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バッドエンド・ガールズ  作者: 青波 縁
第六章:欠落証明
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012 一抹の不安

 ストックが尽きました。

 明日からの投稿は多分、出来なさそうです。


 この第三共環魔術研究所は人類最後の防衛ラインだと呼ばれてるには所以がある。

 それは、外なる神によってもたらされる異能の力を研究しているからだけでなく、それに追従するように多くの技術者が集結しているからだと世間一般では認知されている。


 「すまない、古本。天音から要請が入ったから、悪いが私たちは一旦防衛ラインに戻らせて貰うぞ」


 あれから、黒い騎士とリテイクさんはそう言うと僕たちと別行動することになった。


 「そう、ですか」


 「ごめんなさいね」


 「いえ、大丈夫ですよ。二人でも芽亜莉を救出してみせますのでそちらも気を付けて下さい」


 早くも戦力が欠けてしまったというのに、古本は諦める様子もなく、予定していた作戦通りに目的の場所まで急いでいる。


 「第五エリアに行きましょう。そこで予定通り、対魔導用戦闘飛行機をチャーターします」


 この研究所には主に六つのエリアに区分されて建造されており、今回足を運ぶことになる第五エリアは兵器開発を主に力を入れて取り組んでるのだそうだ。


 しかし。


 「グゥルルルルゥア!!!」


 その道中、むせ返る血の匂いと共に三メートルを超える全長の人型の怪物たちが所狭しに暴れていたのはどうしたものか。


 「無駄な戦闘は避けたいところなのですが──」


 古本は悔しそうに黒い本を取り出す。


 「いや、あれぐらいなら僕でも大丈夫だよ」


 いそいそと戦闘準備する古本を止める。


 「うん? 貴方は何を言って──」


 怪訝な顔をする彼女だったが、魔術破戒(タイプ·ソード)現実化(リアルブート)する僕を見て立ち止まる。


 「まあ、見てて」


 そう言って、構える青と赤の螺旋。


 ドクン。

 心臓が不自然に鼓動する。

 頭に撃鉄が下りるイメージで、かつてしていたであろう誰かの一閃を脳裏に浮かべる。


 「──つぅ」


 ズキン!

 酷い頭痛と眩暈に襲われるも、そいつを無視し今尚暴れる人外たちへ集中する。


 「ぃいいい、──っやぁあああ!」


 青と赤の螺旋の刀身が虹色に輝く。


 「グゥルルル!? グゥウウウルルルゥアアア!!!」


 すると、その様子を見た巨体が一斉に研究所の壁を崩し、僕たちへ向かって来る。

 それは宛ら全てを巻き込む嵐ようで、天変地異の前触れを思わせた。

 だが、僕はそれに臆することもなくその嵐へ向かって虹の一閃を放つ。


 「これでも、──喰らえ!!!」


 怒号入り交じる嵐を虹の一閃が飲み込み、搔き消していった。











 「……まさか、これ程のものとは思いませんでした」


 虹の一閃を放った先はまるで嵐が通過したような荒れようだった。

 パラパラと落ちる瓦礫の山を走り抜けながら、古本はそう言葉を漏らす。


 「ですが、これは負荷蝙蝠(ビヤーキー)には使えませんね。隙が大き過ぎます」


 「うん? それは、どうかな? 溜めの時間さえ稼いで貰えればいけるんじゃないか?」


 「いえ、私たち二人だと難しいでしょう。せめて、リテイクほどの援護が出来る人間が居れば可能なんですが」


 顔を見合わす。


 「まあ、無い物ねだりをしても仕方ありません。今回は先程立てた作戦通りに行きます」


 そう締め括って少女は先を目指し始めた。


 「……うん、そうだね」


 その後を追おうと走り出す。






























 「──キキキ」


 この時、気付きもしなかった。

 走り出す僕たちを見つめる黒いモヤがあることに──。


 ◇


 気が付いたら、あーしは知らない劇場に立っていた。


 「……あ、あれ?」


 カタカタと映像が流れる巨大なスクリーン。

 それを鑑賞する為の客席は無人で、人の気配を感じられない。

 けれど、知らない場所だというのに酷く懐かしさを感じてしまい、何故か胸が痛んだ。


 「此処、何処?」


 周囲を見渡しても、それぐらいしか解らず何の情報も得られそうにない。


 「えーと、確か──」


 自分が何をしていたか思い出そうと眉間に皺を寄せていると、ふとスクリーンに流れてる映像に目が止まる。


 「これ、あーしの記憶だ」


 そう、目の前で流れるそれは間違いなくあーしの過去だった/きゃわわわ! きゃわわわ! 良いですし、良いですよ。さあさあ、早く改竄済ませちゃいましょう。そうしましょう!


