【連載版始めました!!】「お飾りの妻でいてくれ」と言われたから死ぬほど着飾った結果
【10/23 連載版始めました!!】
【連載版】グレイスさんはお飾りの妻 ~偽装結婚した夫に「お飾りの妻でいてくれ」と言われたから死ぬほど着飾った結果、気がつけば溺愛されてた件~
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「――くそっ、何故だ――! 愛のない偽りの結婚だというのに、何故、何故こんなにも彼女のことが気になるんだ――!?」
メレディア伯爵家の美貌の当主であるアデル・メレディアは、顔を歪めて独りごちた。
そう、これは愛のない結婚。
お互いに利害の一致でなされただけの、偽りの生活。
いずれ期限が来れば後腐れなく終わっていく時間。
なのに――何故、何故自分は、これほどまでに彼女のことが気になるのだろう。
最初は、少し変わった女だとは思っていた。
だが彼女はこちらが提案した偽りの結婚計画に二つ返事で同意し、そして今の生活があるだけだ。
けれど――いつしか彼の中で、彼女の存在はどんどん大きくなっていった。
それこそ、捨て置くことなど、いないものとして扱うことなど、到底出来ぬほどに。
「まぁでも――気になるのも当然か」
と――そこでアデルは顔を上げ、部屋の真ん中にいる妻を見つめた。
途端に、その妻の口から大声が発せられた。
「ル―――――――――――ルルルルルルルルルルァ!! ヘーイ、センキュエビバディ!! ルックアットミーマイダイナマイトバディ!! ベリーナイスアンブレーラァ!!」
そこにいたのは、奇妙な出で立ちの女である。
ようやく尻の一部と胸の一部を包み隠しただけのほぼ全裸体はキラキラと輝くラメに覆われ、彼女が激しく腰を振るたびに背中に飾り付けた鳥の羽の飾りがワッサワッサと揺れる。
一体この衣装に幾ら掛けたものか、頭は色とりどりの宝石と原色の鳥の羽が燦然と輝く宝冠が乗っており、宝冠が、衣装が、笑顔が、ケバケバしい化粧が、陽の光を受けてまるで億千万の星星のように光り輝く。
なんというか、とにかく――とにかく、派手だった。
まるでその存在自体が飾りであるかのように。
「ルルルルルルルルルルルァァァ!! ディスナイトイズカーニバルデイ! ヘイ、ミスターアデル! ダンスウィズミーエブリトゥナイ!! ドゥーユーアンダスタンッ!? ディスイズアペーン!! ルルルルルルルルィィィ!!」
意味不明な台詞を連呼しながら、彼女は一層腰を激しく揺らし、奇怪なステップを踏みながら部屋の中を闊歩する。
その衣装の派手さ、綺羅びやかさ、如何わしさ、そして踊り狂う彼女の熱気――。
それだけで部屋の気温はうなぎのぼりに上昇し、地球の裏側にあるという遠い遠い異国の祭典の夜に等しき熱気と喧騒に包まれる。
「お飾りの妻だ……」
その圧倒的な輝きと熱気に、アデルは思わず独りごちた。
そう、彼が望んだお飾りの妻、それが今目の前にいる。
全身を飾りに飾り付けて。
圧倒的な輝きに身を包んで。
彼女自身がまるで世界の中心であると主張するかのように一切の光を独占している。
「気になって当然だな……。なんてったって、あんなにお飾ってる妻だし……気になるというか、目につくというか……」
お飾りの妻って、そういうこっちゃないんだけどな……。
そんなことをぼんやりと考えながら、アデルは激しく腰と胸とを揺らす妻の奇行を眺め続けた――。
◆
「グレイス、君とは結婚するが、悪いが私は君を愛することはない。私からの愛情などは期待せず、どうかお飾りの妻でいてくれないか」
はい! テンプレな台詞頂きました!
