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白竜のニックネーム

 


 ▽白竜のニックネームを 決めよう!


 ノアが言う。


「ジーニアレス冒険者ギルドの規約に基づきます。ニックネームを登録する際は、その存在にふさわしいものでなくてはなりません。誰かの真似事をするだとか、これからなりたい存在に憧れて名づけるということはできません。未来に希望を祈る生まれ子孫の名付けとはまた意味が違うのですね。再定義をするつもりでやらなくてはだめです」


 みんなが白竜を見た。それはもう見た。じーーー。


「な、なんだ」


「知らなくてはならないので」


 それは事実だが、白龍は注目されることに慣れていないらしく、ふだんは謹慎中ゆえ室内待機を命じられていたり、そもそも竜の隠れ里に暮らしていたので他人の目を気にする機会が少なかったのだ。


 機会が少ないという環境に飽き、思春期を迎えて他者に興味を持ちだした矢先、よりにもよってそれがレナパーティのレナだったという流れである。


(この白竜、運が悪いんだろうなあ)


 と誰もが気づいた。


 そして、知らぬところでルーカがクシュッとくしゃみをした。


「彼が消えてしまうと困りますからね。特徴を挙げていきましょう」


 ノアは宰相の娘らしいというべきか、魔物社会の一片として魔物を見るようなところがある。今回はとくに白竜が立場上は重要視されるポジションにいるため、その傾向がより強く出ていた。

 組織的なしがらみのないクジラなどには柔軟に出られるのだが……。


「ノ、ノアちゃん。(※小声)それだと組織的に困るから改善してください、って圧になっちゃうから。彼、今、かなり繊細に傷ついているみたいだから。そういうときって言葉ひとつでガラガラと心が崩れたりしちゃうかも。なんというか、個人の心境の方を拾ってあげたほうが、よりその存在らしいんじゃないかなあ」


「レナ様はそのように相手を見られるのですね。だから従魔のみなさんとあれほどの深い関係が築けるのかもしれません」


 ノアは目をきらきらとさせてレナを見上げた。


「でも、時間はないから、早く見極めませんとですね」


「そうだねー……。心理テスト形式にしてみようか。それだと回答のたびに相手のことがよくわかりそうだ。魔王国に行ってみて感じたことなんだけど、魔人族の人たちも、心の動き方って私たちヒトとそっくりなんだよね。体の勘のところが個性豊かで引っ張られたりもしてるけど、いいことできたときは嬉しそうだし、悪いことがあったと感じたら悲しんだり怒ったり。だから、心理テストだって意味があると思うんだ」



 ▽心理テストをしてみよう!


 クジラの影になるところでこのテストは行われた。

 もし誰かに注目されていたら、見栄を張った白竜がウソをついてしまうかもしれないからだ。

 なお、レナパーティとノアたちについてはしょんぼりとしたところを見られてしまい、取り繕っても無駄であると理解したのかおとなしい。

 おとなしいからこそ、何者なのかという主張もできず、消えてしまうかもしれなかった。


「「ぱふぱふー!」」


 クーイズがレナの左右を陣取って、声を上げた。

 白竜は緊張した面持ちで、椅子に腰掛けている。


「第一問。あなたはペットを飼うことになりました。魔王国でも街ゆく人が動物を連れていたことがあったでしょう。あのように、家畜ではなく野生ではなく、ともに暮らす存在です。

 そのペットが懐いてくれません。そのとき、あなたはどうしますか?」


「食……」


「ドラゴンにならず人型のままだとして。食べ物で気をひく? 優しく近づく? 遊んであげる? ペットが安心するまで待てる?」


「それなら、気をひく」


「精神年齢はお子様です」


 ショックを受けている白竜の前で、ノアが冷静に記録していく。

 レナは白竜が崩壊しないように、次々に質問していくことにした。

 存在を確かにする柱は、いくつあってもいいのだ。多いほうが頑丈になる。


 ▽精神年齢 お子様



「第二問。夢の中であなたは王子様になっています。そこで海を覗き込んだら、最初に見えたのはなんでしょうか? 直感で答えてください。イルカ? 大きなタコ? 海亀? マーメイド?」


「海亀」


「これは自己愛を測るものです。海亀でしたら、自己愛率は40%、実はあまり自信がない状態のようですね」


 ▽自己愛率 40%



「第三問。あなたが草原で見つけた壺の中には何が入っていましたか? ハチミツ? どこかの家系図? 金銀財宝? 土?」


「ハチミツだ」


「これは騙されやすさです。あなたは、甘い言葉や好みの容姿、自分を甘くさせる存在に騙されやすいと言えるでしょう。どちらかといえば気持ちのいい関係性だけを望み、自分を持ち上げてくれる存在を隣に置きたがるので、その相手があなたを騙すつもりでいた場合、騙されてしまいます」


 ▽騙されやすさ 甘い誘惑に弱い



「第四問。あなたに長く仕えてくれた従者がいました。その従者が「ちょっと旅に出てきます」とそっけない態度で言うのです。あなたはどのように返事をしますか?

