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商業ギルド街道

 

 ▽アリスの積荷作業のお手伝いにきたよ!


「えー。レナお姉ちゃんたち、ついてきてくれるの?」


 アリスはぱああっと顔を明るくした。今! レナパーティの戦力を得ること以上に! 大事なことなどあるだろうか! ない! にっこりにこにこ微笑むべし!


「そうしようかなって。ノアちゃんのところに先に話しに行って、OKももらったんだ。私たちこれでも聖霊関係の重要人物でもあるから話通しておかないとねー。港でクジラと待っててくれるみたい」


「嬉しいなあ。よろしくね」


 にこにこするレナとアリスを眺めることができて、モスラもにっこり。

 主人の喜びは従者の喜び。それを横目で見たパトリシアが「周りに許されてるからいいけど、けっこう変な趣味だぜ」と呆れたように言った。

 荷馬車の中ではもう、キサがうとうとと眠りそうだ。

 夜通しカフェにいたので、睡眠時間が足りないのである。


 港街から荷物の運び出しをする手続きをしてきたアリスも同様に寝不足だ。レナパーティが夜に活動したことについて雇い主としての報告書も仕上げてくれたそうだ。


 ▽レナとアリスは あくびをした。


「レナお姉ちゃん、一応聞くよ。どうして? やりたいことがあるのなら、私、ちょっとおまけして手伝うけど」


「ありがとう。でも今回は……んー……ルーカさんから、そうしてあげてほしいって連絡があったんだよなあ。未来視の練習をしていて、悪いことでも視るように気をつけたら、解像度が上がったとか言ってね。けれどそれを口に出して世界に刻ませたくないから、とも言ってたんだ。

 だからアリスちゃんの道中も心配だし、制度がしっかりしてるアネース王国まで送るよ」


「わかった。何か思いつくことがあったら、私にも遠慮なくいって」


「うん」


 アリスはびびる様子もなく、積荷の整理を再開させる。

 手伝ってくれている商業ギルドの職員に、冷静に指示を出していく。


 レナがこれまでくぐり抜けてきたトラブルのように、アリスにも時間分の経験があるのだろう。おそらく、濃密な──。才能によるとめどない成長と、それを守るモスラが必要になるほどの事態をくぐり抜けてきたのだろう。レナは思いを馳せる。


「アリスちゃんの冒険譚が書けそう」

「急にどうしたの? レナお姉ちゃん、たまに頭の中でおかしな連想をしてることあるよね。でもそれいいな。また時間を見つけて書いてみようと思います」

「判断が早いなあ」

「友達とのことを記録するのは楽しいしね」


 普段、商談をすることの方が多い。

 アリスの同年代の友達といえば、レナパーティとパトリシアくらいなのであった。

 そんなアリスにとって、レナパーティの名前を書くのはちょっと楽しみなことだ。


 さて、アネース王国トイリアへの依頼書にレナパーティの名義を書き、いいなあとかウチにもご縁をとか呟いている商業ギルド職員にそれを渡そうとしたアリスを、レナが止めた。


 アンから聞いた「レナパーティに容赦をするなと指令されている者がいる」という事情を話す。


 アリスは顔を顰めた。


「じゃ、書類は出さないでおくよ。友達と一緒に故郷まで旅をする、それは不自然なことではないから。商業ギルドのみなさんはここで聞いたことを他言しないでくださいね。はい、よろしくお願いいたします。さようなら。

 ──で、レナお姉ちゃんたちはどう隠れるつもりなの? 黒髪おさげの女の子はこっちではけっこう有名人だよ」


「こうするよ。ミディ、高い高いしてごらん」


「ハァーイ☆」


 ▽大きなお姉さんが 現れた!

 ▽慎重2メートル20センチ!

 ▽そのときの水分保有量によって 身長が変わります。


 ▽変身ペンダント 発動!

