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チートな能力、持ってました

異世界の生活も一年がたった。まぁ、食べては寝て、食べては寝てのニート生活をしていた。

俺はヤンヤンという名のペット兼使い魔として貴族の家で飼われている。


この世界の事もだいたい分かった。まず、やっぱりというか魔法があった。まぁ、魔法は一部の人間しか使えないのだがな。


文明は武器が銃ではなく剣であることや、船が俺でも作れそうな簡単な造りから中世だと思われる。商業も貨幣が統一しているし、麦を税としている。それに、政治形態は家臣に土地を貸し与える封権制国家で中世だと思われる要因は多い。


俺のいる貴族の家はドレッド家、貴族制度はイギリス系のようである。男爵ということで最下位の爵位を持つ貴族だ。


マスターである、飼い主はメアリドレッド。この世界の名前は聖人の名前リストから選ぶらしく、メアリは探せばそこら辺にいる。まぁ、マリアとかマリーとか場所によっては読み方が変わるのだが。


そして、おもしろいことに歴史は千年ほど続いているのに中世から進んでないということだ。技術が発展していないのだ。魔王や魔物も原因だろうが、一番の原因は魔法だ。

魔法は貴族しか使えず腐敗しようと討ち取られることはない。力の差がありすぎて関係に変化が訪れず腐敗貴族しかいないせいで研究などもないようだ。


例えば、王と懇意になりたいからとドラゴンを使い魔にしたとか。それも、献上物を盗んでとか。つうか、俺のことだ。どうやら、ドラゴンには質の良さとかあるらしく、特に品質のいい種類を献上するらしい。ドレッド家は下っ端のパシりだから輸送を任されたらしく、じゃあ一体だけ盗んじゃえと最初の一体である俺を娘の使い魔にした。

普通、そんな事したらバレるし、バレなくても変に恨みを買うだろうが馬鹿だから分かってない。


正直、この世界の人間は馬鹿ばっかりだ。教育制度が未発達なのもあるが、基本的に勉強しないのだ。貴族は各自で勉強して、学校はオマケ。平民はそんな余裕がない。


だが嬉しい事もあった。モンスターには固有の能力があるのだが、俺の能力は正直チートだ。俺の種族はキメラドラゴンと呼ばれる本来なら最弱なドラゴンだ。


キメラドラゴン、それは環境に適応するドラゴンであり固有能力として捕食した物の特徴を元に進化するドラゴンだ。

しかし、知能は犬よりも低く、力は子供よりも弱い、空も飛べず、爪もない、もうドラゴンと名ばかりのダメなドラゴンだ。


しかし、俺の知能はなんか高い。人間の記憶があるからなのか、異常な高さだ。もし王家に運ばれたら実験動物になっていた。だから盗まれても幸運ではあるだろう。


つまり人間の知恵とバカで能力しか取り柄のないドラゴンの合体した俺はチートなのだ。

まぁ、この一年で小型犬程度の強さと大きさを手に入れた。ニート生活も無駄ではなかったのだ。


……って言っても小型犬程度だからな。ドラゴンって人よりデカい筈なのに小型犬程度だからな。


まだまだ、先は長そうである。

そしてこれからの事について俺は計画してみた。

まず、メアリを優秀な人物にする。

そして、バンバン他の魔物を食べて強くなる。

最終的に寿命まで自由に過ごすのだ。

そのためには……


「おら、勉強しろよメアリ」

「やだ、つまんないもん」

「お前たいして可愛くないんだから嫁の貰い手がなくなるぞ。玉の輿したけりゃ勉強しろ」

「うるさい、馬鹿!バーカ、バーカ!」


このガキに勉強させたいのだが、クソムカつく。畜生、強くなったら家出してやろうか。


まぁ、小学生なんてこんなもんだ。母親は血税でパーティー三昧、父親は平民の若い娘を強姦三昧、娘は食べてばっかりの馬鹿。


あれ、俺詰んでない?いや、こんな時は気分転換でもして忘れよう。


思い立ったら吉日、俺は屋敷を移動して中庭を目指す。

現在は丁度昼なので、中庭でお茶会でもやっているのだ。


お茶会には色々な貴族がやってくる、この情報が集まらない時代ではお茶会などは情報交換などの場でもある。また、故意に情報を流したりと政治にも関わったりするのだ。

なので、積極的に参加するものなのだが、正直ドレッド家に集まる貴族なんて同じ男爵か貴族扱いではない準男爵くらいだ。ちなみに騎士も一応は貴族だ。


中庭に来ると、椅子に座った婦人が数人いた。実は紅茶などの茶葉は高級品なので、お茶会には大勢の人間が来ない。お茶会のイメージと現実に驚いたのは良い思いでだ。

具体的に四名を超えたら多い方だ。


「あら、ヤンヤン。お腹でも空いたのかしら?」

「今日はクッキーと聞いた」

「お腹空いたのね、もう食いしん坊ねー」


メアリの母親がクッキーを地面に投げ捨てる。正直地面に投げんなよ、と言いたいが主観で三メートルの巨人にケンカ売る勇気はない。

もう、犬みたいな扱いだが慣れた。最初は人間の記憶のせいで抵抗があったのだが、甘いものが滅多に出ないので贅沢は言えない。


そもそも、この世界の食事はマズいのだ。

香辛料が高級品なため、素材の味だけで作られる。貴族でこうなのだから平民なんて考えたくもない。だから、たまに出る甘味を逃す手はないのだ。


クッキーを貪りながら婦人達の会話を聞く。

やれ、娘がどうの許婚がどうの。

どうやらメアリに許婚が出来るそうだ。それも歳の差は十五歳、メアリが十二だから二十七か。オッサンだ、所謂政略結婚って奴かもしれない。


場所はお隣の貴族らしく最近土地開発事業を始めたらしい。なるほど、土地目当ての結婚か。

だが、メアリは学園に向かわないといけないので許婚との事だ。


その間に領地は実質、結婚相手の者になる。

この世界は男尊女卑だからだ。

ふーむ、まぁ危険はないだろうから気にしないでいいか。


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