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ドラゴンになりました、使い魔らしいです   作者: NHRM
冥王世界・御家騒動編
136/182

そうだ、北海道に行こう

すごい形相で飛鳥がルージュを引っ張っていく。

途中、反転して別の方向に移動したり走り出したりと何かから逃げるような動きもしていた。

俺達はそんな彼女の指示にただ従って移動している。

そして、大分時間が経った頃の事だ。

息を切らしながら必死に移動していた飛鳥が、空き教室に入った。

ルージュの視線が座りこんだ飛鳥をジッと見続ける。

そして、疲労困憊の様子に思わず話し掛けた。


「ねぇ、大丈夫?」

「大丈夫だから……原因であるアンタがそう言う事言わないで」

「えっ、何が?」


その言葉に、はぁーっと深い溜息を吐きながら飛鳥は髪を掻き毟るようにガシガシと掻いた。

そのイライラしてる様子が何かしてしまった事に気付かせる。

飛鳥は怒り半分悲しみ半分と言った感じか、泣きながら怒ると言う器用な事をしながら喋り出した。


「説明してやるわ。いい、ここが実験場って前に言ったわよね?アレって比喩じゃなくて本当の事なの。学園の中には監視する使い魔がいるし、そういう裏で工作する人間もいる訳。さっきはそう言う人間に追われてたのよ」

「だから、急に走ったりしていたのね」

「そうよ、ネットじゃ大騒ぎになってるわ。学校の七不思議、札束をくれる女の子の妖怪ってね。学生で気付いた奴がいたみたい。普通は入れないのに妖怪に侵入されたからパニックよ。大人も血眼になって探してるわ」


その説明に大変な事に気付いてしまった。

そう言えば、上げた札束の番号が全て同じだと言う事だ。


「ヤバい!」

「そう、なんで服が喋ってるのか置いといて……服の言う通りやばい……うあぁぁぁぁ!」


頭を抱えて転がり出す飛鳥、これは相当ヤバい奴に違いなかった。

というのも、次の飛鳥のセリフを聞いて実感を伴って理解した。


「ここだって、私の命を狙う理由だらけなんだよ。畜生、絶対上層部に目を付けられた。敵対フラグ的なの建った……もうお終いだ」

「大変なのね」

「他人事だと思って!お前のせいだかんな!私が高校生になるまでに三回は命の危機に遭うけど統計的に今回ので回数増えたの確定だからな!」

「貴方は死なないわ、だって私が守るもの!」

「当たり前だわ、ボケェェェ!」


怒ったり嘆いたり、幼女が半泣きで睨んでいた。




学園が終わって、俺達は飛鳥が住んでいる寮の方へと付いて行った。

その際、隠形という術で姿を隠していたので誰にも認知されていない。


「前のアンタがやらかしたけど、見える奴には見えるからね。学生は誤魔化せても学園長とか上層部には効かないから油断しないでよ」

「大丈夫、それより晩御飯はどこで食べればいい。へうっ!?」


無言で飛鳥が殴ってきた。

感覚を同調していたので痛みがフィードバックして痛い、もうそのくらいにしとけよルージュ。

寮の入り口を抜けて、エレベータに乗って部屋の前に移動し、飛鳥がカギを開けるのを見守ってから一緒に中に入る。

何となく良く出来ましたと言いながらルージュが頭を撫でたら、無言でビンタされた。

だから、やめろってルージュさんよ。


飛鳥の部屋は、ガキが使うにしては高そうな一人部屋だった。

というか、普通にアパートで通用しそうな設備の揃った部屋である。

キッチンからリビングにダイニング、分譲マンションの一室と言われても普通に信じられる。

まぁ、部屋の中は服とか脱ぎっぱなしで汚いのだけどな。

そんな部屋で、飛鳥は入ってから最初に冷蔵庫の方へと向かって中から飲み物を二本取り出した。

そのうち一本はルージュの方に投げて、もう一本を片手に備え付けのソファーに気怠そうに座った。

もうその様子は仕事終わりのOLのようで、見た目が小学生なせいでシュールである。


「はぁぁぁぁ……いつもいつも、余計な仕事増やしやがって」

「ねぇ、お風呂入って良い?狭いお風呂って気になるんだけど」

「いやいやいや、今の流れでおかしいだろ!怒ってんだからな、お前なんか言う事あんだろ」

「反省はしている、後悔はしていない。あうっ!?」


無言でチョップが来た。

それなりの防御力を誇るルージュの肉体がダメージを受けるとは相当なチョップである。

まぁ、能力でも使ってんだろうけどな。


「飛鳥、痛い~」

「うっさい!今からプランの追加に付いて話すからよく聞きなさいよ!こないだの大まかな予測に修正加えるから!」

「怒んなくてもいいじゃん……」


拗ねるルージュを無視して飛鳥は説明を始めた。

本来クーデタ事件を阻止した後は、テロを阻止して、ある妖怪を倒して、それで終わりの筈だった。

しかし三つある大きなシナリオをクリアするはずだったのが、今回のせいで学園上層部とやらの刺客と戦う、魔払いの好戦的な所謂タカ派を潰すというシナリオが追加されたらしい。

