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ドラゴンになりました、使い魔らしいです   作者: NHRM
成り上がり・建国編
68/182

ウルフ族の村襲撃

その日、村は厄災に包まれた。


「アオォォォォン!」


警戒をしていた兵士の遠吠えが村を緊張させる。

敵、たくさん、不明、襲撃、そう言った意味が込められた遠吠えが各所から上がったのだ。


「どういうことだ、新手の種族か!?」

「分からねぇよ、長!どうする!」

「戦うしかねぇだろ!」


自分たちが発展させてきた獣術を用いて戦の準備をしていく。

自身の魔力で肉体を強化し、獣のようになる技術。

故に、爪が輝く者や牙が輝く者、筋肉が肥大化する者すら現れた。

総勢二百の獣の群れが、四足歩行の狼達が、村の入り口を見る。

来た、誰かが言った。何だアレは、誰かが溢した驚愕の声。


隊列を組み、足踏みすら揃えた圧倒的な統率力。

禍々しく様々な種類の骨が軍となって隊列を組む。

その中央には、犬の様な魔物に片足を乗せて此方を指差す王冠を付けた骨。

死者が俺達を殺しに来た。そう、感じた瞬間だった。




「見ろ、村人が犬のようだ!フハハハ!」

「なぁ、馬車引いてるんだから足乗っけないでくれない?」

「ポーズの為だ仕方ない」

「そうか、仕方ないな」

「何納得してんのよ!アンタも人の使い魔、踏んでんじゃないわよ!」


俺は自身が引く馬車の上で喧嘩する二人を見て、呆れながら周囲を見ていた。

周囲には骨の軍団が規則正しく、歩んでいく。

全てが揃えられた足踏みであるそれは、大きな地響きを規則的に鳴らす。

まさに死者の軍勢だった。

嬉しいのか喉を鳴らす奴ら。

しかし、どうして奴らの爪や牙が光ってるのか。あと、一匹だけスゴイ大きな狼がいる。

他の狼の数倍、下手したら五トントラック並みの強大な白い狼だ。

もしや、太陽の神の化身とかだったり人間の娘がいたりとかするのだろうか。


「何者だ!」


ドガン、っと声だけで空気が震えながら質量を持って俺達に放たれる。

声は強風となって俺達を煽った。差し詰め、空気砲を喰らったって所か。


「スゴイな、風を発生させたぞ。謝っとけよ全裸」

「ビビるな、アリア。見よ、マインの姿を」


言われて視線がマインに注がれる。

マインは手を忙しなく動かしながら言った。


「……モフモフしたい」

「うん、なんていうかアリアよ。これは参考にならんな、すまん」

「マイン、流石に今は無理だぞ。というかスゴイなお前」


思わず謝ってしまう程だった。

マインさんマジパネェっす!


