スカーレット・パレード!(1)
▽<ピンポンパンポーン。まもなく、パレードの時間です>
▽<楽しく戦って魅せてくださーーい!>
ルーカはブレスレットに魔力を送り込み、変装をする。
【魔道具】と呼ばれるアクセサリには、球体の鉱物が嵌め込まれており、鉱物に宿る魔力に[付与]望む能力を付け足すことによって便利に使うことができる。
装飾保存ブレスレット・もしくは服飾保存ブレスレット(どちらの名称で使われる場合もある。業界によって物の言い方が異なる)については、[アクセサリ職人が高級鉱物に付与を行って、現在身につけている服装情報をアクセサリにしまい・アクセサリにしまわれていた服装情報と入れ替える]。
そのようなしくみで利用されている。
なお、どれにしようかなーと迷った際などは、全裸になることもあるのでお気をつけください。
普段不幸に見舞われやすいルーカはここで全神経を集中させてブレスレットを使っているので、最悪の事態はまぬがれる。
が、少々の事態は発生する。
「ちょっ……レナの服なんだけど!?」
▽赤の女王様 スタイル!
▽パレードに最適っちゃ最適のスタイルですね……
「腰がきついっ……コルセットゆるめて、ふう、なんとか息ができるようになった。すみません装飾保存ブレスレット様、なんとかズボンだけ履かせてもらえませんか」
<こっちで調整かけますよ。それにしてもおかわいそうに>
「だめだよキラ。かわいそうって言ったら、かわいそうになっちゃうんだ。これくらいはもうなんとでもなります」
<いよっ! ルーカティアスさん男らしい! 男らしい??>
「なんとなくのノリで言ってるのが伝わってくるよ。そっちも忙しいんでしょ。僕の方は片手間でいいから、チョココの対応よろしくね。いい感じに華やかにしておくからさ」
<了解>
ドグー=ルーカの古代剣が縦に振り下ろされる。
真紅のパンプスでそれを蹴り上げて、道に傷がつくことをルーカは防いだ。
そのとき、派遣司令によりジレが遠方からえっさほいさと走ってきていて、急ぐならばとアグリスタが友達を乗せて宙を駆けた。マイラがリリーにもらったアクセサリーで「きらめく効果」をあちらこちらに降らせていく。
▽【スカーレットパレード北の部 天駆ける子供たち】
「えーとえーと、街道が破壊されるかもしれないから、そしたら俺の地均しの力でなんとかして欲しいんだって。ある程度デコボコがなくなればキラさんが[ダンジョン・メイキング]でいい感じにしてくれる」
「キラさんはなんでもできるけれど、なんでもできるってことは疲れちゃうんだろうね。いつも楽しそうだし疲れたところを見せないけれど、虚無になってゆくメモリー、わたしわかっちゃうんだ」
『ぶっとばすぜ』
「「いやアグ、パレードだからみんなの目に見える範囲でね」」
「チョココ一人じゃ厳しいんじゃないの」
「そんなわけありませんし。おやつの時間はまだですよ?」
「ちっげーーわ!! アタシ、あんたの観察しに行けって言われただけだから」
パレードの始まるの場所で、追いかけっこのごとくちょこまかとしているチョココとドグー。
それを二階建てのショップの屋上のフェンスにもたれかかり見下ろしているギルティア。赤いエプロンを着ている。
ギルティアが話した言葉は、小さな花びらに一音ずつ乗ってチョココへのメッセージとして響いた。
ビター・チョココはピンときた。
「お菓子の製造方法がしりたいですか?」
「ぶっちゃけ、そんなとこ──。チョココがモムたちと踊るところを見ていたら、花の一輪一輪をアタシがあつかうことのヒントにもなりそうだろ。せいぜいたくさん失敗してみせなよ。そーしたら、アタシの経験値になるだろーから」
「お菓子の切れ端もおいしいですよ。スウィートミィ」
ビターチョココはモムを掴むと、ふんわりと上に投げていった。
「まだ見ているだけにしてね」と観客に注意をして。
投げた先で結合したモムは、新たなスウィーツとなる。
マシュマロの中にグミ、外側にはカラーチョコレートのラッピング。
ビスケットの中には香り豊かな茶葉、アールグレイと抹茶がケンカしてる。
ビスコッティにチョコチップ。
ここでダークチョココへと変身する。
黒曜石のナイフの切先をつきつけて迫ってくるドグー=プッチを見据えた。
「”食べろ”」
「!?」
一瞬チョココが見えなくなるほどに、モムが集合する。
土偶はミレージュエ大陸で生まれたときそのまま、壺に手足が生えたようなずんぐりとした体をしている。内部には悪しきもの、おぞましきものを蠱毒式に煮詰めたエキスが揺れていた。”これ”から古代の黒曜石も造っている。
甘い味なんて・・・
甘い味なんて・・・
知らないよお!!!!