どうして目を付けられんだよとお小言を貰った。


「だから、プランの中に仲間集めするわよ。戦力が足りない今の状態だと死ねるんだから」

「仲間……私だけじゃダメなの?」

「アンタがいない所で死に掛けることが多すぎるから基本アンタは信用してない。強いけど、肝心な時にいないんだから」

「そうなの、じゃあ必要ね」

「そうなのよ、でも学園上層部や魔払いと繋がりがないって奴は一癖も二癖もある奴で使いたくなかったんだけどな……便利なんだよな、能力がピーキーっていうか性格が最悪なんだけど……うーあー、もう背に腹は代えられないわね」


ソファーで左右に揺れながら悩んでいた飛鳥が結論を出した結果、どうやら仲間集めが決まったのだった。




思い立ったらと、すぐに行動を開始する。

飛鳥が携帯で連絡を入れると、数分で部下である限がやって来た。

限は相変わらず目付きの悪い奴だった。

飛鳥と同じ制服を着ていることから学年は違うが同じ学校に通っているのだろう。

高等部とかそんな感じで高校生でもやっていると思われる。

登校途中に呼び出しがあったのか、限は鞄を背負った状態で玄関から入って来た。


「よし、行くわよ」


その言葉に流れる動作で限が飛鳥を背負う。

移動はこの状態がデフォのようである。


「それでどこに行くの?」

「山よ」


そう言って、飛鳥は限に指示を出して移動を開始した。




都市の屋根を小学生を背負った学生が飛び跳ねていた。

屋根から屋根へ、軽い足取りで移動していく。

しかし、その速度は車よりも早いと思われるほどだった。

それに加えて、空中で時たま消えたと思えば遠く離れた前方に移動していたりと不思議な挙動をしていた。

というか、飛鳥を背負った限だった。


「後どのくらい?」

「十時間くらい」


空を飛んで後を追うルージュの問いに何でも無い様に飛鳥が返す。

関東から十時間、どれだけ離れた場所なのだろうか。

それどころか、小学生とはいえ背負った状態で十時間も移動できるとは限の奴は大丈夫なのか。

何らかの能力、異能の力を持っているんだろう。


「でも、だいぶ掴めて来たから一瞬で行けるわよ」

「何が掴めたのよ?」

「自転の距離」


遠く離れたルージュに聞こえるように飛鳥が叫ぶ。

どうやら、先ほどから消えたと思ったら限がどこかにいるのは、何らかの行為を飛鳥がしていたからみたいだ。

腕でこっちに来いといった動作をして、飛鳥は俺達を呼び寄せる。

すると、ルージュを掴んで限に移動をやめさせた。


「今から北海道行くから。ちゃんと掴まってなさいよ」

「何するのよ?転移でもするの?」

「少し前の空間と重ねて移動するわ」


飛鳥曰く、数時間前の地点と今の地点を重ねるらしい。

結果、自転している事によって移動している分だけ一瞬で動けるようだ。

ただし、自分は動かず地球が動いてるような状態な訳で間違いなく海に出るらしい。


「行くわよ」

「うわっと……本当に一瞬ね」


転移のように俺達は瞬間移動していた。

理屈では分からないので簡単にイメージすると、人形を浮かせた状態で地球儀でも回転させて海の上に置いた感じだろう。

確かに空中に止まっていたら地面の方が動くわな。

その代り自転と逆の方向に動きそうだけどな。


「北海道は……あっちね、北に向けて進んで」

「はーい、という訳でお願いね」


そうして、服の状態からドラゴンになった俺が彼女ら三人を背に載せて運ぶのだった。

その際に、ルージュを下着姿にしてやったので相変わらずのタクシー扱いへの意趣返しは出来ただろう。




海を進んで、北海道の沿岸部を超えると東端の方に結界が張られていた。

どこかで見た景色、やはり俺の前世の世界に酷似している事が分かる。

そして、ここがどこなのか飛鳥が言う事でそう言えばそんな名前だったと俺は思い出すのだった。


「ここは……竹島か?」

「違うわ、知床半島よ。ここの観光客も入れない場所に住んでる奴に会いに来たの」

「あー、それだ。いや、すっかり記憶が薄れてたわ」


確か世界遺産に登録された場所だった。

夜なので景色は見えないが、確かに自然保護の観点から立ち入り禁止区域とかありそうである。


「ちょっと、魔払いに指名手配されてる人間不信のクズが住んでるわ」

「犯罪者かよ、仲間にしたくない訳だ」

「あそこに降りて、何も無い様に見えるけどあそこに住んでるわ」


言われた地点に俺は着地する。

そこは肌寒い森だ、人の気配のしない薄暗い月明かりだけしか光源のない森だ。

その中に、異物が混じっていた。

それは木に凭れ掛かるように置いてあるマネキンだ。

なんでこんなところにマネキンがあるんだろうか。


「ちょ、何アレ気持ち悪い……」

「限、回収してきて」

「おい、何なんだよアレ。回収する必要あるのか?」


限が回収する為にマネキン近づいてく。

その様子を俺達は見守っていた。

何だろう、妙にリアルなマネキンで不快感がハンパない。

そう感じていた時だった。


「チッ、バレたか!」


突如、マネキンから声が響いて動き出したのだ。

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