アネース街道レベリング
▽【お宿♡ ウォーレン店】を出発した。
▽ポイントカードに ミミリンのスタンプをもらった。
▽レナたちは アネース街道を歩いていく。
▽街と街の間には 小さな魔物が出るそうだ。
▽倒しながら行こう!
のどかな小麦畑が広がっている。
まだ青々としていて、レナは故郷の田畑を思い浮かべた。
職業【農家】の人たちが世話をしている。
ところどころに点在する小屋は彼らがしばらくの間寝泊まりをするためのところだ。
空気と水がすがすがしいアネース王国では、農業品の質がいいそうで、設備を作るにしても国が補助をしてくれるのだとか。
「レナお姉ちゃん。小屋に冒険者ギルドのマークが貼ってるでしょ? あれを貼っているところで困り事を解決してあげたら冒険者ギルドの成績にもなるよ。
そうしておいが方がいいと思う。せっかく困る魔物を退治しようとしていても、周りの人からすればその思想はわからないし、旅人が攻撃をしかけてきたって誤解されちゃあたまらないでしょ。最近そういう事件も起きてるからさ」
「はーい。教えてくれてありがと」
トントン!
小屋の扉を叩くと屈強なおばさんが出てきて、あらあらご丁寧に、と言った。
可愛い子たちを見て嬉しそうな顔をした。そして、冒険者としてクエストを受けたいのですが、とレナがいうと驚いた。
「大丈夫かい。ここらの魔物はわりと凶暴だよ」
「おそらくいけます。どのようなものですか?」
おばさんは土間に伏せていた籠からむんずと何かを掴んだ。
しばいたあとの大きなネズミだ。黒々とした前歯が伸びている。
「こういうものがいるのさ。おそらく土の下が問題なんだよ。地面の奥深いところにはシルフィネシア様たちの風が通っていかないから、ところどころに魔力の吹き溜まりみたいなものが出来ちゃってるようでねえ。今年は多いねえ。そこらを移動している穴ネズミやモグラとかが、小麦の根を荒らす害獣になっちまうんだよ」
「そうなんですね。地上に出てきたところを捕まえているんですか?」
「アタシらはそうさね。小麦の葉を噛むのが好きなようで、わざわざ出てくるから、そこでガシッとしばいたり、籠の罠を仕掛けたり。頭はよくないから簡単にひっかかるよ。それから猫も飼ってる。これくらいしておけばおおよそ大丈夫なんだけど、今年は多いんだ!」
「わかりました。地中は移動のために使ってるって感じなんですね」
「ああ、ミミズは殺さないでくれ。畑がかき回されて肥えるからね。食糧になる小麦を駄目にしちまうネズミとモグラだけにしておくれよ」
「はい。捕まえたあとは活用先はありますか?」
「いや……泥臭くて食糧にはならないから、てきとうな壺に入れて焼いてから地中に埋めてやるよ。それくらいはしてやらないと怨念でも抱かれちゃあたまらないからね。シルフィーネ様を称えるこの国が穢れを招いてはいけない」
レナは頷いた。
「食物連鎖にくみこむのはアリですか?」
「ええ? 食べちまうってこと? まずいよ? 毒もあるし……。うーんでも冒険者によっちゃあこだわりがあるもんだからね。食物連鎖のルールにいれるなら穢れにはならないから、別にいいよ」
「おお、よかったです。私、職業が魔物使いでして」
「あらぁ、珍しいねえ。じゃあ魔物に魔物を食べさせてやるってことかい。そりゃあもっともまともな食物連鎖だ」
おばさんは豪快に笑う。
「アタシは普段から魔物をしばいてるから気にならないけど、街中では大声で言うもんじゃないよ。ピンとこなさそうな顔をしてるね。ほら、虫が嫌いなお嬢さんとかいるだろう。あんな雰囲気、で伝わるかな」
「分かります。郷に入っては郷に従おうですので、無理はしません。私の従魔たちも疲れちゃうと思いますし」
「あっ。魔物をしばいてるって言って、嫌な気持ちにならなかったかい?」
「えーと、倒すみたいなニュアンスですよね。それならうちもやってますし、人がどの人と友達になるか、喧嘩をするとかいうようなものかと思います。魔物全部を博愛するわけではないですし、うちの従魔は特別可愛いです」
「「よっす! 我ら従魔なんですぜ! 駆除がんばってくるからねー!」」
あらあぁ〜!? とおばさんは目を丸くした。
今時の魔物使いってこうなのかねえ、イナカしか知らなくてねえ、と面白そうに言う。
▽クエストの地に案内された。
▽農家のおばさんは 熟成小麦菓子を差し入れしてくれた!
