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017 きゅうせっきん

 


 お姫様のお茶会?にお呼ばれした翌日。

 早寝したおかげで雑音にガッカリすることなく、清々しい気分で寝入れたのグッスリ快眠で早起きとあいなった。


 こんな時間ではロティルもまだ起きていないだろう。

 私はモソモソとベッドから起きてショールを羽織り、暇なので調合室で何か作ろうと部屋から出た時に聞こえてしまった。


 両親が”こんな時間から”なのか、”こんな時間まで”なのかわからないが、そろって寝室で運動している様な、抑え気味の声が聞こえる。


「…早朝は冷えるもんね…」


 何故かやるせない気持ちになって、ちいさく独り言をつぶやいてさっさと調合室へ向かった。




 調合室に入ってすぐに気付いた。


 人の気配がする。

 どこだ?と思って視線を巡らせると、いた。


 常にぬるま湯温度を保つ、ぽよんぽよんとした座り心地のウォータークッションありきで作ったソファーに小さな人影が二つ。


 私の弟妹の双子だね。

 何故ここに?


 あちらも人の気配に気づいたのか、目覚め、そして私に気付いた途端、びくっとして起きあがった。


 なんならも物凄くガタガタ震えている。


 私はどこぞの魔王か?


 否、違うね。

 君たちの姉だ!


 ほーらほらほら、こわくないよー。

 お姉ちゃんでちゅよー。


 という心理のもと、私はゆっくりと双子に近づく。


「「ご、ごめんなさいっ」」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 二人で合唱するようにめっちゃ謝ってくるんですけど。



 その後、なんとか二人をなだめて理由を聞いたら、夜中におねしょで目を覚まし、誰にも言えなくて、でもそのままベッドで寝ることも出来なくて、部屋から出て家の中をさまよっていたら迷子になって、そのうちこの調合室に辿りつき、疲れてソファーに座ったらなんだかぽよぽよして気持ち良くなって寝てしまった。と。


 うん。

 ここまで聞きだすのに随分掛ったよ。

 聞いてすぐに私は双子とソファーに浄化の魔法を掛けた。

 経験からすると、下着も寝巻もまだ湿って不快だろうからね。


 今は落ち着かせるために私が飲ませた甘いホットミルクティーを飲み終わって安心して来たのか、うとうとしている双子。

 このまま少し眠らせてあげよう。


 ブランケットを掛けてあげると、あっさりと眠ってしまった。



 ・・・・・・・・・・



 二時間くらいたった頃に、ようやく家の中から生活音が聞こえてくる。

 双子はまだ眠ったまま。

 そろそろロティルが私を探しに来る頃合い。

 ってことは双子についているメイドは双子が部屋にいなくて慌ててるかな?


 双子を起こさないようにそっと調合室を出ようと扉を開けたら、すぐにそこまでロティルが私を探しに来ていた。


「双子もいるよ」


 と教えたら、ロティルは頷いて踵を返したので、双子のメイドに教えに行ったんだろう。


 私の声に気付いてか、双子が目を覚ました。


 ぼんやりとしている表情がとても可愛らしい。

 それに私に慣れたのか怯える様子も見せない。可愛らしい。


「朝だよ。すぐにメイドが迎えに来てくれる」


 そう言葉を掛けると、だんだん双子の表情がまた怯えに変わってくる。


「どうしょう、どうしよう。おこられる。こわい」


「こわい。おこられる、きらわれる、どうしよう」


 あぁ、おねしょ…。


「わたしにまかせて」


 悲しい顔をする弟妹を放っても置けず、そう言ってしまった。

 すると、同じ顔で涙目の幼児と幼女が私を見上げる。


 うっ…。

 可愛すぎる…。


「行こう」


 そう言って調合室を出ると、双子もついてきた。

 とてとてとついてきて、私のショールの端を握りしめてくる。


 なんだろうこの気持ち。

 うん。

 これがきっと母性と言うやつだ。

 気分は母ガモ。


 まずは双子の部屋に行く。

 双子と言っても別々の部屋だ。

 一応隣同士にしてある。


 部屋に行く途中、メイド達と合流。

 双子に更なる怯えが走る。


 おねしょがバレそうでビクビクしているんだろうけど、残念。

 たぶん彼女たちは既に知っているはず。


 それを素知らぬふりをしてくれているだけだよ。


 部屋に着いたらメイド達には部屋の外で待ってもらうように言う。


 まずは私と双子で現場を確認。


 うん。ぐっしょり。


「わたしの魔法ですぐに乾くから大丈夫」


【浄化】の魔法は、イメージ次第で綺麗になるし、乾きもするから便利。


 同じ乾くにも【ドライ】って魔法もあるけど、あっちはどちらかと言うとカラッカラに乾燥させるって感じで、薬術に重宝している。なんとかイメージを固めてそのうち氷魔法と掛け合わせてフリーズドライ的なものが作れないか考え中。


 おっと、脱線した。


 私の大丈夫発言に双子がパァァァっと効果音が付くくらい、安心と驚きと喜びが混じったような顔をした。


 私は弟妹に慕われる姉になろうと思うよ。


 全力のぉぉぉぉぉ、【 浄 化 】!!


