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第四章 結婚式も突然に?

【ミントの見た夢】 


 あれ?なんだここ。

 すごくきれい!

 お花がいっぱいで、ふわふわしてて。

 ヴェルに早く見せてあげたいなぁ。


 道の先にウェディングドレスを着た人物が立っている姿が見えた。

 誰だろう?結婚式なのかな…


 僕は自然とウェディングドレスの人に近づいて行った。


 あと3歩。

 そこでウェディングドレス姿の人物が振り返った。


「ヴェル!!」

 優しく笑うヴェルが、ウェディングドレスで立っていた。


 いつも一緒のヴェル。

 ちょっといじわるだけど、綺麗で眩しいヴェル。

 毎日一緒に仕事をしたり、薬草取りに行ったり、いろんな場面で、いつも助けてくれる優しいヴェル。


 あぁ、やっぱり僕はヴェルのことが大好きなんだ。

 ヴェルが僕に触れるたび、ドキドキして胸が苦しくなる。

 僕も綺麗なヴェルに触れたいと思うのに勇気が出ないいくじなし。


 笑った顔も、余裕な顔も、一生懸命な顔も、どの顔も大好きだ。


「ミント、早くおいでよ。

 今日は私たちの結婚式でしょ?

 遅刻はダメだよ?」


「うーん…ヴェル…大好き…」

「ミント!起きて!今なんて言ったの?」

 目を開けたら、上から覗き込む、夢と同じ綺麗でかわいいヴェルがいた。

「ヴェル大好き…。」

 目を丸くして驚いた顔のヴェル。

 そこで僕は、さっきの夢でできなかったことをした。

 薄紅色のヴェルの唇に、そっと自分の唇を重ねた。

「ヴェル大好き。これからもずっと一緒にいてくれる?」

 唇を押さえて真っ赤になったヴェルが、ぽろりと涙をこぼした。


「ごめんヴェル!嫌だった?!」

「嫌な訳ないよ!ミントずるい!

 私からいつか言うつもりだったし、初めての唇へのキスは私がするつもりだったのに…。

 こんなのずるいよ…。」

 文句を言いながらも、涙をこぼしつつも、嬉しそうに笑うヴェル。

 僕が大好きな大好きな顔だ。

「ミント、忘れちゃったかもしれないけど、私は吸血鬼だよ?本当にいいの?」

「もちろん!ヴェルが好き。ヴェルがいい!

 吸血鬼でも人間でも関係ないよ!」

 これ以上ないほど嬉しそうに笑ったヴェルは、僕に抱きついて、キスをした。

「ありがとう。ミント。大好きだよ。」



【あの夢の続きを… ヴェル】


 私たちはついに両思いになった。

 ずっと一緒にいようと約束をした。

 ミントのことは、いつか自分のものにしようと思っていたけれど、まさか自分がミントのものになるとは…。


 違いなんてないじゃないかと思うかもしれないが、少し違う。

 本来ならミントを少しずつ私に慣らして、なし崩しに吸血鬼にしてしまおうと思っていたから。


 でも、ミントから好きと、一緒にいたいと言われてしまった以上、きちんと手順を説明して、吸血鬼になってもらうしかない。

 さて、どうしたものか。


 大好きなミントから愛されているということで幸せでいっぱいなのに、ヴェルの眉間には深いシワが刻まれている。

 ヴェルがこんなに悩む理由。

 1つ目は、ミントが私に内緒で結婚式の準備をしていること。

 2つ目は、ミントを吸血鬼にする方法である。

「吸血鬼と結婚し一夜を共にすること」


 1つ目の結婚は私の魔法で作った誓いの指輪をお互いがつければいい。この段階ならまだなんとか引き返せる。

 しかし、1つ目をクリアしてしまうと、2つ目に進まなければならない流れになってしまう。

 そんなことを知らず、あくまでも私に内緒で結婚式の準備をしているミントにどう告げるべきか…


 吸血鬼になっても、当分は今まで通りの生活はできる。

 変わるのは、お互いの血が必要になること。

 つまり、人間同士の夫婦の様に離婚したら2人の死を意味する。

 もう一つ、老いることのないまま長い長い時を生きること。

 ヴァンパイアハンターに狙われてしまうかもしれないこと。(これは私が守るからいいとして)


 頭が痛すぎる問題が、締切すぐそばで迫ってきている。

 困った…。

 数日間ヴェルは海より深く悩んでいた。

 そして…


「ヴェルー!!見てみて!!」

 ついにその日は来てしまった。

 花婿の衣装に身を包んだミントが、花嫁衣装を手に現れてしまったのだ!



