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22 一難さってまた一難?


「…………空は綺麗だなぁ…………」


大の字に寝転んだ状態で汚れた空気がないからか現実世界よりも綺麗に感じる青空と流れる雲を眺めながら二人を待つ。


「あの雲は……蟹かな……」

「……何やってるのよ、全く」

「あはは!セツノお兄ちゃんからのどかな感じがする!」


ぼうっとしていてどのくらい時間が経ったかはわからないがルアとノエルが来てくれた。


「よいしょっと。それにしてもよく聖と魔のトッププレイヤーと吸血姫と戦って生き残ったわね」

「そんな凄いプレイヤーだったんだ。どうりで強かったわけか」


ルアが僕を背負って糸で固定するとノエルが辺りを警戒しつつ草原から急いで離れるように移動し始め、僕はルアの背中の上で四つ巴の戦いの説明をしながらルアとノエルの背を追いかけた。


「というかなんで二人が乱入してきたこと知ってるの?」

()()()()()()()。同族の目を通してね」


ルアがそう言うと、ルアの胸元から小さな蜘蛛が出てきて僕の顔の前で止まった。


「セツノが吸血姫に連れて行かれた後、手首に巻きついていた糸の反応を頼りにこの子をセツノの元に向かわせてセツノを見つけたら少し離れた場所に待機させてから【感覚共有】を使って戦闘の様子を見てたってわけ」

『私も同じことして様子見てたよ!』


右手首の糸からノエルの声が聞こえた後、一匹の蝶が前方から飛んできて僕と並走するように飛び始めた。


「へぇー凄いね!……これで索敵の精度を上げていたのか」


ルアの索敵は自分を中心に糸を張り巡らせその糸に干渉したものを探知するものと聞いていた。そのため、最初は敵はいるということがわかっても数はわからないと思っていた。しかし、ルアの索敵の情報は正確で敵の数を間違っていることはなかったし、それどころか地形まで把握していた。


それをどうやって行っていたのかわからなかったけど、今の話を聞いてわかった。


「ルアとノエルは凄い頼もしいね。二人がいてくれてよかった」

「そう言ってもらえると嬉しいわね」

『もっと言ってもいいんだよ!』


本当に二人が仲間でよかった。もし敵で戦うことになっていたら相当きつい戦いになっていただろう。


「それでセツノ。ずっと気になっていることを聞いてもいいかしら?」

「奥の手のこと?いいよ。何から聞きたいかな?」

「まずは姿が変わったことと植物を操る力についてかしら」

「姿が変わったのと植物を操る力はどちらも自分に打ち込んだ毒の効果だよ。その毒には二つの効果があって一つは種族をら掛け合わせる。二つ目は掛け合わせた種族の種族専用スキルを一時的に扱えるようになるというものだね」

「じゃああの姿の時は鬼とトレントを掛け合わせた種族になっていて、鬼とトレントの種族専用スキルが使えたということ?」

「そうだね」

『セツノお兄ちゃん!その毒って私たちでも使えたりするの?』

「誰でも使えると思うよ。ただ危険な毒だからおすすめはしないけどね」

『危険!?セツノお兄ちゃんは大丈夫なの?!』

「体内に毒を取り入れてから五分以内に解毒薬を打ち込んだから大丈夫。レイトスが言うには五分以上毒に侵されたままだと大変なことになるって」

「大変なことってどんなことになるのよ」

「それは教えてくれなかった。まぁ、うすうす予想がつくけど」


種族を掛け合わせる毒だ。きっと二つの種族が完全に混ざり合ったキメラになってしまうとかそんなところだろう。


「それと毒を使った反動も結構強力だからこの毒は本当にギリギリな時の奥の手だよ。今は少し体を動かせるようになったけど、解毒薬を打った直後は全く体が動かなかったからね。使うタイミングは限られるしおすすめしないよ」

