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バッドエンド・ガールズ  作者: 青波 縁
第一章:欠ける記憶、日常再生
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006 夢?


 最初に耳にしたのは少女たちの声。


 「一端末とはいえ、外なる神に頼ったのは失敗だったかもしれません」


 何処かで聞いたことのある声が寝ている僕を中心に会話をしているみたいだった。


 「ですが、それしかワタシたちには方法が無かったとも言えます」


 片言の少女の声に涙が出そうだった。

 彼女たちが大切なものだと頭の中の何かが訴える。

 立ち上がろうとも僕の身体は言うことを聞かない。

 こんな時に何も出来ない僕。

 自らの煩わしさには苛立ちが(つの)るばかりだ。


 「どうせ後戻りは出来ないんだ。今更、後の事を考えても仕方ないだろ」


 男勝りの少女の声が仕方ないと言う。


 これは、三人の少女たちの話を聞くだけの夢だ。

 いつになったら、覚めることになるのか解らない永い夢でしかない。


 「それもそうですわね。というか、大丈夫です? アナタ、外なる神に攻撃されているのではなくって?」


 その場で(うずくま)ることしか出来ない僕。

 憐れな芋虫は、いつ(さなぎ)となって蝶に至るのだろう。


 「クスクス。そうなんですよ。実はあちらさんにかなり権限が持ってかれてるんですよねー」


 はっきりと声だけは聞こえる。

 何かをしなくてはならないのに、身体はまだ動かない。


 「ふん。アタシにすればどっちだって良いことだ。そもそもこっちはアンタらと違って目的が違うんだから、そっちに情報を全て流してやる義理もない。アンタらがそいつを完全な■■■■にしてからが本番なんだし」


 男勝りな少女の声は投げやりだった。

 彼女たちの目的とやらは良く解らないが、それは泡沫(うたかた)のような(はかな)いものに思えた。


 ゴポゴポ。

 ゴポゴポ。


 地に伏せている状態なのに、水の中にいる感覚が僕を襲う。

 足掻いても、足掻いてもそれは変わらない。


 苦しい。

 辛い。


 どうして僕がこんな目に遭わなくてはいけない。

 そんなことを考えてると、そこで僕の意識は切り替わった。


 ◇


 キーン、コーン。カーン、コーン。

 チャイムが寝ていた僕を起こす。


 「本日の授業はここまでにしましょう。シェリアさん、号令を」


 機械じみた口調で女教師は、シェリア会長に号令を指示する。


 「起立、礼! 着席!」


 寝ぼけ眼でシェリア会長の号令に従う。

 どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。

 白昼夢のようなものでも見てたのか、授業を始めてからの記憶が一切ない。

 それほど疲れるようなことはしてない筈なのに、どうしてだろう?


 「やあやあ、今日のユーキはなんだかお眠さんだったね。……そんなに昨晩の巡回が大変だったかな?」


 そんなことを考えてると、累が声を掛けてきた。

 昨晩?

 確か巡回は今日の夜の筈だろうに、累は何を言っているのだろう?


 「いーや、ユーキも運がないよねー。よりにもよってあのシェリアちゃんと巡回することになるんだからさ」


 ニヤつく累。

 その顔を思わず殴りたくなったけど、今の僕は笑うことも出来なかった。


 「いや、その」


 何のことだと聞こうとするも、異様にテンションが高い累に肩を叩かれる。


 「ダーイジョーブ、ダーイジョーブ! 解ってるよー!」


 内心てんてこまいだったけど、累の勢いに流されてしまう。


 まあ、いつものことだ。

 いちいちそんなことを気にしていたら、身が持たないだろう。

 そう思い、考えないようにしようとそのまま累の相手をする。


 この時はそんなことを考えていた。


 ジジジ。

 それは気づかなくてはならないズレ。

 僕はこの時、彼の勢いを押し切ってでも聞かなくてはならなかった。


 暗い底に沈められてるような感覚。

 きっと、それは勘違いではないのだから。



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