▽糖分補給して エネルギーチャーージ!
「さあやりますか。クレハとイズミの経験値を優先して、小麦畑には影響がないように作戦をつくるね。うーーん……」
<ギルドカードをご覧ください>
キラから横槍が入る。
レナが作戦を考えてしまう前に、伝えたいことがあるようだ。
ギルドカードを眺めてみると、
「あれ? 表示が変わってる。どうして?」
「名前:クレハ
種族:ブリリアント・ジュエルスライム(赤)LV.36
適性:赤魔法[熱、炎]
体力 :最優
知力 :優
素早さ:優
魔力 :普
運 :普
スキル:[溶解]、[火炎放射]、[形状変化]──とろける、超硬化、火達磨、マグマボディ、ロープ
ギフト:[全状態異常耐性]☆4
称号:魔人族、悪喰」
「名前:イズミ
種族:ブリリアント・ジュエルスライム(青)LV.36
適性:青魔法[水、氷]
体力 :優
知力 :優
素早さ:最優
魔力 :普
運 :普
スキル:[溶解]、[氷水砲]、[形状変化]──とろける、超硬化、水鉄砲、ロープ
ギフト:[全状態異常耐性]☆4
称号:魔人族、悪喰」
<整理整頓しました。ステータスはこのラナシュ全体の傾向を分析、そこからみてレベルに対する数値の良し悪しを表しています。スキルも似たものをまとめました。
他もまとめたかったのですが……削るとアイデンティティの情報が削がれる危険があるので残しました。
これからの方針としましては、経験からくる裁量で魔法を器用につかってみるのがよろしいかと……。マスター・レナ、けげんなお顔ですね? ぐすん>
「それはキラのやりたいこと? それとも妥協だったり?」
<鋭いっ。そうなんです……一時凌ぎの妥協ですとも……!>
<かっこわるいからできないって言い方はしたくなかったようだ。キラママは>
<ふんだ>
「ふふふ。でもキラのことだからちゃんと考えた結果なんでしょ」
<はい。スマホ的に説明させていただきます。なぜそのような仕様にしたのか。
あいまいなラナシュ世界ゆえ、ぼんやりと存在していたもの=データ容量が少なくてすみました。しかし、それでよしとしていた時代から、近頃の黒い空など不安が増し、不安は緊張をまねいて、ぼんやりしていたところを明確にしようという働きが起こっています。
ヒトも魔物も自分の財産を守ろうとしているんですね。海賊科学者が名乗りをあげたこともそうです。おびやかされているという意識が生まれたからでしょう。
あいまいだった部分にこだわった命名がされる、しかも個人ごとにそれがあり、フォルダ分けもされていないので、ラナシュ世界の容量がいっぱいになりかけているんですよ>
ここでキラの<やれやれですぅーーーっ>という声が入る。
<マロも説明してみたい。細かくなりすぎたものを、ビーズでアクセサリーをつくるみたく、まとめるという遊びをしているのだ。作り終えたアクセサリーのほうで一時的にそなたたちには遊んでいてほしい。そういうこと>
「なるほどね」
<マシュマロらしくまとめられましたね。
しかし、せっかくの、従魔の技能や良いところを細やかに見出してくれるマスター・レナの素質はありがたく嬉しいものですから、いずれ元に戻すつもりです。きちんとふさわしい言葉で記憶することは私の趣味であり願いです>
「了解」
<ありがとうございます。私たちも情報仕分けを頑張りますとも!>
<えいえいおー>
▽新しいステータスで チャレンジ!!
