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ガラヌスクエスト延長中

 ▽ガラヌスクエスト延長中

 ▽ハトモデルを使おう!

 ▽ロマン・ティブを誘おう!


 レナたちは来た道を逆戻りした。店内に再び守ると、店主がかるく目を見張った。そのあとにガラヌスたちもラフな服装でついてくるので、目を丸くした。

 そもそも彼が長らく滞在することも珍しいのだ。トロックラを気にかけてくれる権力者が長くいてくれることは、地元の古い店にとってありがたかった。

 ガラヌスがスマートに会計した。


 外に出た。

 レナは幼い従魔と手を繋いだ。


「さて、あそこ辺りがいいみたい」


 ぼんやりとした方角を、でもゆるぎなく指している。


「理由は?」


 レナたちは不思議がいっぱいだ。ガラヌスはキーユウガードがやってくる前に聞いてしまいたい。


「これはたまたま持ってただけなんだけど。ギルティア」

「ん。……まああんたが言うなら……」


 しぶしぶとギルティアはカバン飾りをみせた。


「ああ。木彫り飾り……。……それが何か?」

「よい場所を教えてくれるらしきですよ」

「そんなもの頼りなのか!?」

「わりとばかにできませんよ。教会で聞いた昔話があります」


 壁にかけられていた連作の絵画についてレナは話す。

 クレヨンのような素材で描かれていたのは、藍色の夜が降りてきて地上を見回る話。


 ”昔自然が荒れてヒトが飢えたとき、祈りを込めて夜空を見上げた。星座を作るとその一つが強烈に光った。ヒトにとっては見上げるほど大きな足だけが藍色に降りてきて、地面を歩いてゆき、木が生えた。そしてすうっと足は夜空に帰ってゆく。ヒトびとはこの木の実で生きながらえた。

 藍の木は月光で育つ。

 毎年木が増えたぶんだけ数を数えて[守りへの感謝祭]が行われるようになった。”


 ガラヌスも感謝祭などは把握していたが、地方の物語なんて気に留めていなかった、しかしレナが気にするならば理由を知りたくなった。

 レナは歩きながら言う。


「──昔話ってことは、長く言い伝えられている。時間をかけて大勢に知られている。そのようなものは意味を持つ、魔法みたいなうねりが生まれる。でしょ?」


「……常識の範囲外だが、まてよ、そんな話を聞いたことはあるとは思う……。……そうだ、研究者ギルド、医療ギルドの一部にはそのような説があった。一例としてな。しかし眉唾扱いだ。ただの思考実験としておわってる。明確な例がいくつもなく、スキルほどルール化されていないものは、言葉で定めておくのも難しいんだ。とくに約束書類重視の上流階級ではね」


「そういうものですかー」


「しかし君には実感があるんだろう。それと、個人的には、文書上の定めだけでは足りないと思っている。ときたま遭遇する現実を表すには。ラナシュはよくゆらぐ」


 ガラヌスは早口で多めに言葉を伝えた。

 別れが近づいているような気がして、多く会話したかった。


「まあ、もしウチの子たちのだれかが研究したいと言い出したら、実感の部分をガラヌス様もフォローしてあげてください」


「すかさず売り込む。商人か?」


「時にモンスターペアレントと呼ばれる魔物使いです」


「……なかなかいいセンスだ」


 ロマン・ティブやキーユウも含めてぞろぞろと全員で歩いてゆくとなかなかのボリュームだが、観光客も多いこの街ではおかしなことでもない。


 シズル・タリアテッレは真ん中あたりにいる。

 そして、最後尾を歩くハマル、その腕の中につかまっているアヌビス……が、シズルの内心をチェック。


(うーむ、へんなヒト。木彫り飾り、姉の作品を大事にしてるのは悪い気はしない。でもなんで、"こうも"……弟の俺がつかまり、姉と関わり、月光教会に首を突っ込み、それが上流階級とのコネにもなるとか、次から次へとうまくいってしまうんだ? しくまれているとしか思えないのに、あの子個人には、それほどの腹黒さはないみたいだし……)


 ▽しくんだとすれば運命さんですかね?

