027 世界滅亡までのカウントダウン
再来のスランプを前に、作者:青波縁はなす術もなく筆を下ろす。
開く投稿期間。
減るユニークアクセス。
──最早、誰も見ていない物語を前に彼は何を思うのか。
不定期投稿で、ダメダメな作者ですが、年内完結目指しますので、どうかよろしくお願いします。
前回のあらすじ
● 謎の少女を再会したフィリアと共に撃退する。
それでは、本編をお楽しみ下さい。
ぐるぐる回る、夢の中。
ぐるぐる回す、螺旋の渦。
耐え難い現実は見ない振りが一番で、見たくもない明日は輝かしい妄想で埋め尽くそう。
そうすることが『男』の始まり。
そうすることが神様の目論見。
キキキ。
キキキ。
みんな、みんな狂いだす。
世界規模の混乱こそが愉悦なんだとはよく言うものだ。
やはり、人間なんぞ二足で歩く猿でしかない。
「ククク」
つまらない。
つまらない。
どうしてお前たちはそんなにもつまらない?
殺しても。
殺しても。
お前たちは滅ばない。
感情など不要。
震災の前に浅ましき知恵などクソの役にも立ちはしない。
人間の生は矛盾だらけで。
生物の死は皆、平等に訪れる。
「キキキ! キキキ!」
ならば終わらせてやろう。
退屈な現実など、在るだけ無駄だ。
そうしよう、そうしよう。
スクラップにするのが一番だ。
だが、火炙りにするのは不適切だ。
そうして、外なる神のワタシは、ドン・キホーテの世界と真世界帰閉ノ扉を繋げていく。
キキキ!
キキキ!
空間が軋み世界と世界の境界線が揺らぐ中、ワタシは思う。
嗚呼、どうしてお前たちはそうなんだ。
いつだって滅びへと突き進む姿に、俯瞰し尽くした亡骸を前に私は──。
◇
「もう……大丈夫、です」
嗚咽を止めたフィリアがそう言う。
「そうか」
それに答えると、やっぱり彼女はまだ泣き足りなそうに涙を堪えた。
「……ええ、大丈夫です」
「そうか」
全然大丈夫そうには見えないけど、期待させるのもどうかと思う。
「大丈夫なんです」
「分かったよ」
──って、思ってたんだけど……うん?
「大丈夫なんです!」
「だから、分かったって!」
顔を真っ赤にしたフィリアがやっぱり解ってないよ、この人と叫んでる。
……何で?
「どうしてそこで察しが悪くなるんですか! この鈍チン!」
な、何だぁ? この女、情緒不安定にも程があるぜ!?
「あああっ──もう! うるさいですね!」
ポカポカと叩かれる。
「うぇえええ!? 理不尽だー!?」
やっぱり、女心というものはよく分からん!
「……う、ううう」
そんなことをやり取りしてると、倒れていた■■飛鳥が目を覚ます。
「──お? 藤お……じゃなかった。…えーと、アイツも目を覚ましたみたいだぜ」
助かった。
オレはそう言って起き上がる少女の元へ駆け寄っていく。
「……もう──、──」
そんなオレにフィリアが何か呟いてたが、何を言ってるのかはよく聞き取れなかった。
◇
「大丈夫か?」
虚ろな目の少女、飛鳥へ声をかけるが、いまいち反応がない。
まあ、起きたばかりだし、そんなものだろうと思ってもう一度、声をかける。
「もう一度聞くけど、大丈夫か? 意識があるなら、何か反応をくれ」
目の前で軽く手を振って、反応を伺う。
「────」
だが、無言。
終始無言。
手を振っても、パンパンと手を叩いても、サンバの振り付けをしても彼女は黙りを決めている。
「こりゃ、あれか? もしかして、オレの『記憶』を引き離した代償とかそんな感じか?」
「うーん、どうですかね? 何せ、私たち『残留思念』の中でも彼女は固有能力さえ解っていませんし、何とも言えませんね」
どうしたものか考えてたら、着いてきたフィリアがそんなことを言い出した。
「何だよ、その固有能力ってやつ?」
「えーと、固有能力というのはですね。私たち『残留思念』に備えられている異能の俗称です」
オレの質問にフィリアはそう説明すると、呆然とする飛鳥を眺めるのに戻る。
「……そういや、オレはアンタら『残留思念』のこと、よく分かってねーんだよなぁ」
そもそも残留思念と他の人間、──この場合は幻想ってやつの違いがオレにはよく分からんことに気付いた。
「そう、ですね……うん、まだ大丈夫そうですし勇貴さんがよろしければ説明しますよ?」
「お、おう? ──そりゃあ、ありがたい。頼むわ」
そんなことを疑問に思ってたら、フィリアが説明してくれる流れになった。やったぜ。
「……コホン。それでは、僭越ながら私、フィリアちゃんが『残留思念』とは何なのかを説明させて頂きますね」
パンパカ、パーン!
フィリアちゃんによる講座が始まーるよ!
「…………」
「…………」
ヒュウ。
靡く風が冷たいなぁ。
「先ず、勇貴さんがこの世界をどう認識してるのかで残留思念の現状が変わる仕様になっております」
開幕から、グダグダならぬスルーに心が折れそう。
つーか、設定がガバガバでオレすらドン引きのレベルなのは気のせいか?
「……ガバガバというより、アヤフヤというのが正しいかもしれません。──っと、すみません。また話が脱線しかけましたね。……まあ、結論を言ってしまうと『残留思念』とは、勇貴さん専属のサポーターなるものと考えて下さい」
専属のサポーター?