レナは(シンプルに組み上げて、従魔の勘であとはやってもらう)と決めた。
「このあたり土に湿り気がある。もしかしたらミディのギフトが使えるかもしれないね」
<[シー・フィールド]判定──アリ寄りのアリです>
<マロもそう思う>
<二票入りました!>
「よし。ミディ、土の中に入り込んで深いところをかき回して。嫌な予感がする部分があったら入り込まないように気をつけて。できるかな?」
『やってみるノヨー♪』
ミディはイカ型になると、するりと水面にもぐるように地面に入りこんだ。海を散歩するみたいに気ままにゆく。気持ちいいところだけを泳いでいいとレナに言われたようなものだ。周りで慌てているような小さな気配がいくつもあるが、それは海水浴をしているときに小魚が避けていく動きとよく似ていた。
これを、上にいくようにするには、地下をミディのエリアにするつもりで遊び尽くすーー!
『ふはー。キモチイイー♪ 全身が伸びるわぁー♪』
土がもこもこ盛り上がる。
驚いた害獣がわらわらと地上に出てきた!
▽毒モグラが 現れた!
▽穴ネズミが 現れた!
▽泥ミミズが 現れた!
「クレハとイズミ、スライム姿でゴー!」
『『ヒャッハー!!』』
▽いただきまーす!
▽食物連鎖! 食物連鎖!
土の上をすべるようにしてスライムが這っていき、次々に獲物をのみこんでいった。ミミズだけはペッとその辺にリリースしていく。
スライムボディならば麦の間を柔らかくすり抜けることもできる。
幸いにして小麦の根は深く、ミディからまっすぐに逃げようと真上に穴を掘った害獣たちの影響はあまり受けなかった。
『『これなら余裕だねっ。おやつまだまだ入るよー』』
スライムが喰べる! 溶解! 喰べる! 溶解!
すさー、すさー、と小麦畑を移動して、一旦レナたちの方に帰ってきた。
「どうしたの?」
『なんかねー、まだ食べ切ってないのに、減っちゃったような……?』
『また地面に潜っちゃったかもしれない。ミディもビビらせてるけど、我らにもビビったのかもね』
「たしかに」
レナは鞭を握って、魔力を込めた。ミディはかなり深いところまで行ってしまったようなので、確実に声を届けるためだ。
「スキル[伝令]ミディは大きくかき混ぜて、いったん地表に出てきて」
『──…………ウン!』
ホッ、とレナは力を緩めた。
「次はキサにも協力してもらいたいな。ミディが出てきたら、地表をうっすらと凍らせてくれる?」
「わかったのじゃ」
キサはうずうずとミディを待っている。
そこでアリスが手を挙げた。
「レナお姉ちゃん。作戦のあと、地面を凍らせたままだと作物に影響が出ちゃうかもしれない。初夏の作物は初夏の気温で育てないといけないはずだから。そこはなんとか元に戻せそうかな?」
「了解。──うん、そこもクリアできるよ」
ミディが飛び出た!
キサがすかさず地表を凍らせる。
イカに恐れをなして再び外に出てきた害獣たちは、もう潜ることができない。
『『いただきまーす!』』
スライムたちに食べられていく中、レナは手を合わせた。
自分達が生きていくために倒すことを選んだのだから。
*
▽クレハの ぬるいマグマボディ!