内心ほくそ笑んでいる私に向かって、美貌の夫はなおも言った。
「一応、一緒には生活することになるが、悪いが私は人見知りが激しいので結婚式も挙げない。……こんな失礼な話なんだけど、本当に君はいいのか?」
はいはいはいはい、と、内心私は二つ返事だった。
私、グレイス・リンプライトの家――リンプライト男爵家は、音に聞こえたド貧乏貴族家だ。
積もりに積もった借金のせいで、私の家の家計は数代前から火の車。
そこらの農民の方が、というより、公園の鳩の方が確実に私より多く食べてる。
明日着るものの調達はおろか、食べる食事にさえ毎日頭を悩ませねばならない生活。
そんな生活にウンザリしていたある日、「お飾りの妻募集!」という、王都の掲示板の謎のチラシ――。
詐欺かなと思ったけれど、騙されても失うものは何もないと思い切って応募してみました。
今は応募して本当によかったと思っています、はい。
なにせそのお飾りの妻を探していた相手は、この国イチの金満家貴族家・メレディア伯爵家の若き当主・アデル様であったのだから。
「はい! 偽りの白い結婚、合点承知の助! その手は桑名の焼きハマグリ、あたりき車力よ車引きってなもんで!」
「……なんか滅茶苦茶嬉しそうだな。あのなグレイス、これは偽装結婚なの、偽りの結婚なの。なんでそんなに嬉しそうなの?」
「いやだって、私の生活費の面倒と、実家への仕送りはアデル様が面倒見てくれるんですよね!? 明日食べるものの心配がないってだけで私の心は春爛漫の様相を呈するというか!」
「……あのね、わかる? これはね、凄く君にとって失礼な話なんだよ? そんな風にレモンの輪切り添えたみたいな弾ける笑顔で受け入れるような話じゃないの」
アデル様は私の両肩に手を置いて、私の目を覗き込み、言い聞かせるように言った。
「これは一方的に君を弄ぶような話なんだよ? 君はこれから私の都合で弄ばれるの。幼児が弄くり回す粘土みたいにだよ?」
「粘土いいじゃないですか粘土! 私も好きです! というより、小さい頃から親には粘土以外のオモチャを買ってもらったことがないので!」
「いや、それ買ってもらったというより山の中とかで拾ってきたやつじゃないかな……。あのね、もう少しムカつくとか不満に思うとか落胆するとかさ、そういうのが普通の反応なの。君は普通じゃないの」
「まぁ昔から逸脱には定評があるリンプライト家ですからね!」
ガハハ、と私は七つの海を駆け回った船乗りのような声で笑った。
貧乏人は暗くしていたら生きることができない。
財産なんて傾きかけたボロ屋しかない我が一族だけど、この明るさだけはまた別の財産と言ってもいいかも知れない。
「仲良くなった貴族の方が遊びに来た時、そこらの雑草を煮出した茶を出す貴族家はウチぐらいのもんでしょうからね! 相手はドブ水飲んでるようなしんどい顔するんですよ! まぁすっごく青臭くて苦い以外は身体にいいんですけど!」
「い、いや、ドブ水の話はいいよ。あのね? もう少しよく考えて。私は君にお飾りの妻でいてくれって言ってんだよ? カカシみたいなもんなんだよ君は」
「カカシ上等! 動いて喋って少しおさわりもできて、しかも底抜けに明るいカカシですよ! 家の中が笑いで満ち満ちるじゃないですか!」
「う……そ、そんな臆面もなく肯定しないでよ。申し訳なさが加速するじゃないか。あのね、一年後に私たちは子供が出来ないという口実で離縁するんだよ? ただ君は一方的に傷物扱いにされるんだよ?」
「は? それは困る」
「えっ」
一年後に離縁。その言葉に、私は一瞬にして笑顔を消した。
その豹変に、アデル様がびくっと怯えた。
「アデル様と離縁、そりゃ困る。だってウチ、相手がアデル様だとわかった時点でアデル様名義で家のリフォームのローン組んじゃったし。来月ぐらいから工事着工、完成が一年半後なんですよ? 離縁しちゃったら誰がローン払うんですか」
その言葉に、アデル様が素っ頓狂な顔と声で驚いた。
「そ、そんなもう家族全員で私にタカる気満々でいるの!? 君と君の家図太すぎない!? つーか勝手に人の名義でローン組むなよ! 犯罪だぞ!!」
「だって夫婦になるんだから相手の実家の面倒見るなんて当然じゃないですか。世の中には嫁に両親の介護させる目的で結婚するひどい男だっているんですよ」
「君のはなお酷いよ! 私の合意どころか相談もなしになんで実家のリフォームのローン組むんだよ! 普通なら裁判になって泥沼の離婚劇に発展するところだよ! まだ結婚もしてないけどさ!」
「じゃあ交換条件で、ワンチャンくださいワンチャン。ネコチャンは野良猫で間に合ってるんで要りません」
人差し指を唇に押し当て、腰を捻り、うふっという感じで笑い、私は「完璧な美少女のポーズ」でおねだりした。
近所の農家さんにその日のおかずを恵んでもらう時に身につけた特技である。