 ▽あんにゃろう。

 ▽平和な生活を願うだけの少女をまーた旅立ちに向かわせたのだ。


(ま、ここについては、なんにせよ実績出せば刑が軽くなる。やらない手はない。あのオバサンには睨まれるけど、俺の衝動性を引き出しやがったレナも憎らしいけどさ……、……でも、"あの"教会の暗部からは引っ張り上げてくれたしな。もう治療費につられて悪事の練習しなくってもいいんだ。……こいつら、うまくいくといいな。……頼む、ねーちゃん)


 シズルが動きを変えた。

 ハマルがアヌビスをみて、アヌビスは首を横に振った。レナたちに危害を加える動きではない。


「えーと、ギルティア」かすれたシズルの声。


「ん? なんだよ……」怪訝なギルティア。


「これもやる」


「……! わああっ、飾りいっぱい!いいの?嬉しいなあ!でもでも、大事にしてたやつだよね?」


 ぱああっと花咲く笑みのギルティアに、シズルは一歩引く。が、少しともにいれば、ギルティアという少女は嬉しいときに幼くなり、ふだんは警戒心が強いことがわかっていた。正確には、レナのすぐ隣にいてリラックスしている時だけたまに幼いのだ。


(わかるのか。まあ飾り大事にしてたけどさ)


 ギルティアは木などの気持ちがわかると話ぶりから耳にしたが、正直信じていなかった。

 姉の作品を大事に持っていたことを見透かされたのは少し照れ臭い。


 レナの視線をシズルは感じて、ギルティアを傷つけないよう言葉を選んだ。


「例えば衝動的になるとき、けっこー乱暴な気分。そーいうの、一応防ぐ効果あるらしいし。一番チビだから、もっとけば?」

 渡す口実だが、うまくいかなかった。シズルはポーカーフェイスで少し落ち込む。


「あ"あ"ん!?」


「幼い顔でいきがっても怖くねーよ……」


 ギルティアが素直に反応するので、シズルは内心ホッとしていた。


 感情を突き合わせながらも、手もとでは飾りの受け渡しをする二人でかった。

 ぱしん!と乱暴に受け取ったギルティアだが、飾りをまとめて紐でくくる動きはやさしい。飾り同士がぶつからないように、また髪のすきまから生える樹人のツルでキュッと三つの飾りをまとめた。


 レナは素敵な瞬間を眺めるきらりとしたまなざしで優しくギルティアをみていた。


 飾りがゆらゆらとする方向は一定だ。

 

 だから、おおよそそちらにつくようにぐねぐねと細道を曲がってめぐった。民家の扉が並ぶところも横切ったし、海に続く細い整備河川の橋を渡ったりもした。

 しおれていた植木の花は、ギルティアが通ったらプリンセスを一目見たがる群衆のように頭をあげてふんばって生きた。


 ギルティアが言った。


「もう、つくって!」




 とても明るい広場だ。

 白い材質で床や花壇が作られていて目に眩しいくらい。潮風のにおいがわずかに香る。

 ポールに長めの旗がひらひらとして、そこには月のマークが描かれている。


「土地の所有者が教会に寄付をした場所」とガラヌスは言った。トラックラのことは頭に入っているらしい。

 そしてなんだか不機嫌だ──。

 レナたちの方は見ていないので、レナたちに関係はない彼の事情で不機嫌にさせるなにかが広場にあるらしかった。


「私の出番あるのかしら」といい天気の空を見ながらロマン・ティブはぼやいた。むしろ暗くすることのほうが大変そうだ。雲を呼べるわけでもあるまい。


(心当たりのあるメンツが揃ってる……いやなんでだよ!? 相性悪いはずの幹部、5人全員が公園なんかにいるなんてありえるのか!?)驚愕と呆れを抱きながらシズル・タリアテッレはレナをみた。

 本人が仕組んだ計算でないならば、なんだか非常に運の悪いかわいそうな女の子に見えてきた──。無理して笑っているだけではないのか?