▽ぬーーる ぬーーる ぬーーる……
▽薄氷が溶けた。
▽土の表面が つややかになった。
「いやあ、あんたたちが凍らせてるのを見た時はどうなることかと思ったけど……元に戻してくれてありがとうね。それとこの、透視を反映した魔道具? みたいなやつすごいねえ。あんたらの活躍で地中にどんだけ害獣がいなくなったかみれるんだもん」
「断面図みたいに映ししたら安心してもらえるかなと思いまして。そうなんですこの魔道具はスチュアート商会さんから卸していただいて」
ということにしている。
せっかくなので地中を見せたかったのだが、キラの技が反映された電子タブレットは破格の品なのだ。あとでこのアイテムが噂になったことを考えて、アリスに後始末をたのんだ。彼女なら誰がつっこんできてもうまく言いくるめてくれるだろう。
(アリスちゃんありがとう。しまったな、久しぶりの細かい指示だから失敗した。成果がわかるように魔物を捕まえて持っていく方がよかったかもしれない)
(レナお姉ちゃん落ち込まなくて大丈夫だよ。消化することも従魔の経験値になったと思うから、これがベストだったんじゃない? ねっ)
珍しくアリスにレナが慰められている。
モスラにとっては眼福である。
「ああ助かった。しばらくは害獣対策のほうに手間取られなくてよさそうでうれしいねえ。アタシらは農家だからさ、小麦とかの世話をしてるのが何よりもたのしいんだ。
これ、冒険者ギルドまで持っていっておくれ。そこでクエストの成功報酬がもらえるからね。今年に入ってからは補助金が手厚くて、前にもましてイイ国になったよ」
おばさんはクエスト証明書をくれた。少し泥がついているのも彼女の日々の努力の跡である。
それから、野菜畑の方に案内してくれて、少し分けてくれた。
▽レナは 地上昆布の小苗を分けてもらった。
▽レナは 郷土料理のレシピをもらった。おでんに似ている。
*
このような小さな依頼を数回受けていった。
レナは、ギルドカードとクレハ・イズミを交互に見た。
「進化まではもう少しくらいかな……。クレハとイズミ、ちょっと動きにくそうになってきたよね。それは魔物が進化する前、成長しようとしてる体と今までの動き方が合わなくなってきてるから、なんじゃないかな。それがあると進化していくのかもしれない」
『『なんだってー!?』』
「あはは。私だってしっかりみてるんだよ。しばらくルーカさんとかに観察をお願いしていたから感が鈍っていたけどさ、二人を見てたら、従魔の観察のしかたを思い出せたよ。初めて進化したときのことも思い出しながら、ね……。懐かしいねえ」
『『ねー!』』
おーい、とパトリシアが呼ぶ。
「そろそろ次の街に着きそうだ。そこまできたら王城も近いし、冒険者の数も多いから、レナパーティが戦う機会はここまでかもな。……さて、どうしたい? 経験値はまだほしいんだろ? それは早く? 希望があるなら言ってみてくれ。できるかできないか、聞かないことには返事もできないからな」
クレハとイズミが人型になり、パトリシアのところまでトットコ走っていって、声を揃えた。
「「街に訓練場ってあるの?」」
「あるよ。冒険者ギルドの近くに。それから私の家の裏庭が個人的な練習場所になっているから、そこでもいいぞ」
「「じゃあそこでコツコツと練習したいな。ヒト型のままなら街中で戦ってもいいでしょ?」」
「まあね」
<マスター・レナが側におられたら成長も早いですし>
「よっしゃ。もちろん私もひと肌脱ぐつもりだもんね。パジャマパーティーしちゃおうか」
「私の家の裏庭で!? ……夏の陽気だし、いいか」
──夏の陽気。
そうパトリシアが言った通り、アネース王国に入ってからレナたちは暑さを感じていた。
ミレージュエ大陸には四季があり、同じ土地でも季節によって気候が変わる。初めてこの街に来たときには晩夏の頃だったそうで、そろそろこの大陸にとっての一巡となったのだ。
対して、ジーニアレス大陸のほうは土地ごとの気候がある。シヴァガン王国から港までは春らしい気候、ドワーフ火山地帯は暑く、凍土は寒くて、ラミアの洞窟は多湿である。これがいつまでも変わらない。
パトリシアは空を見上げた。
「今夜、外でパジャマパーティーをしても風邪をひくことはなさそうだな。むしろ半袖でもいいかもしれない。……少し前のトイリアっぽいな」
「少し前のって?」
「レナたちがネッシーを救う前。そのときと似てるんだ。シルフィーネ様たちの力が弱まっていたから、夏は熱が止まって暑かったし、冬は雪雲がどんよりといすわってジメジメしてたんだよな。今はそんな感じがしないか?」
「まとわりつくような熱気、はあるかも。キサとイズミとミディが近くにいるから涼しいだけで」
「「「ピッタン!」」」
▽レナは 三人にくっつかれた!