「一年後に私と離縁したくないなーってアデル様が思ったらもう少し契約結婚契約を延長ができるってことにしません? みすみす逃がすかカネヅル」
「交換条件ってなんだよ! 君が一方的に条件飲んでよ! 契約結婚ってそういうもんじゃないの!?」
「海賊だって略奪前に交渉ぐらいするんですよ! これはパーリイですよパーリイ! とにかく、ワンチャンくださいよワンチャン。今から一年後なんて、そんな遠い未来のことを想定するなんて――人間には到底、できっこないことじゃないですか」
「なんでそんな急に素敵な言い回しするんだよ! ウッカリそうかなと思っちゃったじゃないか! 流そうとするな!」
「あーもーうるさいなぁ。だいたいね、こんな滅茶苦茶な話題にホイホイ手をあげちゃう貴族令嬢なんて私以外にいましたか?」
ぐっ……と、アデル様が痛いところを突かれた表情になった。
ここだな、と私は畳み掛けた。
「だいたいね、アデル様はお金持ちで顔も人並み以上ですけど、性格がアレでしょ? 割と普通っていうか、どっちかっていうと大人しい方でしょ? 重ね重ね顔とステータスはいいのに」
「う――」
「普通契約結婚の相手なんてチラシで募集するもんじゃないでしょ。酔った勢いでワンナイトラブしちゃった相手に『ところでさ』って持ちかけるとかならわかりますけど」
「そ――それはそうだけど。っていうか、そ、そうなの? 契約結婚ってそういう風なワンナイトラブの流れってあるの? 私詳しくないからよくわかんないんだけど」
「こんなアホな事態に乗っかってきてくれる人間がいるってだけでだいぶ恵まれてると言えるのに、その相手に交換条件も許さないのはちょっと傲慢では? 今から私が婚約破棄して帰るって言い出したら困るのはそっちでしょ?」
「それは――そうだけどさ」
「だいたいね、なんでそんなに契約結婚したいんですか? アデル様、言っちゃ悪いけど普通だからそんな風な思い切った偽装結婚とかしそうに思えないんですけど」
私の言葉に、アデル様がぼそぼそと言った。
「そりゃあ――恥ずかしい話だけど、家族に結婚を急かされていてな。早く来孫の顔を見せろとひいひいお祖母様がうるさくて――」
「えっ」
「えっ」
「……ひいお祖母様?」
「いや、いやひいひいお祖母様。曾祖母様の曾祖母様。数世紀以上もウチの一族を裏から操る陰の実力者なんだ」
「い、い、生きすぎィ……! 化け物じゃないですか! っていうか来孫ってなんですか!? 玄孫の子ってこと!?」
「ちなみにひいひいお祖母様は年齢はゆうに数百歳を超えてるが見た目は七歳ぐらいの幼女だぞ」
「完ッ全なる化け物じゃないですか!! あと確定的に『のじゃ』口調そう……!」
私は思わず後ずさった。
「っていうかひいひいお祖母様になんでそんな忖度するんですか! 玄孫までいるんだからもういいでしょ! ひ孫どころか孫が生まれた時点でもうこの世に思い残すことなんかないでしょうが! どんなゴーツクババアなんですかひいひいお祖母様は!」
「馬鹿、ひいひいお祖母様を怒らせると大変なんだぞ! あの魔女のヘソが一度曲がれは国が滅ぶという伝説がメレディア一族にはあってだな……!」
「そ、そりゃあ大変だ! 絶対にヘソ真っ直ぐにしとかないと……! っていうか、それなら普通に偽装結婚じゃなくて結婚して、子供作らないと意味ないんじゃないですか!? なんで偽装結婚!?」
私の言葉に、アデル様はスッと視線を横に逸し、「だ、だって……」とモゴモゴと呟いた。
「だって、女の人とか怖いじゃん……今まで私に言い寄って来た人たちはみんなウチの財産目当てだったし……そうじゃなくても知らん人とひとつ屋根の下とか意味わかんなくて怖くて……一回でも離縁すればひいひいお祖母様も諦めてくれるかなと……」
その気弱な発言に、私は大きくため息を吐いた。
この顔とこの財力で本人がコレでは、そりゃあひいひいお祖母様も結婚を急かしたくなるだろう。
「ハァ、本当ならそんなことないよ、お金じゃなくてあなた自身のことを気に入ってくれる人が現れるよ、って言いたいところなんですがね……かくいう私もマンキンでアデル様の財力を見込んで結婚しに来たんですから何も言えませんね」
「うん、今まで言い寄って人の来た中でも君がぶっちぎりで酷いよ。流石に君ぐらいあっけらかんと来られると憤る気力も湧かないだけで」
「うー……! じゃあやっぱりワンチャンくださいワンチャン! なにかの間違いでアデル様が私のことを気に入ったらそのときは契約結婚契約延長ってことで! せめて家のリフォームが終わる一年半後まで契約期間延長可ってことで! それじゃダメですか!?」
私が頑強に言い張ると、アデル様が何かを考える顔つきになった。
元々性格は気弱でも見た目は美丈夫であるから、黙考している顔なぞは非常に絵になる。
ほわぁ、いい男だなぁ……と私が見惚れていると、ハァ、とアデル様がため息を吐いた。