 ベッドを中心に、室内が物凄い光に包まれる。


 本気出し過ぎた。

 ヤッべぇ。


 目が、目がァァァ!


 とっさに双子を私の体でガード。

 二人の頭を腕に抱くように鋭い光から守る。


 部屋の扉の隙間からまばゆい光が漏れ、異変に気付いたのだろう

 メイド達が、慌てて部屋の扉を開け、目をやられていた。


 本っ当にゴメン!




 光が収まってから、皆の目を中心に回復魔法を掛けて何事も無かったかのようにふるまう。

 ロティルは何か言いたげにしていたけど、気にしない。


 ベッドどころか部屋全体が新品以上に綺麗になったんだからそれでいいじゃない。たなぼただよ、ラッキーだよ。


 双子もすっごく喜んで、キラキラした眼差しで私を見ているし。


 次にもう片方の部屋。

 今度は控えめに【浄化】を掛けたんだけど、最初のインパクトと大違いで、物凄くガッカリされたので、もう一回やり直し。


 全力のぉぉぉぉぉぉ、【 浄 化 】!!



 ・・・・・・・・・・



 部屋に戻って着替えて廊下へ出ると、双子が揃っていた。

 二人は既に着替え済みだ。

 私はあの後メイド長からロティルと一緒に少しお説教をいただいたので二人より着替えるのが遅くなった。


 全力浄化の甲斐あって、双子は私に懐いてくれたっぽい。


「「ねえさま、どこいくの?」」


 話しかけてくれるまでに。


「外。朝のお稽古」


「「おけーこ?」」


 聞き返されたので頷くと、ついて行きたいと言うので好きにさせる。



 貴族の屋敷としては珍しく作られている運動場。

 普通に小学校の校庭くらいあるからね。


 一応貴族の家らしく、花咲く庭園もあるんだけど、やっぱり普通に貴族の家とは違ってそちらは随分こぢんまりしたものとなっている。

 私がよく朝食後にエリオットとお茶するとこね。



 朝のお稽古は両親と武術訓練のこと。

 技術的なことや、対人戦闘のノウハウ、さらには対人訓練のマナーなど。


 両方早番で夜明け前に出勤する以外は両方、あるいは片方が私に武術を教えてくれる。


 エリオットは主に体術を、アレンジークは武器術を教えてくれる。


 今日はアレンジークが弓術を教えてくれるみたい。

 エリオットもいるけど、訓練場にティーテーブルを用意させて、椅子に座って見学している。


 なんでかな。


 いいけど。


「シオルとシアラも一緒か。しかし二人にはまだ早いから、エリオットと一緒に見学しているといい」


 普通よりかなり早いけど、私は5歳から護身術と言う名のガチ剣術を学び始めたからね。

 双子はまだ4歳なので見学に留めておくようだ。


 エリオットに任せることで、不意にこちら側に飛び出さないように見守らせるのだろう。

 両親二人がアイコンタクトを取っているので間違いではなさそうだ。


 てか、やっぱり家だと、目を合わせて穏やかな空気なのに、昨日、お城で見る両親は目さえ合わせないで、まるで他人な感じ。いや、他人より酷い雰囲気だったな。お互いに話しかけるな、目を合わせるな、お前なに俺と同じ空気吸ってんだよオーラを出しまくっていたような。




 弓術のお稽古は難しかった。

【身体強化】ありきで弓を引くので、魔力操作が甘いと体幹がぶれる。

 動いていればブレも気にならないんだけど、動きが少ないと技術力が試されるみたいでなかなかうまく行かない。

 緊張感が足りないと言われればその通り。


 苦肉の策で【身体操作】も使ってみたら、なんとか的に当たる様にはなった。

 ど真ん中とはいかないけど、今日の所はこれで勘弁してやる。


 ウソです。すみません。

 これからも精進します。



 ・・・・・・・・・・



 結局私は今朝になっても城の結界の違和感の事は言えなかった。



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