大浴場3−1
一波乱あったわけだが、まあ入浴しましょうや!
脱衣所から大浴場に入ると、空気がぽかぽかとあたたかい。
湯気が裸体をしっとり包んだ。
ビジュアルの豪華さは見学した通り。
せっかくの温泉にバスタオルなんて粋じゃない。
ここはマイホームでもあるのだし、すっぽんぽんでくつろごう。
「いっちばーん!」
ミディが滑り込んでいく。
「こらこら危ないっお風呂場では足を滑らせやすいから歩いてっ」
「ミィーーー!」
▽イカスライディング!
腰のあたりからゲソ尻尾を一本生やして、バランスを保ちながらあえて滑って加速!
ばしゃーん! と温泉飛沫が上がった。
そのあとに早足で追いかけたシュシュが飛び込み、リリーは[軽業][護身武術]でハイジャンプ! 高いところから飛び込む。
三人娘のはしゃぎっぷりを見たレナは、どう注意すべきかとても悩んだ。
「いいですかー? ここはくつろぐ場所でーす! そしてエリクサーの温泉水はキラがとっても頑張って仕上げてくれたものだから、大切にしようね!」
<ああんマスター優しい♡>
「いた!?」
<いつだって皆様を見守っておりますよ! 常識の範囲内でねっ>
レナはキョロキョロするが、キラの分身体が飛び回っている様子はない。
<ここは私が管理するダンジョンですから>
「ああ〜」
ポン、と手のひらを打つレナ。
常にキラの感覚の中を誰かが駆け回っているようなものだ。
しょんぼりしている幼女三人を、レナがちらりと横目で見る。
「……じゃあさ。温水プールとか、この浴場の隅に創ったり、できるかな?」
<お安い御用で御座います! [ダンジョンメイキング]>
浴場の一角に光線が走り、その光が空間をレーザーカットするように形取った。
パチン! と指を鳴らす音。
<<ぱんぱかぱーん!>>と響く可愛らしい声は、クーイズの録音音声を流したのだ。
▽ドーナツ型の流れる温水プール!
▽くるくる長ーい滑り台!
▽キッズコーナーができあがった!
「「「っきゃーー!」」」
「待って三人とも、体を温めるために温泉に浸かって三十秒数えて、それから遊びに行くこと!」
「「「いーちにーいさーん……!」」」
レナが微笑ましそうにそれを眺めて「キサもまず一緒に行く? 後にする?」とそわそわしている美少女に声をかける。
「んっ!?」とキサがピクッと反応したので「みんなの様子を見守ってくれると助かるんだけど」「承知したのじゃ!」とフォロー成功。
キサも一緒に温泉に浸かって、数を数え始めた。
「温水プール……」
「お安い御用……」
遠い目をしていたアリスとパトリシアは(まあいつものか)と気持ちを切り替えた。
「ダンジョンメイキング、侮りがたし……くっ、どこまで報告すべきか本当に悩むな、というかなんでもできるんじゃないか……!? なんでもの範囲とは……報告……キラ先輩は成長もするし……」
<オホホホホホホホ! レグルスさん、後ほどシヴァガン王国への報告書類サンプルを差し上げますね! 上手いこと調整しますよぉ?>
……レグルスは先輩にお任せすることにした。
愚直に頑張るだけでなく上手に手抜きすることも大事だ、と言ったクドライヤの言葉を思い出して、己を納得させた。
もちろんクドライヤはこんな事態までは想定外だが、まあなすりつけておこう。
つっ立っていたお姉さんたちを、幼女たちがニコニコ手招きして呼ぶ。
「うん、私たちもいーれて!」
「っきゃー! ご主人様〜!」
「あっ、シュシュ、中断しちゃって……いくつまで数えたか……分かんなくなっちゃったよ!?」
「えーとね、さんじゅうナノヨー!」
「ミディ、それはちょっとズルイのじゃ。フフ、では二十五から再開しよう」
まったりとみんなで温泉に浸かる。
幼女の甲高い声もどこかゆっくりと、エコーする。
とろりとしたお湯が肌に浸透して、ぷるぷるに潤していった。
転んで擦りむいていたレナの膝のすり傷も痛みなく治る。
身体の芯から温められて、ほうっと息を吐くとほわほわ浮かんでうさぎや猫の形になった。
みんなギョッとしたが、「そういう空間」らしい。
ダンジョンダンジョン、なんでもあり!
ぷうっ! と思い切りミディが息を吐くと、イカリングができあがった。
イルカの如く、素っ裸にイカゲソ尻尾の幼女が曲芸を披露する。
温水プールでやろうな。
「「「「さんじゅう!」」」」
幼女たちが走り去っていった。
途中、装飾保存ブレスレットを起動!
機能性バッチリな水着姿になる。
アリスとエルフ服飾店の共同開発品、カラフルな花柄でフリルがひらひらととても可愛い〜!
水による摩擦抵抗を無くすので、ビュンビュン滑り台で加速できることだろう。
滑り台でくるくると降りてくる幼子たちを眺めながら、レナがほうっと息を吐いた。
ハート型の湯気になる。
大人たちはしばらく沈黙して、まったりと手足を温泉に浸らせた。
浸かる栄養剤みたいなものだ。
こうしているだけでも、1UPしたような気がしてくる。
カルメンとルージュも裸体ビジョンとなって浸かり、実際は体をお湯がすり抜けているのだろうが、雰囲気を楽しんでいる。
ぽかぽかする、という感覚はあるらしい。
明日の朝も続きを更新しますね!
小刻みになります(。>ㅅ<。)
急きょ地域で暴風後の片付けがはいったので、時間が確保できそうもないです汗
活動報告にもいつもコメント下さるyanaさん、ありがとうございます〜(;ω;)
読んでくださってありがとうございました!
台風これからの地域の皆様、どうかお気をつけてください><!