「もう……わかったよ。じゃあ一年後にもう一度話し合いの機会を設ける。その時までは君はお飾りの妻、ね? お互いに愛情は期待しない、寝室は別だ。いいね?」
「やった! アデル様、話の分かる男!」
私が思わずアデル様に抱きつくと、ウッ、と唸ってアデル様が赤面した。
「こっ、こら! 遠慮なく男に抱き着いてきたりするな! これは愛のない結婚なんだぞ!」
「えー、一応婚約はしたんだからボディタッチぐらいは普通でしょ? それぐらいはしましょうよ。私はおっぱいぐらいなら全然揉ませるつもりだったんですが」
「だからそういうのがはしたないって言ってるんだよ! しかも君はたくましいから隙あらば色々と既成事実とか作ってきそうだし! いいか、くれぐれも間違いが起こらないように寝室は別だからな!」
「寝室は別でいいですけど、お風呂は一緒でいいですよね?」
「なんでだよ! お風呂も当然別だよ!」
「ちぇー、つまらん男だなぁ」
私はブツクサ言いながらも、すったもんだの挙げ句に契約結婚生活をスタートさせた。
◆
その日の晩、実家のベッドの四倍は広いベッドの上で、私は黙々と考えた。
何があっても一年後に婚姻関係を解消されるわけにはいかない。
こちらには家のリフォームという重大な事案が控えているのだ。
ここでアデル様の財力で実家がリフォームできなければとても払いきれない額のローンが残ってしまうし、次の年の嵐で我が実家は土台ごと吹き飛ばされてしまう。
うーん、と私は唸って寝返りを打った。
幸い、その時は人生でもトップクラスに胃袋にカネと滋養がパンパンに詰まっていたので、複雑な思考もし放題であった。
できることなら、これが期間制限アリの契約結婚ではなく、本当の結婚ということにしたい。
そうすればウチの実家も私の代でなんとか立て直しができるだろうし、それ以上に私が楽しいし幸せになれる。
けれど――アデル様がああでは、既成事実の作りようもない。
子供でも出来れば絆されてくれるかと思ってさっきアデル様の寝室に行ってみたが、寝室には大きさが私の顔ぐらいある錠前が4つもかけられていた。私が脱獄王でもなければ夜這いは無理そうだ。
ならば――なんとか絆してみるしかない。
幸い、明るさと打たれ強さ、そして弾ける笑顔の素敵さには自信も定評もある。
私は全身を武器にしてこれからあの美貌の貴族をオトすのだ。
私は寝返りをうち――それにしても、と考えた。
貴族間の契約結婚というのはたまに聞くことがあるけれど、いざ言われる方になってみると結構ムカつくなぁ。
大概、他に愛人がいたり、当主がゲイだったりの理由で契約結婚する夫婦というのは聞くが、「女性が怖いから」程度のフワッとした理由でお飾りの妻でいてくれ、なんて言われたのは私ぐらいのもんだろう。
お飾りの妻、か。
私は久しぶりに腹いっぱい食べたおかげで血の巡りがよくなり、賢者モードになっていた。
お飾りの妻とは一体如何なるものであろう。
何をすればお飾りの妻ということになるのやら。
常に三歩下がった位置で待機して「ごきげんようあそばせ」などと微笑むのがお飾りの妻であろうか。
いや――それだと私が面白くない。
どうせ偽りの妻生活なら、楽しいものにしたい。
それにあの対応が塩い青年に無視されるのもムカつくし。
うーん、と考え、それと同時に眠気がやってきた頃、私の頭に妙案が浮かんだ。
そうだ。どうせお飾りの妻で無視するつもりなら、飾って飾って着飾りまくって、私の存在を意地でも無視できないようにしてやろう。
どうせカネは腐る程あるのだから、いくら使って着飾ったとしても文句はあるまい。
なにか言われたら「お飾りの妻ですから」と飄々としていれば、あちらも文句の言いようがないだろう……。
明け方、そんな事を考えながら私の意識は眠りに溶けていった。
◆
そして今、この時に至る。
契約結婚生活が始まってもうすぐ一年、やたら豪奢でヒラヒラした生地の衣装を着込み、顔をおしろいで真っ白に塗りたくった私は、なるべくアンニュイな表情と声を意識して低く声を絞り出した。
「あちきは、籠の中の鳥でありんした……」
そう言うと、シャララ、と頭に多数突き刺した髪飾りが揺れた。東洋のオシャレアイテムで「カンザシ」というらしい。
この奇抜な衣装とヘアスタイルは東洋の島国に伝わる「オイラン」という高級娼婦のスタイルであるらしく、なまじ文化的にエキゾチックであるが故に人目を引く。
当初は私の申し出に戸惑っていた衣装係も、最近はノリノリで新ネタを提供してくれるようになり、私は正しくきせかえ人形のように毎日毎日派手な衣装を着こなしてはアデル様の周りを意味なく徘徊する奇行を繰り返していた。
案の定、部屋のソファで書類に目を通していたアデル様は全く集中することが出来ないらしく、チラチラとこちらをチラ見している。
その視線に勝ち誇ったような気持ちになりながら、私はなおもアンニュイな声で言った。
