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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 獣人族/ビスト 編 ――
45/175

第45話「†」


 勇者のせいで俺の個人情報が流れた……

 いつかアイツの恥ずかしい秘密を全世界に流してやる。

 まぁそれは追々やるとして、今は俺の個人情報がこれ以上拡散しないように手を打たなければならない。

 特に魔王軍に知られるのはマズい!

 あのギデオンとかいうヤツの口をふさぐ、他の魔物は喰うコトとヤル事しか頭になさそうな下等生物なので放置、多分言葉も通じないだろうからな。


「ガオオォォオォオォォオーーーッ!!!!」


 !? なんだ今の……声? スマホからじゃなく直に聞こえてきた。

 監視機(シギント)で確認してみると、明らかに異様なモノが映し出されていた。


「なんだこりゃ?」


 挑戦者たち(チャレンジ)のシウ・マジロと思しき人物……

 さっきまでは黄色と黒の縞々トラだったのに、今は赤と黒の縞々トラになっている…… 別に返り血を浴びたワケではない、ただ色が変わったのだ。


 だが変わったのはそれだけではなさそうだ……



『グルゥオオオオオォォォォォーーーッ!!!!』



 2Pカラーみたいになったシウ・マジロは圧倒的な強さで魔物たちを屠っていった。

 それも素手で…… まるで魔物が紙屑みたいに簡単に引き裂かれていく……


 強い…… 強すぎる…… CM中に平和ボケした村の仲間たちを全滅させられそうなくらい強い……


「しかし何なんだあの変化は? もしかして獣人族(ビスト)って皆あんな感じの変身能力があるのか?」


 まさかウチのキララにも……? ヤバイ、狂犬病予防接種を受けさせないと!


「アレ…… 異能魔法」

「? 異能魔法?」

「イエス、本来……異能魔法は異世界からやって来た者…… 「英雄候補」とか「迷い人」が有している特別な魔法」


 あの…… 目の前にその条件に合致してるのに異能魔法を有してない奴がいるんですけど……

 ま、別にいいけどね? 俺は正常だし……


「でも…… この世界で生まれ育った者の中でも……浸蝕率が極めて高い個体…… 時折 異能魔法が発現する者が現れる」

「そうなのか……」


 そうだな、あのトラ男が日本からやって来た転移者だとは思えない。

 アレがもしヒツジ女だったのなら「異世界転移して行方不明になったからリストラされた」って仮説も成り立つのだがな。


 …………いや、成り立たねーか。


「あれは身体中の細胞…… それを戦闘に適した形に変化……させた」

「身体強化魔法の上位……というより変身魔法だな」



『グルゥアアアァァァーーーッ!!!!』



「でも…… やっぱり負担が大きい……みたい」

「ん?」

「パーティーメンバーの一人、ずっと遠隔で治癒魔法掛けてる」


 確かに…… ミ〇・リンはその場を動かず杖をしま〇ろうに向けている。

 そして動けないミ〇・リンを残りの二人が守っている。


 弱点が丸わかりだ、アレはきっと普段は使わない切り札なのだろう、もう一人パーティーメンバーを加えることを進めるね、例えばタンク役のヒツジ女とか……


 まぁともかく、挑戦者たち(チャレンジ)がこの調子で魔物を駆逐できれば何とかなりそうだな、ついでに男爵も仕留めてくれれば手間が省けるんだが…… 男爵どこ行った?



『ウオォォォォオッ!!!!』



 ん? この暑苦しい声は……



火焔剣(ブレイズソード)!!』



 ガギィィィン!!



 勇者が戦ってる…… あ、男爵いた、勇者と戯れてる。

 またソレ? もう火焔剣(ブレイズソード)見飽きたよ、たまには別の属性の出せよ何のための多属性持ちだ。


『フン』

『ハアァァァッ!!』



 バキィィィン!



 男爵の剣は勇者と打ち合うたびに大きく欠けていく、これが例の聖剣の力なのだろうか? しかし男爵はボロボロになった剣を放り投げると何処からともなく新しい剣を出してくる。

 魔法で剣を作ってるのか? あれも異能魔法の一種なのだろうか?


