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属性が分かるそうです

メアリに許婚が出来て、一年がたった。

そう、十三ということで学園に行ける年になったのだ。


「ここが、学園……」

「ほへー……デカすぎだろ……」


そして俺はメアリに連れられて学園へと来ていた。

そこは、学園であり都市だ。

まず、とてつもない高さの城壁に四方を囲まれている、例えるなら正方形みたいな形だろうか。

この内側に、商家や農家、教会や宿屋などがある。

そして、中央には巨大な図書館がある。

商家では学園で使う道具などが売られ、農家では食品などが売られている。

教会は俺の知る物と違い、病院のような場所で治療などをする場所だった。

宿屋は生徒達が寝泊まりする場所で人によっては豪邸のような物を使える。

寮ではないのは金を持ってる奴にはたくさん使わせたいからだったり、苦情対策だろう。

そして、図書館。巨大図書館は色々な本がある。この世界では本は貴重品であり、そもそも紙が貴重品なため凄い場所らしい。

まぁ、俺から言わせればチェーン店の本屋と同じくらいな気がするが、この世界では三階建て以上は高層建造物なので凄いのだそうだ。


四方の城壁には巨大な扉があり、東西南北のどこからでも入れる立地だ。

しかし、入場は貴族以外は無理であり商人も農民も貴族の三男とか四男、だから治安は悪くはない。

何故なら同じ貴族に横暴を働けば、魔法で仕返されるリスクがあるからだ。

また、この城壁は巨人が来ても大丈夫なように高いそうだ。この世界には巨人がいるのか。


そして、学生達は図書館を拠点に勉強をするそうだが、実は最初の一年で殆ど終わりらしい。

そこから、それぞれ師事する魔法使いの弟子になって、修行をするそうだ。

まぁ、大体が途中でやめるそうだが。


「まずは属性を調べに行くわ」

「属性って、火とか水か?」

「そうよ、貴族は誰でも属性を持つの。自分の属性以外の魔法は使えないの」

「じゃあ、いっぱい属性があるといいな」

「冗談言わないで、属性が少なければ上位の魔法まで使えるのよ。属性が多いと中位の魔法が使えるかどうかだから落ち零れ確定よ」


ふむふむ、確かに全属性の強い魔法とか使えたらチートだわ。

メリットやデメリットがある訳だな。

手数が多いと威力が落ちて、手数が少ない分威力があがるという認識でいいのか。


「とりあえず、道が分からないからこの人込みに沿っていくわよ」

「まぁ、制服着てるから行き先同じだろうし、大丈夫だろ」


そうして、俺達は制服を着た少年少女達と共に移動を開始する。

見れば、デカい蛙や翼の生えた犬とかいる。

どうやら、俺のような使い魔のようだ。

つまり、同級生だな。


「何見てるの?」

「同級生」

「……はっきり言って、アンタより強い種族ばっかりだから殺されるわよ」

「またまた……マジすか?」


話を聞いてみると、使い魔には二種類いるらしい。

まず、召喚使い魔と呼ばれる自分のレベルにあった使い魔。

次に、契約使い魔と呼ばれる自分より下位か上位のモンスターを使い魔にした奴。


契約使い魔は目当ての物が手に入るが元は野生で気性が荒いらしい。


つまり、魔法陣から呼び出されるのはペットショップの動物で、契約なのは野良の動物という解釈でいいだろう。


でだ、メアリの言うことを整理すると、狩りの成果として持ってく獲物になりたくなければ他の使い魔に近づくなと。

奴ら猫みたいに飼い主に死体を突き付けるようだ。

死体にはなりたくないので、近づくのはやめよう。


街の景観に合わせるように、というより形を合わせたと言った方が正しいか。

図書館は四角く精錬されたデザインの建造物だった。

至ってシンプルながら、シンプルすぎて逆に目立っていた。それは、周囲の建造物が個々に違う形状であるのに対してタダのブロックとして、キューブ状で鎮座していたからだ。


「段ボール置いてあるみたい……」

「だん……何?変なこと言って無いで行くわよ」


へいへい、と興が乗らない俺は返事をしながらゆっくりと歩き出す。

他の飼い主の使い魔は抱っこされていて楽そうで良いな、何て愚痴を溢しそうになって、やめた。

余所は余所、家は家、と一喝されそうだからだ。

しかし属性を調べる間、暇である。


属性は血液を採取して、そこに四人の魔法使いが何やら杖を向けている。

聞こえてきた係りの人間の説明では、それぞれの血液を媒体として魔法を使うそうだ。

すると、各魔法使いの属性に対応した血液は発動されるのである。

しかし、対応しない血液は反応しないそうだ。

簡単に言うと火と水の属性の人間がいたとして、そいつの血液は火と水の媒体として使える。

だが、残る土と風は使えないのである。

この原理を利用して、個人の属性を調べるそうだ。


「いよいよね、何の属性かしら」

「声が震えてるぞ、緊張か?まぁ、人生で一回だけだもんな」

「やっぱり、火よね。強いし!」

「戦わないんだから、土だろ。少なくとも整地工事とかで路頭に迷う事は無くなるし」


緊張してフラフラと右往左往するメアリを嗜めながら、俺は四人の魔法使いたちを見る。

小皿のような物に血を垂らして貰い、並んで呪文を唱える魔法使い達。

ローブで見えないので老人か若者か分からぬが、魔法使いであることには変わりなく殆ど見たことのない魔法に目を輝かす。

ある者の小皿はアルコールランプのように燃えだし、また小さな竜巻が出来ていた。

それを見て血を垂らした人物が残念そうに移動を開始する。どうやら目当ての物ではなかったようだ。

この時小皿は新しい物に換えられ使われたものは一瞬で綺麗になる。そういう魔法でも掛けてあるんだろうか。

その後、次の者が流れ作業のようにに血を小皿に垂らして待ち構える。

今度は一つだけ反応した、それは竜巻の出来ていた風属性であろう小皿だ。

しかしそれは竜巻ではなく、


「電気なのか?」


言っていて自信は無いが、黒いミニチュアの雲が出来ておりゴロゴロと小さいながらも音を鳴らしていた。


「上位魔法ね」

「上位魔法?」

「火なら光、水なら酸、風は雷、土は鉱石これが上位の魔法で出来る物よ」


俺呟きを拾ったメアリの説明では、一つの属性しか使えない者が到達できる魔法らしかった。

とても強く貴重なため、その才能があると検査で分かった生徒は大喜びだ。

さて、じゃあ俺のご主人様はどうだろうな。


メアリの検査の番がやってきたのを期待しながら見るのであった。

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