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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 獣人族/ビスト 編 ――
33/175

第33話「守護魔獣 ―ガーディアン―」


「我々には金が必要だ…… それも早急にだ!」


 ― 冒険者ギルド・東ユグドラシル支部内 酒場スペース ―


 そこの一角で反魔力同盟(アンチマギア)が作戦会議の真っ最中。

 議題はツルツルお肌の獣人娘をGetする為の金策について……


「……と、いうワケでユリアさん」

「は? はい?」

「ちょっと勇者を探して連れてきてください」

「え……あの…… 何でですか?」

「何で?って100万ディルを彼に工面してもらおうと思って……」


 ちょっと挑発すればきっとノッて来てくれるさ。

 ゴキ●リ退治対決で勝ち確定だ。


「いや、さすがに無理だと思いますよ? あの人たち前回の負けで借金作ってたみたいだし……」

「え~そ~なの? 勇者のネームバリューなら無利子・無担保で借りられないの?」


 案外大したことないんだな勇者って、社会的信用って意味で。


「じゃあどうするか……」


 そういえばドサクサで忘れてたが世界樹琥珀を取り返してないな、アレを盗んで売るか…… いや、世界樹琥珀はレア過ぎて簡単には売れないな。

 あと他に売れそうなものは……


 チラ――― 視線の先にはベルリネッタ……


 ベルリネッタのオーパーツは論外だ、確かにすごい値段で売れそうだが、この世界の住人にはその価値が分からず値段が付かない可能性もある、つーかソレを売るなんてトンデモナイ!


 チラ――― 視線の先にはユリア……


「あ、私を売ったって100万ディルになんて絶対なりませんから」


 ユリアをチラ見したら先にクギを刺されてしまった、そんなつもりで見たワケでも、もちろん売るつもりも一切ない。

 だがユリアを売れば1000万はくだらないだろう、キャバとか○○とかに勤めさせても月収数百万は稼げると思うんだが……


「あの~、私たち冒険者なんですからクエストで稼げばいいんじゃないですか?」


 おぉっ! その手があったか! さっき冒険者になったことすっかり忘れていた!


「しかし冒険者ってのはすぐに100万稼げるものなのか?」

「そうですね…… 低ランクの依頼では当然100万ディルなんて簡単には稼げませんが、ここ冒険者ギルド・東ユグドラシル支部はランクに関わらずどんな依頼も受けられるので可能だと思います」

「ほうほう、ちなみにどんな依頼なら一気に稼げるんだ?」

「う~ん…… これはチョット伝説みたいになってるんですが、《世界樹の種》ってクエストがあるんです、成功報酬はなんと10億ディル! 世界で最も古く最も高額なクエストといわれています」


 一獲千金の宝くじみたいなものか……


「確かにこの根元から折れた世界樹を見たらその種を探せってクエストも当然だな」

「まぁそもそも本当に世界樹の種が実在しているのかすら分かりませんから」


 宝くじじゃなくツチノコ見つけて一獲千金の方だったか……


「さすがに10億ディルの探索クエストは時間が掛かりそうだから置いておくとして、何か1日で100万以上稼げるクエストは無いのか?」

「1日で100万以上……ですか、う~ん……あ、ちょっと待っててください!」


 そう言うとユリアは掲示板の前へ行きなにか一枚紙を持って帰ってきた。


「これならやりようによっては1日で200万ディル稼ぐこともできます!」


 日給200万? 嫌な予感がする…… まさか腎臓一個売れとか言われないだろうな?


 うん、読めない……

 一度スマホで撮影しベルリネッタに転送する、日本語に翻訳してもらったのち送り返してもらい依頼内容を確認する。

 うおっ、返信はえーな、秒で返ってきた。

 しかし無駄な作業が入るせいで微妙にテンポが悪くなるな。なになに……?



――――――――――――――――――


 超級・討伐依頼


 『第49守護魔獣討伐』


 第1世界樹迷宮・49層の守護魔獣を

 討伐してください。


 依頼者:東ユグドラシル政府

 報 酬:200万ディル

    :ユグドラ茶100年分

    :ユグドラ君ぬいぐるみ

     コンプリートセット


――――――――――――――――――



「これは…… クエストの依頼書か」

「そうです、この街の真下にある第1世界樹迷宮・地下49階層の守護魔獣(ガーディアン)の討伐依頼です」

守護魔獣(ガーディアン)?」

「50階層へ通じる部屋を守っている魔物です。ここ10年くらいその魔物がどうしても倒せなくて迷宮探索が滞ってるんです、なので報酬もいつの間にか200万ディルに……」


 10年も足止め食らってる割には報酬が少ない気もするが…… いや、それよりも気になるのは「ユグドラ茶100年分」と「ユグドラ君ぬいぐるみコンプリートセット」だ。

 なんだこの副賞は? こんなオマケを付けることで冒険者のテンションが上がるのだろうか?