 ▽レナは 白い髪になった。


 ▽マダムミディ・ファミリーです。


 ぽん、とアリスが手を叩く。目立つけど、レナパーティを連想させないだけの違いはある。


 それからきらりと目を光らせてレナのアクセサリーをジーと見つめた。


「わあ。リリー・ジュエリーの新作?」


「そうなんだ。[幻覚]が軽くかけられている程度だから、妖精宝飾品としてはそんなに珍しい効果じゃないけど、デザインが可愛いでしょ。それに可愛いリリーちゃんの手作りだしね~」


「いや、あのね……スライムジュエルを贅沢に使っている時点で、狙われるよ……?」


「あっ……身内としか話題にしてないと、レア品だってこと忘れそうになるなあ……。服の中に入れておきます」


「そうして。……でもいつか、レナお姉ちゃんがそれを堂々と身につけられるくらい、宝飾業界の品を一般に流通させてみせるからね。スライムジュエルに限らず。私が広めていくよ。

 昨今、魔法がかけられた宝飾品の流通が制限されているんだ。どうしても長年鍛錬した魔人族のみなさんが卸すものの方が出来がいいから、ヒトの職人が育たない分野なんだよね。その摩擦がある」


「む、むずかしい……背後にいろんな事情がありそう……」


「そうです。でも、ここは私に任せて。できることをそれぞれがやればいいの。レナお姉ちゃんみたいに、魔物とヒトが仲良くしている姿を見せるのも大事」


 きちんと角を合わせてきれいに積荷を整えてくれたクレハとイズミが、ぽよぽよと撫でられにきたので、レナはむぎゅっとスライムボディを抱きしめた。


 そんな二体も一つに混ざりあい、紫色アメジストに輝く髪をもつ人型になる。

 そろそろ出発だ。


「ふむ。レナお姉ちゃんたちがマダムミディ・ファミリーでいることで、赤の信者の追跡もまけそうだね」


「そんなに?」


「そんなに。人気あるんだよ。青の女王様とかいうのが強引に人集めをしていたから、それに比べて赤の女王様は~、って盛り上がっちゃってね」


「ああ……そういう持ち上げ方はあんまりいい気がしないなあ」


「それ、大精霊シルフィネシア様も言ってくれていたよ」


 なむなむ。ありがたし。

 と、レナはアネース王国に向かって手を合わせた。

 これからご飯でも食べるの? とアリスが首を傾げる。いただきますじゃないです。でも、この習慣を理解してもらうのはむずかしそうである。


 ▽積荷完了。


 ▽馬を借りたよ。


 ▽魔力が少ない馬は生物 魔力が一定以上ならば馬の魔物です。


 いわゆる普通の馬たちは、飼い慣らされたとおりに道を見据えている。前を向いて、利口で素直な視線をたまにレナたちに投げかけてくる。賢いけれど心のあり方が違う生き物のように感じられる。


(アグリスタとは違う。けれど、アグリスタを思い出すなあ。この馬たちにも優しくしたいって気持ちになるね)


 レナはすい寄せられるように馬に触れようとした。

 しかし、馬はそれを嫌がるように首を反対側に振った。

 パトリシアが「そいつ一番ひねくれ者らしいよ」と苦笑しながら慰める。

 そうか、そうだったなあ、とレナは思う。

 レナは魔物使いなのだ。

 そうではない生き物に対しては、レナのギフトは影響を及ぼさない。


 レナのように広範囲に影響を及ぼすものがいるとすれば、とふと思う。


(お兄ちゃん……?)


「わっぷっ」


 別の馬におでこを舐められてしまい、レナの頭に浮かんだささやかな単語は朝の爽やかな空気に溶けてしまった。


 ▽青魔法[アクア]!


 ▽馬車で ミレージュエ連合街道を行こう。


 ▽商業馬車が優先的に通ることができる 整備された道があります。


 ▽有料。


 アリスの説明によると、商業ギルドの出資で作られているので部外者が馬車を使うことができないよう工夫がされているようだ。道を塞ぐほどではない旅人については、商業馬車の邪魔をすることがなければ許可をされている。

 この街道の整備という、比較的安全な仕事が冒険者ギルドにわりあてられるようになった。

 商業ギルドと冒険者ギルドは、繋がりを強めているようだ。


 トトン……トトン……


 馬車での移動はなんとも眠気を誘う。

 馬を操るモスラとパトリシアの御者の技術もいいのだろう。


 レナはしばらく眠って、夕方に目を覚ました。

 するとアリスがキャンディの包紙のようなものを渡してくれる。グミのようなものが入っていて、プツリと噛むと、口の中をジュースみたいに潤した。

 パトリシアの花屋の商品【グミキャンディ】……グミが実るお花を利用して作られている。


 これは商用利用しないの? とアリスに尋ねると、薄利多売の小売は専門外だからねえ、と返ってきた。


 それもそうか、と返事をしたレナの腰を、アリスがくすぐる。


 そこに新たに杖がくくられているのだ。しかし元から装備する予定ではなかったため、赤のリボンでなんとかくっつけられているという状態。ベルトの間に差し込んで、リボンはまるで落とし物をしないための補助みたいにつけられている程度。歩いているとたまに杖が擦れて少しの痛みを感じる。


