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恋愛コネクション  作者: 押味 和哉
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渚の場合

西高東低の気圧配置の冬。日本に寒波が来て雪が降り、雪解けがし始めた今日この頃。

私、川島 渚、26歳。職業 派遣社員。東西工業という神奈川県の都内寄りにある工業地帯の

事務社員。この会社に勤務して、といっても派遣社員なのだが。

この派遣企業に配属されてから早二年、派遣先の上司にも恵まれ現在まで勤務できたわけだ。

恋愛はいつ到来するのかわからない。むしろ恋愛なんてないものねだりのものなのだと思う。

ずっとそんな風に思ってた。


「今年も広瀬香美が流れる季節到来だね。」

そんな話をしているのは、上司の木崎 裕也。年齢は34歳。

背丈も180センチと高身長の持ち主である。

「広瀬香美ですか…」

正直、あまり音楽の知識を持ち合わせてはいなかった私だが、後でググってみたところ

冬の女王、冬ソングの定番ということは分かった。

「今度の休みに映画でも行かない?この間、見たい映画があるって言ってたでしょ」

昼ごはん中の会話。巷にあるデートのお誘いなわけだ。

ちなみにこの時の私には特定の相手がいたわけでもなく、いわゆるフリーという状態だったんだが。

「その日はちょっと…」

用事があると言い切る前に木崎の追撃、

「この間、この映画見たいから。連れて行ってくれる人いないかな?って言ってるの聞いちゃって」

まさに断ろうというのを防ぐ予防線をはる前の追撃。

「じゃあ、今度の日曜日11時ね」

自分の用件だけを伝えて、仕事に戻る私の上司。

「結局、断れなかった…」

この男のペースにつかまり、早1年。木崎自身が彼氏というわけではない。

木崎とは私がこの派遣先にとどまっていられる理由の一つである。派遣の更新の裁量を彼が持っている。

はじめはこの上司に従っていれば派遣先をころころ変える必要はないという浅はかな理由で上司の機嫌を

損ねないように、むしろ好感度をあげておけばこの職場のように勤務待遇がよいところで働き続けられる。

という理由で木崎のことをあわよくば利用しようという魂胆が私にはあった。


「先輩…先輩…」

声をかけられているのに気づかなく、後ろから背中を叩かれてはじめて気づき振り返ると

「先輩、この物品金額がわからないんですけど…」

声をかけてきたのは、同じ派遣会社に所属する田中 由紀、年齢は20歳。

派遣会社が私の勤務歴が長いことからこの職場なら受け入れる人数を増やしても問題ないという判断から

この子を増員したのがこの子が配属された理由だ。

決してこの子が有能だからとかではなく、受け入れる人数が多ければ派遣会社の収益が増えるという単純な理由があるのも一つなのかもしれない。あとは他部署にも参入できるという足がかりの意味で派遣会社が増員した。

「先輩、そういえば今度派遣会社のイベントで夕食会がただであるんですよ」

「あー、会社の創立何周年記念ってやつでしょ」

「そうなんですよ。先輩も行くんですよね」

そんな女子の会話。この情報はこの間、携帯に派遣会社から登録している派遣社員に向けて一斉送信したわけで周知の事実ではあったが、私はあまり乗り気ではなかった。


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