

 ただ描写こそされてなかったが、もののけ姫って多分そんな感じだったと思うぞ。


「そんなワケで私は主人公ではないんです、そんな私が幸せな人生を送るためには真の主人公の庇護下に入る以外道は無いんです。

 と、いうワケで、ご主人様期待してます♪」


 …………


 ダメだコイツ、現実となろうの区別がついてねー、完全にヤベー奴だ。


「その代わりと言ってはなんですが……」

「うん?」

「料理全般は私が担当します」

「! 出来るのか?」

「数年一人暮らししてれば普通に身に付きます」


 …………


「キララって生前何歳だったの? てっきり高校生くらいだと思ってたんだけど……」

「え? あっ!」


 なろう系なら女主人公の前世は高校生か社畜のどちらかだ、数年一人暮らしってことは……


「ご主人さま…… 女性に年齢を聞くのはマナー違反ですよ?」

「享年何歳かくらい良くね? 前世の話なんだし」


 だいたい何がマナー違反だよ、全裸で生肉ガブリーナしてた野生児のクセに。


「コホン! 高校生でしたよ、えぇっと17歳でした、花も恥じらう乙女の私はトラックに轢かれそうになってた子供の身代わりとなって助けて異世界行きになりました」


 嘘くさ…… それどこのなろうから持ってきた設定? なんか聞き覚えがある気がする。


「でも数年一人暮らしって……」

「家庭の事情で中学から一人暮らしだったんです! え~と…… 両親が海外出張だったんです!」


 なんかエロゲっぽい設定まで入ってきた、てか完全に主人公の設定じゃねーか。前髪で目が隠れてるし……

 まぁいい、俺は空気の読める男、キララの設定を受け入れてあげよう、生暖かい目で見守りながら……


「そうか、大変だったな……」

「そうです! 大変だったんです!」


 これ以上ツッコんで有名ラノベタイトルが出てきても困る、いろんな意味で……

 「転生したらオオカミだった件」とか「魔力ゼロから始める異世界生活」とか…… そんなタイトルのなろうがホントにありそうで困る。



―――



 本日のディナーは……

 何だか分からない肉を焼いたものと、具がほとんど入って無いスープ、そしてクッソ硬いパンだ。


「すみません、さすがに材料が無さ過ぎてロクなものが作れませんでした」


 だよな、例え鉄人だって材料が無ければ何も作れない、期待外れ……とか思っちゃいけない。

 それで…… これ何の肉? 焼き加減はしっかり火の通ったウェルダンだ、レアは食い飽きてるのかな?

 ニンニクっぽい香りもするしただ焼いただけってワケじゃ無さそうだな。


「あ、スゴイ、美味しいです、それにすごく柔らかい」


 ユリアは疑うことなくかぶり付いてる。

 と、言うか……


「ユリアって肉大丈夫なのか?」

「うぇっ!? わ、私太ってますかッ!?」


 そうじゃなくって、確かに体の一部だけ大量の脂肪を溜め込んでるけどそれは素晴らしいから。


耳長族(エルフ)って肉を食べないイメージがあるんだけど、この世界じゃそんなコトは無いのか」

「あぁ、そんなコトないですよ、砂漠の国で菜食主義をするなんて相当裕福な人達だけです。あの人たちは魔物由来の野菜もダメって言いますから」


 魔物由来の野菜…… 植物系の魔物か、確かに木のくせに動いて襲い掛かってきたら動物っぽいかな?


「ただ非常に迷惑なんですよね」

「迷惑?」

「はい、その一部の菜食主義者は自分たちの主義主張を他人に無理やり押し付けるんです、動物食べるなんて可哀そう、野蛮人、とか言って」


 あれ? そんな感じのヒト地球にもいた気がする……


「その人たちがユグドラシルを東西に分けたって言われてます、獣人族(ビスト)は肉食率が高いからって言って」


 あ~、そりゃ迷惑だ。


「私みたいにクモとかコオロギで食いつないでいた身としては非常に迷惑でした」


 !?


「ちょ、ちょっと待て!」

「はい?」

「お前…… クモとかコオロギ食べてたの?」

「はい、バイトをクビになると……」


 oh……


「わかった、ちゃんと食わせてやるからもう虫とか食べるな」

「え? でも貴重なタンパク源……」

「いいから」

「はぁ……」


 この世界の魔無(マナレス)は早急に保護しないといけないな。



 あ、ちなみになんだけど、我々が食事を摂ってる時ベルリネッタが何をしているかというと……

 ただ見ているワケではなく一緒に食べます。


 彼女の場合は栄養摂取ではなくエネルギー補給だな。

 詳しいコトは知らないが彼女の稼働エネルギーはプレアデスから供給されてるのかな? しかしそれとは別に補助機関としてナノサイズの質量エネルギー変換炉が彼女を構成する全ナノマシンに搭載されてるらしい。

 これにより体内に取り入れた質量を全てエネルギーに変換できるようだ。


 …………


 あれ? 質量をエネルギーに変換?


 …………


 それってE=mc2?

 質量とエネルギーの等価性とかいう…… 雑学でちょろっと触れたコトがある程度なので詳しくは知らないが、一回の食事で数千兆ジュールのエネルギーを獲得してる?

 しかもそれが補助動力機関?


 ……なんというか……

 ベルリネッタって恐ろしく燃費わりーな。






《特別解説》

『もののけ姫』

 アニメ映画、和風ファンタジーの世界観、金曜夜9時あたりにたまに放送されてる。


『乙女ゲーの悪役令嬢』

 ゲームキャラ転生?は高確率で悪役令嬢か無能キャラに生まれ変わる。

 バッドエンドでは大体処刑されるけど乙女ゲーってあんなに血生臭いゲームなの?


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