【あの夢の続きを… ミント】


 ヴェルと僕がお互いが大好きだと、ずっと一緒にいようと確認したあの日。

 僕はすぐに結婚式の準備を始めた。


 大好きな大好きなヴェルと早く結婚したい。

 いつも心の底で「黙っていなくなってしまうんじゃないか」と不安に思っていたからだ。

 結婚したら、本当にずっとずっと一緒にいられる。

 だから、1日でも待ちたくなかった。


 幸い父と母の結婚式の衣装が残っているし、たぶんサイズも大丈夫そうだ。

 ブーケは、花屋を営む友人が作ってくれた。


 ヴェルはあまり賑やかな場を好まない。

 たくさんの人に囲まれてパーティーをすると言ったら嫌がるだろう。

 だから今日はこの村でヴェルともお客さんとして関わってきた人を呼んで、小さな小さな結婚式だけをする予定だ。


 僕はここ数日、ヴェルを驚かそうと思ってこっそり準備をしてきた。

 ヴェルはきっと喜んで、あの綺麗でかわいい笑顔を見せてくれるだろうと信じて。


 だから、見過ごしていた。

 ヴェルが眉間に深い深いシワを寄せて悩んでいることを…。


「ヴェル!!みてみて!!」

 花嫁衣装を持って部屋に入ると、ヴェルが難しい顔をして悩んでいた。


「ヴェル?どうしたの?…勝手に結婚式の用意してたのを知って怒ってる…?」

「…違うよ、ミント」

「じゃあどうして?どうしてそんな顔してるの?」

「ミント、結婚式の準備してくれてありがとう。うれしい。本当だよ?でも…」

 俯いてしまうヴェル。

「でもね、ミント。

 私と結婚するってことは、ミントが吸血鬼になるってことなんだよ!

 ミントに話していなかった私も悪いけど、ミントにその覚悟はある?」


「当分このまま生活できるけど、吸血鬼になったら年を取らなくなってしまう。

 だから周りがおかしいと思う前に、住む場所を変えなくちゃならない。

 それにお互いの血が必要になるから、ミントが私を嫌いになっても離れてあげられないんだよ?!

 その覚悟がミントにある?!」

 そう言ってヴェルが、真剣な目をして僕を見つめた。


 僕はヴェルをぎゅっと抱きしめると、頭を撫でながら言った。

「僕はヴェル以外いらないよ。ヴェルがいてくれればそれでいいんだ。ヴェルと一緒にいるためなら吸血鬼になるのも怖くないよ。」


「それに、僕がヴェルを嫌いになることなんてないよ。ヴェルは僕の全てだから」

 そう言って、ヴェルの顎をあげてキスをした。

「だから、泣かないでヴェル。

 改めて言うね。僕と結婚してください。そしてずっとずっと一緒にいてください。」

「はい。…ミントのバカ。悩んでた私がばかみたいじゃない。」

 ちょっと拗ねた顔もかわいい僕の大切なヴェル。


「ところでヴェル、吸血鬼になる儀式ってなんなの?」

 僕が聞くとヴェルは頬を染めて言った。

「結婚式で私の作った指輪をして…その…一夜を共にすること」

 そう言うと、ふいっと顔を反らせた。

「よかったー!痛いことじゃないんだね!そこだけはちょっと怖かったかも。

 でも、ヴェルのためなら頑張るって思ってたからね!

 だから、問題なし!ヴェルこの衣装を着て結婚式をしよう!

 そして、ずっとずっと一緒にいよう!

 大好きだよ、ヴェル。」

「私も大好き、ミント。出会ってくれてありがとう。」


 2人の結婚式は、小さいながらも幸せに満ちた素敵な式になり、村の人も笑顔で祝ってくれた。

 …ヴェルのドレスが大きくて、急いでサイズを直したのは、また別の話。



 結婚式を終えた夜のこと。

「ねえヴェル、結婚式をして一夜を共にしたら吸血鬼になるんだよね?」

「…そうだよ。どうしたの?嫌になった?」

 不安そうなヴェル。

 でもミントは引けなかった。

 どうしても聞きたいことがある。


「ヴェルはどうやって吸血鬼になったの?!」

 あー、なるほど。とヴェルが天を仰いだ。

「私は、両親が吸血鬼だから、吸血鬼なんだよ?

 …もう!ミントってば!

 私が誰かと結婚してたと思ったの?!

 結婚して吸血鬼になったら、お互いにの血が必要になるっていったよね?」

「そっか!そうだったよね!あー、よかった!ヴェルに僕の他に結婚してる人がいなくて。」

 ミントは心底ほっとして、力が抜けベッドに倒れ込んだ。

 ヴェルはそんなミントの頬を引っ張ると

「ばかミント!そんな人いるわけないでしょ?

 私はミントが大好きなんだよ?」

 と、耳元で囁いた。

「ごめんね。ヴェル。大好きだよ。

 世界で一番大好き。

 …だから僕を吸血鬼にしてくれる…?」

 ミントは体をくるりと反転させ、ヴェルを組み敷いた。

 ヴェルは、ふっと笑うと

「…さあ、どうしようかな?」

 と言ってミントに口付けた…。


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