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4話 怪力

「お礼と言われてもなぁ……」


「何か困っていることはありませんか? 私にできることであれば何でもします!」


「そう言われても、別に困ってることなんて……」


「話は聞かせてもらいましたよ!」


「うおっ!?」


「あら? 驚かせてごめんなさいね」


「い、いや。こちらこそ、大声を出してすまない。それで、今の話を聞いた上で、何か用か?」


「ええ。カイルさん、ちょうどいいじゃありませんか。困っているというほどではありませんが、手伝ってほしいことがあるのではありませんか?」


「え? あ、ああ。そういうことか。でも、あれには腕力や体力がそれなりにいるのだけど……」


「あの……?」


「ああ。その前に、自己紹介をしておこうか。俺の名はカイル。Dランク冒険者さ」


「Dランクの方だったのですか? 金貨3枚をポンッと出せるのだから、もっと上のランクなのかと思いました」


「あはは……。正直な子だね。ま、この調子なら近いうちにCランクに上がってもおかしくないけど」


 ビッグトレントは上級、トレントは中級の魔物だ。

 当然、ランクアップ査定においても大きな意味を持つ。


「カイルさんは、魔獣狩りを中心に活動されていますからね。護衛依頼や討伐依頼をいくつか達成すれば、Cランクに上げることができますよ」


「そうでしたか。それは失礼しました」


「それで、君の名前も教えてほしいのだけれど」


「あっ。す、すみません。私の名前はエミリアです。Eランク冒険者になりたての、駆け出し冒険者です」


「へえ、Eランクなんだ。武器は何を使うんだ? って、聞くまでもないか」


「は、はい。私はこの剣で戦っています」


 見れば、なかなかに高価そうな剣を持っている。

 さっきの冒険者も、目をつけていたな。


「ちょっと大きくないか? 君にはサイズが合っていないだろう」


「はい……。でも、これは……。その……」


「何やら訳ありか。まあいいさ。それで、君のスキルは?」


「ス、スキルは、そのぉ……」


「……人に言いたくない類のスキルか。わかるよ。俺もそうだったからな」


「エミリアさん、カイルさんなら大丈夫ですよ。あなたのスキルをバカにしたりはしません」


「は、はい。私のスキルは……『怪力』なのです」


「ふむ。なるほど。悪くなさそうなスキルじゃないか。同じスキルを持っている知り合いはいないが、力が強くなるスキルなんだろ?」


「その通りですが……。副作用として、力加減ができなくなるのです。そして、そのせいで、今まで何度も失敗をしてしまいました……」


「なるほどな。確かに、その力は使いどころが難しそうだ」


「はい……」


「よし。そんな君に提案がある」


「提案ですか?」


「ああ。俺の荷物持ちとして働いてみないか?」

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