 しかしこれではキリがない、邪魔だな…… 化石化した世界樹の樹皮を落として潰してやろうと思ったのに二人で接近戦やってると片方だけを狙って潰すことができない。

 だったら仕方ない、二人共潰しちまうか? 下は砂地だし打ちどころが悪くない限り死にはしないさ。


『ルー様!』

『援護します!』

『はぁぁーーーッ!!』


 あ、ダメだ、さすがに取り巻きガールズを巻き込むワケにはいかない。

 お前も勇者を名乗るなら正々堂々一対一で戦えよ、最弱四天王相手にフルメンバーで挑んで押されるようじゃレベルが足りないぜ。


『くらえギデオン!! 超越技! 大火焔厄災剣(ブレイズディザスター)!!』


 勇者の剣は今までとは比較にならないほど大きな炎を纏った、それはまるで炎の竜巻……

 それを魔男爵ギデオンに叩き付けた!



 ズバアァァァーーーン!!!!



 !?


『え?』

『勇者…… こんなものなのか?』


 勇者が繰り出した炎の竜巻はギデオンにぶつかる前に霧散していた。

 監視機(シギント)のリアルタイム解析機能のおかげで何が起こったのかは分かる。


 勇者の剣が当たる直前、ギデオンの周囲に黒い剣が20本も瞬間的に現れた、その剣が四方八方から炎の竜巻に突っ込み掻き消したのだ。


 多分勇者には何が起こったのか全くわからなかっただろう…… いや、勇者に限った話じゃない。

 今の攻撃…… ギデオン本人を除けば俺とベルリネッタ以外誰一人として認識できなかっただろう。


『どうやら…… 買被り過ぎてたようだな』



 ズズズ……



『なっ!? こ…これはッ!?』


 勇者とギデオンの周りに大量の黒い剣が現れた、その数は優に100を超え二人を中心に廻り始めた。


『これが《極限級(アブソルート)魔法(マジック)闇夜之帳(ダート・ソレイド)》だ』

『ッ!! 極限級(アブソルート)……だと!?』


 極限級…… 即ち最上位。

 超越級の勇者じゃ初めから勝ち目が無かったんだ。




極限級(アブソルート)魔法(マジック)闇夜之帳(ダート・ソレイド)……か」


 魔力で生み出した剣を手も触れずに自由自在に操る魔法、早い話が剣の付いたドローン100機編隊だ。

 あれ? それって物凄い脅威じゃないか?

 機関銃持ちが数人いれば何とか対処は出来るだろう、だがあの剣、炎の竜巻を軽く貫通できる…… 普通のドローンじゃないんだよな。


 しかも出せる数がアレで限界とは限らない、さらに射程距離によっては一気に全滅もあり得る。


 ハァ…… 仕方ないな……



―――



「《点突(スピルド)四剣(クアドラ)》」


 ギデオンが手を振り下ろすと4本の剣が高速で勇者に襲い掛かる。


「ウッ!?」



 ギンッ!! ギンッ!! ギンッ!! ズガン!!



「グアッ!!」


 高速で飛来した剣のうち3本はなんとか聖剣で受けきった、しかし4本目は対処が間に合わず何とかかわしたものの鎧の肩あてに当たり勇者ごと弾き飛ばした。


「ふん、正面方向からの四剣(クアドラ)でもう限界か、まぁいい、次は五剣(クインティ)でいくぞ」

「ちょっ!! ちょっと待……ッ!!」


「ルー様ァ!!」

「はやく立って!!」

「やらせないッ!!」


 ギデオンは先ほどと同様にわざわざ勇者の視界に収まるように5本の剣を移動させる。

 しかし勇者はまだ迎撃の体勢を取れてない。


「終わりの劫火 立ち塞がる者を緋色に染めよ!《緋劫炎弾(リグ・ファイアショット)》!!」


 ヴェラの放った巨大な火球がギデオンに直撃する……かに思われた。しかし……



 バシュゥッ!!



「!!」


 ヴェラには認識できなかったがギデオンの魔法の剣で霧散させられてしまった。


「先ほどのやり取りを見てなかったのか? その程度の炎など何の役にも立たないと」

「そ……そんな……」

「フン、邪魔な方から先に始末しておくか」


 そう言うとギデオンは勇者の取り巻きガールズに視線を向ける。


「なっ!? き、きさまヤメ……!!」


 ギデオンが手を振り上げると5本の剣が現れヴェラに切っ先を向けた。


「消えろ下等生物、《点突(スピルド)五剣(クインティ)》」

「ッ!!」



 ドオォォォン!!



