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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 異世界転移/トリップ 編 ――
11/175

第11話「今すぐアプリをダウンロード!」


 《万能地図(マップ)

 《固有走査(スキャン)

 《保存領域(ストレージ)


 要するにグーグ○マップ、検索、ストレージサービス……と言ったトコロだ。


「そういえばベルリネッタはさ……」

「?」

「最初会った時、謎言語使ってたのにいつの間に日本語覚えたんだ?」


 今ベルリネッタが喋ってるのは日本語だよね? もしかして自動翻訳機能みたいなのがあったりするのかな?


「マスターの荷物から言語を学ばせてもらった……」

「荷物?」


 あぁ、そういえば辞書が入ってた、しかし僅かな時間で言語を一つマスターしたってのか、さすがSF超科学力!

 SFと言えば大抵の矛盾や理不尽は許されるからな。


「じゃあ発音は? 多少拙いけど違和感が無いけど?」

「それはマスターの携帯端末から、動画や音声データがたくさん入ってた」

「スマホにアクセスしたのか? じゃあこれで地球と通信したりはできないかな?」


 異世界から動画配信とかしたら結構な稼ぎになるかも知れない。

 いや、別に俺の将来なりたい職業はユーチューバーとかじゃない、そこまで夢見る少年でもないし現実見えてない少年でもない。

 むしろベルリネッタで∨チューバーやった方が…… ま、ソレはどうでもいいや。


「次元が隔絶してるからムリ、さすがにその要求には応えられない…… ゴメンナサイ」

「あ… いや、こっちこそムリ言ってゴメン」


 そりゃそうだ、自宅に連絡可能な異世界モノなんて見たコト無い。

 でもネットくらいは見たかったな。



 さて…… ちょっと真面目に考えよう。


 ………… ハッキリ言って《ストレージ》以外は微妙だ。

 《マップ》と《スキャン》は情報を可視化するモノだ、ぶっちゃけ無くても生きてける。

 だが《ストレージ》は色々な用途に使える、他の二つと違い物理的に現象を引き起こせる、コレをうまいこと使えば魔法っぽい事ができるってハズだ。

 つまり魔無(マナレス)ということを隠せる……かもしれない。


 ただ異世界人ってやつはデフォルトで魔力探知みたいな能力を持ってることがある、そういうのがいるとウソが一発でバレるんだよなぁ……


 そもそも前提として、共有できる機能は当然ベルリネッタも同時に使用できるんだ、情報系の機能だったらベルリネッタが調べて口頭で教えてくれるだけで良い。


 空中に浮かぶ半透明のウインドウに情報が表示されるのはちょっと憧れるけど……

 ただソレをやりたいが為に《マップ》や《スキャン》を選ぶのは馬鹿げてる。


「ちなみに《ストレージ》…… 正確には「時空間干渉システム」と言う、そこへのアクセス権、全エクスマキナの中でも本機を含めたった2機にしか権限が認められていない…… 非常に特別な機能」

「ほぅ?」


 いいね、ユニークスキルっぽくてそういうの好きだ。


「ただマスターは人間、だからそれらの機能を完全に使いこなすにはちょっとしたオペが必要」

「え?」

「具体的に言うと、脳にチップを埋め込む必要がある」

「…………」

「開頭手術をおこない前頭葉に送受信チップを埋め込む、そうすることによって考えるだけでそれらの機能を自由に使用する事ができる」


 …………


 そう言うコトは先に言っといてよ……

 開頭手術とかヤダよ、怖いよ、そうだよビビりだよ。


 確かに何かしらの操作をしなければ機能を使えないのは当然だ、特に収納物の選択はどうやってするんだ?って話だよな。

 でもだからってさぁ……


「あのさ…… 手術しないで使う事ってできないのかな?」


 SFなんだからワザワザ頭開かなくてもちっこい穴開けて手術とかできないの? 宇宙人に拐われた人たちは本人も気付かぬ内に体の内側に極小チップ埋め込まれるモノだよ? ×(バツ)ファイルで見たから知ってるんだぞ!

 最悪諦めるのもアリだ、最初からそんなモノは無かったと思えば後悔もしないさ。


「手動操作もできますが…… 使いにくいよ?」

「できるの?」

「イエス、マスターの携帯端末、そこに専用のシステムを入れれば手動操作も可能」


 えぇ~…… そんな「今すぐアプリをダウンロード!」みたいなお手軽な方法があるなら最初からそっちを提案しといてよ……


「それでいい…… てかそれがいい! 手動操作でお願いします」

「いいの? チップを埋め込んだ方が使いやすいよ?」

「うん、いいの…… スマホ操作は慣れてるから」

「そう…… 絶対チップ埋め込んだ方が使いやすい……と思うです……」


 ベルリネッタはドコとなく不満そうだったが、手動操作で押し切った。

 そんなに俺の頭を開きたいのか? 脳ミソなんか見たって楽しいものじゃないだろ、キモいだけだ。

 そりゃ考えるだけで使える方が便利だろうさ! でも嫌なんだよ! だってこえーじゃん!



―――


――




 その後、お互いの知り得る情報を出し合った、何をするにもまず情報が大事だからだ。


 とは言え、俺の持ってる情報など大したものは無い、お姫様とその他少数から与えられた僅かな情報だけ、殆んど何も知らないと言っていい。

 こうなってくるとベルリネッタの情報が頼りなんだけど…… まぁ…… あまり期待してはいなかったのだが、案の定、ベルリネッタもこの世界の常識に疎かった……

 そりゃ1000年もこんな所にひきこもってて情報通になれるわけがない、ココにはクリック一つで世界と繋がれる便利な箱は無いんだから。

 むしろ僅かながらでも盤面世界(プラニティア)の情報を知っている事の方が驚きだ、その理由は……


「ここを訪れた冒険者の遺品から情報を仕入れてた」

「遺品……」


 まさか…… うん、聞かなかった事にしよう。


「あ、私が始末したんじゃない、行き倒れていた冒険者……の物」

「あぁうん、だと思ってた」


 よかったぁ、ぶっちゃけベルリネッタが「汚染体は消毒だァ!!」とか言って冒険者をぶっ殺したのかと思った。

 そうか、違うのか、うん、よかったよかった。


「でもそれってココの魔物は冒険者が返り討ちにあうほど強いってことなのか?」


 ランクは下から2番目ってリア充どもが言ってた気がするんだが?