「雪に……なりとうありんす……雪になれば……冬でも寒くないでありんすから……」
カツカツカツカツ、と、アデル様が指でテーブルを叩いた。
彼がイラついているときの癖である。
「先生――あちきの腹を切っておくんなんし!」
だあああっ! と、アデル様が書類をテーブルに叩きつけた。
「グレイス、あっち行ってよ! 君がいると全ッ然仕事が捗らないんだよ! っていうか何その口調!? 何語!? さっきから何その意味深な台詞!? 腹切るって何!? 先生って誰だ! なんのドラマが進行してるの!?」
「どうぞ無視しておくんなんし……あちきは……お飾りの妻でありんすから……」
「無視できる!? その頭と衣装と意味深な台詞で無視できると思うの!? 気になりすぎるんだよさっきから! さっきからというより、一年前から!!」
「あはは、あちきのことが気になるでありんすか。それなら作戦成功でありんすなぁ」
私はやたらと重い頭を揺すりながらアデル様に近づき、テーブルに顎を乗せてアデル様をニヤニヤと見つめた。
「だって『お飾りの妻でいてくれ』って言ったのはアデル様でありんすでしょ? だったらあちきは死ぬほどお飾ってやろうとしているだけでありんす。言いつけ通りでありんすよ」
「なんでそういう結論に達するんだよ! 何度も言ってるけどお飾りの妻ってそういうこっちゃないだろ! 今の君はお飾りの妻と言うより飾りまくってる妻だろうが!」
「同じ意味では?」
「全然違うよ! 私の言ってることはお飾りの妻ということであって飾ってる妻のことでは……あああ、頭が混乱してきた! こんなくだらないことに脳みそのリソース割いてるのがすっごく馬鹿馬鹿しくなってきた!」
ガリガリガリガリ、と苛立ったように頭を掻きむしり、アデル様は疲れてしまったようにため息を吐いた。
うふっ、と、私は魅力的に微笑みかけた。
「まだこれでも偽りの妻生活続けます?」
「ぐ……」
「アデル様、実は結構こんな馬鹿ばっかりやってる私のことを気に入ってくれているのでは?」
「そ、そんなことは……!」
「ねぇアデル様、この衣装はオイランって言って、東洋の島国では高級娼婦なんだそうですよ?」
その意味深な一言と共に、つつつ、と顎先に指をスライドさせると、ぞわっ、とアデル様が総毛立ったのがわかった。
「どうです、その高級娼婦と寝室を一緒にしてみたくなりません?」
ニヤリ、と毒婦の笑みで嗤うと、アデル様がぐっと唸って……私を跳ね飛ばすかのように急に立ち上がった。
うわっ、と仰け反ってしまうと、アデル様が踵を返した。
「あ、アデル様……!」
「もう君のファッションショーに付き合うのも疲れた! ちょっと散歩してくる!」
「そ、それならあちきも……!」
「ちょっと一人にしてくれ! だいたいその変な履物だとついて歩けないだろ!」
そうだった。今私が履いているのはオイランゲタと呼ばれる厚底の木靴で、オイランはこれで八の字を描くように歩くものなのだそうだ。
慌てて追いすがろうとした私は物凄く高いゲタによってバランスを崩し、豪華な衣装を巻き込みながら床に転がった。
同時に、バタン、とドアが閉められ、後には結い上げた黒髪をほつれさせた私だけが残された。
なんだか……とても腹が立った。
私は苦労しながらゲタを投げ捨て、膝を抱えた。
「……アデル様のばか」
こんなこと、本気で冗談でやっていることだと思うのだろうか?
この一年、一緒に生活を共にしてきて、本気で情がなく暮らせてきたと思うのだろうか。
最初こそ打算でこんなことをやってた私だが、最近は新たな衣装を着るたび、当初とは違う目的が生じていることにも気づいていた。
もっとアデル様の気を惹きたい、もっとアデル様に綺麗だと思って欲しい。
そんな叶わない望みが自分の中に生まれてきていることにだって、私は気づいていたのに。
ちょっと気弱でひねくれてるけど、基本的には優しくて、顔が良くて。
色々と細かい気を使ってくれて、あと顔が良くて、お金もあって。
私のとんでもない行動に呆れながらも、怒ったりしなくて。あと顔が良くて。
あと何と言ってもお金があって、顔が抜群に良いアデル様――。
そんな人と一年もひとつ屋根の下で暮らして来たのだ。
いくら契約結婚だとわかっていても、私だって惹かれないわけがなかった。
そう思うと、私の中でどんどん思いがぐちゃぐちゃになり――遂にまぶたから涙となって溢れ出した。
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう。
これ以上、どうやったらあの人の気が惹けるというのだ。
どんな衣装を着て、どんな飾りで飾り立てれば、あの人は本気になってくれるというのだ。
私は、私はもう、この偽りの結婚生活にこれ以上ない幸せを感じているというのに――。
そう思うと悔しくてたまらず、私はしばし部屋の中でわんわんと泣きわめいた。
◆
一方、鼻息荒く外へ飛び出したアデルは――。