「杖、手に持ってもっと見てみない? 実は、この依頼は思ったよりも大事になっちゃって、悪いなあって思ってるの」


「アリスちゃんが原因じゃないし、いいものもらったよ。謝るのはもう無しにしてね。ただ、使い所を考えててねー。縁があったものだから、そのうち”コレ”ってポジションが見つかるんだろうけど」


 新しい武器をレナは手に取ってみる。

 そして、イメージをしてみる。


 武器……とはいえ杖なので、これで上手く戦えるような気はしない。どちらかといえば魔法を溜めるようなものだろうか。呪い封じのお札に包まれていたので、アリスも解呪後の効果までは把握していなかった。呪いの高級アイテムであれば幸運なレナパーティにピッタリという法則に則ったまでだ。


 どちらにせよレナはしょっちゅう武器を使うタイプではない。

 鞭も、従魔に指示をするための補助アイテムとして使うことが多い。


 うーーん、とレナとアリスは向かい合って悩む。


 馬車は商業ギルドの小〜中規模のものを借りたので、荷物が見えるところに長椅子が二つあるスタイルだ。いざという時はこれをベッドにすることもできるし、簡易キャンプのしたくも積まれている。


 四角の無骨な窓から入ってくる夕焼けが、レナの白髪を朱色に染めた。


「キラにも聞いてみようかな。もしもし。こちらマスターですが」


<癒しーーーっ>


「育児疲れの真っ最中のようですね。おつかれさま」


<私も若い頃はこうしてマスターに迷惑をかけたのですね。当時は誠にすみませんでした、こんなに立派になりました>


「本当に立派になったと思うよ」


<えへっ☆ ご用件は?>


「あれ?聞いてるのかと思ってた」


「私も、そのつもりで話してたけど、キラさんは違ったの?」


<機密とプライバシーという概念をマシュマロに教えている最中でして。キラママは厳しくまいりますよ。盗聴してはいけません>


「「おおー」」


<キラママ。早く要件を聞いてやらぬか>


<そのとおりですね! すみませんねーっ! マスター要件を下さい……>


「お疲れ様」


 レナは苦笑してから、キラに事情を話した。


<それならば、もっと浄化してやれば、杖に影響を与えられるとマロは考える>


<それでは変化が急激すぎるんですよ。ラナシュ世界に受け入れられず、杖周辺の情報が崩壊する可能性があります。ここは現状のまま杖の可能性を探っていくのがいいでしょう。そのあとに再度浄化です>


<それではいざという時に間に合わないのではないか。ラナシュ世界は刻一刻と進んでおるというのに>


<そんなことを通信といえど口に出さぬようになさいね。私たちは真理に近づける分、より慎重にならねばなりません。ふざけたように見える私の態度だって、計算と趣味のたまものなんですよ>


 ▽キラとマシュマロが解釈の違いで議論していて止まらない……。


 ▽レナが[魂の浄化]をかけるのは、今はやめた方がよさそうだ。


 とりあえずNGの方向は決まったな、とレナとアリスが目を合わせて頷いた。


「そうだ。この杖、宝石をはめられる穴があるよね。白魔法がかけられたスライムジュエルがある」


 レナがマジックバッグから取り出したのは、宝石の中心が光り薄い紫色になった小さなスライムジュエル。


「え? でもリリー・ジュエリーは黒魔法専門なのに……?」


「ルーカさんが作ったんだよ。器用だから」


 耳を傾けていたパトリシアとモスラが、ぼそっと呟く。


「なんでもありだなーあいつ」


「その代わりコミュ障」


 ▽天秤のバランスが悪い。


 御者の二人は馬車を道の脇に停止させて、馬を止めた。

 長い付き合いで、これから行われることの予想がついたからだ。


 キラとマシュマロも遠隔から見守る中、レナは、杖にスライムジュエルを嵌めた。


 ▽白魔法の杖 ができた!


