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バッドエンド・ガールズ  作者: 青波 縁
第六章:欠落証明
131/154

010 正に絶体絶命


 投稿出来そうなので投稿しました。

 よろしければ、どうぞ。



 「ハア、ハア!」


 古本に連れられ、研究所中を駆け回る。


 こんなんで追手となる負荷蝙蝠(ビヤーキー)から逃れられるとは思わないが、それでも懸命に僕たちは奴から逃げ続けていた。


 「取り敢えず、芽亜莉と合流しましょう。彼女の異能なら負荷蝙蝠(ビヤーキー)の身体を消滅させることが出来ます」


 走りながら古本が今後の方針を話す。


 「それには賛成だけど──って、いうかさ! これだけ暴れたのに、この研究所の人たちは気付かないものなの!? 今のところ誰にも会ってないんだけど!」


 「それは……いえ、此処まで来て秘密にしていても仕方ありませんね。実は戦闘が少しでも出来るものは既に山奥へ出払っており、そうでないものはシェルターの方にとっくに避難してます。……まあ、恐らく芽亜莉は気付いてないのでしょうが」


 「気付いてないって、能天気過ぎるんじゃ──って、負荷蝙蝠(ビヤーキー)が来るって解ってたんなら食事してる時にでも話してくれて良かったんじゃないの?」


 駆け出す足を緩めず、古本に文句を言う。


 「すみません。上層部からの指示で貴方に戦闘に参加させるよう要請されて黙ってました」


 「──な、それはあんまりじゃない!?」


 ちょっと幾らなんでも僕の扱いが非人道的過ぎやしませんか?


 「フフフ、知ってますか。この第三共環魔術研究所に管理された異能使いは人権がないんですよ」


 冗談めいた口調でさらりと酷いことを言う古本の目に光がない。

 それはまるで馬車馬の如く働く社畜のような眼差しだった。


 「──っ!」


 平然とそれを言ってのける彼女にゾッとし、繋いでいた手を離してしまう。


 「ま、まあ大丈夫ですよ。後少しで芽亜莉の部屋に着きます。流石の彼女でもこの異常事態に拗ねることはないでしょうし、仮にもししたらその時は私も本気でぶん殴ってやりますよ」


 一瞬、残念そうにする古本だったが、僕を安心させようとシャドーボクシングしながら冗談を言う。


 「……そういや、さ。サイレンとか、鳴らさなくて良いの?」


 そんな彼女に僕は疑問を口にする。


 「……え? 今更何を言っているんです? そんなことしたら他の負荷蝙蝠(ビヤーキー)に居場所が割れ──ああ、そうですか。どうやら貴方は勘違いされてるんですね。当たり前過ぎて説明するのも忘れてました」


 「──ん?」


 器用にやれやれと肩を竦める少女。


 「そう、ですね。あちらのナイ神父と違いこちらの『外なる神』の端末である負荷蝙蝠(ビヤーキー)は一人じゃないんです」


 丁度階段へ差し掛かろうとした時、古本がとんでもない爆弾を投下した。


 「え? え? だって──」


 「そもそも高度な魔術師にとって負荷蝙蝠(ビヤーキー)は大した脅威になり得ません。奴は人類より少し頑丈で、飛行能力を有する以外は特異性がないのです。──しかし、負荷蝙蝠(ビヤーキー)は人類の存亡を脅かす要因としている。それは、身体を消滅させようとも数日経てばまた復活し、同時に複数の身体を有することが出来るからです」


 非常灯が点灯する以外明かりのない階段を一気に下る。


 「でも、さっき僕たち、傷一つつけれなかったよ」


 「それは単純に私たちの火力不足というやつです」


 二階へと降り立つと何処からかサイレンが鳴り響く。


 「──っ! 一体誰がサイレンを鳴らし──」


 「え? え? これは──」


 居住区の部屋が続く二階フロアの廊下を改めて見る。


 「キーッヒッヒッヒ!」


 すると目の前に牙を剥き出しにした黒い影が突然現れる。


 「あ──っが!」

 「きゃあああ!」


 成す術もなく吹き飛ばされる僕たち。


 「嬉しいぞ、嬉しいぞ! こうしてまた会えるなんて──バッドは実についてる!」


 そのまま物言わぬ人形へ成り欠けるも、こちらの喉元を掴み赦さぬ負荷蝙蝠(ビヤーキー)