『かっこよかったから一回やってみたかったなぁ。うぅ、諦めるしかないか』

「その方がいいと思うよ」


とそんなことを話していると広葉樹の森に入りルアが足を止めた。先行していたノエルも戻ってきた。


「そろそろミニマップに位置情報が映る時間ね」

「そっか。それがあるのか」


時間を確認してみると始まってから二時間半経過していた。イベントは五時間だからまだまだ半分ある。


そして位置情報が表示された。


「北東の山岳から反応がどんどんこっちに来てるわね。そして山岳には大きな反応。……トッププレイヤーから逃げてきているみたいね」

「北から逃げてきたプレイヤーと漁夫の利を狙って集まってきたプレイヤーとで戦いが起こってるのかな」

「んー。漁夫を狙いに来てたのはだいたい倒したと思ったけどまだまだいるね!それとセツノお兄ちゃんが戦ったトッププレイヤーほどじゃないけど強い反応が一つあるね!」


先行していたノエルは漁夫の利狙いのプレイヤーを倒していたようだが、ノエルだけじゃ流石に処理が追いつかなくなるほどのプレイヤーが集まってきている。


「もう少しで全身がある程度動くようになるから、それまで強い反応のプレイヤーと潰し合いをしてくれたら助かるんだけどね」

「そんなこと願わなくてもノエルの【再誕回帰】でどうにかなるわよ。ノエルの鱗粉は対集団に強いから」

「うん!私がどうにかしちゃうよ!」


ノエルが自身満々に胸を張って応える。そして位置情報がミニマップから消えて自分たちのだけになる。


「それじゃあ処理が追いつく間は私とノエルは通常状態で戦って追いつかなくなったらノエルの【再誕回帰】で殲滅するということでいいかしら?」

「問題ないよ!」

「いいよ」

「それじゃあ行きましょうか」

「ちょっと待ってルア!僕はここで待ってるから下ろして」

「待ってるから下ろしてって、動けないのにここに置いていって襲われたらどうするのよ?」

「大丈夫。動けなくても攻撃はできるしそれにここに来る敵二人が殲滅するんでしょ?僕がルアにおぶってもらっていたら戦闘の邪魔になるからここで待ってる」

「……わかったわ。でも何かあったらすぐに連絡してね。助けに行くから」

「わかった」

「約束だからね!セツノお兄ちゃん!」

「うん!」


ルアの背中から降りて近くの倒木に座らせてもらうと僕は殲滅に向かう二人を見送った。


――――――


二人を見送ってから十分程経過した。二人が向かった方向から絶え間ない絶叫が聞こえて来る。


「二人とも順調そうだね。……暇だし実験するか」


「【開花 月下銀花】」


僕の手に一回り小さい一輪の月下銀花が生み出される。


「解毒薬を打ってから結構経ってるしこれくらいが限界なのかな」


五分ギリギリまで毒を使ったため全身に毒が回っている。解毒薬が全身に回った毒を全て消すまでは植物を操る力を使えるようだ。


「とはいえ力を使うと気持ち悪くなるからキメラにはならなくてもなんらかの悪影響が出るのは間違いないね。安静にしてろよってことか」


月下銀花を持つ手が震える。危険性は自分の体が一番わかっているってことかな。


「ん?あれは……ノエルが【再誕回帰】を使ったのか」


巨大な蝶へと姿を変えたノエルが遠くに見えた。それと同時に何か違和感を感じた。その正体はすぐにわかった。


距離があるため詳しくはわからないが羽ばたき鱗粉をばら撒くノエルに何かが襲いかかっていた。


「あれはモンスター?特別フィールドにモンスターは出るんだっけ?」


ルールにはどう書いてあったっけ。そんなことを考えた時、ノエルの方から僕の方へ何かが飛翔して来た。そしてそれは僕の前に降り立った。


「トッププレイヤー共とやり合っていたのはお前だな」

「ドラゴンと人?」


純白の鱗を身に纏う十メートルほどの(ドラゴン)に乗った男が僕に槍を向けている。


「応えろ。やり合っていたのはお前か?」


男が左手を(ドラゴン)の横に向け何かを呟くと大きな亀のようなモンスターが現れた。そして亀のようなモンスターの甲羅が開き、中から大量のモンスターが現れ僕を取り囲んだ。


「うん。やり合っていたのは僕だね」


倒木に座ったまま僕はフェルリアを男に向け応える。


「そうか。ならば死んでもらおう!」


ドラゴンの口に白銀の光が収束しそれは僕に向かって放出される。


「【闘気結界】」


闘気で自分を囲み結界を作った次の瞬間、白銀の破壊の本流が僕を襲った。


「トッププレイヤーとやり合っていただけはあるな。竜の息吹(ドラゴンブレス)を耐えるのか」


白銀の本流は【闘気結界】に当たると左右に二つに裂け背後の森にVを描くようにして消しとばしていた。


「聖の陣営の力の源である聖素、魔の陣営の力の源である魔素、この二つはぶつかり合うとお互いに影響し合って打ち消し合う」

「いきなりどうした?」

「ちょっとしたお話だよ。少しでも長く生きたいからね。時間稼ぎとでも思って聞いてよ。それでこの二つを打ち消し合うよりも早く()()()()どうなると思う?」

「……知らん。さっさと答えろ」

「残念ながら僕も知らないんだよね。やったことないからね。でも予想はできる。きっと()ぜるんじゃないかな?」

「!?」


男が僕に向けて槍を投擲する。しかし槍は【闘気結界】に阻まれて僕に当たることはない。男が周りのモンスターに僕を襲わさせる。取り囲むモンスターが僕の結界に触れる。その前には僕のすることは終わっている。


【闘気結界】の中で僕は左手に持つ月下銀花から聖素を取り出すと同時に右手に持つフェルリアから魔素を取り出す。そして聖素と魔素を打ち消し合うよりも早く混ぜ合わせる。


「アハッ!僕の予想はあっていたみたいだね!」


混ざった瞬間、莫大なエネルギーを放出しようとする混沌とも言うべきエネルギーを【闘気結界】に閉じ込め、それを男に向けて投擲する。


そして僕の全ての闘気を使って最高硬度の【闘気結界】を構築する。


莫大なエネルギーを押し込めていた【闘気結界】が砕ける。


灰色の(よど)んだ閃光が僕の視界を埋め尽くし、竜の息吹(ドラゴンブレス)を遥かに凌駕する破壊の本流が放出され蹂躙する。


強い衝撃が【闘気結界】を殴り付けた。


(あっ、これ、想像以上にやばいやつだった。)


そんなことを考えて僕は吹き飛んだ。


追記 


制限時間五時間にしたの後悔してます。普通に三時間くらいでよかったかなと。ただもう戻れないのでそのまま突き進みます。


ブクマと評価、よろしくおねがいします。

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