 ▽キラが大急ぎで情報整理をしてくれている。


「ありゃ。合体して変化までしちゃったか。なーんか、ルーカさんにネコミミがくっついたときのことを思い出すなあ……」


「いや冷静だね? そうとうレアな事例だよ。ってことは慣れてるか……。

 それどうするの、レナお姉ちゃん。これでもう杖の呪いが再発することはないだろうけど、白魔法の杖となれば使いづらくなったんじゃない。レナお姉ちゃんは黒魔法と緑魔法の適性なんでしょう」


「こういうのを持ってるだけでも効果があるって、アンさんが教えてくれたんだよね。それが使い道……かな?」


 日が暮れて夜になったが、周りは静かなものだ。

 ふつうはもっと害獣や魔物未満モムの気配を感じるのに、とアリスが驚いている。


「なんというか……もともと持ち物が裕福だからできる使い道だし、チャレンジが大胆だよね。これが唯一無二のやっと手に入れたアイテムだったら、こうはできないよ」


「そうだね。ここまで導いてくれたのも私の従魔たちだから、唯一無二といえば従魔って決めてる。みんなが快適に暮らしてくれるためにアイテムを使いたいな」


「レナお姉ちゃんはこだわりがシンプルだから、こっちからの提案がしやすくていいよ。レナお姉ちゃんに最適なアイテムをこれからも贈るね。役に立ちそうで、もし不備があってもレナパーティならなんとかできそうなやつ」


「廃品業者扱い? って普通ならなるところだけどさ、アリスちゃんはちゃんと考えてくれてるのわかるよ。この杖も使いやすそう。ありがとうね」


「こちらこそ」


 馬車は動かさず、道端で夜を明かすことになった。

 馬は穏やかに眠り、それを含めた周りを、アリスは白のチョークで囲んだ。僧侶がその光属性魔力を物質にしたものである。


(……ああ、優しい薄闇って落ち着くなあ。そういえば、僧侶って職業があるんだよね。あんまり考えたことなかったけど、神様って信じられているのかなあ。他ならぬキラが目指しているところだけども)


 ▽ポトフだ!

 ▽美味しいー!


 レナの杖はぐっさりと地面に突き立てられてちょうどよい灯りになっていた。


「白・光魔法は浄化をつかさどり、それはすなわち、黒い魂を持つものや悪き行いをしようとする者にとっては「警告」──時には「死」を思わせるんだよね。山賊とか盗賊とかも来ないと思うよ」


 アリスは「あちちっ」と舌を火傷したようだ。

 火番のパトリシアがそろりとモスラを見て、モスラは怒りすぎないようにとグッと堪えているようである。これもまた、社会性の練習だ。

「大変だったね、はい水」と声をかけているレナが結局のところもっともコミュニケーションスキルが高い。



「「ぐーーーー」」


 お腹がいっぱいになったキサとミディが、紫クーイズおにねえさんの足を枕にして眠ってしまった。


「クーイズ、重くない? 代ろうか?」


「ううん、大丈夫だよ、レーナ。我らはぷりぷり弾力のスライムボディだから足が痺れたりしないのっ。太ももにキサとミディの頭が乗ってるのも我らのボディが気持ちいいからだからね。なんぼのもんじゃいサ!」


 クーイズは優しい眼差しでキサとミディのことを眺めていた。


「かわいいよねー」

「ねー」


 レナとクーイズが相槌を打つのは、まるでクレハ・イズミが話している時のようで、なんだか不思議だった。


 クレハ・イズミの関係と同じように、レナはきっと、クーイズにとってとても近くて深い仲間なのだ。これをヒトは家族と表現することもあるだろう。レナが名付けたマダムミディ・ファミリーというのもちょうどよくて面白い。


 安らかな横顔を見せるふたりとも、クーイズの可愛い妹分である。


(弟分のように見えるんだ──)というアンの言葉が思い出されて、クーイズはなんだか胸がじゅわりとした。


(あのさイズミ)

(なんだよぅクレハ)

(……)

(……)

(なんだろう、切ないね)

(どうしよう、どうするつもりもないのにね)


 ぼーっとしていた。


 レナが立ち上がった。

 遠くを見ようとするように、眉の上に手のひらを当てている。


「あ、アンデッドの……ん? ゾンビの? キ、キラ」


<ナイトモードで静かめにお届けします☆  情報に乱れを生じさせないために、今は、アンデッドで統一するのがよろしいかと。私たちの本体がそちらにないので対処が遅れても困りますし、変質防止に努めてください>


