第6話 賭けの行方
第6話を読みに来ていただきありがとうございます。
「さあ、皆テストは全部返却されたな?」
全科目の答案が返却され、ついに結果発表のときだ。こういうときの進行役は大抵信也がすることが多い。
「うん」
「オーケーよ」
「どうなるか楽しみね」
皆返事したところで信也が改めてルールの確認をする。
「勝負は国数英社理の五科目の合計点で競う。一番低かったやつは夏休みにどこかへ遊びに行くときに費用を全額負担する。また、どのような理由があったとしても一切文句は言わないこと。これでいいな?」
「うん」
「ええ」
「わかったわ」
いよいよか。独特な雰囲気の空気が漂う。
「じゃあまずは国語から」
この国語の点数次第で大きく結果が変わる。僕は理系科目が得意だが文系科目は苦手だからだ。
一斉に答案を見せ合う。僕が七十点、信也が九十一点、富永さんが六十五点、九条さんが八十二点。
「くー、国語は私が最下位か。やっぱ文系科目は無理だわ......」
富永さんがそう言って嘆いている。僕も苦手科目だが、思っていたより良く出来ていて助かった。
「予想通りトップは文系科目に強い信也か」
「へへっ、いきなり大差をつけれたのは大きいぜ」
僕がそう呟くと、信也はドヤ顔を見せながらそう返してきた。
まだまだ始まったばかりだ。ここから絶対抜き返してやる。
「さあ次は数学だな」
僕が八十八点、信也が五十二点、富永さんが九十五点、九条さんが七十八点。
「彩香ちゃん九十五点とかすごすぎ……」
九条さんがとても驚いた顔をしている。
それにしても九十五点って、ちょっと凄すぎやしませんかね? 僕の八十八点だって普通に良い成績のはずなのに惨敗してしまった……。
「そうだよ! 最初のリードがたった1科目でなくなっちゃったじゃないかよ」
信也もかなり嘆いている。かという僕もショックだ。前回の小テストのリベンジをしたかったのに……。
「次は英語だな」
僕が八十三点、信也が七十八点、富永さんは七十九点、九条さんが八十一点。
「英語は皆ほぼ同じ点数か、よし次は社会だ」
僕が五十三点、信也が九十五点、富永さんが六十五点、九条さんが七十九点。
「お、ここにきて英一が大失速か?」
「でもまだわからないわ、たしか佐々岡君は理科が一番得意だったはず」
正直やらかした自覚はあった。いくら理数系が得意だとしても文系科目でここまで足を引っ張ってしまうとは思っていなかった。
もうこうなったら一番良くできた自信のある理科にかけるしかない。
「さあいよいよ最後理科だな」
僕が九十八点、信也が七十七点、富永さんが九十二点、そして九条さんが七十九点。
「おい、まじか英一」
「よし!」
僕は声に出して喜んだ。これで多分盛り返せたはずだ。社会の点数を見た時は僕の最下位を覚悟したけど、結果はまだ分からない。
「これで誰が最下位かわからなくなったわね」
富永さんが顔を曇らせてそう言っている。
「皆得意科目で高得点叩き出してるのに平均的にしかできてない私一番危ない?」
九条さんもまた不安そうな表情を浮かべていた。
まあ、無理もない。正直皆得意教科や苦手教科での点数のばらつきが大きすぎて、計算してみないことには誰が勝って誰が負けたのか全然わからない状況だ。
「とりあえず皆それぞれの合計点を計算しよう」
皆自分が最下位じゃないかと冷や汗を浮かべながら計算していく。
そして各自点数計算が終わり結果が発表された。
佐々岡英一 国語70 数学88 英語83 社会53 理科98 計392
荒川信也 国語91 数学52 英語78 社会95 理科77 計393
富永彩香 国語65 数学95 英語79 社会65 理科92 計396
九条幸 国語82 数学78 英語81 社会79 理科79 計399
僕が一点差で信也に敗れ最下位となってしまった。
理科で挽回したとはいえ社会の五十三点があまりにも痛すぎる結果となった。
第6話を読んでくださりありがとうございました。
最近ふと思ったんですけど一話につき何字くらいの投稿が丁度良い感じの字数なんですかね?
短い字数で毎日投稿するのか、ある程度長い字数で週に数回の投稿か。
まだまだわからないことは多いですけど、マイペースで頑張っていきます。