「ヴェ… ヴェラァァァ!!」

「……ん?」


 先ほどまでヴェラが立っていた位置には大きな砂煙が上がっている。

 その砂煙が晴れると一人の男がヴェラをかばう様に立っていた。


「え?」

「んん?」

「なんだお前は?」


「ふぅ……間に合ったな」


 それは神楽橋飯綱だった。



―――



 …………


 言ってしまった……

 キララが予想した通りのセリフを……


 仕方なかったんだ、ホントは高所からの飛び降りで膝がガクガクしてたのを悟らせないために何か言わなきゃ……って思ったら口をついて出ていた、きっとキララが余計なこと言ったせいだ。

 パワードスーツの性能は信じていたけど、心の防御力は上げられないからね。


「カ……カグラバシ・イヅナ……? なん……で? アナタ逃げ出したんじゃなかったの?」


 ヴェラ嬢が腰を抜かしたまま聞いてきた、どうしよう? 理由(魔王軍侵攻の元凶)を正直に話すワケにもいかないし…… 適当に言っておくか。


「魔王軍の伏兵に備えてたんだ、ただヴェラがピンチだったから思わず飛び出してしまった」

「う……」


 ヴェラの手を取りやさしく助け起こしてやる……

 実にイケメンっぽい行動だ、こう言っておけば余計なツッコミは入らないだろう。


 よし、これで目標は達成したので帰ります……とはいかない。

 ツノ男爵が睨んでるからね。

 どの道アイツを放置するワケにもいかないからなぁ……


「なんだお前は?」


 ギデオンからの至極当然な質問。


「そこの序列最下位勇者が言っていた迷い人だよ。

 ちなみに俺は英雄候補じゃない、そのことは当然勇者も知っている、つまりそいつはウソの情報をあえて流したってコトになるね」

「ちょっ! お前っ! それは……ッ!!」


 ギデオンの敵意の方向を変えるため勇者の虚偽申告をチクってみる。


魔無(マナレス)か…… お前の言ってることは本当みたいだな」


 魔無(マナレス)を一目で見破られてしまった、どうやら判る人には判るらしい。


「だが今の会話をお前はどこで聞いていたのだ? そしてお前はどうやって俺の魔法を防いだ?」

「…………」


 勇者にヘイトを移すことに失敗した…… どうやら俺に興味津々らしい、魔無(マナレス)に必殺魔法を防がれたらそりゃ警戒するに決まってるよな。

 でもさぁ、俺を追求するより勇者を断罪する方が先だろ? ウソ吐いたんだぜソイツ? 全裸にして逆さ吊りにしてもイイと思うんだけど?


「…………」

「あ~……」


 脅威じゃない勇者より、脅威になる可能性がある魔無(マナレス)を警戒するのは当たり前か。

 《六魔卿》にとって勇者とはさしたる脅威になりえない存在なのか……

 魔王が英雄候補の生け捕り指令出してるし世界的に見ても「英雄候補>勇者」って認識なのだろう。

 だったら尚のコト俺なんか気にしないでくれ、英雄候補じゃないんだから。


 …………


 ハァ~~~、ダメだな、もはや生かして帰すワケにはいかない、ここまで注目されたら今夜の食卓の話題に上ること間違いなしだ。

 きっと「今日中二病の魔無(マナレス)見かけたぜ、アイツぜってぇなろう系の見過ぎだぜ♪ ギルドカードの名前の両端に「†」とか付いてるぜきっと」とか言われるんだ。

 むしろその程度で済めば幸運だ。


 実際には極限級(アブソルート)魔法(マジック)を破った魔無(マナレス)として報告される、そして魔王本人に興味を持たれたりしたら最悪だ。


 もうやるしかない……


「その質問の答えって重要か? もう必要ないだろ?」

「なに?」

「お前は生きて帰れないんだからな」

「ほぅ? 面白いことを言うな魔無(マナレス)!」


 お前なんか氷漬けにしてストレージの奥底に封印してやる!

 そして俺がパニくった時だけヤカンとかマクラとかと一緒にちょこっとだけ顔を出す存在にしてやるぜ!




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