72 一時撤退
あけましておめでとうございます。
「「【闘気反応】」」
僕とリンで周囲の雪に動かし地表を露出させる。そして雪で雪を押しのけるように動かす。
「地味ね」
「やることがない」
「頑張って、セツノ、リン」
「頑張れ」
手持ち無沙汰にしているルア、ノエル、ソラ、ルナが各々好き勝手に喋りながら後ろをついてくる。
「ソラとルナはともかくとして、ルアとノエルは手伝ってよ」
「そうしたいのはやまやまなのだけど、残念ながら役立ちそうなスキルを持っていないのよね」
「私も!だから頑張って!セツノお兄ちゃん!リンちゃん!」
「……リン。頑張ろうか」
「そうですね」
雪で雪を押し除け広い雪原の中からノーヒントでダンジョンの入口を探すという気が遠くなることを二人で黙々と進める。
「……」
後ろで飽きた四人が雪遊びを始めたのを感じとりつつ、ひたすら雪を操る。
そして1時間半が経過した。僕とリンは足を止め【闘気反応】を解除した。
「師匠」
「リン」
「あれ?どうしたの?」
足を止めた僕とリンに四人の視線が集まる。
「無理。この方法無謀すぎる。見つかる気がしない。それと今日はもう止める時間。これ以上は無理」
「私も同じです。この方法で探すなら数百人単位で【闘気反応】を使える鬼を連れてこないと無理だと思います」
「そっか。困ったわね。別の方法を考えないとかしらね。……まぁ今日のところは一旦帰りましょうか。私たちもいい時間だし」
「戻ったら私とルナでいい方法ないか調べてみるね」
「お願いします」
「じゃあここから出ようか。ここでログアウトしたら次ログインする時に雪で生き埋めにされる」
「雪原の手前まで戻らないと……」
「私が見てくるね!」
ノエルの姿が巨大な蝶の姿へ変わると、雪を巻き上げながら空高く羽ばたき周囲を飛び回る。
『ついてきて!こっちに進むと早く雪原から抜けれるよ!』
先導するノエルの姿を視界に留めながら走る。ノエルの言葉の通り、すぐに深い緑の針葉樹が見えてきて雪原の境界線が現れた。
「ここで今日はログアウトしましょうか」
「ここでログアウトするの?危なくない?」
「大丈夫よ。私に任せて」
ルアが糸を生み出すと編み合わせて一つの大きな繭のようなものを作り出した。
「ほら入って」
繭の中は全員が入れるほど広く、僕たちが全員入った後でルアは繭に繋がっている糸を伸ばして近くの木に引っ掛けた。
「これでよし」
ルアの糸によってあっという間にログアウトしている間のシェルターが作られた。
「耐久力はかなりあるからこの辺りの魔獣に襲われても大丈夫だと思うわ。私の糸を破れるプレイヤーはほとんどいないしそっちも大丈夫」
「お姉ちゃんすごい!こんなことできたんだ!」
「私の糸は色々なことに使えるのよ」
糸を使って高く跳躍したルアが繭の中に入ると入口を閉じる。
「それじゃあまた明日」
「そうだね。また明日頑張ろう」
「「うん!」」「そうね!」
そこで僕はログアウトして現実の世界へ戻った。