 三つ編みをしているところとか、少しだけレナには姉の面影があるのだ。本来優しいだけのヒトが無理をしているのではないか?


 ハラハラし始めたシズルの前でレナは、


「アヌビス。結界とかありそー?」

「にゃー」

「やっぱりね。シズルお兄ちゃん」


「………………何だ。今からでも行くのやめるのか? まあ、結界なんてあるなら仕方ないしさ……」


「全員抱えて[トライ・ワープ]して⭐︎」


「無理だろ!!馬鹿か!!」


 ▽ちびっこキック!×3

 ▽まあ口悪かったからね。


「私たちってファミリーだよね」


「……期間限定のな。いやだからなに!?」


「ハーくん」


「……あらよっとー」


「…………? ……これは……」


「羊ツノと羊耳のカチューシャなんだよね。ちなみにお菓子でできてる」


「なっ……、(なんで)そっ……、(そんなものが……っっ(混乱))」


「これは羊獣人ですよねー?」


「!?!?」


「ギルティア、ダメ押し」


「もががっ!?」


「リーフ食ってるから草食獣だなこりゃ」


 ギルティアはニッと悪い笑顔をしていた。


 ガラヌスはわけがわからない。しかしレナがただのアホではないと信じてみて、結論を待つことにした。高位冒険者など大体変人である。


 ノアは指先をくるくるとして、蜘蛛を操り、糸の壁を、広場のまわり──広場より少し離れた家々の間の壁、に張り巡らせた。

 ノアとしても外国の学習をしたく、またレナのふるまいを吸収すべく、同行しているのだから、舞台を整えることに余念はない。

「邪魔者はきません」



「もごもご……、罪悪感とかはないんか……」


 へんな若者訛りの口調で、シズルがレナに聞いた。

 こいつぁ、どーみたって姉ちゃんよりも肝の据わったへんな女の子だ。

 でも、女の子だ。

(あの5人はやばい)


「レナが特別な実力をもってるっていうんなら、そのせいで街の人を悪く──暴走させちまうって罪悪感、それをレナが助けてみせるっていうんなら、つくられた勇者だぞそれは」


 シズルが知る月光協会のほかの昔話には、勇者の記述があった。

 ラナシュにおいて勇者のイメージはおおよそ同じだ。

 ピンチがあり、合体して、街を救う。


「みんな集合〜」


 ぴた!とレナパーティはシズルにくっつく。

 合体!


「1秒ずつすぎてってますからね? 大丈夫、守ります」


「は、犯罪者を!?」


「まあ正直ごめんって気持ちもあるし」


「…………。……あのヒトは?」


「ガラヌス様は置いていきます。観察してレポート作ってもらわないと困る。ロマンさんは合図で光を出してくれる。あとは私たちが頑張る」


「う、う〜ん。死ぬなよ……」


「そりゃ、この世界で生きてくために頑張るんですから!」


「! ……、……やるかあ〜〜」



 ▽シズル・タリアテッレは羊獣人(嘘)!

 ▽判定…………通過!

 ▽ハマルと群れ認定 通過。

 ▽レナファミリー いっきまーす!


 ▽空に大きな影が現れた!

 ▽言い争いしていた5人は 空を見上げた!

 ▽昼なのに夜が来た?

 ▽巨大蝶々が 通り過ぎていった!?


 ▽ハトモデルの やつあたり!!

 ▽カーーーーーーン!!(ゴング)



 ▽Next! ハトモデルレビュー

 ▽街中でこぢんまりと戦ってみよう!


読んでくれてありがとうございました!


活動報告にあるように、2・3月はすみませんが金〜土日になることがたまにあるかもしれません。

なるべくは金曜日にあわせます。


今週もおつかれさまでした。

明日は祝日!

よい日々を₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑

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更新有り難うございます。 レナ「⋯⋯食後に女性が化粧直しに立った際に    男性が会計を済ませるのが常識って    どこの世界のお話しなんでしょうね?」 ガラヌス「⋯⋯キミが常識を語るのも    …
や、やみのランプ(物理)ww
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