表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
3/73

第3話 学校での日常

第3話を読みにきていただきありがとうございます。ゆっくり読んでいってください。

「あのやろー、めちゃくちゃ引きずりまわしやがって」


 昨日あれから信也のやつにかなり連れまわされたので疲れ切った英一に代わって俺、真二が出てきている。

 一日経ったから、もう戻っても問題はない。だけど念の為今日一日は俺があいつに代わって授業を受けたりしてやるつもりだ。

 それからしばらく歩いていると、前方から富永が歩いてくるのが見えた。


「あれは富永さんだな。一応挨拶しておくか」


 俺は基本、主人格をサポートする人格にすぎないから友達作りとかはやらない。だけど、戻った後に主人格の英一が嫌われない程度にはふるまいをしている。


「富永さんおはよう」

「ふぇ!? お、おはよう」


 ???

 明らかに富永の様子がおかしい。

 何をそんなに緊張しているんだろう?


「どうかした? そういえば昨日の朝話しかけた時もなんか挙動不審だったよね?」


 厳密には昨日話しかけたのは俺ではなく英一の方だ。だが俺らが二重人格ということは誰にも言っておらず、普段は英一のふりをしているので今はそのていで話している。


「な、何でもないの。あの、私急いでいるから先に行くね」

「う、うん」


 富永は早口でそう言い切ると同時に足早に去っていった。


「いったい何なんだ?」


 うーん……。

 外にいると落ち着かない性格なのだろうか。それとも……。


「おっといけない、あまり考え込んでしまうと遅刻してしまうな」


 俺も少し早足で学校へと向かった。


 教室に到着し、周りのクラスメイトと挨拶をかわす。

 一瞬富永さんが視界に入ったが、特に変わった様子もなくいつも通りだ。

 やはり外にいるときだけ落ち着かない様子になるのだろうか。


「なー、英一聞いてるのか?」


 信也が不満そうにそう言っている。


「あ、ごめん。ちょっと考え事してて」


 いけない、富永のことを気にしすぎて、他をおろそかにするのもあまりにも良くないな。特に俺が出ている間に、人間関係に亀裂が入ることにでもなったら、英一の人格に戻った後いろいろと面倒だし。


「まあいいけどよ、それより英一はどのクラブに入るかもう決めたのか?」

「クラブか、まだ考えていないな」


 実際少しは考えている。しかし俺はあくまで佐々岡英一の副人格にすぎないから英一が入りたいクラブがあるならそこに入る。けれど本人はまだ決めていないようなので、ここで俺が勝手に決めたりするつもりはない。


「だったらさ、今日の放課後サッカー部の練習見に行ってみようぜ!」

 

 信也はサッカーが好きなのは俺も知っている。しかしまた、英一はあまり好きでないことも同様に知っているからここは断っておこう。


「サッカーか、あまり興味ないんだよね」

「そっか、じゃあ仕方ねえな。他の奴誘ってみるか」

「悪い、見る分には普通に好きなんだけど」

「見るのと実際にやるのは全然違うからな、仕方ねえさ」


 そう言い残し、また別のクラスメイトに声をかけに行ってしまった。

 その途中で、信也が眉尻を下げたのが見えた。

 恐らく英一と同じ部活に入りたかったのだろう。少し申し訳ないことをしてしまった。けれど、だからといって勝手に俺が決めるわけにもいかないので、そのまま彼を見送った。

第3話を読んでくださりありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 真ニが、とても優しいですね。 思いやりのある二重人格、素敵な関係ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