「今は別のところをネッシーが頑張ってくれてるから、気候を整えるまで手が回らないのかもな……。ネッシーが現れてすぐの夏はさわやかな気候だったんだぜ。レナ、あの子に顔見せに行ってやってくんない?」
「いいよ」
「あー、まって。んー。頼りすぎかも……」
レナはこくんと頷いたけど、パトリシアは一足遅れて唸った。
「パトリシアちゃん。無理なら無理っていうからさ。やれるならやるよ。もし何かの予定が入って難しくなったらごめんね。でも会えるなら会うつもり。ネッシーの顔見るのも楽しみだしね」
「ありがと」
<呼びましょう>
「その手があったか」
パトリシアがパチンと指を鳴らす。
レナの方がびっくりしていた。
パトリシアは馬車の奥で唸っているアリスの肩を叩いた。
「うーんうーん……」とこれから屋敷で整理する書類をまとめていたアリスだったが、頭で考えながら耳でものを聞く二重処理をみせて、これからの計画を聞くと口の端を吊り上げた。
▽ピューーーウ! アリスは モスラの放ち笛を吹いた。
▽あとはモスラにお任せで理解してくれる。
▽音は遠くまで響いていく──
▽隣街まで──
▽住民はものにつかまり 待機姿勢になった!
「行ってきますね。ひとっとびです」
▽モスラが ヴィヴィアンレッドバタフライになった。
▽アネース王国では たまにみられる光景である。
▽【ラビリンス:青の秘洞】上空に到達。
▽モスラは 大精霊シルフィネシアを連れて 帰ってきた。
▽早い!
『お待たせしました』
「風圧ーー!! 飛ばされそう……!」
▽ネッシーが風圧を緩和してくれた。
▽吹き飛ばされそうだったレナたちを 最上位の風が包んだ。
レナは少し宙に浮いている。
レナの周りを、ネッシーはくるくると回った。まばゆいくらいの清らかさだ。少女の純白の布地がエレガントに風にたゆたう。
『すごーい すごーい みんな来てくれたんだ~♪』
「ネッシーの方が来てくれたというべきかも。こっちで会うのは久しぶりだね。相変わらずキラキラしてて綺麗だねぇ」
『ん~……けれど葉っぱが萎れちゃって……』
▽ネッシーは 羨ましそうに レナを見ている。
▽レナの オカン力 発動!
▽元気がない子はなんとかしてあげたいものだ。
▽レナは 飴袋を取り出した。
「これ……リリーちゃんのおやつなんだけど……」
「それ例のドーピングスイーツ?」
「そそそそんな呼び名をしないでね!? パトリシアちゃん!? 仲間内で制作して仲間内で消費してるから合法だよ。リリーちゃんの禁断症状緩和のためにチョココと共同開発してアグリスタがデザインした袋です」
「あますところなく従魔の名前を世界に刻んでいくよな」
「はいっ。というわけで、疲労回復になるかもよ」
▽ネッシーは <<<※赤い飴>>> を食べた。
▽これを見たことは忘れてくださいいいですね。
『おいし~~~~♪♪ ラララ~~♪』
ネッシーは上空に舞い上がり、その髪をてっぺんまで赤くしてから、もとよりもみずみずしい若葉色に光らせた。もう体中に力がみなぎっているようだ。
どんよりと留まっていた熱気はさらさらっと街の外に流されて、世界をまぜてしまうくらいの大気が動く。しかし激しくはなく、ゆるゆると包むように優しいものである。
どのような奇跡がこの一瞬に起こったのだろうかと、街の人々は空を見上げた。
シルフィネシアが微笑むこの国はきっと大丈夫だと、ヒトの繊細な心を安心させていった。
一方、レナたちは。
「ゆゆゆ夕焼けのせい! 夕焼けのせいで髪が赤く見えたことにしようネッ」
