表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 獣人族/ビスト 編 ――
31/175

第31話「獣成分」


 獣人……


 それは異世界モノに措いてエルフに匹敵…… 或いはそれ以上の確率で登場する種族である。

 少なくとも俺は獣人の登場しない異世界モノを知らない、ま~とにかくよく見掛けるんだよ彼らは。


 獣人といえば他の種族とは比較にならないほど種類がいるモノだ。

 人間族(ヒウマ)は異世界でも肌の色で分かれているのかも知れない。エルフだったらハイエルフとかダークエルフなんてのもいるかも知れない……


 しかし獣人は苗字の数だけ種類がいるんじゃねーの?ってくらい色んな種類がいる。

 異世界モノでよく見掛けるのはイヌ・ネコ・ウサギの獣人とかか? もしかしたらチワワとかアメショーとかアンゴラみたいにさらに細分化されてるのかもしれない。

 探せば珍獣オカピの獣人とかいるのかな?


 いや、オカピとかどーでもいいんだよ。

 重要なのはケモミミとシッポだ! 要するにバニーガールみたいな恰好ってコトだ! まぁ服装はあんなにエロくは無いだろうけど……


 ふふっ…… 楽しみだ…… あぁ、実に楽しみだ。

 あの扉の先に色々な動物コスをしたコ達がたくさんいるんだ。


 おっと、もちろん分かっているさ、おっさんの獣人だって山ほどいることは。

 だが獣人の国なら若い獣人だって必ずいる! そして魔無(マナレス)はたぶん若い女の子だ、今助けに行くから待っててくれよ?


 そんな大きな希望とちょっとの不安を胸に、いざ! 獣人の国《東ユグドラシル》へ!!



 カチャ キィィィィィ―――



 扉は開かれた―――


「……………………」


 そして俺の希望は打ち砕かれた――



―――


――




「ハイ終了、お疲れさまでした」

「えっ!? イ…イヅナ様!? まだ何もしてないですよ!?!?」


 扉の先は冒険者ギルド・東ユグドラシル支部。

 西と同じく多くの冒険者であふれている。


 一目見て理解できた、この世界の獣人はケモノの割合が高すぎる…… 獣成分80%オーバーって感じだ。

 例えるなら子供向け番組の二足歩行する動物だ、いやそのものだな。


 俺の求める獣人は獣成分20%以下、つーかケモミミとシッポだけでいいんだよ! 許せて肉球付きの手と足までだ。

 なのにココの連中ときたら全身くまなく毛に覆われている、種類によっては乳首の数も多いぜ? きっとな……

 そんな獣人は求めてないんだよ……


 はぁ~~~…… もうど~でもいいや。

 てか今更なんだけどさ、オークって獣人じゃないの? 豚の獣人だろアイツ等って?

 魔物と獣人の境界が分からない…… そして情熱を失った俺はそれを追求しようとも思わない……

 うん、もうど~でもいいや。


「え? え? ほんの3秒前まで目をキラキラさせてたのに、どうして今は死んだ魚のような目になってるんですか!? いったい何が起こったんですか!?」


 この世界で生まれ育ったユリアには判らないだろう…… 日本の男子高校生が求める獣人のヴィジョンってヤツを……

 この世界の獣人女子をフィギュア化しても誰も買わねーよ、ぬいぐるみ化すればまだ可能性はあったんだが人間と同じ頭身だから違和感がスゴイ…… せめて3頭身くらいだったらなぁ……


 結論。獣人はもうどうでもいいデス。


「あの~、ギルドに登録してきてもいいですか?」


 いっそ西に戻るか? 向こうには少なくとも毛深い人はいなかったし……

 耳長族(エルフ)は全体的に濃ゆいけどみんな美形だった、ハリウッド女優みたいな人もたくさんいたしな……


「あ…あれ? 無視された?」

「マスター深慮遠謀している……そっとしておこう、ユリアリーデ、手続きをしてきて」

「はい、かしこまりました」


 西側は山も谷もないが、物足りなくなったらユリアをガン見しておけばいい。

 だいたい獣人たちは自前の毛皮のコートを身に着けてるのに、なんでその上から服を着るんだよ? 冬の小型犬か? ここが寒冷地ならまだしも砂漠のど真ん中だぞ? 暑くないの? 鼻乾燥してない?

 獣人のお姉さんが全裸で街を歩いていても全然エロくない、散歩している犬猫を見るのと同じ気分だ。


 あぁ、でも…… 東側にはホルスタインの獣人とかいるかも知れないな…… ちょっと見てみたい……

 いやエロ目線ではなく、いったいどれほどの巨乳になるのか純粋に興味がある。


 う~ん…… いろいろな獣人に会えるのは楽しみでもあるな。

 失礼かもしれないけど動物園に来た子供の気持ちだな、ウチで飼ってるクシャ太郎(パグ)の獣人とかいたら写真撮りたい。


 …………


 ダメだ、頭の中でパグを人間サイズに引き伸ばしてみたが全く可愛くない! パグはパグだから良いんだよ、8頭身のパグとか見たくもない!

 うむ、やはり西へ戻るべきだな、探せばきっとオードリーヘップバーンやマリリンモンローみたいな美女エルフもいるだろう…… 絶壁だけど。


「登録終わりましたよ~♪」

「え?」

「?」


 考え事してる間に登録が終わってしまった……

 今更「やっぱナシで」とは言いにくいな、正当な理由もないし……


 仕方ない、せっかく来たんだし観光でもしていくか……



―――



 ギルドの建物から外へ出てみることにした。

 よくよく考えたら剛毛獣人だけしか存在しないとは限らないじゃないか、つるつるお肌の獣人が同時に存在する可能性だって普通にある。

 そんな異世界モノだって見たことあるからな。


「…………」


 でもこの異世界は違ったらしい。

 やはりどこを見ても歩く毛皮の見本市だ…… あそこで買い物しているのはチンチ●の獣人だぜ。

 おっと失礼、●は必要なかったな、チンチラだチンチラの獣人。


 そういえば何で異世界なのに未知の動物の獣人が存在しないんだろうな? みんなどっかで見覚えのある動物ばかり、地球の動物ベースの獣人ばかりだ。

 もしかして似てるだけで細部が微妙に違ってたりするのだろうか?


