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36 フェルリア


『擬似進化に制限時間ってあるのかな?』


こちらを警戒、観察しているウォーレアの目を真っ直ぐに睨み返してリンに聞く。


『通常の擬似進化ならないみたいですが今回は私が薬を使ってどうにかなっているので薬の効果時間がそのまま擬似進化の制限時間みたいです』

『というと……』


薬の安全に使える効果時間は五分。ただし今回は霊鬼から破鬼への鬼という枠組みの中の変化だから他の種族になるよりかは負担が少ない。だから安全に使える効果時間は少し伸びる。


『戦っていられるのは八分くらいかな。早期決着を目指したいね』

『はい!』

『そうだ。身体は僕が動かしていいかな?』

『いいですよ』

『ありがとう。それじゃあ第三ラウンドを始めようか』


ウォーレアへ駆け出す。


ウォーレアは動き出した僕に狙いを定めて真っ赤に染まった超高温の二本の尻尾で突いてきた。


『全身隈なく超高温なのが厄介だね。至近距離で長時間やり合ったら全身が炭になる』

『そうですね』


両面宿儺(りょうめんすくな)となったことで防御面はかなりよくなったが熱耐性は変わっていないため、擬似進化前と同じように簡単に身体が焼ける。


攻撃を受け止めることができないため、全て回避するしかない。


闘気結界を足元に作り出して宙へ跳んで尻尾攻撃を避ける。ウォーレアは宙へ逃げた僕に向けてすぐに追撃の毒ブレスを放つ。


風よ(ウィンド)


僕に向かってくる毒ブレスをフェルリアの風魔法で散らすと毒霧のようになってその場で残留し視界を悪くした。


『リン。ウォーレアの右脚を斬るよ』

『わかりました師匠。でも再生しちゃうんじゃ?』

『その点は大丈夫。さっき毒を全て出した時に昔作った再生阻害の毒を見つけたからそれをハルパーに塗って斬れば再生はされないと思う。あとは斬ったら焼かれる前にすぐに引く。斬れるのは一瞬だけどできる?』

『もちろんです!』

『それじゃあ行くよ!』


僕の二つの目でリンの【世界視の瞳】を発動させると毒で視界が悪くてもウォーレアの居場所がわかる。


ウォーレアの右脚に向けてリンが毒を塗ったハルパーを構える。


『はあぁぁぁ!!』


毒を吸わないように闘気結界を纏ってから空中で姿勢を整え頭上に作り出した闘気結界を思いっきり蹴ってウォーレアに突撃する。


毒の中を僕が勢いよく飛び込んでくることを想定していなかったのかウォーレアの対応が遅れた。


「GAAAA!!」


ウォーレアが咄嗟に僕を撃退しようと出した右前脚はリンによって斬り落とされ綺麗な断面図を見せた。


地面に足が着くと同時に地面が割れるほど力を込めて蹴って前へ進み、ウォーレアの熱が僕の身体を焼く前にリンが右後脚の切断を行い距離を取ることに成功する。


すぐに振り返ってウォーレアの様子を確認するとリンに斬り落とされた右脚の再生ができずにいてバランスを崩していた。


『両面宿儺の力とても強いですね!師匠!さっきは深く傷を付けただけだったのに今度は斬り落としていますよ!』

『リンのハルパーの技術と合わさって凄い威力の一撃だったね。この調子で攻めるよ!』

『はい!』


バランスを崩して動けないウォーレアへ追撃を入れようと一歩踏み出した時、ウォーレアは突如背中からさまざまな色のガスを放出し始めた。


『今度は何をするつもりだ?』


ウォーレアから距離を取って観察する。


『この空間をガスで満たして窒息死させるつもりなんでしょうか?それともまた尻尾で火を起こして爆発させるんですかね?』

『どうなんだろう?でも窒息は大丈夫だと思う。通路は塞がれてないから空気の入れ替えができてる。爆発はなんとも言えないけどここなら【闘気反応】で防御を固められるからそこまでの脅威にはならない』


【闘気反応】でいつでも自分を守れるようにしてウォーレアの観察を続けていると、ウォーレアは放出した空気よりも重いガスが多く溜まっているところに体を引きずっていくと、尻尾を打ち付けて火を起こし自分の右半身を自ら吹き飛ばした。