 この世界の冒険者って…… 純朴だなぁ……


 つまりゲームで言うところのフロアボス討伐か、それなりに強敵なんだろうな……

 今まで俺たちは雑魚かちょっとクセのあるレアモンスターにしか出会ったことが無い、10年も誰も倒せない強敵を果たして倒せるのだろうか?


「…………」

「…………」


 ベルリネッタは相変わらずの無表情だ。

 なんか…… 大丈夫そうだな。


「しかし地下49階じゃ行って帰るのにも結構時間が掛かるんじゃないか?」

「大丈夫です、エレベーターがありますから、もちろん使うとお金が掛かりますけど地下49階層まで1人片道4,900ディルです」


 エレベーターあるんだ、そして随分とリーズナブル……


「エレベーター料金も年々値下げされてるそうですよ? 高いと誰も挑戦しないですからね」

「そりゃそーだ、高い金払って強敵にボコられに行く奴なんているワケねーよな」


 だがそれならパッと言ってパッと帰ってこれそうだな。


「よし、我々《反魔力同盟(アンチマギア)》の記念すべき初クエストは『第49守護魔獣討伐』に決定だ!」



―――



 話し合いの後すぐにギルド奥のエレベーターへ向かう。

 普通の冒険者なら売店で薬草を積めるだけ積むのだろうが我々には必要ない……と思う。


 職員に金を渡しエレベーターに乗り込む…… いや、エレベーターじゃねーよ、どう見ても転移用の魔方陣だ。

 てっきり縦穴を使って移動するのかと思ってた。しかしよくよく考えたら階層に穴を開けてエレベーターを設置できるならボス部屋の前で10年も探索が滞ることもないよな。

 無視して穴掘って次の階層に進めばイイだけなんだから。

 ただ上層は普通の階層型ダンジョンだったはずだ、外と繋がってる闘技場なんてあるくらいだから…… どこかで構成が変わるのかな?


「それでは魔方陣の中央に進んでください」


 所定の位置につくと職員が手をかざし何やら唱え始める……

 すると魔方陣から白い光があふれ周囲の景色が見えなくなった。


 そして光が収まると全く別の場所へ移動していた。


「49層に到着しました、どうぞお気を付けて……」


 そこには別のギルド職員がいて転移が終了したことを教えてくれた。

 もう終わりか、あっという間だったな。


守護魔獣(ガーディアン)の間はここから10分くらい歩いたところです、行きましょう」


 ユリアはそう言うと先導して歩き始めた。


「アレ? ユリアはここに来たことあるのか?」

「荷物運びのバイトで何度か…… 本来は冒険者しか入れない場所ですけどこのフロアは比較的安全ですから」

「安全なのか? ここって現時点での最下層なんだろ?」

「多くの冒険者がくるからこのあたりの魔物は大体狩り尽くされてるんです」


 あぁ、ボス前のレベル上げか…… きっとこの階層にはメタル系が生息してたんだろう。

 魔無(マナレス)は敵を倒しても経験値が入らないから全く関係ない話だな。



―――



 10分ほど歩くとかなり広いホールに出る、壁際は階段状になっておりしばらく行くと大きな段差がありその先は平坦になっている。

 形状は野球場をイメージすると解りやすいか、グラウンド部分には鎖の模様に似た線が描かれている、あれも魔法陣の一種なのだろうか? とにかく広い。


 周囲には結構な数の冒険者がいるが鎖円の中には誰も居ない、つーか肝心のボスはどこにいるんだ?