屋敷の裏手、誰の目も届かないところに来て――ふう、とため息を吐いた。
「よし、ここならグレイスは見てないな――」
言うなり、アデルはお目当てのもの――庭の東屋の壁に向き直った。
何故なのか、東屋の壁はアデルの目線少し上で妙に凹んでおり――下には崩れ落ちた外壁の欠片が散らばっていた。
アデルはその東屋に両手を突くなり――ゴツッ! と音を立てて額を叩きつけた。
「クソッ! クソッ! クソがッ! なんだよさっきのあの表情……! 死ぬほどドキドキさせやがってよォ!!」
ゴツッ! ゴツッ! と、アデルは血が出る勢いで額を叩きつけるが、この一年これを繰り返したせいで額が頑丈になったものか、最近では頑丈な石壁の方がアデルの額の硬さに負けて崩れ落ちてきている。
アデルはなおも額を壁に叩きつけた。
「クソッ! クソッ! 馬鹿すぎる、馬鹿すぎるだろあの女……! こんなつまらん男の気を惹くためにあんな毎夜毎夜苦労しやがって……! あのオイランの衣装だって徹夜で自分で縫ったんだろうが……!!」
そう、アデルは知っている。
あのアホみたいに豪華な衣装が全て、グレイスの手縫いであることを。
元々貧乏だったリンプライト家が針仕事に熟達していることは想像できたが、あの衣装をイチから全部手縫いで完成させる苦労は想像を絶した。
そんなもの、メレディア家の財力をちょろまかせばいくらでも他人に任せることが出来ただろうに。
ましてや、そんな馬鹿な努力を、ただ離縁されたくないだけで一年も――。
その努力を知ってしまった今、いくら自分でも何も感じないわけがなかった。
いや、それどころか――。
アデルは真っ赤になった顔で俯き、心臓に手を当てた。
正直、可愛い。
馬鹿すぎて可愛い。
「お飾りの妻でいてくれ」、なんて言われて、自分を飾り付けて無視できないようにするなんて、よっぽどの馬鹿じゃないと至らぬ発想であろう。
故に――アホ可愛い。
この一年間のグレイスのファッションショーは決して無駄になることなく、アデルにしっかりとヒットしまくっていたのである。
ハァハァ、と、壁に向かって荒く息をついたところで――「もし、旦那様」という声が聞こえ、アデルは振り返った。
そこにいたのは屋敷の衣装係の女性で、激しく取り乱しているアデルの姿にも動じることなく、呆れたように笑った。
「衣装が完成しました」
「……そうか。さんざん急がせてご苦労だったな」
「おやめください旦那様、こんなこと、グレイス様がこの一年重ねてきた苦労に比べればなんでもないものですわ」
そうだ、その通りだな。
そう頷くと、衣装係の笑みが一層深くなった。
「恐れながら……旦那様は本当に素直でない方ですわね。こんな持って回ったことをせずとも、もっと早くグレイス様に思いをお伝えできる機会はあったはずでは?」
「言うな、私だってそう思っている。だが――」
アデルはおそらく赤くなっているのだろう顔を横にそむけた。
「それだと、それだともう見られなくなってしまうではないか。グレイスの色々な艶姿を――これでも結構あのファッションショーを楽しみにしていたから……」
ぼそぼそと言うと、今度こそ衣装係が声を出して笑った。
ひとしきり笑った後、衣装係は半笑いで言った。
「それでも、今回旦那様が用意した衣装をお召になられたグレイス様が一番美しいでしょう。どんなに着飾っても、どんなに飾り付けても、この衣装を着た女性に敵う美しさなど存在しないものでしょうから――」
そうだな、そうあって欲しい。
アデルが頷くと、衣装係はまた笑った。
◆
お飾りの妻になってから、今日でちょうど一年。
私はいつものアホみたいな着飾り姿ではなく、この屋敷にやってきた時と同じ、みすぼらしいドレス姿でアデル様の私室に来た。
やがて部屋に入ってきたアデル様は、肩を落としてソファに座る私を一瞥してから、私の対面に座った。
「君と結婚してから今日で一年だな、グレイス」
はい、と私が小さく頷くと、ハァ、とアデル様がため息を吐いた。
「全く、この一年で君は何日徹夜したのだ? あんなアホみたいに着飾り続けるためだけに、君はどれだけの苦労を重ねてくれた?」
えっ? と私が顔をあげると、呆れたように微笑んだアデル様の顔があった。
「し、知っていらしたんですか――!?」
「全く、私も大概ひねくれた男である自覚はあるが、君の強情さはそれを遥かに上回るよ。何故衣装の製作を使用人や店に押し付けなかった?」
その質問に、私は一層縮こまり、「だ、だって……」と顔を赤くさせた。
「だって、それだと、アデル様が綺麗だって言ってくれない気がして……リフォーム費用も生活費も払ってもらってるし、ちゃんと自分でも苦労しないとって思ったから……」
もじもじとそんな事を言うと、フフフ、とアデル様が意味深な笑声を漏らした。
「本当に君は強情だな」
「は、はい、貧乏人ですから……」