 「────」


 両親を失くしてからのあーし。

 施設をたらい回しにされ、転々とする日々はまさに絵に描いたような転落人生で陰鬱になる幼い子供がそこに映ってた。


 不幸を届ける憐れな黒猫のようで嫌になる。

 けれど、スクリーンの中の過去の自分は足掻いてた。

 足掻いて、足掻いて、他人から如何に好かれようと努力していた。


 「──っ」


 傷だらけの子供を助けてた。

 翌日には助けた子供は首を搔ききって死んでいた/ええ、あの時のあの子は楽に始末出来ましたよ。


 預けられた孤児院でイジメに逢った。

 翌日にはあーしをイジメてきた子たちが不慮の事故で怪我を負っていた/きゃわわわ、きゃわわわ! 骨の一本、二本で泣きすぎなんだよ、あの子たち!


 優しく声を掛けてきた親切な老婆もいた。

 翌日にはその老婆が大切にしていた宝物が壊され、生きる希望を失くしてた/良い気味だった。とても気分が晴れました──ええ、本当に。


 誰かの願いを食い物にする人間に腹を立て、義憤に駆られ正しい行いもした。


 だが。


 その翌日には、全部それを帳消しにする不幸が訪れては手の平を返すようにみんな、あーしを疎み続けた/これで気付かないんだから、このあーしも大概逝かれてるよね~。


 何をしても、何を取り繕っても、何に涙をしてもみんなあーしを恐れ避けていく。


 不気味な子供は他人の死に慣れすぎたのか、知人となった亡骸を見て動じない。

 そんな自分を見て大人たちはあまりの恐ろしさに逃げたことがある/全く。レディの顔見て逃げるなんて、本当に失礼しちゃいますよね。


 誰もあーしを救わない。

 誰もあーしの手を引かない。


 それが当たり前過ぎて、あーしの見る世界はいつしか優しさとは無縁になっていた/けれどあーしはあーしで在り続けなくてはいけないと本能(メアリー)が囁くのでした。ちゃんちゃん!


 そんな時。


 「ようこそ、第三共環魔術研究所へ。夢野芽亜莉さん、私の名前は古本ナコトと言います。暫く貴女の案内を任されましたので、よろしくお願いしますね」


 大人たちに連れられ、放り込まれたそこが第三共環魔術研究所だった。

 しかもこの時は生きるということに嫌気が差して大人たちの説明を話し半分に聞いてた為、連れられた大きな施設に何処か不穏なモノを感じていた。


 だから、案内され身構えてた自分の前に連れてこられた緑の髪の少女にそんなことを言われても警戒するに決まってる。


 「すみません」


 「……何よ?」


 古いビスクドールのようだと少女を見て思った。

 それぐらいに整った容姿をしており、中でもこちらを見つめる淡黄(たんこう)の瞳はまるでガラス玉のように綺麗なものだと関心してしまう。


 「いえ、手を差し出してるのですが」


 「──ん? それが何よ?」


 そんな少女を不気味に思ってしまい、とてもじゃないがその差し伸べられた手を取る気にはなれなかった。


 「失礼。こういう挨拶には握手をすると聞いたもので。それとも、貴女はそういうコミュニケーションには馴染みがありませんか?」


 しかも、淡々と機械のアナウンスのように言うもんだから尚更不気味さに拍車がかかった。


 「……ふ、ふーん。あんた、変わってるのね。そんなの別に良いから、早くこの施設の案内っていうのをしてよ」


 故に。

 精一杯に強がり、差しし伸べられた手を無視して部屋の案内を頼んだあーしを誰も責めまい。


 「フフフ、難儀な人ですね」


 無感情に笑う少女。

 その微動だにしない表情筋の顔を見て、「あ、こいつはあーしと同類なのだ」と勘づいた/ああ、これが運命ってヤツですね、トキメキですぅ!


 「ア、アハハ。何それ、キモ。笑うならせめて作り笑いぐらいしなさいよ」


 皮肉を吐き捨てる。

 それがナコっちゃん──古本ナコトとあーしの出会いだった。


 次話の投稿は未定となっております。そんな作品が面白い、続きが気になる、応援してると少しでも思ってくださったら画面下の☆からポイント入れて頂けると嬉しいです!

 批評、アンチ何でも励みになりますのでよろしくお願いします!

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