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人生、7回目なんで!  作者: 三輪
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...羨ましくなんてない。

やっと水道が使えるようになった頃、大学の入学式が終わった。

水道の偉大さを思い知った。もう僕は重いペットボトルをぶら下げて坂道トレーニングをしなくて済む。

などと余韻に浸りながらゆっくり...途中で水を床にぶちまけるというイベントを挟んで...朝食を食べていると、

「あーーーーー!!!」

初日から遅刻した。


ドタバタと毎日を過ごすうちに、授業が始まってからもう1ヶ月ほど経っていた。

一人暮らしに慣れたかと聞かれるとまだ微妙なところだ。

これも前世が関係している。僕は火が怖い。

僕は複数の前世を覚えている。多分、6人分。だから、僕は記憶上では7回目の人生を送っている。

火が怖い原因は、きっとその中の5人目、おじいさんの前世だ。


5人目は、若い男性で、ホテルの客室員だったらしい。名前は分からないが、なかなかのイケメンだった。...羨ましくなんてない。

勤め始めて3年目、男性のホテルが火事になった。それは当時の新聞に載るほどの大火事だった。その男性のことを思い出した時、僕は小5で、怖くて暫く眠れなかった。図書館で昔の新聞を読み漁り、その火事の記事がトップで載せられているのを何社か見つけた。恐らく実家を探せば、そのコピーを切って貼ったノートが見つかるだろう。

男性は、火事の時、ホテル内にいた客を避難経路へ誘導し、最後まで中に居続けた。鎮火後の客室に、蹲る男性の遺体が発見された...と新聞に書かれてあった。

男性の腕には、瀕死状態の赤ん坊が抱きしめられていた。

赤ん坊はその後病院にすぐに運ばれ、幸いにも一命を取り留めたらしい。

死に際までイケメンな奴だった。


正確に言うと、僕が火が怖いのは、彼のせいじゃない。僕が勝手にその思い出した光景に恐怖を感じただけだ。

前世を思い出すと、どうしても今の自分と比べてしまう。自然な成り行きだろうけど、僕の場合それを何回も繰り返すことになる。


今の自分はこんな風にはなれない、と。

劣等感にも似たけだるさが付きまとう。



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