「そんな君の強情に、流石に私も根負けしてしまったよ」
「は――はい?」
「控えておるもの、入ってきてくれ。彼女にアレをプレゼントしなさい」
プレゼント? 私が驚いていると、部屋に数人のメイドたちが入ってきた。
みんな手に手に何かの包みを持っていて、まごついていた私はあっという間に取り囲まれてしまった。
――その後、起こったことは、いまだによく覚えていない。
ただただ夢のような時間が長くあって――気がつくと私は。
どう考えてもウェディングドレスとしか思えない、純白のドレスによって――すっかりと飾られていた。
私を取り囲んでいたメイドたちが去り、目隠しまで取り払われると――。
私の姿を見たアデル様が息を呑み、思わずというようにソファから腰を浮かせた。
「あ、アデル様……?」
「き、綺麗だ……」
「アデル様、これは……?」
「綺麗だ、綺麗だぞグレイス。とても、とてもよく似合っている――他に言葉が出てこないぐらい、綺麗だ――」
その言葉に、戸惑いを圧倒して羞恥心が込み上げてきた。
思わず私がもじもじしてしまうと、アデル様が私の前に進み出て、白手袋を嵌めた手を取って跪いた。
「グレイス・リンプライト男爵令嬢。偽りの結婚契約は破棄させてくれ。――今一度、改めてお願い申し上げる。――私のお飾りの妻ではない、真実の、真実のお飾りの妻になってくれないか」
お飾りではないお飾りの妻?
真実のお飾りの妻?
意味がわからん。
突然のことに処理が追いついていない頭に向かって、アデル様がなおも言った。
「最初こそ、君のことを変わってて馬鹿陽気でガサツなボケ野郎の貧乏人だと思っていた私を許して欲しい。今の私は――はっきり言って君の虜だ。こんなつまらん気弱な男の気を惹くためだけに、君は一年もの間、必死になって私のお飾りの妻でいてくれた。いつか、いつかこの私が、手ずから君をお飾ってみようと思っていた――」
はぁ? 後半の言葉はともかく、私が前半の印象についてムカッと来ているのにも関わらず、アデル様はキメ顔で続けた。
「私も、君の意気に意気で返したい。ひいひいお祖母様にも協力してもらって仕立てたこの衣装は、この世に二つとない最高級の花嫁衣装だ。生地から探し出し、一流の職人が数ヶ月以上もかけて丁寧に形作った衣装だ。これだけで君の実家のボロ屋を、リフォームどころか五回ぐらい建て直すことができるほどカネがかかっている。まぁ、生まれついて貧乏人の君には説明したところで理解できまいが――」
ピキピキッ、と、私のこめかみに二本目の青筋が立った。
そんな私の怒りにも気づかず、アデル様はポケットから小さな小箱を取り出し、開けた。
中には、一年前に渡してくれなかった結婚指輪――。
それとアデル様の顔に視線を往復させた私を、アデル様は「幸せいっぱい」という表情で見上げた。
「こんなことしか出来なくてすまない。だが――受け取ってくれるだろうか。これを左手の薬指へ。改めて、私の正式な妻に――」
その勝手な言い分に、私の中の何かが切れた。
私は思わず右足を跳ね上げ、つま先でアデル様の顎先を思いっきり蹴り上げていた。
「あぽプ――!?」
間抜けな声を上げ、アデル様が仰向けに倒れた。
突然の挙動に仰天するメイドたちにも構わず、私は腹の底から怒声を張り上げた。
「ぬぁーにを勝手なことをベラベラベラベラ並べ立ててるんですかッ! 正式な妻!? お飾りじゃない妻!? こんな持って回ったやり方が私への答えですか!? アデル様、ナーメすぎでしょう私のことを!! ふざけんなふざけんなふざけんなッッ!!」
予想していなかったのだろうその言葉に、アデル様が顎を手で押さえながら目を見開いた。
私は握り拳をわなわなと震わせてまた怒鳴った。
「なんかカッコつけたいようですけど、私の一年間の苦労は!? 必死になってお飾ってた私の苦労に、アデル様はおカネで答えるっていうんですか!? そんなの全然、全ッ然嬉しくないですッ!」
「うぇ……!? ちょ、ちょっと……!!」
「このウェディングドレスに使った金額を説明されるより、私にもっと意気で言うべきことがあるでしょうよッ!! 私、その言葉をまだ聞いてません! その言葉を聞かないなら正式な結婚なんか願い下げですッ!!」
涙を滲ませての私の言葉に、アデル様がハッとした表情になり、鼻から流れ出る鼻血も無視してその場に正座した。
「す、すまない……そうだよな」と縮こまったアデル様は、それでも数秒後には決意の表情で私を見た。
私は大声で問うた。
「もし結婚したら――私の実家を建て替えてくれるんでしょうね!?」
「建て替える!」
「実家の借金も代わりに払ってくれるんですよね!?」
「払う!!」
「寝室は一緒になるんですよね!!!」
「一晩寝かさないと約束する!!!」
「一緒にお風呂に入るんだろうな!!!!」
「君と背中の流し合いっこをするとも!!!!」
私は大声を張り上げた。