「じゃ、アンデッドで。……遠くにいくつかいるみたい。光魔法に近づいたら危ないって警告出してるけど、あっちの勘が腐ってたらこわいよねえ。排除したほうがいいような気がする。

 よし、ぐっすり眠れるように働こう。

 モスラはせっかくの執事服が汚れちゃうのいやだろうから控えておきなさいね。あと働き通しだから寝ておきなさい。スキル[従順]モスラおやすみ」


「なんですって!?…………スヤ……」


 張り切っていたモスラを秒で寝かしつけたレナは、アリスにミレー大陸での環境を訪ねた。

 夜にアンデッドやゴーストが現れることはまれにあり、レナが予想したとおり、死を恐れず襲ってくることがあるので倒したほうがいいそうだ。アンデッドは非力だが、感染症にかかる恐れがあるので、遠距離攻撃が適している。


 パトリシアが前に出た。

 レナはその後ろに続く。


 二人とも、威圧感をあまり感じていなかった。

 普段かかわる戦闘よりも、かなりラクなものだと経験から判断している。

 クーイズも同様だ。のんびりと手を振る。


「レーナー。髪の毛伸ばして援護でもいーい? 前衛パトリシアお姉ちゃん、真ん中にレナ、後ろにスライムって感じでー」


「いいよー。二人を寝させてあげてね」


「あいあいさー」


 パトリシアは炎の剣フランベルジュを上手く使い、炎を伸ばすようにしながらアンデッドを焼いていく。レナは光の杖からビームを放つ。

 骨がはらはらと崩れてゆく。


 わざわざ多めに魔力を使って明るくしているようなのは、クーイズに場所を教えるためなのだろう。

 宝石のような綺麗な瞳は、実は、あまり視力がよくない。

 魔物としての勘を併用することで、魔物としてのクーイズは、人並み以上に気配を感知することができるだけなのだ。


「レナたちが光ってるみたい。ヒューヒューご主人様ー♪」


 骨が崩れてきて「ぎゃーっ」と声を上げている騒がしさも、そこにレナがいる証明だ。クーイズはけらけら笑う。


(ねえクレハ、ねえイズミ、アンが言ってたね、あれってさあ、あのアンデッドってね、元はどこかの誰かの生きたカラダだったのかなあ……なんだろう、なぜだろう、なんとなく切ない気持ち……)


(アンさんが言ってたな。元は人でもアンデッドやゾンビになることがあり、それは白魔法が清めてくれるような感覚なんだって。だったら適した方法で昇天させてあげたいよね)


 レナは闇を見据え、不慣れだけど白魔法の杖を使い続けた。


 その不器用な動きはちょっとピエロじみていて、いつのまにか噛み締めていたクーイズの唇を解くのだ。


「ほいっと」

「おおー、助かったよー」


 ▽クーイズの スライム援護!


「スライム触手につかまれて空中浮遊とか、すげー体験すぎるぜ……。あ、でも、いいかも。このままにしといてくれ、剣の衝撃を伸ばして周りの奴ら倒すからさー!」

「なんかシュシュみたいだ」

「参考にした」


 ▽アンデッドを 倒した!


 ▽地面のどろどろも焼いておきました。


 これで、レナたちは安心して眠れることになった。

 馬車の中に布団を敷いてもいいし、テントと寝具を使ってもいい。スライムベッドだってある。


 ちょっと拗ねたモスラに夜の番をまかせてあげた。

 まだまだ若い蝶々は、少し眠れば体力がぐーーーーんと回復するようである。


 静かな夜。遠くの方で、それなのかわからないが、ほんのわずかな音がするのは別の戦闘があったのかもしれなかった。


「……アンさん大丈夫かなあ……」


 寝ぼけながらのレナの呟きが、みょうに耳に残るクーイズだった。



 ▽翌朝! アネース王国までぶっ飛ばし!!










読んでくれてありがとうございました!


たくさんお届け!

読むの大変だったかもですね汗

ほんと、読んでくれてありがとうございます(*´ω`*)


今週もお疲れ様でした。

よい週末を!₍˄·͈༝·͈˄₎◞ ̑̑



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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 今回も楽しく読ませて頂きました。 アリス「そっか! 黒髪と赤い服じゃなければ     レナお姉ちゃんって”地味なモブ顔”だもんね!」 パト(プハッ!?www) …
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