 驚いて無言になる? 行ってらっしゃいと笑顔で見送る? 悲しくて涙が出てしまう? 一緒に旅に出る?」


「一緒に行く……いや、無言になるかもしれない」


「これは依存執着度をみるものでした。もし一緒に行きたいなら、あなたは、どうしても親しい人と離れられない寂しがり屋。相手も自分のことを連れて行ってくれるだろうという、相手の意志を変えることすら望む。相手は一人で行くつもりで声をかけたのでしょうに、周りが見えておらず、見たくなくて、自分の妄想に浸りがちなところがありました。

 けれど、無言になるのであれば、おそらく見送るつもりだったのでしょうね」


「そう……だろうな。何を言ったところで行く奴は行く。残る奴はそもそも行くと言わない。竜種とは本能が濃い、魔人族になってもだ。だからその本能がこう移動すると決めたならば、たとえ首に鎖をつけられてもそのように動くのだろうよ。

 己は他人から変えられぬ。であれば、他人をこちらから変えることも不可能だ」


「そういうことなんですね。だからといって諦めたくないときは、気をひこうとする……どうにもならない現実に対して自分の心を慰めてあげているのかもしれませんね。

 なあんだ。誠実なところがある人じゃないですか」


「な、なあんだ、とはなんだ!?」


「おそらく白竜でなければならないという枠組みに呑み込まれてしまっていたんじゃないですか。あなたの性質が。それが組み合わなくって、ラナシュ世界の曖昧さにひっかかってしまったのかもしれませんね。

 ……今、静かに言葉を選んでいるところもそうです。

 ……遠く故郷から離れたこのミレージュエ大陸ではあなたの生い立ちを知っている人もおりませんよ。リラックスして振る舞ってみたらどうでしょう。それはきっとラクにさせてくれるはずです。

 大丈夫。あなたがここにいることは私たちが見ていますからね」


「そなた、レナ。やはり好ましい」


「あなたはそう思うんですね。私は受け入れることはできませんが、聞き覚えることはしましたよ。この港まで迎えにきてくださって、ありがとうございます」


 ▽依存執着度 問題なし(※従魔の嫉妬を除く)




「「シロちゃん」」

「ホワホワホワイト? うーむそれではチョココと被るのじゃ」

「マヨネーズ♪」


 順に、白竜をからかっているらしいクーイズ、大真面目にセンスを披露するキサ、イカゲソにはマヨネーズが似合うんだヨーなどと関連づけて楽しそうにしているミディ。


 しかしどちらにせよ、可愛らしいところがある、といった雰囲気のニックネームが有力だ。


「白を表す単語に、白竜様の性質を帯びた、そのようなニックネームがよさそうなのですね。……ノアには思い浮かびません! すみません」


 書類仕事は得意だが、杓子定規な考え方をしがちで、独創性には自信がないのだという。


「シロノアール……」


「「?」」


 みんなが不思議そうにレナを見た。


「いや、ノアールって黒って意味の言葉があるらしいんだけどね。そこに白をつけてあげたら、白黒になるじゃない。白竜と言っても真っ白ってわけじゃなく、羽の内側や爪が黒かったりするし、白だけって名前だとまたしても危険じゃないかって考えたんだよ。

 シロノアール。白黒っていう意味だから、それなら、白竜としても彼自身としても範囲内に収まるんじゃないかなあ」


「「いいね! シロちゃんとも言えるし♪」」


「結局そこなのかっ」


 がうっ、と口を開けたら鋭い竜種の牙が見える。

 しかしその口角はわずかに上がり、安心の滲む笑みであった。


 ▽白竜のニックネームは シロノアールで決定!



 とある喫茶店のおいしいスイーツを懐かしく思い出していたとは口が裂けても言えないレナであった。


 ここにとある笑い上戸が居なくてよかった。大丈夫、遠い辺境の地でめちゃくちゃ笑っているだけだから。レナパーティのところを覗くタイミングが悪かったのだ。



 ▽海洋プランクトンを 倒そう!


 ギルドクエストをレナが復習する。

 この辺りはキラのサポートが乱れている。自分が主となってルールを確認するところから始めるのは、なんだか旅の始まりのように久しぶりだった。


「海洋プランクトンが増殖しすぎて困っているというクエスト。ポイントは散らばっており、この大海のどこにあるのかを地図にメモしてもらってある。特徴はある。遠くからでもその場所は灰色っぽく見えるみたい。また、海洋プランクトンを求めて野生のウミネコが海上を飛び回っているらしい。これも妙な変化をしているので討伐すること。

 白竜の〜、【シロノアール】さーん! どうかよろしくお願いしますね」


 ▽クジラを引っ張っていっくよ〜! ヨーソロー!





お待たせしました!

読んでくれてありがとうございます( *´꒳`*)੭⁾⁾


もーちょい書きたかったのですが夏休み小学生に振り回されております。。今年の夏は先週から夏休みやったんですけど、こんなに長かった(早かった)ですっけ??暑すぎるから……?


夏休みにも書き溜めてちょこちょこレアクラ更新しますね。お付き合いくださると嬉しいです♪


今週もお疲れ様でした。

よい週末を〜₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 今回も楽しく読ませて頂きました。 でも結局は[シロ]と呼ばれるんですねぇ~?
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