「妻として一生――死ぬッほど溺愛してくれるんだろうなァ!!!!!」
「めっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ激愛するッッッ!!!!!」
ハァハァ、とお互いに肩で息をしてしまった後――。
「じゃあ、結婚します」
私はあっけなく左手を差し出した。
よかった、とホッとため息を吐いたアデル様によって私の左手薬指に結婚指輪が嵌められ、パチパチパチパチ……とメイドたちが拍手した。
こうして、私とアデル様は正式な妻となったのでした。
◆
「ル―――――――――――ルルルルルルルルルルィィィィ!! ヘーイ、センキュエビバディ!! ルックアットミーマイハニー!! ベリーベリーナイスアンブレーラァ!!」
「おおグレイス、今日はカーニバルの衣装かい? 久しぶりだな」
「ヘーイマイハズバンッ! ダンスウィズミーエブリナイッ! ルルルルルルァ!! どうですアデル様? 目のやり場に困ります!?」
「ああ、すっごく困るな。もう色々とハミ出そうで見ていられないよ」
ははは、と朗らかに笑ったアデル様を見て、私もにまーっと笑った。
思わず嬉しくなって、私はソファに座るアデル様の横に座り、その肩にしなだれかかった。
途端に、背中に着けた鳥の羽の飾りがアデル様の鼻先をくすぐり、アデル様が汚らしくくしゃみをした。
お互いに笑ってしまってから、私はアデル様の腕を抱き締めた。
「アデル様、私ね私ね、今すっごく幸せなんですけど、見ます?」
「うーん、どこ見ればそうとわかるのかわからないけどな。とにかく君が幸せならよかったよ」
「そういや、新婚旅行まだでしたね。どうですアデル様、カネにモノ言わせて地球の裏側に本物のカーニバルを見に行きませんか?」
「ああ、それはいいな。私もちょうど本物が見たいと思っていた。カネにモノを言わせてカーニバルを見に行こうか」
うふふ、と笑いあってイチャイチャすると、アデル様が私の奇抜な衣装と化粧とを見て、呆れたように言った。
「全く、君はまだそのお飾りをやめないのか? もう正式に私の妻になったんだから、お飾る必要なんてないだろう?」
「なんか一年もやってたら趣味になっちゃいまして。今ではもうお飾ってないと落ち着かないというか」
「いつの間にかすっかり変態になってしまったなぁ、私の奥さんは。まぁ私もそこそこその衣装を楽しみにしているから同じか」
「それと……別の理由もあるというか」
「ん?」
私はもじもじしながらアデル様から視線を離した。
「他の女の人にアデル様の視線が移ったら嫌ですし……今も常にお飾ってないと不安で……」
私が思い切って告白すると、アデル様がぐっと唸り、それから、あああ、と悲嘆な声を発した。
「アデル様――?」
「可愛すぎる、可愛すぎるだろ……! ウチの奥さんが可愛い、溺愛妻可愛い……!」
「ちょちょ、可愛いって……! 急にそんな……!」
ボン、と私が赤面すると、ぎゅっ、という感じで私はアデル様に肩を抱き締められてしまった。
私が頭に被った冠の鳥の羽の飾りに鼻先をくすぐられながらも、アデル様はフガフガと愛を囁いてきた。
「フガ……そんな心配はいらないよ、グレイス。フガ、たとえ君が着飾っていなくとも他の女に浮気したりするものか。君はフガ、世界一可愛い、私のお飾りの妻なのだからな――」
そう、私は世界一のお飾りの妻――。
どこに出しても恥ずかしくない、世界一幸せな、お飾りの妻なのであった。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
このネタは前にTwitterで書いたら
『誰にも愛されないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話』
等の傑作をお書きになっている
ひだまり先生をウッカリ大爆笑させてしまい、
敢なく短編化となったものです。
いかがでしたでしょうか。
ということで、
「面白そう」
「続きが気になる」
「何故だ――何故こんなにもこの小説が気になるんだ――!?」
そう思っていただけましたら下から★★★★★で評価願います。
何卒よろしくお願い致します。
【VS】
もしよろしければ
こちらの異世界恋愛作品もよろしくお願いします。↓
『【完結】転生・櫻井◯宏 ~最後に裏切って殺される乙女ゲームのCV:あの声優さんのキャラに転生した俺、生き残るためにこの魔性の声を武器に攻略キャラクター(男)たちと愛を育みます~』
https://ncode.syosetu.com/n3371ig/
『「私は殿下に興味はありませんっ!」と言われてしまったスパダリ王子が「フッ、面白い女だ」と興味を示すけど、その令嬢に既に婚約者がいた場合はどうなるか、という話』
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