「無限砂漠は魔物が殆んど生息していない、このダンジョンにやって来ること自体はさほど難しくは無い……と思う。

 でもダンジョン…… すごく深い、一部陰界に繋がっている、非常に汚染度が高い魔物が沸くことある、それらはこちらで処理してた」


 なるほど、元々は高ランクのダンジョンだったがベルリネッタが害獣駆除してたのか。

 そうやって純血種が来る確率を少しでも上げていたのかもしれないな、なんて涙ぐましい努力、まったく実らなかったみたいだが……


「へ~…… というか、今ちょっと聞き捨てならない言葉が…… あのさ「無限砂漠」ってナニ?」

「この洞窟の外に広がっている砂漠のコト、なんでも《六大厄災》の一つに数えられてる……とか、確か《無限砂漠・グラスディタース》って……」


 おぉぅ…… 六大厄災っ!

 俺なにか悪い事したっけ? どんだけ試練てんこ盛りでやってくるんだよ! しかも試練くぐり抜けてもレベルアップするワケじゃ無いしさ!

 だが砂漠に魔物が殆んどいないというのは朗報だ、洞窟を出てしまえば危険度はグッと下がる。


 問題はダンジョンを出るまで俺の命があるか……ってトコだ。


 確かに俺は強力な力を手に入れた、ハイオーク大先輩をよそ見しながら倒せるほどの力だ。

 しかしそれは俺自身が強くなったワケじゃ無い、肝心の俺は相変わらずスペランカーレベルさ、膝の高さから落ちても致命傷になりかねない貧弱さだぜ。

 いくら優秀なボディーガードがいても俺自身の防御力がもう少し高くないと早晩死は免れないだろう。

 そうなるとやはりArkの超科学力に期待しちゃうワケだ、俺がちまちまゴブリンを殺して回ったところでレベルは上がらないんだから仕方ない、筋トレしたってたかが知れてる。


「なぁベルリネッタ、外に出る前にできれば用意して欲しいモノがあるんだが……」

「なんでしょう? マスター」

「ズバリ! パワードスーツはないだろうか?」

「パワードスーツ……?」


 SFでは小型の宇宙生物と近接戦闘するのに人間の身体能力では全く役に立たない。

 例え重火器で対抗したとしても、何百発も鉛弾打ち込んでも大した効果が無いなんてのもよくあるパターンだ。

 そこで登場するのがパワードスーツ、長い修行やゲーム的レベルアップを必要としない、一般人が超人的な力をお手軽に入手できる素敵アイテム!

 作品によって様々なパワードスーツが存在している、小型のロボットみたいなパワードスーツに乗り込むケースもあれば、ピチピチの全身タイツを身に付けるだけで身体機能を100倍くらいにアシストしてくれる物もある。

 アニメ的巨大ロボットだって乗り込んでいればパワードスーツと言っても過言では無いハズだ。


 できれば全身タイツのがいい、小型だろうと大型だろうと、ロボットに乗って日常生活は送りづらいからな…… コンビニ行くたびに自転車代わりにロボットに乗って行ったらSNSに写真がアップされまくる。

 つーか店に入れねーよ、フルフェイスヘルメットのライダーより怪しいじゃねーか、いや、怪しいとかのレベルじゃねーな、警察か自衛隊呼ばれる……


 すでに迫害された経験がある以上、たとえ街中でもノーガードで出歩くのは危険だ、白川先輩みたいにいきなり後ろから斬りつけられる恐れだってある。

 と、いうワケで貧弱な僕は防御をガチガチに固めておきたい、痛いのは嫌だからね。


「今の俺じゃゴブリンの攻撃で致命傷を負いかねない、防御力を何とかしないと迂闊に外に出るコトもできないんだ」

「む…… ゴブリンの攻撃で致命傷を負うのは貧弱すぎ、マスターの無事の為にも何か準備が必要」


 そう、俺はもう怪我を負うワケにはいかない。

 治療用ナノマシンが無い以上、もし重傷を負った場合、使用されるのはベルリネッタの体表面を構成している特殊ナノマシンだ。

 ナノマシンを消費すれば見た目はガリガリにやせ細り、どんどんチビッ子になっていくだろう。


 それは良くない、非常に良くない!

 ただでさえ女の子を戦わせるのに、その子がガリガリにやせ細っていたら対外的に良くない。

 世間からは外道として見られるだろう。


「それじゃ出発は明日の朝…… ということでいい? マスターの生命維持対策はそれまでに用意する」

「あぁ、ありがとう」

「お礼……必要ない、マスターを守ること、今の私の存在理由」


 ………… いや、お礼はちゃんとしよう、俺達はご主人様と奴隷じゃないんだ、反乱とか起こされない程度には気付かって行こう。






《特別解説》

『×ファイル』

 某国で人気だったオカルトを扱ったドラマシリーズ、「モルダ◯、あなた疲れてるのよ」。


『スペランカー』

 洞窟探検家の意、日本では虚弱体質の代名詞みたいになってる。

 膝の高さから落ちたら致命傷、下り坂でジャンプするなんて以ての外。


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