表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/77

第72話:自己紹介

 道先案内として新たなる搭乗者エルザを乗せで、“ハルク式荷馬車(チャリオット)・参式”は出発。第二階層に降りていく。


「えーと、彼女は『ケンセイ=エルザ』さん。ボクの縁のある人で、この下の階層で“怪しい人影”を見たらしいので、そこまでの案内してくれます」


 新しい搭乗員のエルザのことを、ボクは運転しながら紹介する。


「ほほう、今の代の《剣聖》か。その武具を見たところ、かなりの使い手じゃのう」


「えっ、《剣聖》って、あの大陸でも有数の剣士の称号の⁉」


 紹介を聞いて、ドルトンさんとサラはなに驚いている。ちょうど運転しているので、ボクはよく聞こえない。

 次は二人のことを、エルザに紹介する。


「この二人はハメルーンの鍛冶職人のドルトンさんと、《マーズナル魔術屋》の孫娘で魔術師見習いのサラ。二人ともボクの仲間さ」


 運転しながら同じように二人を紹介する。


「ん? ドルトン、っていう名でドワーフ鍛冶職人? もしかして、あの凄腕の鍛冶師《鉄腕》ドルトン⁉ それに、ハメルーンの《マーズナル魔術屋》って、あの伝説の《青髪の大魔女》マーズナル⁉ その孫娘の魔術師⁉」


 二人の紹介を聞いて、今度は赤髪の少女エルザが声を上げる。なにやらドルトンさんと、サラのお婆ちゃんの名前を知っている様子だ。


 ボクも気になるけど、ちょうど下り坂で運転に集中している。三人の話に入っていけない。


「ふん。《鉄腕》とは随分と懐かしい名を、若いくせに知っておるのう、剣聖の嬢ちゃん」


「わたしの師匠……《剣神》バルザックがあなたの剣の愛好家だから、知っていたのよ。でも《鉄腕》は引退説や死亡説もあったのに、どうして、こんな所に⁉」


「ハメルーンの片隅で日用品を静かに作っていたら、そこのとんでも小僧が、いきなりやってきてのう。気がついたら、こんな所にいたのじゃ、がはっはっは……」


 ドルトンさんは何やら笑っている。一人で運伝しているボクの方を見て、いったい何を話しているのだろう。


「はじめまして、わたしはサラといいます。エルザさん、よろしくお願いいたします。たしかに祖母は昔《青髪の大魔女》って呼ばれていたみたいですが、私はまだ見習いの魔術師なので、そんな凄くはないです」


「はっはっは……何を謙遜しているのじゃ、サラ嬢ちゃん。ワシの目が間違いなければ、マーズナルを超える魔術師になる逸材じゃぞ、嬢ちゃんは」


「あの伝説の《青髪の大魔女》マーズナルを超える逸材⁉ たしかにサラ。あなたから普通ではない潜在魔力を感じるわね」


「そ、そんな《剣聖》であるエルザさんに褒めてもらえるほどの、才能はありません。だって、魔術は未熟で、特技といったらポーション作りくらいしかなくて……」


「ガッハッハ……あのハルクの“とんでもない注文”に即座に対応して、こんな凄いポーションを何種類も簡単に作り出しておいて、まだ謙遜するのか、嬢ちゃん。ワシの知る限り、これほどのポーションを作れるのは大陸でも、サラの嬢ちゃんかマーズナルの婆さんくらいなもんじゃぞ」


「あの伝説の《青髪の大魔女》マーズナルと同等のポーションを、その若さで既に作れる⁉ なるほど、サラ、やっぱり私の目にも狂いはなかったのね!」


 何やら後部座席で、三人は互いに認め合って盛り上がっている。

 ボクも話に混じりたいけど、まだ難しい道で運転の最中。ところどころ耳を傾けながら、聞いていくしかない。


「ねぇ、ところで、アイツ……ハルクって“何者”なの⁉ さっきは誤魔化されたけど、私の勘が間違っていなければ、魔人将ベリアルと“暗黒古代竜エンシェント・ドラゴンバルドス”を倒したのは、間違いなくハルクなのよ⁉」


「ガッハッハ……やっぱり、その質問がきたか。なぁ、エルザ嬢ちゃんよ。魔人将ベリアルとやらのことはよく分からないが、その勘は間違いなく当たっているじゃろう」


「やっぱり! でも、それなら、どうして、ハルクは無名のままなの⁉」


「嬢ちゃん、よく聞け。世の中には《剣聖》や《鉄腕》程度では計り知れない、とんでもない存在の奴もおるのじゃ。それが、そこにいるハルクという男なのだ」


「えっ……け、《剣聖》だけじゃなくて、《鉄腕》の称号を持つアナタでも計り知れない存在⁉ そ、そんな……危険な存在だったの、ハルクは⁉」


「エルザさん! ハルク君はたしかに凄い力を持っていますが、危険ではないです! 今までも困っている人を助けたり、ハメルーンの市民を守ってきたんです!」


「サラ……あなたまで……なるほど、そういうことなのね。分かったわ。私もハルクのことを追求するのは、今は止めておくわ。あの《青髪の大魔女》の後継者と《鉄腕》ドルトンにここまで言われたら……ね」


 何やらエルザの雰囲気が変わる。先ほどまでは刺々しいかった雰囲気が、少しだけ和らいだ感じだ。

 サラとドルトンさんと話すことで、彼女の中の何かが変わったのだろう。


 エルザは後部座席から、ボクの隣の席に移ってきた。


「でも、ハルク。覚えておいてちょうだい。この鉱脈のことが落ち着いたら、必ずアンタのことをはっきりさせるから! それまでの協力関係ということだから!」


「あっはっはっは……こちらこそ、よろしく、エルザ」


 よく分からないけど、正式に赤髪の女剣士エルザの協力が得られた。ちょうど荷馬車も第二階層に降りたので、彼女の道案内の協力が有りがたい。


「ところで、さっきから気になっていたけど、この乗り物はなんなの? “荷馬車”って言っていたけど、馬はいないのに、勝手に走っているような気がするけど? しかも下の階層に降りたのに、魔素と重力の苦しさが、全然ないんだけど?」


「よくぞ聞いてくれたね、エルザ! 実はこれは“ハルク式荷馬車(チャリオット)・参式”っていって、ミスリル・モーターを原動力にして……」


 ボクは運転しながら“ハルク式荷馬車(チャリオット)・参式”について、細かく説明していく。


「うっ……難しすぎる説明で、頭が割れそうね。よく分からないけど、この中にいる限りは安全なのね! それは嬉しいわ!」


 エルザはあまり深く考えない性格なのだろう。超魔具の説明も半分も聞かずに、勝手に納得してくれた。

 今は時間がないから有りがたいけど、超魔具について詳しく説明できないのはボク的には少し寂しい。


「ん? あの坑道に入っていった先よ、ハルク! 次は右よ!」


「あの先か……わかった!」


 そしてエルザの案内で目的の場所、怪しい人影がいた場所へと向かうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い パーティー全員才能に溢れてるのがわくわくする
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