1章1話『迫り来る死』
この異世界?に強制移動させられて
歩き続けること3時間。喉も渇き空腹も限界。万次郎はそれでも歩き続ける。
「ぁあ…喉渇いた…腹減った…あぁ…」
異世界に来て早々空腹で死ぬ。そんな未来が頭をよぎる。でもこんな所で死ぬのは嫌だ。
そんな事を思いつつ、万次郎は歩き続ける。
「ぁ…もう駄目だ…」
万次郎の体は空腹で野原に倒れる。まさか人生でこんなに飢える事があるなんて思いもしなかっただろう。空が灰色に染まる。
「まさかの空腹死かこれ...」
_____そこにある一つの影が現れる。
万次郎の前には、この世の物とはとても思い難い人型の物体が、立ち尽くしている。大きさは約3メートルぐらい。
その物体に人のような皮膚は愚か、人間で言う心臓の辺りから上が無い。
万次郎は倒れながらも自身の目の前に立つ、謎の物体を見つめる。その物体は動き出し、その皮膚の無い足のような所を身体から切り離し、胴体から更に1メートル近く高い位置に足を持ち上げた。切断された身体からは大量の青色の謎の液体が吹き出している。
万次郎はその液体を直で浴びた。
「なんだ…これ」
液体から何かが出てくるとかでは無く、人間の血に近い普通の液体のようだ。その瞬間、万次郎は謎の激痛に襲われた。とてつもなく激しい痛み。これまでの人生で味わったことの無いくらいの痛み。万次郎はある事に気付いた。
_____物体の振り上げた足が既に振り下ろされている事に。
「ぁぁぁあぁぁぁぁあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁがぁぁぁぁああ!!」
あまりの痛みに転がる万次郎。
万次郎の身体には……あるべきはずの左腕が見えない。意識した瞬間更に痛みが増して行く。 左腕があった部分からは大量の血液が吹き出している。あの物体とほぼ同じ吹き出し方だ。
_____ここで死ぬヤバいまじで死ぬ痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。
状況が分からない。ここが何処かも分からない。自分の身体がどうなっているのかも。
もうそろそろ死ぬ。こんな所で…!
万次郎の目の前が真っ暗に染まり始める。
染まっている最中に万次郎は見た。
物体がまた足を振り上げている事に。
_____今度こそ死ぬ。
そう思った直後、万次郎の身体の痛みは無くなった。




