前編
微妙に長くなっちゃって、無意味に前後編
自分は彼等に、同じクラスで勉学を学ぶ彼等に、何かしただろうか。
考えを巡らせてみても思い当たる節がなく、んー。と首を捻る。
朝雛の目の前には、自分の使っている机や椅子、更には机の中に入っていたはずの教科書やノートの目をつむりたくなるような有様にもう一度首を捻った。
この、暑いほどの晴天の光の降り注ぐ自分の机の在るべき場所は、ものの見事に水浸しだった。
机や椅子は何故か倒れていて、その周りの床に散らばった教科書類も水を吸って無残な姿になっている。
朝雛はそれを目の前にして、立ち尽くしていた。
窓側の席なので、入ってくる朝日が水溜まりに反射して眩しい。
さてこれは、どうしたものか。
教室の端の方にいるクラスメート数人がこちらを見てクスクス笑っているので、恐らくやったのはあいつらだ。
怒鳴りつける?泣きわめく?半泣きになりながら文句も言えず片付ける?
それじゃあ、面白くない。
後ろで笑っているクラスメートが付け上がるだけだ。
こんな事をされて、心底いらつくが、ここは少し落ち着いてみよう。
さてあいつらはどういう反応を見せるかな?
朝雛は表情を浮かべないまま、机と椅子を起こし、水に浸かっている教科書類を机の上に置いてから、スタスタと教室を後にした。
悔しがるでもなく、泣くでもなく、何の反応も見せず平然とそれをやっている朝雛にクラスメート達の笑い声が消えた。
面白くない。そう思っているのだろうか。
教室を出ていく朝雛をクラスメート達はただ唖然と見送っていた。