 まぁどうでもいいか、獣人のコトなんて……


「ユリアに質問なんだけどさ」

「はい、なんでしょう?」

耳長族(エルフ)獣人族(ビスト)って仲が悪いのか?」

「はい?」


 西の街には獣人はいなかった、ほとんどが耳長族(エルフ)で偶に人間族(ヒウマ)を見かける程度。

 逆に東の街にはエルフはいない、ほとんど獣人族(ビスト)で稀に人間族(ヒウマ)……

 すぐお隣に住んでいるのに互いの領域に踏み込まないのは……


「街を二つに分けて住み分けをするのは仲が悪いからじゃないのか?」

「あ~…… いえ、そんなコトないですよ? 他所のヒトが見ればそう映るかもしれないですけど」

「そうなのか?」


 てっきり西は資本主義、東は共産主義でもやってるのかと思ってた。

 街並みを見た限り経済格差は感じられないが。


「ただ…… ほんのごく一部のヒト達が仲が悪いのは事実です」

「ユリアは?」

「私は獣人族(ビスト)のヒト達に悪感情はありません、むしろ耳長族(エルフ)の方が嫌いですね…… 魔無(マナレス)ってコトでバイトの時給が他の子より100ディル安かったり、レディースデイなのに通常料金請求されたり、街を歩けば駄肉呼ばわりされたり……」


 う~ん…… まぁ気持ちは分かる、俺も人間族(ヒウマ)には嫌な思い出があるから。


「マスター」

「ん?」

「保護対象の反応見つけた…… 向かってもいい?」


 保護対象…… 魔無(マナレス)か、東側にいるんだから当然獣人……だよな。

 恐らく悲惨な目にあっているであろう魔無(マナレス)を救いたいと思う…… 例え毛深くて俺の好みじゃなかったとしてもだ。

 魔無(マナレス)の保護は俺とベルリネッタにとって決して譲ることのできない最優先事項だ。

 救い出すことに反対意見など無い…… 例え毛深くて俺の好みじゃなかったとしてもだ。


「よし、行こう、なんとしても保護するんだ」

「イエスマスター」


 そうだな、せめて抱き心地のいいモフモフな子だったらいいなぁ…… ただしペット扱いしないよう気を付けよう。



―――



 ベルリネッタに誘導されて辿り着いたのは大通りから狭い路地に入った奥まった場所、ちょっと非合法な商品を取り扱う店がありそうな雰囲気だ。

 その中の一軒、民家には見えないけど看板も出てないし…… あやしい…… ホントにココなの?


「うわ…… ベルリネッタ様、本当にココなんですか?」

「間違いない、この建物の地下」


 ユリアが渋い顔をしている、地下ってコトはもしかしてダンジョンなのか? 魔無(マナレス)が好きこのんでダンジョンに潜るとは思えないが。


「ユリアはここが何だか知ってるのか?」

「えぇっと…… 扉の上に黒い札がさがってますよね?」

「あぁ、あれは?」

「あれは奴隷売買の許可証です」


 ほほぅ、奴隷ねぇ……

 確かに圧倒的弱者である魔無(マナレス)が奴隷になってても不思議はないな。

 俺も奴隷落ち一歩手前まで行ったし、ユリアもヤバかったみたいだからな。


 …………


 いかんいかん、ケモノ娘には首輪が似合いそうとか思っちゃった。

 もちろん開放するつもりだぞ? 同じ魔無(マナレス)だし、奴隷には嫌な思い出があるからな。


「つまり保護対象は奴隷として売られてるのか、ちなみにいくら位するのかな?」

「あ~…… 自分で言うのもなんですが魔無(マナレス)の奴隷なんて大した値段つきませんよ?」


 ですよね~


「ここは合法の奴隷商ですから高くても10万ディルくらいじゃないでしょうか?」

「奴隷商に合法・非合法ってあるんだ?」

「そりゃありますよ、正規の奴隷にはちゃんと雇用期間が定められてますから」


 雇用? あれ? 奴隷の話してたんだよね? もしかして派遣労働者と勘違いしてる?


「ちなみに一番高値がつくのは非合法の奴隷ギルドでオークションに賭けられた時らしいですよ」

「え…… なんでそんなに詳しいの? 奴隷マニア?」

「何ですか奴隷マニアって? 私は……ほら、借金でいつ奴隷落ちするか分からなかったから一番高く売る方法を調べたことがあっただけです」


 なんて悲しい過去…… 人生綱渡り過ぎる。


「ちなみに…… 最低落札価格5,000ディルからって言われました…… フッ……」


 そういうとユリアは自傷気味に笑った……


 それは…… たぶん耳長族(エルフ)の奴隷商だったんじゃないか? 彼らは駄肉に価値を見出せないからな。

 もしアヴァロニアでユリアを奴隷オークションに賭けたらきっと最低落札価格は1千万ディルくらいになったんじゃないだろうか?

 ユリアの胸にはそれくらいの価値と希望が詰まってる! ……と思う。






《特別解説》

『チンチ●』

 齧歯目チンチ●科チンチ●属に分類される齧歯類。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