「あ、ちょうど挑むみたいですね」

「ん?」


 周囲でたむろしていた冒険者の一部が鎖円の中に入っていく、10名ほどのパーティーだ。

 すると……



 パアアァァァ―――



 地面から光が放たれ鎖円の中が見えなくなった、試験の時の魔物のランダム召喚に似ている。

 そして光が収まると……


 大量の骸骨の群れが現れていた。


「は? え? ボスは?」

「ここの守護魔獣(ガーディアン)は軍隊なんです」


 ボスって普通一匹だろ? それを複数人でタコ殴りにするのが俺の知ってるボスバトルだ。

 まぁボスがお供を連れて出てくることもあるけどさ……


「手前に陣取ってる50匹が『盾弓骸骨(スカルタンク)』、壁役 兼 遠距離攻撃役です。

 奥にいる50匹が『飛翔骸骨(ファイタースカル)』、空を飛んで突撃してくる骸骨です。

 奥に一匹だけマントを纏った骸骨がいるの見えますか? あれが『骸骨将軍(デスジェネラル)』です」


 ジェネラルだけはスカルじゃなくってデスなんだ、つか101匹もいるの? あの10人パーティーは何しに入っていったの? 物量が違い過ぎるだろ。


「あの軍隊は1匹1匹が特級相当の魔物だそうです、そしてこの守護魔獣(ガーディアン)戦の最大の問題は戦闘に参加できる人数が制限されてるコトなんです。あの鎖円に入れるのは最大で25人までだそうです」

「なるほど、そりゃ10年誰も突破できないワケだ」


 仮に特上級(エクストラ)の冒険者を25人集められたとしても攻略は無理だろう、戦力差4倍じゃあなぁ……


「一説によると骸骨将軍(デスジェネラル)を倒せれば軍隊は壊滅する……と言われてます」

「いままで骸骨将軍(デスジェネラル)を倒せたことは無かったのか」

「……らしいです、ちなみに鎖円の外に出れば襲われないので限界が来る前に脱出すれば命の危険はないそうです。実際にここ2~3年は守護魔獣討伐戦で死者が出たことは無かったハズです」

「それにしたって…… 勝てないのが分かっていてなんで挑むんだ?」


 やはりレベル上げ目的か? でなけりゃマゾだ。


「お…お前は!?」

「ん?」

「カグラバシ・イヅナ!!」

「?」


 急に背後から声を掛けられ振り向くとそこにはどっかで見たコトのあるリア充グループが……


「あぁ、勇者か…… ウィッス」

「ウィッス♪ じゃねぇーーー!!!!」

「えぇ~……」


 この人なんで出会い頭に大噴火してるの? もしかして借金背負わされたこと根に持ってるのかな? でもあれは自業自得だろ?


「あれ? そう言えば俺名乗ったっけ?」

「ギルドで噂になってましたよ、伝説の黒い悪魔を単騎で仕留めたって」


 財務担当のヴェラ嬢が睨みながら話しかけてくる、しかし噂になってるのか…… 嫌だなぁ、変な二つ名とか付いたらどうしよう? “ゴキ●リ殺し(キラー)”の神楽橋飯綱とか…… 台所でお困りの奥様には人気でそうだけどさ。


「ここで会ったが百年目! カグラバシ・イヅナ!! 勝負しろ!!」

「ハァ?」


 つい先日ミイラにされかけたってのにまだ懲りてないのか?

 クエストこなせば金は手に入るんだしこれ以上余計なトラブルは抱えたくないんだがなぁ。


「なに? また聖剣賭けるの? 今度は返さないぞ?」

「なっ!? こ、これを賭ける気なんかない!!」


 なんだよ勝つ自信ないのか、だったら何で勝負を吹っ掛けるんだよ?


「とにかく聖剣はダメだ! それ以外だ!」

「も~、わがままだなぁ…… まぁどうしてもって言うなら勝負は受けてもいいけど……」


 金はたくさんあっても困るモノじゃないしね。

 大体勇者は同じ過ちを繰り返している、対価とは勝負する前に決めるべきなのだ、そうじゃなきゃピンチに陥ったときに引き返すことすらできないから……


「よぉーしッ!! ならば守護魔獣をどれだけ倒したかで勝負だ!!」

「え? 勝負方法お前が決めるのかよ?」


 勝負挑んできたのそっちだよね? 普通勝負方法は挑まれた側が決めるものだろ? なんでサラッとお前が決めてるんだよ?


「なんだ? 俺に勝負方法を決めさせるのが怖いのか?」

「…………」


 なんだその低レベルな挑発は? むしろ怖がってるのはお前だろ?

 俺に勝負方法を決めさせるとまた負けるからな、そのポイントを突っついてやれば簡単に乗ってきそうだが……まぁいいか。




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