 「──っ!」


 ミシミシ。

 ミシミシ。


 捻子切られそうな勢いで首を絞められる。


 「さて。叡知なるバッドは、親愛なるバッドは、勤勉なバッドはユーに問わなくてはならないことがある!」


 「う、ぐぅ──っが!」


 息が出来ない。

 骨が折れそうで、それの言いたいことが何なのか思考することが出来ない。


 「苦しいか? 苦しいだろうな。早く解放されたいのならば、これから問う質問に嘘偽り無く答えたまえ!」


 古本の方を見るも気を失ってるのか、倒れ伏せたまま起き上がる予兆を見せない。


 「ぐぅ、う、あ」


 この間のような隙はない。

 この間のように邪魔が入る余地もない──正に絶体絶命。


 「ユーが扱うそれは何だ? このバッド同様──否、それ以上の恩恵(ギフト)をユーから感じられるのは一体どういうことだ?」


 締め付けられる力が緩むが、それと違い早く答えろと負荷蝙蝠(ビヤーキー)の視線が鋭くなる。


 だが。


 「な、んの、こと?」


 何のことか検討もつかない。


 「バット! シラを切るなよ、フーリッシュ! ユーは知っている。それが何なのか理解している故に、このバッドの前で尊大にも『外なる神』の権能(チート)を発動してみせたのだ。そうでなくては使()()()()なんぞ降りるものか」


 『外なる神』の権能(チート)? 使用許諾?

 それは一体──。


 「キキキ、キィーッヒッヒッヒ! まあ、良い。シラを切るならそれはそれで好都合。バッドは()()()が何者か知り得なくても構わないが──しかししかし、そうか! そちらのダーレスも失敗したか!」


 「ぐぅ──っが!」


 「なら、このままいっそ首を捻り切ってしまう方がユーも幸せというものだろう!」


 目が霞む。

 頭が眩む。

 息が出来ず、骨が歪に悲鳴を上げた──その時。


 「下郎、その汚ならしい手を離すが良い」


 虹の閃光が負荷蝙蝠(ビヤーキー)を襲う。


 「ヴァッツ!?」


 一瞬で鮮血の花びらが舞う。

 ストンと地へ落ちる僕。


 「グギャッ!」


 首を掴む力が弱まると同時にそれが負荷蝙蝠(ビヤーキー)へ襲い掛かる。


 「キキキ! やはり来たか、そうでなくてはつまらなかったぞ、愚かなるユー!」


 火花が散る。

 同時に、断頭台みたいに振り落とされる一閃が耳障りな嘲笑を搔き消す。


 「────!」


 そうして物言わぬ黒い鎧の騎士が現れ、負荷蝙蝠(ビヤーキー)へ襲い掛かる。


 「間一髪でしたね」


 少女の声が響く。


 「面白い、面白いぞユー共! やはり獲物は抵抗がなくては面白くないというものだ!」


 腕を切り落とされた怪物は喜びの声を上げる。


 「いい加減迷惑よ、負荷蝙蝠(ビヤーキー)。そろそろ信徒の引退を考えたらどうです?」


 それに対し、騎士に続いて現れた車椅子の少女──リテイクさんが呆れる。


 「キィーッヒッヒッヒ! そう行かぬのが世の常だぞ、背教者共!」


 駆け付けた二人を見て、嗤う『外なる神』の端末。

 それだけで奴がこの地上に君臨する絶対な強者だと僕は理解する。


 「そうかしら? それにしては随分と醜い姿だこと」


 そして、舞い上がる鮮血が急に止まり、傷口から切り落とされた腕が蜥蜴みたいに生えてくる。


 「──な!?」


 「イグザクトリー! しかしそれは仕方のないことである。何故なら弱者を虐げることこそ強者の特権だからだ! 愚かなるユーは、蒙昧なるユーは、哀れなるユー共は此処でバッドに殺される。それがデスティニー、それがフェイト、それが弱者が選べる唯一にして絶対なるロードだ!」


 相対する強者の口上を聞いても、リテイクさんは怯まない。


 「フフフ、相変わらず理解出来ない口上ですね」


 そう言って、倒れてた古本が起き上がりながら持っていた黒い本を捲る。


 「まあ、油断して下さるのは結構ですし、良しとしましょうか──戦乙女の(ヴァルキリー·)(ティアー)!」


 氷の飛礫が舞う。


 「温い、温い! その程度でバッドを殺せると思うなよ、フーリッシュ!」


 翼が羽ばたく。

 ギロリと僕たちを睨む赤い眼光。


 「────遅い」


 瞬く暇もなく黒い騎士が斬りつける。


 「ヴァッツ!?」


 目にも止まらぬ虹の斬撃。

 それらは容赦なく負荷蝙蝠(ビヤーキー)の身体をバラバラにしていく。


 「遥か彼方へ吹き飛びなさいな」


 リテイクさんがそう告げると、謎の力が働きバラバラの怪物は廊下の窓を突き破り吹き飛ぶのだった。


 次話の投稿は未定となっております。そんな作品が面白い、続きが気になる、応援してると少しでも思ってくださったら画面下の☆からポイント入れて頂けると嬉しいです!

 批評、アンチ何でも励みになりますのでよろしくお願いします!

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