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09【買い物】

155センチあるかないか、の設定を150センチあるかないか、に修正しました。

また、文を少々修正しました。


「はあ」

「まあまあ、気を落とさないくても良いじゃない。問題なく乗れた訳だし」

「そうなんだけどねえ」


 つい先程、ショッピングモールの駐車場に停車させて降りようと思ったらタイミング悪く、制服を着た警官に呼び止められてしまった。まあそれで、免許証を見せた訳なんだけど。


 うん。予想通り凄い驚かれた。そしてその警察官はもう一人と一緒に戻ってきて謝ってきた訳だ。一応上司なのかな? まあ免許証も本物だし、その後は問題なく終わった訳なのだが、ついついため息が出てしまった。


 150センチって言ったら、何歳くらいの身長だよ……? 結構低いよね多分……いや、詳しくはしらないが。まあ、見た目のせいもあるのかもしれんな……幼顔な感じだったし。


「まずは服を買わないといけないわね」

「うん」


 戸籍とかそういうのは何故か、今の俺の姿に変わっていたから問題ないのだが服とかは男の時に着ていたものしかなかったのである。身長も違うし、だぼだぼだった。


「子供の頃の服が押し入れにあって良かったよ……」


 普通に着ていた服は流石に着れなくて、ちょっと焦った。子供の頃の服が残っていたので、まあ渋々それを着た訳だ。もちろん、至ってシンプルなものを選んだ。

 そんな訳で服がなかったのでこうして買いに来た訳だ。ついでに、ちょっとスーパーにも行って簡単に買い物をしようかなと考えていた。昨日は色々あって疲れたので翌日……今日にした。


 フルールが居たお陰でお風呂とかトイレについては何とかなった。女の子の肌で弱いんだなあって……男の時と同じように洗おうとしたらフルールからストップが入ったのだ。


 そしてさっき……警官に呼び止められたって言う。


「何か今日も散々な気がしてきた」

「まあまあ……」


 困ったように笑うフルール。

 それを見た俺は切り替える。……さてと、問題なくこうやって来れたんだから用事を済ませないとな。フルールがさっき言ったようにまずは服を準備しないといけない。


 子供の時の服が着れたのは良いが、これをずっと着るのは流石に……ね。


「って、奏。そっちじゃないでしょ!」

「え?」


 誰もが知っている有名な服屋の中に入り、目的の物があるであろう場所に来たところでフルールに慌てて止められる。どうも、フルールの姿って俺にしか見えないようで、現に他にお客さんとかが居るけどフルールの方を見る人は居ない。


「そっちはメンズ!」

「あ!」


 うっかりしていた。

 今の俺は何故か少女になってしまっているのだからこっちではない。メンズでも小さいやつなら着れるかもしれないけど、まあそんな場所に今の俺が居たら変に思われるよなあ。


 少女って言っても年齢自体に変わりがないので25歳だし、成人しているのだが……。


「うわ。いっぱいあるな」


 女性用の服って男性と比べでかなり多いって言うのは前から分かっていたけど、ここまで差があるのか。


「……んー」

「どうしたの?」

「いや……ちょっとな」


 分かってはいた事ではあるけど、レディースのコーナーに入るのに若干抵抗があるのだ。こんな姿になっているが、中身は変わってない。もう既に下着とかがある場所も見えてしまうから余計に恥ずかしくなる。


「なるほど。レディースのコーナーに入るのに抵抗があるのね」

「……」


 顔には出していないつもりだったが……いやまあ、フルールは元の方の俺も見ているし、容易に想像がついたのだろう。まあ本当にその通りで、一応中身は男なのでレディースのコーナーに入るのには抵抗がある訳だ。


「むむむ……」

「そこで突っ立っている方が変に思われるわよ?」

「うぐ……」


 フルールの言っていることはご尤もで。

 服がないのは問題だし、子供の頃の服で何とかなったとは言え、シンプルなものを選んでいるつもりでもやはり子供用デザイン。これを着続けるのはちょっと恥ずかしい。


 かといって、今まで俺が着ていた服は大きくて着れないし。


「どうかしましたか?」

「!?」


 色々と考えていると、ふいに後ろから声をかけられ反射的にびくっとしてしまう。

 よく見れば、声をかけてきたのはこの店の制服っていえば良いのかな? そんな服を着ている一人の女性だった。それはつまり、店員さんと言う訳で。


「すみません、驚かせてしまいましたか。何だか悩んでいる様子でしたので」

「い、いえ……こちらこそ、すみません」


 ここは素直に謝る。


「何かお困りでしょうか?」

「えっと、その……し、下着を」


 って何言ってんだ!?

