プロローグ 『万次郎』
ーーーーー「ご利用あざしたぁー、またのご来店お待ちしております…」
今日も俺…向井 万次郎はしがないコンビニ店員として真面目に働く。
……何故コンビニ店員かって?…そこしか受けられなかったんだよ……成績糞過ぎて。
ーーーーーそうこうしている内に、バイト終了時間になった。
「しゃー…やっとバイト終わったよ!」
喜びの言葉を発している万次郎の元に店長がやってくる。
「万次郎ぉー、今日のバイトはもう終わりだ。帰っていいぞ。」
店長にも言われ、すぐさま帰ろうとする万次郎。そしてある事に気付く。
「あっ!店長給料は?!」
店長に時給を貰ってない事を訴える万次郎。
「…チッ、思い出しやがったか」
「思い出しやがったか…じゃないっすよ!また俺に給料払わずで帰そうとして!」
昨日も同じ事をされた。今日と言う今日は給料を貰う。今は、それだけしか万次郎の頭に無かった。
「わかったよわかった!ちゃんと払うよ…」
やっと貰える。にしても最低な店長だな。
と万次郎は思う。
「ほれっ、給料だ。」
そう言って、万次郎にお金入りの封筒を投げた。
「やった!給料だ!」
欲しかった物を買ってもらった子供の如く、万次郎は喜んだ。
_____そして帰宅。もう11時だ。
万次郎は部屋に入るなり即ベッドに飛び込む
「はぁ〜、今日も疲れた…」
その後も、ベッドの上で独り言をブツブツと続ける。
「いや〜、給料は嬉しかったけど、やっぱ店長ヤバくねーかな。」
…何を言っているかと思えば、いつもの通り店長の悪口。通算67日目だ。
「よし、封筒の中身を確認して、今日はもう寝るか。」
辛そうにベッドから出て、机の上に投げておいた封筒を手に取る。
「ええっと…俺がいつも働く時間が大体4時間ぐらいだとして、時給が840円だから、840×4で良いのか。ええっと…多分1920円で良いのかな?」
ようやく解けた。高校生にもなり、840×4をスラスラっと解けるようになってると思っていたのか、万次郎の頭は爆発寸前である。
「あれ…1920円も入って無くね…」
そう。封筒の中には、1100円しか入っていなかったのだ。どうやら店長は元から払う気が無かったらしい。そんな行為を万次郎は許すはずがなく
「あの野郎…!今度と言う今度は許さん!」
部屋の中で、ハチャメチャに暴れ回る万次郎。ベッドで跳ね、机を蹴り、クッションをぶん投げる。
「あの野郎!!警察に通報してやる!」
万次郎は、スマホを手に取り、電話の画面を開く。
「ハァ…ハァ…よし!これであいつも終わりだな…ククッ、笑えてくるぜ………ん?」
万次郎が画面を触り、番号を入力しようとした、その時。
「…なんだ?メール?誰からだろ…」
万次郎は一旦番号入力の画面を閉じ、メールを確認する。
「お、あったあった。これか……差し出し者不明…何だかドキドキするな!」
ドキドキしながらも、メールを開く万次郎。
「何だこれ…?助けて欲しい?一体なんなんだ、これ。」
万次郎が開いたメールには
「今、私達の居る世界は危機にさらされている」
「助けて欲しい」
「これはあなたにしか出来ない」
これに対し、万次郎は
「こっちはバイトで忙しいんだ。他をあたってくれ」
そう返信した。その直後_____
「うぇ?!何だ?!スマホの画面がおかしくなったぞ?!」
画面には謎の渦巻きが写っていて、ただ永遠と回り続けている。
「何か…これ見てると眠くなるな…」
次の瞬間、万次郎は深い眠りについてしまった…
ーーーーー目が覚めると、万次郎は野原にいた。それも、見た事も無い。
「ここは…一体どこだ?」
訳もわからない状況に、万次郎は混乱し、暫くの間放心状態に。
我にかえると、万次郎は急に声を上げる。
「店長おおぉぉぉぉ!!!!!!
助けてええええええええぇぇ!!!!」
当然誰も来るはずなく万次郎の声野原の周辺に響き渡っただけである。
「ハァ…ハァ…とりあえず…今は…………落ち着こう!これから町でも何でも探して助けを求めよう。うん。そうしよう。」
そう自分に言い聞かせて、万次郎は立ち上がる。そして、その場を去って行く…
この時の万次郎の後ろ姿は、何処かたくましかった。…………ズボンのチャックが全開なのを除いて。
「さぁ、向井 万次郎の異世界冒険の始まりだ!」
こうして、向井 万次郎の異世界冒険が始まった…