なにこれえ!!!!
ギルティアが身を乗り出した。
「おいおいおいおい、ドグー=プッチとやらが、ドグー=デッカになっていくんだが!?」
「マドモワゼル。ホワイトチョココがお答えいたします。みなさまもご清聴をシルブプレ!
ドグーの内側に招かれたモムが溜まっていますので、そりゃあデッカくなるでしょう。1の毒があるならば1000の甘みで薄めてあげればいいじゃない。毒にも薬にもなるってそういうものかしら。夢がありますね」
「夢え? 難しそうなこと言ってるつもりかもしれないがスッゲーアホだと思うぜ……。まあいいや……。なんか、聞いてる奴らは雰囲気に感動してるっぽいし、エンターテイメントとしてはそれくらいアホでもいいのかもな。で、満腹にさせたらドグーそのうち倒せるってわけ? モムを集合・融合させるのは面白かったけどさ」
そんなわけないだろ、とギルティアは口角を下げる。
「わかりませんが!」
「ふーん」
「このドグーが悪しきものであれば!」
「うん」
「甘い幸せを差し上げたらよろしいと思うのです!」
「ぷははっ。そいつぁ、いちばんひどい倒し方だなあ」
▽ギルティアの口に 浮遊エッグボーロがとびこみました。
▽ギルティアは 懐かしさに包まれた。
「バブーぅ」
「いかーん! レナパーティの従魔が成長することは好ましいので推進するように、って言われてんのに幼児退行を許しちまった! 黒薔薇のツルの隙間を鋭角でぬうようにすっとんでくるスイーツがあるなんて聞いてねえぞ。いやギルティアはこの状態が今は正しいんだから、健全な成長のまっ最中なのか? そこの蜘蛛、どう考える!?」
「お言葉ですがクドライヤさん……スウィーツが正しい名称です……。そして……ギルティアはそんな感じでいいと思うけど、その、影に潜んでいた鬼蜘蛛のイラをひっつかみにこないでほしい、自信無くすし任務中だから……」
「縦割り組織だから諦めろ」
「目が暗い」
▽【スカーレットパレード東の部 はじけるお菓子と薔薇の花】
▽マッチョマンフラワーがアップを始めました。
晴れわたった空に雷が轟く。
「!」
ルーカは赤のマントを体の前にもってきて、衝撃を防いだ。
素晴らしい魔道具のこのマントは防御力が高いものの、レナが身につけているときほどの効果は発揮されないだろう。もしくは傷でもつけてしまったらマントがヘソを曲げてルーカを陥れるかもしれない。
あまり使わない方がよさそうだ。
「っ、ドグー=ルーカ、と呼ばせてもらうよ。君って雷魔法を使うところまでコピーされているんだね」
「なぜ避けなかったか? やはり観客を守るものらしいね? ルーカティアスはそのような行動を取るヒトだ。目の前の者が傷つけられるのを無視できない、無視することのほうが辛いから、自分が傷ついただけの方がマシという思考回路。なまじステータスが高いから自己犠牲をするようだ」
「あれっ、ちょっ、もしかして僕って従属状態じゃないとまだそんな卑屈野郎なの? 僕が自己犠牲しちゃうとレナたちが悲しむからやらないつもりなんだけど、それすらも従属解除されたらなくなっちゃう感じ? つまり今の君のように。どうしようもなくネガティブだなあ。というよりもストレス耐性が低いのか。少なくともいいヒトではないって思うね」
「ヒトでいなくてもいいよ。”僕が”成り代わってあげるからさ。髪が黒くなったくらいでレナは僕のことを嫌わない。そうだろう」
レナパーティに紛れ込む黒髪のドグー。
にこやかに迎えられて呼応するような笑みを浮かべる。
光景として違和感はないのだろう。
「でも、僕が嫌じゃん」
魔剣と古代剣がぶつかった。
読んでくれてありがとうございました!
もりもりと書いていきます(`・ω・´)ゞ
ぜひ読んでいってもらえると嬉しいです♫
また、長らくの読者のみなさま、レアクラ書籍についてのあたたかいメッセージをありがとうございました。
泣きました〜〜。゜゜(*´w`*。)°゜。
ほんとおかげさまで、今も書けています。
ちょっと待っててくださいね。嬉しくて、噛み締めています。お言葉を届けてくれてありがとうございます。これまでいただいたメッセージやファンレターなどもずっと宝物にしますね!
大変な一週間でした。
けれどここからも折れません。
これからもよろしくお願いします₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑
よい週末にしましょう!




