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バッドエンド・ガールズ  作者: 青波 縁
第五章:真世界帰閉ノ扉
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017 ブレブレな過程


 や、やっと続きが書けました。

 更新遅くなって、申し訳ないです。


 前回のあらすじ


 ● 決意を固めた勇貴が影絵たちに襲われピンチなところを火鳥たちに助けられるものの、謎の男『ウェイトリー=ウェスト』の魔の手が迫る。


 それでは、本編をお楽しみ下さい。



 カタカタカタ。

 幾つものモニターが支配する部屋で、キーボードに打ち込む音が響いている。


 ジジジ。

 否、二人の少女がその部屋で何かをしていた。

 一人は、黒髪の少女はモニターへ向かってテキストを打ち込んでて。


 「これで、良かったんですかね」


 もう一人の少女、栗色の髪の少女はその後ろで立ってぼやいてる。

 すると、只管にテキストを打ち込んでいた黒髪の少女が言葉を返した。


 「良かったさ。良かったんだよ、真弓」


 カタカタカタ。

 カタカタカタ。


 機械的に文字を打ち込む少女の姿は、今にも消えかけだった。

 所々にノイズが入って、活動限界を迎えようとしているのは明らかだ。


 それを我慢しても尚、叶えたい願いがあるのだとその背中が雄弁に語っていた。


 「ですが──」

 「……どうやら、キミは何か勘違いをしているね」


 『名城真弓』と呼ばれた影絵の少女は、不安げに黒髪の少女を見つめてる。

 黒髪の少女は、テキストを打ちながら彼女の不安を吹き飛ばそうと言葉を重ねた。


 「確かにボクらの戦いはキミによって台無しにされた。六花は暗闇に呑まれ、その存在を改竄されてしまった。──けど、ね。キミが関与しようがなかろうが、遅かれ早かれそうなった事実は変わらなかったよ」


 カタカタカタ。

 カタカタカタ。


 テキストが打ち込まれていく。

 それが希望となるかどうかは分からないが、必死で打ち込む少女の顔は真剣そのものだ。


 「……良し、これで完成。うん。流石、ボク。良い具合にジャミング出来てる。これなら、見えたところで『囁き屋(あの女)』もそうそう手が出せないね」


 画面に見える文字列が何を指すのか、真弓には理解出来ない。

 だが、その文字列を良さげに見つめる少女の言葉を彼女は信じるしかなかった。


 「良いかい、真弓。ボクら、残留思念(ヒロイン)はね。きっと、彼に寄り添うだけの慰み物だけじゃないんだ」


 キィっと椅子が傾く。

 黒髪の少女は、優し気に真弓を見つめていた。


 「実際、それだけならこの感情は不要でしかない。それは、このシステムを作り上げた創造主、『魔導魔術王(グランド・マスター)』は絶対に取り除かなければならないバグに他ならないんだ」


 ジジジ。

 ノイズが走る。

 少女の身体にクラッキングの傷が広がっていく。


 「そうさ。知恵だけでは、この地球は人類を赦しはしなかった。感情という概念を持ち合わせていたからこそ、人類は地球という惑星の意志と共存することを可能にした。この世界は、そんな幾つもの感情によって複雑に絡み合って生存を赦されてきたんだ」


 「────」


 よく分からない理論を振りかざす少女は、真っ黒になっていく。

 それを只、真弓は眺めていることしか出来なかった。


 「そんな世界に赦されない大罪を犯そうとする人間がいる。奇跡を可能にしようと藻掻く愚者がいる。その願いは、きっと誰も救わないのに叶えようと足掻く姿をボクたちは理解させられて来た」


 腕が、脚が影絵たちに蝕まれていく。

 そんな現状を何でも無さそうに振舞う誰かは、辛いだろうに立ち上がった。


 「時間だ、真弓。そろそろ行かないと、彼の座標が見えなくなってしまうよ」


 夢を託すように、黒髪の少女は微笑む。


 「ごめんなさい、飛鳥さん」


 その微笑みに真弓は俯きながらも、少女の言葉に否定もしない。


 「……それより頼んだよ、真弓。もう一度、彼に果てのない空を見せてあげて」


 カチカチカチ。

 黒髪の少女、──尾張飛鳥はそう言って旅立つ少女を見送った。


 これは、只の記録(ログ)

 誰の記憶にも残らない、少女たちの足掻きである。


 ◇


 「ウ、ウウウ、ウウウウウ、ヴォオオオオン!!!」


 耳をつんざく咆哮を上げる、獣の(アギト)