さて、件の巨大狼だが喜ぶ所か此方を警戒しているようだった。

パレード的なのをすれば受け入れてくれるんじゃねぇ、と考えた骸骨達の行進はお気に召さなかったらしい。もしかしたら、キラキラしてなかったからかもしれない。


「やっぱり肉を取ってきた方がいいんじゃないか?」

「ふむ、軍事パレードはお気に召さないか。骨とか犬って好きなのにな」

「偏見だにゃ……」

「いやいや、どう見ても侵略にしか見えないでしょ!私が可笑しいの!」


今更言うなよお前、という視線がルージュに注がれる。

骨が好きで争い好きな彼らを喜ばせるならカッコいい軍事パレードだろう。

あの軍隊強そう、俺も仲間にしてくれ。そう言う流れ、予想してやる前に言えよ。


「ねぇ、待って私が悪いみたいに見ないでくれない!」

「ルージュ、私も最初はそう思ったが全裸は今まで間違った事は言って無いから従ったんだ。何故止めなかった」

「止めたよ!絶対、失敗するって!」

「なんやかんや、征服すればいいではないか」

「お前、失敗したって認めた上での発言だよな!」


ルージュの必死の訴えは急転する事態によって封殺される。

巨大な狼が、走り出したのだ。


「死ね、侵略者共ォォォ!」

「うわ、怖ッ!?メッチャ、キレてるよ!」

「おい、やっぱり失敗したじゃないか!」


ソレイユのビックリした声に、掌を返すようにアリアが怒鳴りつけた。

ソレイユは頭蓋骨を搔きながら言った。


「計算通りです」

「ダウト!絶対、ダウトだよ!」

「えぇい、何とかなるんだよ!」


ルージュのツッコミに慌てるソレイユ、しかし巨大狼はそんなやり取りなど関係ないと突き進む。

どうする、結構速いぞ。


「念力で止めるのよヤンヤン」

「抑え込め、骨達よ!オラ、さっさと行けよ!遅いんだよポンコツが!」


指示通り、俺の念力が巨大狼を抑え込もうと注がれる。

感覚的には重い物を持ち上げるのに力を込める感じか、すごく抵抗を感じる。

だが、俺を助けるが如く骸骨の兵隊達が巨大狼に纏わりつく。

最初は払うような動きで飛んで行く骸骨達。

しかし、物量は際限なく体に纏わりつく。

いつしか、骨の山が出来ていた。顔だけ覗かせて此方を睨む狼。

そして、その巨大狼を救おうとして捕まった他の狼達、数と言う暴力は圧倒的だった。


「己、例え殺されようと呪い殺してやるわ!」

「風、スゴッ……おっと失礼、俺はソレイユだ。殺したりしないさ、俺達の国民だからな」

「何を言っている狂言者が!」


口を開く度に強風をぶつけてくる巨大狼、無意識なんだろうが影響がスゴイ。

しかし、怒り心頭で話を聞いてくれそうではない。

どうしたもんか。


「……どいて、私がやる」

「お、おいマイン」

「……大丈夫、任せて」


ゆっくりと歩み出すマイン、もしや命を張ってでも狼を説得する気か。

止めようとしたみんなが、その何かを成し遂げようとする目に気圧された。

止められない、その衝動は誰にも止められない。そう感じた。

巨大狼すら、その空気に呑まれて口を閉ざす。

自らよりも小さく弱い、子供の様なマインにだ。

マインは迷いなく、狼へと歩いて行く。

まるで自ら狼へ喰われに行くように、威嚇する巨大な口にだ。

そして……


「な、なんだと!?」

「……むふぅ~」


巨大な狼の顔に、頭を擦り付けるマインの姿がそこにはあった。

や、やりやがったコイツ!誰も想像しなかったぞ、そんな行動!


「ど、どういうことなのだ!何の策なのだ!」

「えっ、いや、あの……」

「あっ、喉はやめろ!くすぐったいだろ、おい誰か止めろ!」

「マイン、可哀想だからやめて差し上げろ」


まさかの一手により、俺達の戦いは終わりを告げた。




それから、俺達は村の中に入った。

骨の軍隊は消滅して、今は俺達だけだ。

戦いに参加していた者達は四足の狼形態から二足歩行する狼人間形態に変わり、巨大狼だった長と呼ばれるソイツは縮んで俺らと変わらないサイズになっていた。


「う、うむ事情は分かったが流石にアレで友好と言うのはだな」

「そうか、カッコいいのにな」

「ソレイユ殿は、感性がズレているな……おい、その子供を近づけるな!」


長の家と呼ばれるテントに俺らは呼ばれる、俺らの対面には長が座り周りには狼人間達が集まっていた。

話していると尻尾に飛び掛かるルージュを長は警戒しだした。

他の狼人間達もビビっている。


「我々、狼系の獣人は撫でられたりするのは、屈辱なのだ。そんなことされるなんて、人前で犯されているような物だぞ」

「……モフモフ」


マインが一歩踏み出す、すると集まっていた狼人間達がザワザワしながら下がる。

また一歩踏み出した。するとテントから一目散に逃げ出す狼人間達、そうか恐いか。

ただ、プルプル震えながら長だけは中腰で此方を見ていた。

いや、そこまでするなら逃げて良いんじゃない?


「長が、長がまだ中に!」

「おい、やめろ!長は戦ってるんだ!」

「ドワーフやべぇよ、なんて惨い事をするんだ!」


テントの外から狼人間達の必死な声が聞こえた、恐いのか?


「フッ、先ほどの戦いは油断したが簡単にはさせんぞドワーフ」

「……笑止」

「俺の尻尾を撫でて、群れの支配をする気だな。俺は撫でる事はあっても撫でられる事は無いぞ!」


何を真剣な顔で言ってるんだコイツ、と俺達は首を傾げる。

その中で、一人だけカシスはハッとした顔を見せた。


「聞いたことがある、狼系の獣人は尻尾を触られることで相手を自分より上位と見る文化があるって。群れの長を決める時には最後まで尻尾を触らせなかった者がなる儀式があるとか」

「スゴイ、やってしまえマイン!」

「しかも成人の儀式は父親の尻尾を触る事、命掛けの戦いであるとか」

「やっぱり、やめても良いぞマイン!」


変な文化だった。尻尾を触られたらお前出来るな、みたいな認識の文化だった。

だから、顔を撫でたマインを警戒していたのか。警戒し過ぎだと思うけどな。


「何だその顔は、狼系の獣人は尻尾を掴まれると腰が抜けるし力が出なくなるんだぞ!撫でられたら絶頂しながら倒れる、生殺与奪の状態だ。ビビるに決まってるだろ!」

「それは嫌過ぎる……」


家族の前で息子に絶頂させられるとか、辛いな。

だから、この獣人達の親父さんは命がけで戦うのか。

成人の儀式がエグイ。


「おい、俺に従わないならスケルトン軍団で拘束して――」

「長、もう降伏してください!仕方ないですって」

「だが、そうか。そうだな……」

「どうやら従う気はないようだ、やれマイン!」

「えっ、ちょ!?」


何か従いそうだったがマインに襲われかけて、長は這い這いの体でテントから逃げ出した。


「従う、従うからソイツを止めろォォォ!」

「長、あっち行って!うわ、こっち来た!」

「コイツ、長だけじゃなく俺らも狙ってるぞ逃げろ!」


女子供はテントの中でガクガク震えて、男達は幼女と鬼ごっこしていた。

そして尻尾を掴まれた物はあふん、と力尽き動かなくなる。

さらに、撫でようものならビクビクしながら気絶した。


「何だこれ……」

「猫系で良かった、本当に良かった」

「止めないと禍根を残すよね、止めようよ!」

「因みにエルフも弱点があって耳なんだぞ」

「知らねぇよ!聞いてないし!」

「俺、あそこの女の子触ってこようかな」

「鬼か!骨の癖に、鬼か貴様!」


地獄絵図は長が泣く泣く前に出るまで続けられたのだった。

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