共同生活 例1
続いて、実際に同居し、生活を行っている例をあげる。
2018年発売された、家庭用介護補助ロボット「介さん」は、主に65歳以上の、自宅で介護を行う老人の補助を目的として開発された。浴室が介さんが入れる広さがある場合では入浴補助、また被介護者の歩行、食事の補助を行うことができる。さらに、人と協力を行い、被介護者の外出時の補助を行い、車の運転、買い物、さらには夕食などの食事の相談を行うことができる。
白く裾が広がったエプロンをつけて、そのまま固定されたような風貌ではあるが、中は最先端の機器が惜しげもなく取り入れられている。2本の灰色の腕に取り付ける手は、5本指タイプ、2本指タイプ、錐状タイプの3種類から自由に取り付けができるようになっている。5本指は人間と同じように根元及び指部分に合わせて3か所に関節がある。2本指タイプには根元と先端と根もとの中間部分の合わせて2か所に関節があり、錐状タイプには根元の1か所にのみ関節がある。
介さんの2020年度の出荷台数は、45万台となっており、全体で約3500万人ほどいる65歳以上の高齢者層のうち、1パーセント以上は利用している計算になる。それほど多くの人が使う介護用ロボットは、ほかにはない。
以下、実際に介さんを利用している80代の老人の1日を簡単に記す。なお、両足が不自由であり、介護等級は要介護2である。
8時半起床。介さんにより、抱きかかえられる形でイスに座る。このイスは車イスであり、日常生活の大半は、介さんに車いすを押して行動することになっている。
8時45分洗顔等補助。両手は動かせれるので、ここでは介さんは、洗面台まで誘導を行い、車いすの高さを洗面台の高さに合わせることが目的となる。そのため、ここでは補助を行うだけとなる。
9時朝食。朝食はレトルトを電子レンジで温める。電子レンジは、たった時点での目線の高さにあるため、介さんが代わりに電子レンジをセットし、準備を行う。
9時5分朝食等補助。被介護者は、両手はまだ生活に支障がないレベルで使えるため、介さんは配膳を主に行うこととなる。また、固い食材をふやかしたりするのも介さんの役割となる。
9時35分朝食終了。後片付けは介さんが行う。その間、被介護者は自由にテレビや新聞を見る。移動をする時には介さんを呼び、そのたびに介さんは速やかに被介護者の移動の補助を行わなければならない。
以後は、昼食、軽食を挟み、夕食まで介さんは、以上のことを繰り返す。なお、洗濯等は、クリーニング店が行うため、介さんが行う仕事ではない。
20時風呂。この日はヘルパーが来ないため、介さんが全ての事務を行うことになる。そのため、浴槽内の清掃、湯張りを行い、石鹸やタオルと言った物も用意をする。
20時20分入浴。ヘルパーが来ている時には、ヘルパーの補助に徹するが、介さん一人で行う場合は、全身浴、半身浴を組み合わせ、その時の最適な入浴方法を提供する。また、適度な強さによって、タオルとせっけんを用いて体を洗うことも可能である。
20時30分着替え。着替えもヘルパーがいれば、ヘルパーが主として補助を行う。しかしながら、介さん単独でも、着替え補助を行えるように設定がされており、速やかに着替えができるようになっている。
23時就寝。ベッドについては敷く事はもちろん、周囲の環境を整えるの押す県産の仕事となっているため、完全に就寝したことを確認するまでは、介さんは被介護者から離れることはない。
23時15分充電。介さんはバッテリー駆動のため、1日に最低3時間は充電を必要とする。被介護者が就寝したこの時間は、プラットホームと呼ばれる充電設備へ戻り、休眠状態へと入る。これによって、介さんの活動は停止する。