 だらしなく唾を垂らす怪物は、存分にその巨体を駆使して部屋に向かう勇貴へ襲い掛かった。


 「させるかよ!」


 右腕を構え、自身に備えられた固有能力(アビリティ)を発動する。

 すると、落書き染みた怪物が炎に包まれる。


 「ギギギ、ッシ、シシシャア!!!」


 だが、怪物は止まらない。

 寧ろそのまま獅子の腕を振るおうと、焔に衰えることなく進み続ける。


 「必殺の魔弾、受けて下さります?」


 タン、と乾いた銃声。

 同時にブン、と振るわれる虹の極光。


 どちらも当たれば、必殺の一撃。


 「──ッチ! 鬱陶しい!」


 だが。

 そんな一撃を前にしても、ウェイトリー=ウェストは止まらない。

 鬱陶しそうに蚊を払う仕草をする。


 ──瞬間。


 「な、何ですと!?」


 シェリアが驚愕する。

 それもその筈、そのワンアクションで放たれた魔弾が掻き消されたのだ。


 「ヴォオオオオン!!!」


 そして、放たれた極光を咆哮で掻き消す怪物。

 衝撃でグラグラと揺れる寮館。


 禍々しいオーラを見せつけるそれは、涎を垂らしてオレたちをニタニタとあざ笑う。


 「──っ」


 確かに必殺の一撃を防がれたのは絶望的だと言えよう。

 けれど、シスカの一撃で怪物の意識を逸らせたのだから御の字と言うもの。


 「まだだ!」


 身体に全神経を集中させる。


 ゴウッ!

 全てを焼き尽くす業火をウェイトリーへと顕現させる。


 「バカの一つ覚えだな」


 ウェイトリーがオレを見る。

 怪物の制御もロクにせず、部屋へと向かう勇貴からオレたちに意識を向けてくれた。


 良かった。

 相変わらず見透かしたような慢心がウェイトリーに残っていることに感謝した。


 「まだ始まったばかりだぞ、ゴミ共!」


 ウェイトリー=ウェストが叫ぶ。

 白衣を靡かせ、腕を突き出す仕草を取った。


 ドクン!


 「「「──っ!?」」」


 空気が変わった。


 「さあ、喰らい尽くせ!」


 背筋が凍る。

 怖気が走る。

 自分が、火鳥真一は蛇に睨まれた蛙となった。


 「──っヤベェ!」


 自分の中の第六感を信じ、ウェイトリーの視界から逃げるよう半身を捻じったが──。


 ジャリリリ!


 無骨な鉄杭が伸び、数多の鎖が空間を軋ませる。


 ガブッ! ガブッ!


 そして、世界が不可視の怪物に食われていく。


 「ククク! 長靴を履いた猿には理解しようのない話だった。盲目な住人には見えない現実だった。出鱈目な構想には、在りもしない知能だった──」


 ウェイトリー=ウェストが謳う。

 神を目指した愚か者が、現実(ユメ)を侵食する。


 「さあ、我を崇めよ。『混沌世界暴食リアル・ワールド・グラトニア!!!』


 白衣が靡く。

 くすんだ金髪が風に浚われる。


 それだけで終わった。

 それだけで、ウェイトリー=ウェストがこの現実(ユメ)を支配した。


 「──っぐぅ!」

 「キャアアア!」

 「グゥアアア!」


 オレたちの意識が堕ちていく。

 この現実(ユメ)から強制退場させる離れ業は、暴食の権能(タイプ・パイル)によって果たされる。


 そう。この鉄杭(チート)からは逃げられない。

 あれこそ、現実を改竄することに特化した魔導魔術。


 「ククク、アーッハハハ! 理解したか、ゴミ共! 神である我に逆らうことの愚かさをなぁ!!!」


 最悪最強の承認欲求の魔術師、『人形男』は夢から退場するオレたちに向かって叫んだ。


 ◇


 カチカチカチ。


 打ち込まれていく無数のテキスト。

 アンバランスに調整されるデータが嚙みあって、舞台を築く。


 「──またか」


 何度も見た光景。

 ブレブレな過程から紡がれる偶然が、約束された結果へ愚者を誘う。


 「ああ、つまらない」


 神様は退屈そうに、呟いた。


 「本当に、つまらない世界だ」


 全てが無駄と分かったら、■■■■はまたやり直す。

 そうあることを、『外なる神』は知っている。

 そうでなければ、神父はこの世界が始まらなかったと嘆いている。


 「やはり、もう一度『真世界帰閉ノ扉(パラレル・ポーター)』を開かねばなるまい」


 画面越しの愚か者を見つめて、ナイアルラトホテップは次の工程を急ぐのだった。



 次話の投稿は未定となっております。そんな作品が面白い、続きが気になる、応援してると少しでも思ってくださったら画面下の☆からポイント入れて頂けると嬉しいです!

 批評、アンチ何でも励みになりますのでよろしくお願いします!


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