『いったい何を!?っ!』


一度起きた爆発は他のガスに引火させて大爆発を引き起こした。慌てて【闘気結界】と【闘気反応】を発動させて爆発を防ぎきる。


爆発の影響で洞窟が揺れ大きな岩石が崩れ落ちてくるのをそのまま結界で防ぎ、音がしなくなったところで結界を解除して外に出る。


白煙や舞い上がった細かい石や砂で視界が悪い中をリンの【世界視の瞳】を発動させて見通す。


『師匠!ウォーレアの姿がありません!』

『どこにいったんだ?隠れられる場所なんてないのに』


隠れられそうな場所は落ちてきた大きな岩石の裏くらいだが、ウォーレアの方が圧倒的に大きいため隠れられるわけがない。


『もしかして逃げたか?』


そう言って僕が一歩踏み出した時、【気配察知】が発動し僕の背後からかなりの速さで何かが近付いてくるのがわかった。続けて【危機察知】が発動する。


僕が振り向きざまに闘気を纏った左手で殴り、リンはハルパーを振る。しかし何かは体を捻って避けると僕に絡み付いてきた。


『あぐっ!?』『あぁぁ!!』


僕の身体に絡みついてきたのは全長三メートルほどの蜥蜴に似たモンスターで全身が真っ赤で異常な熱が僕の全身を焼いていく。


リンの【世界視の瞳】がモンスターの正体を見破る。


『師匠!このモンスターウォーレアです!おそらくウォーレアの体のほとんどがガスでさっき体内に溜め込んでいたガスを放出したことでこんなに小さくなったんです!』

『この身体が焼ける熱さは確かにウォーレアだね。とにかく引き剥がさないと!』


ウォーレアは四本の腕を使えなくするようにぎっちりと絡みついていてどんどん腕を焼いて炭化させていく。引き剥がそうと暴れてみるが全く動かず離れない。


『うぐっ!?』『うぅぅ』


ウォーレアはさらに刀剣状の尻尾を右足に刺し、ハンマー状の尻尾を左足に打ち付けてきて骨を折られた。


『いい加減、離れろ!!』


【闘気反応】で近くの岩石を操ってウォーレアに強くぶつける。すると巻きつく力が弱くなり僕が動かせる左手だけウォーレアの拘束から外すことができた。


『よくもやってくれたな!!』


闘気を纏わせた左手でウォーレアの首を掴んで少しずつ引き剥がしていく。


暴れるウォーレアの鋭い爪が肌を引き裂く。


『終わりにしようか』


どうにかウォーレアを引き剥がして地面に押し付けるとリンがハルパーで尻尾の抵抗を抑え、フェルリアをウォーレアの心臓へ向けて突き刺す。


ウォーレアが動かなくなるまでフェルリアを突き刺し続ける。


自分の身体が焼ける臭いで嗅覚がわからなくなってきたころ、戦いを終わらせるアナウンスが聞こえた。


『アナウンス:プレイヤー名セツノ、リンがウォーレアを討伐しました』


「やったねリン」

「やりましたね!師匠!」


アナウンスを聞き終えるとフェルリアをウォーレアに刺したまま横に転がり、擬似進化を解除してリンと別れる。


「そうだリン。解毒薬うたないと」

「動けないのでお願いしていいですか?」

「任せて」


解毒薬を取り出すと注射器に入れてリンの首にうつ。


「これで大丈夫。しばらくしたら動けるようになるよ。それまでは何があっても守るから安心して休んでてね」

「ありがとうございます」


いつモンスターが襲いかかってきても対応できるようにウォーレアに刺さったままのフェルリアを回収しようと手を伸ばす。


「!?!?!?」


僕がフェルリアに触れた途端、フェルリアから眩い蒼色の光が溢れ出した。


「この姿では久しぶりだね、主人(あるじ)(さま)


光が消えたあと、ウォーレアの死体の隣に一人の魔法使いが立っていた。


空の色のような薄い青色の瞳を持ち、胸のあたりまで伸びている濃い青色の髪をわずかに揺らしている十六歳くらいの少女の外見をした魔法使いが。


お知らせ

一週間後にテストがあるので来週課題と勉強に追われている場合、投稿されない可能性があります。


ブクマと評価、よろしくおねがいします。

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