 いや確かに、下着も大事だけど……フルールにも言われたし。服を買うなら下着も買わないとね、って。この場合の下着って言うのは、もう分かっていると思うが女性物の方だ。


 ……。

 服でもこんな感じなのに下着とか言うって何してんだ……。


「あーなるほど! そういう事でしたか」


 何か納得する店員さん。

 あ、これ……多分、下着を買いに来たけどサイズが分からずに迷っていたとかそんな感じに捉えられた気がする。いや間違いではないが……ないんだが。


「あちらでお測りしますよ」

「……う、うん」


 まあ、サイズが分からないのは事実なので何の問題もない……のだが。

 因みに俺の今の姿の胸については、大きくない。一言で言うならぺったんこである。ぺったんこだったのは、まあ良いんだけどね。男の時とあまり変わらない感覚で居られるし。


「上を脱いでもらっても大丈夫ですか?」

「は、はいい」


 変な感じに答えてしまった。店員さん、隠しているようだけど少し笑ったの見えていたからね!?


「ひ……」


 メジャーの冷たい感触に変な声が出そうになったが、何とかこらえる。その後、もう少しだけ続いたところで終わり、店員さんにそのサイズのある場所へと案内されたのだった。




□□□




「ちゃんとつけられた?」

「まあ何とかね……変な感じがするけど」

「それはそうでしょうねえ……」


 家には当然だが、女性物の下着とかそういうものはない。いや一応……母さんのが残っているけど、流石にそれを付けるのはね。そんな訳でノーブラという状態だった。測ってくれた店員さんにはバレているだろうけど、特に何も言われなかった。

 下は……うん。一応、男の時に着ていた物を一時的に着てた。男性物のパンツなので、違和感があるのなんので、ここまで来る間結構変な感じだった。


 取り敢えず、ブラジャーと下着をそれぞれ3つずつ購入。レジに持っていく時とか無駄に緊張してしまった。そのまま服を買いたかったんだけど、まずは下着を付けた方が良いってフルールに言われたので先にレジに持って行って会計したのだ。


 で、お手洗いを借りてそれぞれをフルールに教わりながら付けた感じでまた店に戻ってきた。


 そのお手洗いに行くって言うのにも試練があった。そう……女性用トイレである。そこに入るのにもかなりの抵抗があった。

 男女兼用の方は既に誰かが入っているようで、ならば多目的トイレ……と言いたかったんだけど、そっちもそっちで既に人が入っている様子だった。


 女性用トイレだけ空いていた訳だ。


「今の奏は誰がどう見ても女の子だし、大丈夫よ」


 ……フルールはそんな事を言っていたけど、やはり抵抗があった。


「これから先、女子トイレを使うしかないんだし、今のうちに慣れとかないと」


 続けてフルールに言われたのがこれ。

 今回の店はたまたま、男女兼用、女性専用、多目的トイレの構成だったが大体の店では男女別に分かれている。最近のコンビニとかだとこの店と同じような構成が良くあるけども。


 男女のトイレは別々になっている訳だ。それは当たり前で常識……なのだが、俺の場合は事情が事情である。

 今までは普通に男性用の方に行っていた訳だが……そうも行かない。流石にそれは理解しているのだ。だって今の俺の見た目は、フルールが言っている通り女の子である。ただし25歳。


 この姿で男性用トイレとか行ったらおかしいだろう。


 ……まあ、フルールも言っているけど、元に戻らない限りこの姿で居るしかない訳で。これから先、いつ戻れるかも分からない。その間にトイレとかに一切行かないって言うのは無理だろう。

 まあ、それで覚悟を決めて女性専用トイレの方に入った訳だ。入った後、すぐに多目的か男女兼用トイレから人が出て行ったような音が聞こえた時は何とも言えない気分になった。


「あとは服、か」


 色々あったけど、取り敢えず不本意ながら下着を付けられたので再び店内に戻って今度は服を見るのだった。






そんな訳で、奏ちゃんくんの買い物でした()



今作は少々展開早めです。(書いてて思った())

まあ、50話という予定がありますし、そうなるのは必然なんですけどね……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] [155センチくらいと言えば女子の13歳くらいの平均だっけ? よく分からないけど。まあ、普通は声かけるよなあって。] この部分なのですが、女性の平均身長は約158cmなので少し不自然…
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