なんかRPGゲームみたいな例えだ。
「そうですね。幻想がこの世界で生まれた人間。つまり、ゲームのキャラなるものと考えたら良いのは間違いないです」
なるほど。
「となると下位幻想は、自らの意思を持たない人間。勇貴さん風に言うなら、彼らはゲームの中のキャラクターのモブ、NPC。上位幻想は、その一つ上の待遇を貰ったキャラで、ストーリーに何らかに関わるキーパーソンでしょうか」
ということは──。
「ええ。ご想像通り、主人公に一番寄り添った異性のキャラという立ち位置。それが私たち『残留思念』です」
それは、分かった。
でも問題はそこじゃなくて……。
「ええ、それも分かってます。主人公の数にしては些か『残留思念』の数が多いのでは、と疑問になるのも解ります。でも、数は有ってます。有っているんです。──何故なら、貴方は七人目の主人公なのですから」
……七人目?
「そうです。……憶えてますか? 貴方は六花傑さんと会った時のことを。彼を見て、もう一人の自分だと思ったことを忘れてはいませんか?」
ドクン。
六花、傑/検閲削除。
誰だ、そいつ?
「…………そう、ですか。では、名城真弓さんが説明したこの世界の始まりは憶えてますか?」
この世界の始まり?
ああ、それなら──。
ジジジ。
────「少女たちは考えました。どうしても一度、会いたいと願いました。その内、少女たちの一人が夢の中で死んだ魂を呼び寄せ再会する魔術を考えつきました」
「良かった、憶えてるんですね。それなら簡単です。三人の少女は、『転生者』である貴方の魂を死者である『古瀬勇貴』に作り替えようとした。ですが、それに失敗して、『転生者』の魂を壊してしまうことも恐れた。それを回避する為、彼女たちは魂を複製して実験をするという方法で魂を作り替えようとしたんです」
…………。
「待って、くれ──つまり、よぉ」
それは、つまり。
「確か、名字に数字があるのが、幻想でない意志のある一つの魂で。名前に数字があるのが、幻想として魂がイジられた上位幻想として扱われるんでしたよね」
オレは。
いや、僕は。
「この世界、この影絵によって創られた夢の中で生まれた魂。それが、勇貴さんの正体で。同時に今、勇貴さんの身体に入っているのが元の転生者、『藤岡■■』さんの意識です」
フィリアはそう言うと、オレに微笑む。
いや、オレというよりその身体の僕に微笑んだというべきなんだろうか。
「────」
何かを言うなくてはいけない。
何かを言わなきゃいけないのに。
さっきから、余計なことばかりを考えてしまう。
ドクン。
鼓動する心臓。
幻想という存在は、影絵によって構成された人間のことを言うらしい。
そして、今のオレ──『七瀬勇貴』はこの夢世界で創られた魂ってことだ。
ドクン。
なら、この胸の鼓動は在りもしない偽物で。
それでいて、あのお方と呼ばれる存在の象徴であるエンドの鐘が埋め込まれているって話も、まあ納得した。
「フィ、リア?」
「貴方に恋をし、命懸けで貴方の背中を押したフィリアの魂は消滅しました」
何か言おうとしたオレを遮るようにフィリアは喋りだす。
「でも、『七瀬勇貴』に恋する『フィリア』という『残留思念』のコードは消滅していない。また同じようにコードを打ち込み、上位幻想として現実化すれば……ほら、この通り再び貴方の前に現れることが出来ます」
感情のない目が向けられる。
ゾワリとした何かが肌に感じたのが分かる。
ああ、そうだ。
そんな意志を持たない目で見つめられたら、オレは何も言えないに決まってる。
「言い方を変えればですね。同じ設定を作ったキャラでも、同じことをするとは限らないという話でして」
ゆっくりとこちらに近づく少女。
「ええ、まあ。残念ですが、どうやら此処でお別れのようです」
「……は? 何、言って──」
フィリアの謎の言葉を問い詰めようとした瞬間、地面が突然揺れて倒れてしまう。
「──っな!?」
けどそんなオレと違って、フィリアはそれを黙って受け入れるように空を眺めてる。
「ようやく繋がったみたいで、安心しました。これは補足なのですが、私たち『幻想』は基本的に夢世界の創造主に逆らうことはありません。何故なら、影絵たちが私たちのコードにそうインプットしてるからです」
パリン!
パリン!
空が割れる。
地響きが増した大地は、ひび割れて崩れ始める。
「ええ、そうでしょう。いきなりこんなことを言われても理解出来ないのも解ります。全く不本意ですが、外なる神、『ナイアルラトホテップ』が貴方たちの世界と真世界帰閉ノ扉を通じて世界滅亡を完遂するのも私には止めることはありません」
立っていることもやっとの状況で、この鏡の中から脱出しようと出口を探す。
そんなオレを見ず、フィリアは喋るのを止めない。
「■■さん!」
何処からか響き渡る、真弓さんの声。
「こっち!」
そして先程まで呆然としていた飛鳥が、オレの手を引っ張って何処かへ駆け出す。
「急いで!」
切羽詰まった飛鳥の声。
崩れ行く鏡の世界を走っていると、淡い波紋のようなものがオレたちは抜けた。
「間に合うと良いですね、……勇貴さん」
ポツリと呟いたフィリアの言葉にオレは何も言い返すことはなかった。
只、鏡の世界を抜けることしかこの時のオレには考えがなかったんだ。
次話の投稿は未定となっております。そんな作品が面白い、続きが気になる、応援してると少しでも思ってくださったら画面下の☆からポイント入れて頂けると嬉しいです!
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