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有理香の過去とアンドロイド

里見有理香は産まれたときから男運の悪い女だったと言える。


彼女は幼い頃に母を亡くしていこう父のDVに悩まされていた。


高校入学時に父から逃げるように寮のある高校に入学した。


その後、高校卒業後に就職。


就いた仕事は老人ホームの介護職であった。


ここでも彼女は入居者のワガママや暴力に悩まされ、父とのトラウマを思い出させられる職場に耐えられず逃げ出した。


そうした彼女だったがやっと自分の事を大事にしてくれる男性に出会った。


彼女は生まれて初めて優しくしてくれた男に入れ込み、男の望む事を何でも許した。


避妊具をつけない事すら許してしまった彼女がそうなってしまったのは自然の道理である。


「妊娠」


彼女は男との間に出来た子供に喜んだが、男はそうではなかった。


有理香はその時まで知らなかったが、男には幸せな家庭があったのだ。


突然の告白の後に男は逃げるように有理香の前を去った。


お腹の子供と今後の生活の事で悩む有理香の前に一枚の紙が目についた。


それは妊婦の健康診断を無料でしてくれる上に補助金を出してくれるというものだった。


また、とある条件に合致するならば更に多くのお金が出るという。


切迫詰まっていた有理香はこの話に飛び乗った。


そして幸運なことに彼女は条件に合致していった。


それは子供が男の子であること。


政府は彼女に対して多額の補助金を出す事を前提に実験に協力してほしいと話した。


冷凍カプセルに入りコールドスリープしてほしいというものだった。


その期間は半年間であり、母子ともに影響はないという話だという。


更に何らかの影響が出たならば毎月遊んで暮らせる額のお金を死ぬまで保証してくれるというのだ。


彼女はこの提案を承諾した。


まさか、これが二度と元の時代に戻れない片道切符の旅になるとも知らずに。


目覚めた彼女が最初に見たのは美しい女性達だった。


人種は様々だったが誰も彼も美しく身体の内から自信が溢れていた。


(自分には全く無いものだな)


有理香はぼんやりとした頭でそう考えた。


その中でも一際美しく自身に満ち溢れた女性がぼうっとして頭の働かない有理香の服の胸元に何かの機械を取り付けた。


「私の言葉が分かりますか?」


その女性は有理香に流暢な日本語で話しかけてきた。


「え、ええ。分かります」


そう答えた所で段々と自分が何者で何があったのか思い出す。


ここは半年後の日本では無いのだろうか?


そう信じたいが多数の人種が様々な女性達を見ているととてもそうは思えない。


「あの、ここは何処なのでしょうか?」


有理香が尋ねると女性はニコリと笑い、


「まだ身体が完全に回復しておりません。

先ずは健康な身体を取り戻してからにしましょう」


と言い何かの機械を操作した。


すると奥の扉が開きそこに高身長、端正な顔立ちをした看護士らしき男が入ってくる。


「彼は看護士型アンドロイドです。

今から貴女に付きっ切りで健康面のサポートをしますので困ったことがあったら何でも言ってくださいね」


その瞬間に有理香の頭は再びフリーズする。


アンドロイド・・・確か人工的に作られた人間に似せたロボットのはずだ。


SF映画で出てきたのを覚えてる。


何処からどう見ても人間にしか見えない彼がアンドロイド?


何かの冗談だろうかと思ったが男は有理香の前に行くと跪き、


「看護士型アンドロイドです。

今日から貴女の健康を最優先にサポートをさせていただきます」


と柔らかな笑みを浮かべながら言ったのだった。

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