家臣団
仕事が忙しすぎて時間が無かったです
申し訳ございませんでした
2009年10月4日
大征洋沖合 二等客室 午後1時
「T-26モドキにBTシリーズか...」
午後1番にワイバーンを使って届けられるワイバーン便で届けられた資料に書かれていたのは前世のソ連で開発された軽戦車だった
「強いの?」
「いんや、確か使ってたガソリンエンジンの発火性の高さと走行の薄さから弱い位かな、それでも歩兵支援とか偵察とかの補助戦力としては良いと思う、帝国だと『アルゼル』とかR-10『ヘッツァー』とかが大体その辺りかな。」
ベットで寝っ転がっていた俺に暇潰しで本格的な踊り子の恰好をして踊りの練習をしていたアルテが伸し掛かってきた
「こっちでも相変わらずガソリンエンジンか、まあディーゼルはもう暫くしてからじゃないと採用しなさそうだね。」
あまり動かさないだろうから維持費用が安く済むガソリンエンジンが採用されるのは当たり前の事だろう...まあ一番の理由は
「帝国軍はディーゼルエンジンだけどね。」
「感情的に敵対国と同じエンジンは使いたくないか。」
感情的な面だろう、前世ではナチスとソ連は最初は仲が悪くはなかったがこの世界では最初から宿敵同士でいつ開戦しても可笑しくはなかった...まあ前世でも結局戦争になった事から結局は戦う事になるのだろう
「にしても暇だ、さっさと着かないかねぇ。」
今考えてもどうしようもないから仕事の話を切り上げる
そんな俺に伸し掛かりつつのんびりとアルテは俺の髪を弄り始めた
「...弄りすぎて禿になるのは御免だぞ。」
「その時は毛根を再生させるから安心して、それよりも聞きたいんだけど。」
その言葉でアルテの雰囲気が変わった
「なんか変な人達いない?」
「春月家の元家来衆じゃないかな、例の忍者衆だと思うよ。」
途中生鮮食料を補給する為にという名目で急遽寄港した共和国の小さな港町で乗り込んできた一団だった、基本的にビジネスマンや金持ちの旅行者風の外見だったが気配を消すのに慣れすぎていて怪しまれない様に気配を出している雰囲気が出ていた
「まあ俺達に気付かせるためにワザと目立ったんでしょ、晩飯の時に挨拶に来るでしょ。」
「はーい。」
アルテの体温の温もりを感じる内に眠くなってきたので一眠りする事にする
そして昼寝した後筋トレをしていたら何時の間にか午後6時、晩飯の時間になったので食堂に行ったのだが別部屋の和風部屋に通された
そこには
「御初に御目に掛かります...春月家家臣団忍者衆筆頭頭目、影正と申します...この者は凜で御座います。」
「凜で御座います。」
40代ほどの初老の男と身長2メートル20センチはある美女が着物を着て正座をし頭を下げていた
一先ず俺とアルテはその2人の前に座る、ヨーロッパ風の普段着の俺達2人の前に着物姿の男女が土下座しているのは何とも違和感があった
「初めまして、話は聞いているし陰から俺を守ってくれていた事は知っているよ...皇国政府に対し謀反を企てた一族の者に見切りをつけた親父に最後まで付き合ったのが忍者衆だったか。」
「はい、若様の父君と母君で在らせられる江政様と幸様の命に従い、他の春月家一族の謀反の証拠を集め提出致しました、江政様が責を取られ幸様を連れ帝国に渡った後は帝のから賜った任を果たしております。」
頭を上げた影正は鍛えに鍛え抜かれた肉体を持ち何とも渋いルックスで、凜は澄み切った水表現が出来る位の途轍もない美人であるがそれ以上に鍛え抜かれた体と長身に負けない程の体付きが目立った
「そうか、それで今日はどうした? てっきり秋津洲に着いてから会いに来ると思っていたが。」
「それが至急お伝えしなければいけない事が分かりまして...連邦が準備を、北方連合に。」
北方協商連合
帝国北部に位置する小国の連合で、古くから帝国と交流がある重要な貿易相手だ
「数は?」
「およそ200万、戦車も航空戦力も多数。」
「赤軍の総戦力の5割で殴りに行くのか、こりゃ帝国も支援に動くな、友好国兼緩衝地帯が無くなるのは不味い。」
そんな中影正が1つの手紙を差し出してきた
「しかしながら連邦内部でも不穏な動きが。」
「大方あれだろ、筆髭の奴が軍の粛清に乗り出したな。」
「正しくその通りで御座います。」
どうやら少し驚かせたようで影正は少しばかり目を見開いた
「まあその辺はまだ動けないな、一先ず情報を集めてくれ...そうそう、アルテ。」
「はい。」
俺の言葉にアルテはすぐ目的の物を手渡してくれた
「最早主君で無いのに関わらず春月家に忠義を尽くしてくれた事に報いたい、俺が持つ財産の8割を受け取れ。」
「御屋形様! 我々は既に褒美を受け取っております!」
「それは親父が皇国を出る時に渡した財産類でそれはそれまでの給金としてだ、これとこれとは話が違う。」
「しかし!」
それから暫く言い合ったが結局決着は着かない
なんせ両者共に財産を渡したがっているからだ、俺は家臣団に対する給金として渡そうとし、影正達家臣団は親父から渡された財産で商売を起こし成功しており親父に対する忠義があるからだ
その結果
「では本日から末永くよろしくお願いします旦那様。」
「よろしく、なんかあったらすぐに言ってくれ。」
「はい、畏まりました。」
紹介された凜が側室兼護衛として仕える代わりにその分財産を渡す事で決着した
元々はくノ一として育てるつもりだったらしいが、凜は純血種と呼ばれるエルフ並みの寿命を持つ事に加えその体格の発達と男集団に囲まれて育った事から、くノ一よりも侍としての能力が高く護衛に最適だったらしい
それだけなら良かったが、恐ろしく強くなり嫁の貰い手が居なく困っていたとの事でそれなら俺に使えさせて子種だけでも貰う...性処理役とでも考えていたらしい
「まあそんな事俺が許す訳無いけどな、それなら正式に娶る。」
「私としましても旦那様の様な可愛らしい方に娶って頂けるなら嬉しいです。」
因みに今は夜でしかも俺の部屋に2人きりである、アルテは明日凜を食べるつもりらしく今日は俺に譲って別の部屋で寝るらしい
その結果既に俺は肉食獣としての本性を剝き出しにした凜に押し倒されていた
この日俺は俺自身の手駒と頼りになる護衛の両方を手に入れる事が出来たのである