「そうだねー。言い訳はそれくらい証拠がいらないものがいいはずだよー。レナお姉ちゃんが身内に優しいのは今に始まったことじゃないけどさー。ちょっとミレージュエ大陸に対して気がゆるんでたんじゃないでしょうかねー?」
「まーまー、アリス。そこをなんとかしてやるのが私たちの友達甲斐じゃん」
「それはそう。ヒトは魔物のみなさんよりも抜け目ないから、そこは私が守るところだもん」
ネッシーの自由さをうっかり忘れていたレナ。
もともとネッシーは仕事ばかりの精霊ではないと忘れていたアリスとパトリシア。
主人たちの新しい表情が見れたらいいなと狙い通りのモスラ。
なんとかなるさの従魔たち。
▽こうなる。
キサとミディはネッシーをうっとりと見上げていた。
水の加護をもらっているため、本能のあたりがどうしようもなく感動している。
「なんと綺麗な大精霊じゃ。治したから、ここでもう別れてしまうのか? この容貌と離れてしまうのは惜しいのじゃー……」
「ねーねー。みーんなでお城に行っちゃえばいいんじゃナイ? そうしたらさみしくないし、すぐに着くし、帰ってこられるモン。さっきみたいに風で包まれて空をビューンって。ミィ、空飛ぶイカにもなってみたいナー♪」
『わあ あなたたち 姉妹みたいな心地いい空気ねっ♪ 行きましょう♪ 一緒にいきましょう♪ アネース王国のどこにでも 送ってあげましょう♪ わたし 大精霊シルフィネシアだもの』
レナが「ひえっ」と声を漏らした。
パトリシアは「ああなったネッシーはもう融通きかないよな」と覚悟を決め、モスラと共に馬車の中の荷物が崩れないよう固定していった。クレハとイズミもスライムボディでこれを手伝う。
アリスは馬たちの様子を見ていった。落ち着いているか、暴れなさそうか。幸いにしてシルフィネシアから醸されているアロマの香りによってリラックスしているようだ。
「ネッシー」
レナが呼ぶ。真剣な表情をしている。
シルフィネシアは嬉しそうに頷いた。
「もう安全運転できるってこと?」
『分からない♪』
「ああああ……」
──結論から言うとからかわれただけである。
従魔が育ったように、シルフィネシアも支援住民に囲まれたことで精神的に成長していたのだ。レナをからかう余裕があるくらいに。
やわらかい風につつまれながら、ギルドの馬に繋がれた馬車が空をゆく。
今だけはヴィヴィアンレッドバタフライのはばたきもまるで空気に影響しない。
幻想のように、空を流れゆくものたちがいたのだ。
▽アネース王城。
「た、大変です、新陛下!!」
「あわてる事態ではない。彼女らならそんなこともあるだろうよ」
「でも、アレ、アレですよ!?」
「うむ。ただアレなだけだ」
新陛下はなんと落ち着いて構えているのか、と評価が持ち上がった。
頭に冠を乗せたその人は、玉座の間のおおきな水ガラスの向こう側をなつかしそうに眺めて、苦笑した。
▽Next! 謁見をタスク扱いするな。って大臣に注意されました。
読んでくれてありがとうございました!
ステータスをどうしようか非常に迷いました。そして、ラナシュ世界の展開にあわせてキラたちがリデザインしていってくれることになりました。
それならストーリーに一番合う形で表現できそうなので。
ここまでのステータス表示に慣れ親しんでくださっていたみなさま、変更してしまいすみません。
服の表示を見るのが楽しみと言って下さった方、数値を見るのが楽しみと言って下さった方もいらしたので、申し訳なく思います。
最後まで調整を続けていきますので、どうか見守ってくださると幸いです(深々)
では……!
今週もお疲れ様でした。
よい週末を₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑




