第三章 ミントとヴェルの休日
【ミント ミントとヴェルの休日】
今日は、僕の薬屋の休日だ。
朝から甘い匂いがする。
ヴェルが朝ごはん作ってくれたのかな?
ヴェルと僕は、この数ヶ月一緒に暮らして、とても仲良くなった。
一緒に仕事をしたり、一緒にお弁当を作って薬草摘みに行ったり、時間が許す限り一緒にいた。
ヴェルは意外にも心配性で、僕の世話をしてくれるようになった。
昨夜、僕は久しぶりに新しい薬の調合に夢中になって徹夜してしまった。
…本当はヴェルに「徹夜禁止!」って言われてるけど、昨日は夢中になり過ぎてしまった。
ちゃんと謝らなきゃ。
キッチンに降りていくと、案の定、ヴェルが朝食を作ってくれいた。
「おはよう、ヴェル!良い匂いだね」
「おはよう、ミント。今朝はミントの好きなパンケーキだよ。さあ、座って座って!」
ヴェルは本当に料理が上手だ。
今日のパンケーキもふわふわで、僕の大好きなはちみつもたっぷりかかっている。
思わず夢中になって食べていると
「ねぇ、ミント。昨夜は徹夜したでしょ?私との約束忘れちゃった?」
ヴェル!顔は笑っているのに目が全然笑ってない!
「…うん。約束破ってごめん。」
「ミントはちゃんとごめんなさいが出来る良い子だね。でも、約束破っちゃったんだし、お仕置きしなくちゃね?」
吸血鬼のお仕置き?!僕は何をされてしまうんだろう…と冷や汗がたらりと背中を伝った。
そして朝ごはんが終わって、ヴェルのお仕置きが実行された。
「今日1日これで過ごしてもらおうかな。かわいいミントちゃん♪」
見惚れてしまいそうな笑顔で、ヴェルが恐ろしい宣言をした。
…僕は今、女装をしている。
スカートで足がスカスカする。何を考えてこんなことをするんだ?と真っ赤になってヴェルを見ると、僕のことを眺めて満足そうに微笑んでいる。
…これは諦めるしかないやつだ…と、僕は諦めて力無く笑った。
「どうかな?ヴェル。似合ってる?」
やけになって聞いてみる。
「すごくかわいい。よく似合ってる。
この格好でデートしようと思ったけど、他の人に見せるのはもったいないね♪
だから、今日は2人でお家デートしようね♪」
よかった…この姿で外に出たりしたら、村中の笑い者になるのは目に見えている。
珍しくご機嫌なヴェルに、写真をいっぱい撮られ、お昼ごはんもおやつも「あーん」で食べさてもらい、ついでにたっぷり血を吸われた。
夕方になり、いろいろな面でぐったりした僕は
「ヴェル、もう約束破らないから許して」
と白旗を挙げたのだった…。
【ヴェル ミントとヴェルの休日】
今日は、ミントの休日だ。
そして、彼は私との約束を破って徹夜をした。
ミントは体が丈夫な方ではない。
徹夜すれば、次の日はふらふらになってしまう。
だから私はミントと約束した
「徹夜禁止!約束を破ったらおしおきだよ♪」と。
そしてついにきた、お仕置きの時。
目の前に白いシフォンのワンピースを着たミントが、恥ずかしそうに立っている。
なんてかわいいんだろう。
ふわふわのスカートがよく似合う。
そう、私のお仕置きは、ミントに女装をさせて一日中私のしたい様に甘やかすこと。
「まずは、かわいいミントの絵を描かせてね。」
私は恥ずかしがるミントを長椅子に座らせ、かわいいクマのぬいぐるみを持たせて、モデルになるように言った。なかなか上手く描けたと思うのだが、ミントはやけに恥ずかしがっていた。
お詫びにお昼ごはんは、たくさん甘やかすことにした。
「ミント、あーんして♪」
と、大好物のオムレツを食べさてあげたり、りんごをうさぎさんにしてみた。
ミントは照れながらも喜んで全部食べてくれた。
午後は、私の膝枕でお昼寝タイムだ。
「ミント、良い子だから少し寝て?昨夜は寝ていないんだから」
「ヴ、ヴェル?!これは恥ずかしいよ!!
ヴェルも重いでしょ?」
「ミントの頭は重くないよ。さあ目を閉じて?」
最初は恥ずかしがっていたミントだけれど、昨夜一睡もしていないからか、頭をなでているうちに、ぐっすりと眠ってしまった。
3時間ほど眠っただろうか。
「おはよー、ヴェル〜。ヴェルはいつもきれいだねー。」
と寝ぼけて言うものだから、誘惑に負けて首筋に牙を埋めた。
もちろん、血は吸い過ぎてしまった。
「もう約束破らないから、許して…」
ふわふわしつつもぐったりしたミントを見て、私は心の底から反省した…




