1 キャラクターメイキング
眠りから目覚めるような感覚がして意識が浮かび上がる。辺りを見渡してみるとどこまでも白一色の世界だった。
『ようこそ。Realistic Fantasy Onlineの世界へ。ここではキャラクターメイキング、スキルの選択、ゲームの設定などを行います』
声が聞こえた後、目の前に触れるホログラムのような物が現れた。どうやらこれでキャラクターメイキングを行うらしい。
「まずは名前から決めるか」
本名が雪だから、ゆき…セツ…スノー……組み合わせて『セツノ』でいいか。ちょっと安直かもしれないけど。
ホログラムの名前入力欄にセツノと入れた。
「次は種族を決めるか」
『種族を決める前に聖の陣営もしくは魔の陣営のどちらにつくのか決めてください』
種族を決めようとしたら声が聞こえた。どうやら聖の陣営につくのか魔の陣営につくのかで選べる種族が変わるようで、先にどちらの陣営につくのかを決める必要があるらしい。
「それなら魔の方だね」
八つ当たりという理由でNPCやプレイヤーと殺し合いをする予定の僕には聖の陣営は似合わない。それに自分がなろうと考えている種族は魔の方にある。
僕は悩むことなく魔の陣営を選択した。
「じゃあ今度こそ種族を決めよう」
選べる種族一覧を眺め、自分が予めなろうと決めておいた種族を探す。
「あった!」
僕が選んだ種族は鬼人族。魔法を使うことができないが、その代わりに闘気というものを使って戦う魔の陣営の種族の一つだ。
「種族が決まったなら次は容姿だね」
容姿は現実再現機能という名前の通りに現実の姿を再現してくれる機能を利用して現実と変わらないキャラクターを作り出す。鬼人族を選んだため左目の上のあたりに生えた蒼色の角が目を引く。
「うん。完全に女の子だね」
性別は男なのだが、顔立ちと声が中性的なのと過去に桜お姉ちゃんに髪を褒められてから髪を伸ばすようにしており、現在は肩の下辺りまで伸びているのがあって、自分で見ても女の子に見える。
「折角のゲームだし現実のままってのも何か違うかな。髪と目の色を変えてみようかな」
髪の色を黒から白に変える。さらに、髪の先端の方を銀色にする。目の色はなるべく濃い赤色にしたくて、クリムゾンレッドを選んだ。いい感じだ。
「キャラクターメイキングはこんな感じでいいかな。この次はスキルを選びかな」
暗殺者スタイルで遊ぼうと決めているので、それに合うスキルを五個まで膨大な数の選べるスキルから探していく。
数十分かけてスキルを選び抜いた。選んだスキルは【短剣術】【投擲】【毒作製】【隠密】【鑑定】にした。
「あとは細かい設定をいくつか確認すればキャラクターメイキングは終わりかな。」
ホログラムのような物を操作して残っている設定を決めていく。
ミニマップ機能 ON
常に視界の右端の方に表示され、自分が一度行ったことがある場所や通った道を自動的にマッピングしてくれる。
普通に便利だしこれはONでいいかな。
バフデバフ状態異常アイコン表示機能 ON
自分にかかっているバフ、デバフ、状態異常をアイコンで視界内に表示してくれる。
もし邪魔なら後でOFFにすればいいからこれもONでいいかな。
行動アシスト機能 OFF
クエストなどで次にやることや遊ぶ上で役に立つ情報を表示する。
これはOFFでいいや。
セクハラ防止機能 ON
AIがセクハラと判断できるような行動を自動的にブロックする。
こういう防止機能は大事ですね。絶対に必要だと思うのでONにします。
『設定の終了を確認しました。RFOを始めますか?』
「はい」
『ではRFOの世界に転移させます。これからの貴方に幸がありますように』
そんな声が聞こえた後、視界が白の光に染まった。その光はすぐに収まり、目を開くと景色は変わって中世ヨーロッパを思わせるような石造りの街並みの中だった。
こうして僕は魔の陣営の最初の街スタヴィルに降り立った。
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