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33 獣が思うがままに


「アハハ!」


ウォーレア目掛けて一直線に走る。ウォーレアは向かってくる僕を見下ろした後、体を傾けて背中の火口のようなものを僕に向けた。


「!!」


【危機察知】が反応すると即座に【闘気結界】を発動して体を囲う。直後、火口から超高温のガスが吹き出した。超高温のガスは足元の水を瞬時に蒸発させて水蒸気爆発を起こし、重い衝撃が結界を殴り付けた。


「っっ!!」


結界にひびが入ると同時にゴムボールのように僕の体が吹き飛んだ。そしてウォーレアから少し離れたところの泥に叩きつけられ結界が砕けた。


「……あぁ、、あ!!」


僕は泥の中に転がった状態で自分の腹部にフェルリアを刺した。鋭い痛みを感じ、飢えに飲み込まれていた意識が浮上した。


「ふぅ……この猛烈な飢餓感。きっと人と戦う時には有用だけど今は邪魔だ。どうにかならないかな」


この飢餓感によって僕は飢えしか感じられなくなる。


この飢餓感がある限り、飢えが全ての感覚の前に来る。全身を穿つ痛みよりも満たされたいと思う飢えが、死ぬ恐怖よりも喰らい尽くしたいと思う飢えが。


飢えとは人間の三代欲求の一つである食欲が満たされてない時におこるもの。それが示すのは命の危機に直結しているということ。だから生き残りたいと思い、常に最適の行動を取ることができる。その行動が人間性を捨てていたとしても。


ほとんどの人は人間性を捨てた行動に対応できないだろう。だから相手が格上の人にだったら飢えは大きな効果を発揮すると思われる。しかし相手がモンスターなら変わってくる。


モンスターに人間性は関係ない。だから飢えはほとんど有用な効果を発揮しない。むしろ邪魔にしかならない。


飢えに耐えつつどうにかできないかと考えていると、


『【干渉遮断LV1】を獲得しました』


新たなスキルを獲得した。それと同時に猛烈な飢餓感が和らいだ。


「【干渉遮断】か。これでユニークスキルから飢えという干渉をなるべく遮断して和らげているのか。スキルレベルが上がれば完全に遮断できるようになるのかな。それにしてもタイミングがいいね。今の状態を確認してから反撃といこうかな。


反撃の前に自分の状態の確認を行う。結界が割られるほどのかなりの力で攻撃された割にはダメージは少ない。おそらく泥がクッションになったからだろう。


これからの戦いに支障になりそうな怪我はない。ウォーレアの姿を探すと、ウォーレアは最初の位置から動いていなかった。


「大丈夫ですか師匠!?」

「うん大丈夫。」


どう動こうかと考えているとリンが隣に来た。


「あ、様子変でしたけど元に戻ったんですね」

「今は大丈夫。さっきまでのは忘れて。飢えに飲み込まれてて変なこと口走ったし思い出すととても恥ずかしいから」

「?よくわからないけどわかりました!」

「それじゃあいこうか。ついてきてね、リン」

「はい!」


ウォーレアを補足してフェルリアを向ける。


両足に闘気を纏い、小さな闘気結界を足元に生成すると闘気結界を蹴ってウォーレアへ跳躍する。リンは僕に続き、ウォーレアの少し前で二つに分かれる。


ウォーレアは僕に向けて鋭い爪を兼ね備えた左前足を振り、リンには刀剣のような形をしている尻尾をしならせて打ち込んだ。


僕は小さくジャンプして引っ掻きを避けるとすぐに引き返して首にフェルリアを伸ばすが、ウォーレアが振り返り口から勢いよく舌が伸ばした。


僕は【闘気硬化】を発動させた左腕で受け止めるが後ろへ飛ばされる。しかしすぐに空中で体勢を整えると闘気結界を生成して蹴り、フェルリアをウォーレアの眉間に目掛けて突く。


「っ!こん、の!!」


しかしフェルリアが突き刺さる直前でもう一本のハンマーのような尻尾が僕に向けて振られ、フェルリアを攻撃から防御に回して弾き返す。


「師匠!ガス放出しますよ!」


リンの声を聞いて下の背中を見ると火口が熱を放ち始めていて超高温のガスを放出しようとしていた。


「隙がないな」


【闘気結界】を生成して蹴り、超高温のガスの放出範囲から逃れ毒ガスブレスから逃げていたリンと合流する。


「全然隙ないですよ。どうしましょう?」

「そうだね。困った。弱点を探して一気に叩くしかないかな。っと来るよ!」


前方のウォーレアが体を泥に沈め、背中を僕たちの方へ向けると全ての火口から超高温のガスが漏れ出ている。


「避けきれないですよ!」

「リン僕の後ろに下がって!」


全ての魔素を闘気に変えて使い切る勢いで闘気を【闘気結界】に込めて僕とリンを囲う。


【闘気反応】を使って周りのものも利用して防御を万全にしたいが、周りが泥と水だと水蒸気爆発を更に起こしかねないので心許ないが闘気結界だけで受け止める。


「っつ!!」

「師匠!!」


そして背中の全ての火口のようなところから超高温のガスが放出され、先ほどよりも遥かに重い衝撃が襲う。


全ての闘気を消費する覚悟で生み出した闘気結界は最初に作った闘気結界よりも比べ物にならないほど硬いはずなのにそれでも少しずつひびが入り始める。


「っあぁうぅぅ」


ひびから熱風が入り僕の体を焼く。結界を抑えている右手が燃え、少しずつ炭化していく。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


「師匠!!」


リンが僕の左手を握る。その瞬間、リンから僕に向けて闘気が流れ込んでくるのを感じた。リンの闘気は僕の闘気と混ざると通常よりも力を感じさせる闘気に変化した。


「これって!?」

「【闘気融合】だ!」


今まで使い道のわからなかった【闘気融合】が発動した。


強化された闘気によって闘気結界のひびが修復され、そのまま超高温のガス攻撃と水蒸気爆発を完璧に防ぎ切った。


補足説明

セツノの飢えは一回目だから飲み込まれてバーサーカー状態になってるだけで通常ならある程度思考するくらいは余裕があります。


ブクマと評価、よろしくおねがいします。

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