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ミントとヴェルと…

 どうしよう。ミントが目覚めない。

私はかなり焦っていた。

東屋を壊した後、『祝福の奇跡』の魔法のことを思い出し、頬に口付けしてみたが反応すらなかった。

このままミントが眠ったままならどうしよう。

私の血を吸えないミントは、そのうち力尽きてしまう。

それ以上にミントの笑顔をもう見られないかと思うと、体が凍りつくようだ。


そうだ!もっともっと大きな音がすれば、さすがに起きるかもしれない!

そう思った私は、全力で硝子の城に巨大な火球を放ち粉々にした。

ガッシャーーーン!!!

思った以上に大きな音がして、ふうと息をついてミントを見ると、ぴくりとも動いていなかった。


「どうして?!どうして起きてくれないの?!私を1人にしないでよ!」

泣きながら、ミントの唇に口付けた。

お願い、起きて!と心の中で全力で祈りながら。


すると、眩い光が差し、ミントが目を開けた。

「おはよう、ヴェル。よく寝たー!…って、なんで泣いてるの?!」

「ミントが…ミントが何をしても起きないから…」

私は泣きながらミントをぎゅうぎゅう抱きしめた。

「ごめんね、ヴェル。心配させちゃったんだね。もう大丈夫だから、泣かないで。」

ミントも優しく抱きしめて私の頭を撫でてくれる。

幸せすぎて、もう何もいらない。

ミントがいてくれれば、それだけでいい。

私はミントのいない世界なんていらない。



「ヴェルさまぁーーーーーー!!!」

感動の再会?をぶち壊す大声を上げて、ノワールがすごい勢いでこちらへ飛んできた。

そばに着くと人の姿に変幻し、激しく怒り出した。

「ヴェル様っ!!今度はなんですか?!城を爆発させるなんて、何をやってるんですか?!私まで巻き添えになるところでしたよ!」

ノワールは、激しく怒っている。

「揺すっても、大声で呼んでも、東屋爆発させても起きないから、城が爆発すればうるさくて起きるかと思って…。」

私は小さい声で言い訳する。

「はぁーーー。ヴェル様、ご自分でかけた『祝福の奇跡』を忘れたんですか?!

ミント様は、あんなにぐっすりとお休みになられていたのですから、口付けをしないと絶対に目覚めないのは当たり前じゃないですか!!」

…そうだった。

棺に横になって軽く目を瞑るだけなら、起きているから頬に口付ければ、光が差して目を開ける魔法をかけていた。

さらに、楽しくなった私は絵本で見たように、棺で眠りについてしまったら、唇に口付けしないと絶対に目が覚めないように魔法を追加したんだった…。


「その顔は、追加した魔法のことをすっかり忘れていたんですね?!」

さすがノワールだ。痛いところを突いてくる。

「ノワールさん、ごめんなさい。僕が寝ぼけて棺で寝ちゃったから…。ヴェルは、僕のことを助けようとしてくれただけなんです。」

ミントが慌てたように謝ってくれる。

「良いのですよ、ミント様。ミント様のせいではございません。…全く、これから母親になろうとするお方が、そんな調子でどうなさるのですか…。」


そうそう、ミントは全然悪くない…って、母親?

「ノワール、母親ってどういうこと?」

それを聞いて目を丸くするノワール。

「お気付きでなかったんですか?ヴェル様のお腹には、ミント様とのお子様が宿られておりますよ?」

全然気が付かなかった。ノワールが気が付いたのは、私の魔力が変わったから、透視をしてみたらいたという訳らしい。

「ヴェル!!お腹に僕らの赤ちゃんがいるの?」

ミントが嬉しそうに、私を見る。

「…そうみたいだね。全然気が付かなかったよ…。」

私は実感が湧かず、ぼんやりとお腹を撫でた。

そこへミントの手が重なる。

「ありがとう、ヴェル。」

「こちらこそ、ありがとうミント。」

唇が重なろうとした瞬間、ノワールの咳払いが聞こえた。

「お二人ともおめでとうございます。…ですが、ヴェル様、硝子の城はいかがなさるおつもりですか?…もう城はありませんが…。」

「そういえば、僕硝子の城見てないや。」

「じゃあ、もう一回建てて…。」

「ヴェル様!!あんなに強い魔法を使った後に、城を立てる魔法を使うなんて、お体に触ります!

…後日、私とロンとリックで立て直しますから、お二人はお屋敷でお休みください。」

怒りを通り過ぎて呆れたノワールに、御者を勤めてもらい馬車で屋敷へと向かうことにした。


馬車の中、ミントは嬉しそうに隣に座った私のまだ目立たないお腹を撫でていた。

「ミント、さっきの続きは?」

私がそう言うと、ミントは私の唇に口付けして言った。

「世界で一番愛してるよ。」と。




数ヶ月後、なんと産婆までできると言うノワールの手助けもあり、私は無事に男の双子を出産した。

私とミントで、クリスとレイと名付けた。

そして数年後、あと3人の子供に恵まれ、私たちは末長く幸せに暮らしたのだった。

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