74 進む
翌日
ログインすると白い光が僕を照らしていた。ルアが糸で作ったシェルターは裂かれていて、そこから日の光が入ってきていた。
裂かれた場所から身を乗り出して周囲を確認する。
「あっ、セツノ」
「ルアか。早いね」
「私が糸を切らないと誰もシェルターから出られないからね。急いできたわ」
ルアは木の下で焚き火を起こしてくつろいでいた。近くには僅かに戦いの痕跡があり、僕がログインするまでにモンスターと戦闘があったようだ。
「そういえば何かいい方法は見つかった?」
「残念ながら見つからなかったわ。これからどうしましょう……」
「それなら僕も調べて一つ仮説を立ててきたから試してみていいかな?」
「どんなのかしら?」
下に降りて焚き火の隣に座ると、昨日立てた仮説をルアに話した。
「なるほどね。それなら今日はそれを試してみましょうか。他の方法もないし」
「それじゃあ僕とリンで動かない吹雪探しと中にそれっぽい入口がないか調べてくるよ。……吹雪の中はモンスターの巣窟になってるんだよね?流石にソラとルナにはまだ早いと思うし、守りきれるかわからないから」
「そうね。じゃあソラとルナは私とノエルに任せてちょうだい。思っていたよりもダンジョンの難易度が高そうだし、リリーを呼んで二人の装備を良いものにしておくわ。あとレベル上げね」
「二人をお願いね」
ルアとの話が一区切りついたところでリンがログインしてきてシェルターから降りてきた。
「リン。今日は二人で探索しに行くよ。モンスターと激しい戦いになると思うから準備しておいて」
「あっ、わかりました。準備します」
「私も準備しておかないとね。ログインしてくるまでに色々と終わらせないと」
「ソラとルナは少し用事があって遅れるって言ってたよ」
「わかったわ」
「師匠、準備終わりました」
「言ってくるね。ノエルとソラとルナによろしく」
いつ襲われても戦えるように装備を整え終えたリンを連れて雪原へ走り出す。
「とりあえずとにかく雪原の奥に進んでみるか。探してるのは大吹雪だし、ある程度近付けば見逃すことはないだろうからとにかく動く」
リンに今日の目的を説明しながら足を動かし、リンがついてくる。
「一ついいですか、師匠。見つけても結局ミニマップが使えないのではもう一度同じ場所に辿り着くのは不可能なのでは?」
「あぁ、大丈夫。一直線に進んで戻るから」
「えっと、それで大丈夫ですか?周囲にあまり変化がありませんし、方向感覚が狂って真っ直ぐに進める自信がないのですが……」
「大丈夫。ミニマップでどうにかなるから」
「ミニマップは使えないのでは?」
後ろを振り返って確認しなくてもリンが困惑しているのがわかる。
「殆どは使えないね。でも使える機能もいくつかは残ってるんだよ。例えばコンパスとか。この機能で方角を確かめながら進む。それなら大丈夫なはず」
「そうですね。それならきっと大丈夫ですね」
消していたミニマップを表示させて雪原に飛び込む。ミニマップが真っ白に変化し、ポツンと自分を示すマーカーが一つ青く光っている。
端の方に小さく置かれているコンパスの機能を拡大し、リンと共に雪原を進む。
「リン。もし正面に吹雪が出たらそのまま突っ切るからその覚悟しておいてね」
「はい!既にできてます!」
「それならよかった。ちょうど今正面に吹雪ができた」
まるで行き先を塞ぐかのように正面に現れた吹雪を観察する。
「こっちに向かって動いてるから目的の吹雪じゃないね」
「あの中ってモンスターの巣窟なんですよね?どんなモンスターがいるんでしょう?」
「そういえばどんなモンスターがいるかは聞いてなかったね」
フェルリアと紫炎を鞘から抜いて臨戦態勢をとる。リンも二つのハルパーを手に持った。
「行こう」
僕とリンは吹雪の中へ飛び込んだ。




